第14回講義の内容 - 東京医科歯科大学

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個体と多様性の
生物学
第11回 外界の刺激の受容
和田 勝
東京医科歯科大学教養部
シナプスまでくると
神経伝達物質がシナプス間隙に放出され、
シナプス後膜の受容体に受け取られます。
アセチルコリン受容体
シナプス後電位
このように電気信号は神経伝達物質
の放出に変換され、神経伝達物質が
受容体に結合することにより、再び
相手側のニューロンに小さな電位の
逆転を作る。
この小さな電位の逆転をシナプス後電
位(postsynaptic potential、PSP)と言う
。
シナプス後電位には+とー
Na+を通して膜電位を脱分極(+)
興奮性シナプス後電位(EPSP)と
呼びます
Clーを通して膜電位を過分極側(-)
抑制性シナプス後電位(IPSP)と呼
びます
ニューロンにはシナプスがい
っぱい
ニューロンにはシナプスがい
っぱい
神経伝達物質の種類によって、「+」と
「ー」の変化が、それぞれシナプスで
生じる。
これが合計されて、軸索の根元の軸
索丘に伝わり、活動電位(インパルス)
の引き金になる。
ニューロンの数が増える
神経系が発達すると感覚ニューロン
と運動ニューロンの間に、介在ニュ
ーロンが入るようになる。
その結果、中枢神経内に介在ニュ
ーロンの集合が生まれ、複雑なネ
ットワークが形成され、ここでいろ
いろな処理が行なわれるようにる。
感覚ニューロン
介在ニューロン
運動ニューロン
ニューロンの数が増える
脊髄と脳
ニューロンの数が増える
中枢神経系(脊髄と脳)の中に介在
ニューロンによる神経回路が、つくら
れるようになる。
特定の神経回路が、定型的行動パ
ターンに対応するようになる(たとえ
ば、歩行運動)。
生得的行動の解発
鍵刺激
鍵刺激
検出機構
プログラム
発生器
行動
鍵刺激
検出機構
プログラム
発生器
行動
刺激と反応
音、光、匂いなど
外界からの刺激
受容器
個体
中枢神経系
効果器
反応
いろいろな行動
刺激の受容
刺激の受容器として感覚器をもっている
感覚器には、刺激によって興奮する感覚細
胞(受容器細胞)が多数ある
興奮に必要な最小刺激を、閾値という
感覚器によって受容できる刺激の種類
は決まっている。これをその感覚器の、
適刺激という
感覚の種と質と強さ
●感覚には、異なる種(modality)がある
異なる種に対応して、異なる感覚器がある
●同一の種の中にも、異なる質(quality)がある
質とは、音の高さの違いとか色の違い
●質や強さ(intensity)の違いは、同じ感覚器で
受容
感覚・知覚・認知
刺激を受容し、中枢でそれを認めることを
感覚(sensation)という
質や強さを区別し、それらの時間的な経過
を認めることを知覚(perception)という
いくつかの知覚を総合して、知覚されたもの
が何であるかを認める中枢のはたらきを認知
(recognition)という
感覚の種類
受容器が特殊化していない感覚
受容器が特殊化している感覚
● 受容器が特殊化していない
a)体性感覚
①皮膚感覚...痛覚、触覚、圧覚、温度感覚
②深部感覚...深部痛覚
b)内臓感覚
①内臓痛覚
②臓器感覚
感覚の種類
● 特殊感覚
a)味覚(taste)
b)嗅覚(smell, olfaction)
c)前庭覚(acceleration and gravity)
d)聴覚(hearing)
e)視覚(vision)
ここでは特殊感覚だけに限って話を進める
感覚細胞の種類
感覚細胞が刺激を受容する様式は、大きく分け
て次の2種類しかない
●機械的刺激 ・・・・・ 前庭感覚、聴覚
有毛細胞
●化学的刺激 ・・・・・ 視覚、味覚、嗅覚
受容体
聴覚・前庭覚(耳の構造)
コルチ器官の外有毛細胞
有毛細胞の電気的性質
有毛細胞の受容器電位
蝸牛の
構造
蝸牛を引
き伸ばした
模式図
基底膜の
構造
音を聞き
分ける
運動と姿勢の感覚
三半規管の構造
リンパの動きと
有毛細胞
視覚(眼の構造)
網膜の構造
二種類の
視細胞
桿細胞とロドプシン
外節円盤膜内のロドプシン
オプシンのアミノ酸配列
ヒトオプシンのアミノ酸配列(青い部分は膜貫通ドメ
イン)
1
61
121
181
241
301
1
MNGTEGPNFY
VTVQHKKLRT
GEIALWSLVV
EGLQCSCGID
ATTQKAEKEV
YNPVIYIMMN
11
VPFSNATGVV
PLNYILLNLA
LAIERYVVVC
YYTLKPEVNN
TRMVIIMVIA
KQFRNCMLTT
21
RSPFEYPQYY
VADLFMVLGG
KPMSNFRFGE
ESFVIYMFVV
FLICWVPYAS
ICCGKNPLGD
31
LAEPWQFSML
FTSTLYTSLH
NHAIMGVAFT
HFTIPMIIIF
VAFYIFTHQG
DEASATVSKT
41
AAYMFLLIVL
GYFVFGPTGC
WVMALACAAP
FCYGQLVFTV
SNFGPIFMTI
ETSQVAPA
51
GFPINFLTLY
NLEGFFATLG
PLAGWSRYIP
KEAAAQQQES
PAFFAKSAAI
7回膜貫通型のタンパク質
Gタンパク連結型受容体
60
120
180
240
300
オプシンの構造推定図
桿細胞に
光があたると
光によってレチナール
の形が変わる
レチナールが離脱
オプシンがトランスデュ
ーシン(Gタンパク質)を
活性化
Naチャンネルが閉じる
伝達物質の放出止まる
桿細胞での伝達物質放出
Naチャンネルが開いているのは、cGMP
がチャンネルと結合しているから
桿細胞での伝達物質放出
オプシンはトランスデューシンを活性化
し、これがPDEを活性化。その結果、
cGMPが分解される
桿細胞での伝達物質放出
パッチクラ
ンプ法で直
接光を当て
たとき
パッチクラ
ンプ法で直
接cGMPを
与えたとき
神経系の機能
神経系のお話はこれでおしまい
いくつかのキーワードを復習してみれば
●ニューロンの形態と機能
●終板におけるアセチルコリンのはたらき
●ニコチニック受容体とムスカリニック受容体
●早い伝達と遅い伝達
●伝達の修飾
など、など