Transcript ARDS最近の治療法
ARDS最近の治療法
浜松医科大学救急部
白井 正浩
急性呼吸促迫症候群(ARDS)
敗血症
ストレス
胃酸の誤嚥
ショック
肺
外傷
肺感染症
サイトカイン産生
肺水腫
呼吸不全
病理:DAD
(好中球浸潤・肺胞性浮腫・硝子膜形成・肺血管内皮・肺胞上皮の損傷)
ALIとARDSの定義(1994)
相違点
共通点
急性発症
胸部レ線両側の浸潤
影
肺動脈楔入圧
≦18mmHg
急性呼吸促迫症候群
(ARDS)
PaO2/FIO2 ≦200Torr
急性肺損傷(ALI)
PaO2/FIO2 ≦300Torr
ギンガメアジの大群
人工呼吸の導入の目的
(Kollef&Schuster)
使いなれた呼吸器
低酸素血症の是正
呼吸促迫の解除
肺胞虚脱の改善
急性呼吸アシドーシスや呼吸筋疲労の是正
いままでの人工呼吸法(1985)
一回換気量10ー15ml/kg
呼吸数10ー20回
PaCO2 40Torr、pH7.35-7.45になるよう一回換
気量および呼吸数を調節
PaO2 60ー80Torrになるように酸素濃度を調節す
る。
PEEPは、気道・肺胞の虚脱を防ぐ。5cmH2Oで
開始し、 PaO2 60Torrになるように増やす。
人工換気は肺を損傷する (昔)
気圧外傷(barotrauma)
空気漏れ
気胸・気縦隔
人工換気は肺を損傷する(今)
空気漏れ以外の病態
人工換気による肺障害の病理組織
急性期
慢性期
間質性浮腫と肺胞性浮腫
繊維増殖と気腫性変化
出血
繊維化
硝子膜形成
小葉肺胞構造の改変
好中球浸潤
嚢胞形成
気腫化
人工換気による肺障害の病理組織
ARDSの所見と区別が
つかない
カリニー肺炎(急性期)
Diffuse graound-glass
Opacification and
consolidation
急性間質性肺炎
Extensive ground
glass opacities
Airspace consolidation
Involving posterior lung
basis
心不全
Ground-glass
opacity
Septal thickening
Pleural effusison
Baby’s lung
人工換気による肺障害の原因因子
肺胞の過伸展
肺胞の細気管支の虚脱・再膨張
TV
ARDSの肺圧量曲線
ml/kg
過伸展
含気のある肺
ARDS全肺
12
6
虚脱と再膨張
0
PEEP
30
50
水腫肺
虚脱肺
cmH2O
Paw
ARDS/ALI
健常部分
人工換気
病変部
一回換気量:大
PEEP:低
気道内圧:高
PEEP:高
虚脱・再膨張
過伸展
物理的損傷
炎症
サーファクタント
の不活化
肺障害
無気肺
急性呼吸促迫症候群(ARDS)
ストレス
肺
サイトカインによる肺障害
呼吸器による肺障害
肺水腫
呼吸不全
人工換気による肺障害の原因因子
生体側の要因
人工換気に伴う要因
基礎にある肺損傷と炎症
1回換気量
サーファクタントの不活化
最大気道内圧
肺内のメデイエーターと
その流出
PEEP
換気モード
酸素濃度
毛細管静水圧の上昇
これからの人工呼吸法
(ネットワーク研究から)
一回換気量≦6ml/kg
SpO2≧88ー95%
PaCO2 は高くても良い。
pHを正常化
気道内圧<30cmH2O。
気道内圧制限内でPEEPは、高く設定する。
最小の酸素濃度。
新しい換気法による成果
1.0
低VT群(VT=6ml/kg)
0.8
生
存 0.6
率
高VT群 (VT=12ml/kg)
20日以内
予後決定
0.4
0.2
0
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
(日)
人工換気による肺障害の予防対策
1回換気量と気道内圧の制限
虚脱防止 気道内圧制限内の高いPEEP
ため息を入れる・サーファクタントの補充
病変の不均等性の是正
うつぶせ・液体換気
酸素濃度を必要最小限
CO2蓄積とアシドーシス対策
重炭酸補充・気管内送気・体外式CO2 除去
人工換気は肺を損傷する