ショックの合併症 1.ショックの病態 2.ショックと臓器 a

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Transcript ショックの合併症 1.ショックの病態 2.ショックと臓器 a

ショックの治療・合併症
1.ショックの病態・治療
2. 薬物ショックと麻酔薬事故
3.ショックと臓器
a. ショック腎
b. ショック肺(ARDS)
c.ストレス潰瘍
ショックの定義・病態
ショックは、大出血・心筋梗塞・
敗血症などさまざまな原因で起こる。
動脈圧低下を主症状に発症し、その
ため主要臓器への有効血流が減少し
て組織代謝に異常を来し、細胞機能
が保てなくなり、悪循環を適切に遮
断しなければ患者が死亡する症候
群である。
Shock is the state in which failure of the
circulatory system to maintain adequate
cellular perfusion results in widespread
reduction in delivery of oxygen and other
nutrients to tissues. Circulatory
insufficiency causes cellular and then
organ dysfunction, which may become
irreversible unless corrected promptly.
Shock is a syndrome defined by a constellation of
clinical signs that may arise from any of several
causes. At the onset, the physiologic changes
accompanying shock reflect the nature of the
initiating event. As the syndrome progresses,
however, a common pattern emerges
resulting from the consequences of
inadequate tissue perfusion. (Harrison 14th)
The production and release of inflammatory
mediators are induced by hypoperfusion,
which leads to a vicious cycle. (Harrison
15th)
a vicious cycle
Impaired perfusion is responsible for
cellular injury which causes
maldistribution of blood flow, further
compromising cellular perfusion -->
{if the process is not
interrupted}
--> -->multiple organ failure
-->--> the death of the patient.
循環を直接に左右しているのは、1) 心臓
のポンプ作用と循環系を満たしている 2)
循環血液量および 3) 血管系の緊張とい
う3因子である。
これらの3因子がどのように変化している
のかの鑑別には、中心静脈圧と肺動脈
楔入圧が重要である。これらの圧は循環
血液量と右室機能(中心静脈圧)ならび
に左室機能(肺動脈楔入圧)の指標とな
る。
■正常
循環血液量
組織灌流
と
体血管抵抗
右室機能
(中心静脈圧)
after load
容
量
血
管
圧中
心
静
脈
尿量
肺動脈楔入圧
(cmH2O)
CVP
左
房
圧
右房圧
静脈還流
venus return
抵
抗
血
管
動
脈
血
圧
心
拍
出
量
(mmHg)
PaO2 PaCO2
(HCO3-)
右心筋機能
左心筋機能
肺胞
(肺動脈楔入圧)
■循環血液量減少性ショック
循環血液量
体血管抵抗↑
と
右室機能
(中心静脈圧)
中
心
静
低脈
下圧
(cmH2O)
出
血
尿量
肺動脈楔入圧
低下
動
脈
低血
下圧
(mmHg)
肺胞
左室機能
(肺動脈楔入圧)
■心臓[原]性ショック
循環血液量
と
体血管抵抗↑
右室機能
(中心静脈圧)
中
心
静
上脈
昇圧
(cmH2O)
左室機能↓
(肺動脈楔入圧↑)
尿量
肺動脈楔入圧
上昇
肺胞
動
脈
低血
下圧
(mmHg)
心拍出量↓
■血管性ショック
(血液分布異常)
循環血液量
と
体血管抵抗↓
右室機能
(中心静脈圧)
中
心
静
低脈
下圧
尿量
肺動脈楔入圧 低下
動
脈
低血
下圧
(mmHg)
(cmH2O)
肺胞
左室機能
(肺動脈楔入圧)
Pressure
transducer
Balloon-tipped
catheter
Heart catheter
Balloon-tipped
catheter
on blood flow
Cardiac catheterization is
used to study the various
functions of the heart.
Using different techniques,
the coronary arteries can be
viewed by injecting dye or
opened using balloon
angioplasty. The oxygen
concentration can be
measured across the valves
and walls (septa) of the
heart and pressures within
each chamber of the heart
and across the valves can
be measured. The
technique can even be
performed in small,
newborn infants.
ショックの病因・診断(右心カテーテル法 Swan-Ganz catheter )
診断
肺動脈楔入圧 心拍出量 体血管抵抗
(PCWP)
(CO)
(SVR)
コメント
心原性Cardiogenic
心筋障害
↑↑
↓↓
↑
心筋梗塞 (>40% of LV),
重症心筋症, 不整脈
機械的障害
心室中隔欠損 ↑
↓↓
僧帽弁逆流 ↑↑
↓↓
右室梗塞
-- or ↓ ↓↓
↑
↑
↑
シャント、RVCO>LVCO
Forward CO↓↓
RA & RV filling pressure↑
閉塞性Extracardiac obstructive forms
心タンポナーデ
肺栓塞
↑
↓ or ↓↓ ↑
-- or ↓ ↓↓
↑
RA & RV pressure↑
RA & RV pressure↑↑
循環血液量減少性Hypovolemic
↓↓
↓↓
↑↑
出血、体液喪失
血液分布異常性Distributive forms
敗血症性
アナフィラキシー性
神経原性
副腎不全
↓
↓
↓
↓
or
or
or
or
-----
↑ or -↑ or -↓ or -↓
↓(初期)
↓↓
↓↓
- or ↓
浸出液増加--> hyopovolemic
迷走神経興奮、脊髄損傷[麻酔]
(Harrison 14th, P220; 15th, P225より改変)
種々の略語
PCWP: pulmonary capillary wedge pressure
CO: cardiac output
SVR: systemic vascular resistance
RA, RV, LV: right atrium, right ventricle, left ventricle
CVP: central venous pressure
ICU monitoring: intensive care unit;
MAP: mean arterial pressure;
Hb: hemoglobin;
SaO2: arterial oxygen saturation
CI: cardiac index
PaO2: arterial oxygen pressure;
CNS: central nervous system;
s.c.: subcutaneously
Fig. 38-1.
Fig. 38-1. Pathogenesis of shock in
humans.
This schematic diagram depicts the present
understanding of the pathogenetic
relationships among the different types of
shock and the cardiovascular abnormalities
they usually produce.
Maldistribution of blood flow in
microcirclation contributes to the worsening
of shock in every form as the syndrome
progresses.
Reflex adrenergic discharge is intensified,
and flow is redistributed to maintain
perfusion to the brain and heart. This
redistribution reflects the predominance of
autoregulation of blood flow in the cerebral
and coronary systems in contrast to the
dependence of flow in other organs on
sympathetic tone. Renal perfusion is
compromised by circulatory failure, in part
because blood flow is directed preferentially
toward the heart and brain and away from the
kidney.
Figure 38-2.
Pathogenesis
of human
septic shock.
Nidus of Infection
Pneumonia
Peritonitis
Cellulitis
Abscess
Other infection sites
Organisms
Organism Toxins
Structural component
Exotoxin
(TSST-1 , Toxin A)
Endotoxin (LPS)
LPS: Lipopolysaccharide
(continued)
Cytokine cascade in sepsis
Cytokines
Interleukin 1, 2, 6, 8
Tumor necrosis factor (TNF)
Platelet Activating Factor (PAF)
Arachidonic Acid Metabolites
Humoral Defense Systems
iNOS --> excessive NO
Complement
Kinins
Coagulation --> DIC
Others
Myocardial depressant substance (MDS)
Endorphins
Histamine
(continued)
Vasculature
Vasodilation
Vasoconstriction
Maldistribution of blood flow
Endothelial destruction
Myocardium
Depression
Dilation
Depressed CO
Severely depressed SVR
Perfusion
failure
Hypotension
Recovery
Multiple organ
system failure
Death
Cytokine cascade in sepsis
(Robbins 6th, p.134-5)
表2 治療のガイドライン
異常
治療・ 処置 interven tion
低血圧
ICU
輸液、 昇圧薬
組織低潅流
ICU
輸液、 昇圧薬、 強心薬
治療のゴール
M AP>6 0mm Hg, 14< PCWP <18mmHg
Hb> 10g/dL, SaO2> 92% ,
2
CI>2.2(L/min)/m , 正常乳酸値
臓器機能障害
ICU
輸液、 昇圧薬、 強心薬
腎機能、 尿量、 肝( ビ リルビ ン値) 、
肺( PaO2) 、 CNS( 意識レ ベル)
感染
適切な抗生物質、 外科的ド レ ナージ
感染根絶
アナフ ィ ラ キシー 早期発見・ 早期治療、adrenaline, s.c., (抗 Histamine 薬, aminophylline, steroids)
有害内因性物質 研究・ 治験中, anti-endotoxin antibody 等
昇圧薬の用量と相対効力
(開発中, 治験中のものを含む)
末梢血管
昇圧薬
用量
心臓 (β1)
Dopamine
(μg/kg)/min
1-4
心拍数
+
収縮性
+
収縮(α) 拡張(β2) D1*
++++
+
0
4-20
++
+++
++
0
++
2.5-15
++
++++
0
++
0
+
++
++++
0
0
Dobutamine
Norepinephrine 2-20μg/min
Epinephrine
1-20μg/min
++++
++++
++++
+++
0
Isoproterenol
1-5μg/min
++++
++++
0
++++
0
Phenylephrine
20-200μg/min 0
0
+++
0
0
•Dopamine D1作用: 腎血管拡張作用、利尿作用
(Harrison 14th Ed. p221より改変)
薬物によるメディエータのコントロール
(開発中, 治験中のものを含む)
メ ディ エータ
薬物
サイ ト カ イ ン
抗 TNF 抗体, TNFbp, IL-1ra (Antril), ステロ イ ド , pentoxyfilli ne
補体
メ シル酸ナフ ァ モスタ ッ ト , ステロ イ ド , 抗 C5a 抗体
カ リ ク レ イ ン ・キニン メ シル酸ナフ ァ モスタ ッ ト , アプロ チニン , kinin antagonists
凝固系
ヘパリ ン , AT-II I, メ シル酸ナフ ァ モスタ ッ ト , メ シル酸ガペキサート
活性酸素
アロ プリ ノ ール, ウリ ナスタ チン , Vit E・ C, 還元型グルタ チオン , GCSF
一酸化窒素
ステロ イ ド , メ チレ ン ブルー, NO 合成酵素阻害薬 (L-NM M A, L-NAME )
PAF
TCV-309, CV6209, CV3988
PGs, TX A 2
ステロ イ ド , アスピ リ ン , NSAI Ds, オザク レ ル
ロ イ コ ト リ エン
ステロ イ ド , OP 41483, ONO-4057
顆粒球エラ スタ ーゼ
ウリ ナスタ チン , ONO-5046
TNFbp: TNF binding protein, lL-1ra=interleukin-1 receptor antagonist, GCSF: glanulocyte colony
stimulating factor, L-NMMA: N-monomethyl L-arginine, L-NAME: NG-nitro-L-arginine methylester,
PAF: platelet activating factor, PGs: prostaglandins, TXA2: thromboxane A2, NSAlDs: non-steroidal antiinflammatory drugs.
ショックの治療・合併症
1.ショックの病態・治療
2. 薬物ショックと麻酔薬事故
3.ショックと臓器
a. ショック腎
b. ショック肺(ARDS)
c.ストレス潰瘍
薬物ショックと麻酔薬事故
薬物ショック死をきたす原因薬剤として
は、麻酔薬、抗生物質、ヨード造影剤の3
者の頻度が最も高い。ショック死の機序
は、
(1) アナフィラキシー(様) 反応と
(2) 過量投与に大別される。
薬物ショック死の原因
1. 麻酔薬
1)局所麻酔薬 2)静脈麻酔薬
薬
2. 抗生物質
1)ペニシリン系 2)セフェム系
3. 解熱鎮痛剤
1)ピリン系 2)ピリン系以外
4. ヨード造影剤
3)吸入麻酔
アナフィラキシー反応の発生機序 (図6-1 参照)
*1 eosinophil chemotactic factor of anaphylaxis
*2 neutrophil chemotactic factor
*3 platelet activating factor
*4 slow reactive substance of anaphylaxis (LTs)
*5 prostaglandins
アナフィラキシー(様)反応の病態生理
呼吸系
気管支痙攣
上気道浮腫
肺浮腫
肺気腫
循環系
ごく早期; 心拍出量増加(一過性) 血管拡張
その後; 心拍出量低下
血管内容量とくに血漿量
の減少
血液濃縮
頻脈
不整脈
CVP、PCWPの低下
病態の中心は
血管透過性の亢進に伴うHypovolemia、気道浮腫と気
管支痙攣
治療
気道浮腫に対する気道確保とhypovolemiaに対する輸
液療法が最優先される。さらに、病態の中心が肥満
細胞や好塩基球内からの内因性化学伝達物質の放出
にあり、細胞内の一連の変化に対してcyclic AMPは
抑制的に、Ca2+は促進的に働くことから、cyclic AMP
の産生を増すエピネフリンと分解を抑制するアミノ
フィリンの投与を行う。
心収縮力の増強を期待して塩化カルシウムを投与す
べきではない。病態悪化の危険性がある。また、ス
テロイドには即効性はないが、β受容体作動薬の作用
増強やヒスタミン代謝の抑制が期待できるので、バ
イタルサインの安定後に使用する。
心肺蘇生法(CPR)
• 心肺蘇生法(Cardio−Pulmonary Resuscitation:CPR)とは一般
市民が行なうことのできる1次救命処置Basic Life Support
(BLS)と,高度の医療処置を含む2次救命処置Advanced Life
Support(ALS)から成り立っている。
• 心肺蘇生法の開始条件は以下の3つで,心肺蘇生法はこの3
つを確認することから始まる。
(1)意識なし(JCSIII−300)
(2)呼吸なし(5秒間呼吸が感じられない)
(3)脈拍なし(総頸動脈にて5秒間脈が触れない)
• 1人法の1次救命処置の心肺蘇生法の要点
(A)気道確保
(B)人工呼吸
(C)心臓マッサージ
ショックの治療・合併症
1.ショックの病態・治療
2. 薬物ショックと麻酔薬事故
3.ショックと臓器
a. ショック腎
b. ショック肺(ARDS)
c.ストレス潰瘍
ショックの間の血流障害や毒性物質により臓器障害が
起こる。これをショック臓器と呼ぶ。人間の場合は、腎と
肺がその代表で、回復後も、その監視を怠ってはならな
い。
Kidney, Renal Tubular Necrosis Due to Shock - Gross
Cortex
Medulla
Calyces
■急性腎不全の発生機序
外傷、手術
組織の挫滅
大 出 血
血圧低下
心拍出量の減少
腎内血流分布
の変化
ADH
分泌
腎血流量の減少
腎細管閉塞
腎乏血(特に皮質)
糸球体ろ過率低下
乏尿・無尿
急性腎不全
(乏尿性)
ミオグロビン円柱
ヘモグロビン円柱
腎細管の破壊
急性腎不全
(非乏尿性)
急性腎不全
(乏尿性)
高カリウム血症
尖鋭T波
高窒素血症
心電図
一時的な乏尿は原因が除かれると
回復するが、急性腎不全によるも
のは腎組織の破壊によるものであ
るから、回復には数週間を要し、
人工透析を行わない限り数日以内
に死亡する。
急性腎不全が発生した場合、直接に致死的となるのは血清K+の上
昇であり、次に代謝産物の蓄積によるアシドーシスの発生である。した
がってK+6mEq/L以上、pH7.2以下は危険値であり直ちに対処しなけれ
ばならない。血清K+が上昇すれば心電図上にもその変化があらわれ
るので、その特徴的な尖鋭T波に注意しなければならない。治療は人
工腎、または腹膜灌流の使用であるが、救急的にはイオン交換樹脂
の投与や、インスリン加高張ブドウ糖液の点滴によって血清K+を下げ、
アルカリ化剤(NaHCO3)の投与によってアシドーシスの補正を行う。
(新薬理学入門、p.178)
尿量 BUN クレアチニン
■ある急性腎不全例の経過
分娩後の大量出血により
急性腎不全を起こした症
例に対し、人工腎による
血液透析を2回行った。
約1週間後から極端な多尿
期に入ったがクレアチニン
およびBUNの正常化はやや
遅れている。治癒する場合
の典型的な経過である。
尿量
残余窒素(BUN)
クレアチニン
●浸透圧
尿の濃縮、希釈力は浸透圧、つまり溶質の粒子の数によって調節されている。
したがって溶質成分を反映する比重では正しく評価できない。脱水、腎不全の
評価には血清、尿浸透圧を測定する必要がある。不可能であれば次式で概
算するとよい。
●腎機能
自由水クリアランス(CH2O)、尿中ナトリウム排泄率(FENa)は 腎機能の評価
に有用である。
下ので示される。CH2Oの−から+への移行は腎機能低下を意味する。
FENa>3%は器質性腎不全を示唆する。
ショックの治療・合併症
3.ショックと臓器
a. ショック腎
b. ショック肺(ARDS)
c.ストレス潰瘍
肺が直接の損傷を受けていなくても、ショックや重度
外傷後に急激な肺機能の低下が、しばしば認められる。
こ の 急 性 肺 不 全 の 代 表 的 な 呼 び 名 が ARDS ( Adult
Respiratory Distress Syndrome)である
■ショック肺(ARDS)の発生機序
組織の挫滅
大量出血
大量輸血
毒性物質
ショック
感染
脂肪栓塞
毒性物質
微小血栓
誤飲
肺血行動態変化
肺毛細血管
肺胞変化
酸素療法
換気血流比不均衡 肺シャントの増加
Hypoxia
Hypoxia
頭部外傷
ARDSに対する治療の第一は、PEEP
(呼気終末陽圧呼吸)をかけた機械
的人工呼吸である。PaO2の下降を吸
入酸素濃度(FIO2)の上昇によって改
善しようとしても、効果はあまりなく、
かえって肺機能の悪化を招来する。
FIO2は緊急時以外は、できるだけ
40%以下にとどめ、PEEPによりPaO2
の改善をはかるべきである。PEEPに
より心拍出量の低下は起こるが、輸
液の負荷、ドパミンの点滴などにより
対処できることが多い。
PEEPの圧を上昇するにしたがって、
PaO2の著しい改善が認められる。
いうまでもないが、敗血症など、
ARDSの原因の除去が何よりも重要
で、それなくしては、ARDSを治すこと
はできない。
ショックの治療・合併症
1.ショックの病態・治療
2.ショックと臓器
a. ショック腎
b. ショック肺(ARDS)
c.ストレス潰瘍
精神的ストレス、中枢神経障害(Cushing's ulcer)、熱傷
(Curling's ulcer)、術後、外傷、敗血症、ショックなどのスト
レス状態下に発生する。主として、消化管出血を初発症
状として発症する。
診断には緊急内視鏡検
査が必須である。病変
は出血性胃炎および急
性胃・十二指腸潰瘍が
多くを占め、複数病変が
みられることが多い。
病変の発生部位は胃が圧倒
的に多く、ストレスの格好の
標的臓器であり、次いで十二
指腸、食道の順である。
■治 療
吐血、下血
ショック(+)
ショック(-)
輸血
1,000ml
輸液
ショック
回復
ショック
回復せず
●胃洗浄
●薬物療法
●内視鏡的止血
●左胃動脈内への
血管収縮剤の
持続注入
待機手術
緊急手術
緊
急
内
視
鏡
検
査
保存的療法
出血性胃炎出血に対し
ては薬物療法が第一選択
となる。
露出血管を有する潰瘍
出血例は薬物療法のみで
は限界があり、内視鏡的
止血法が試みられる。又、
噴出する動脈出血例では
内視鏡的止血法とともに
血管栓塞術も適応となる。
予防こそ最高の治療であ
る。
出血性胃炎出血に対しては薬物療法が第一選択となる。薬物療
法としてはH2受容体拮抗剤、ムスカリン受容体拮抗剤、制酸剤、セ
クレチン、局所トロンビンや粘膜被覆剤など、併用療法が行われる。
露出血管を有する潰瘍出血例は薬物療法のみでは止血不能例
や再出血例が少なくなく、限界があり、電気凝固、レーザー凝固、局
所注入療法、クリップ止血などの内視鏡的止血法が試みられるべき
である。又、噴出する動脈出血例では内視鏡的止血法とともに血管
栓塞術も適応となる。
保存的治療法の進歩により、止血成績の著しい向上がみられるも
のの、それでも critically ill patient に合併する消化管出血に
はいまだ苦慮することが多く、予防こそ最高の治療である。
ストレス潰瘍発生の危険が高い患者では予防的に H2受容体拮
抗剤の投与を行うことが重要である。