研究医養成特別コース説明会

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研究医養成特別コース説明会
研究医養成検討WG
1. コースの紹介(背景、コース設計、運営)
2. 4つの登録コースの説明(目標、教育内容、将来のキャリ
アパス)
3. WG委員からの追加、メッセージ
4. 研究サークルの紹介
5. 質疑応答(随時も可)
基礎医学研究医を目指す学生が著しく減少している。
・これまで5%程度は基礎研究を目指して大学院に進学し、研究を受
け継ぎ発展させ、また後進の指導にあたってきた。
・初期研修の義務化によって、臨床医学にインプリントされ、基礎研
究を目指すものが激減した。近年の医師不足の情勢も臨床医育成
への傾向に拍車をかけている。
・このままではMDの基礎研究者・教育者の絶滅が危惧される。
・明快さを求めて単純な系に向かう理学部的なアプローチと異なり、
ヒトの病気と言う実態から出発して、複雑系としての全貌を見る立場
も必要。
・米国では国家予算を投じて、毎年新たに170名の優秀な学生に対
してMD-PhDプログラムに進むためのサポートを行なっている。日本
でも、最近、研究医枠での入学定員の増加が始まり、今年度、文科
省は研究医養成のモデル事業を公募した。
 本学は昨年度から入学定員の増員、今回モデル事業へも応募。
<学生の研究意欲を掻き立て、研究医を目指すことのできる基盤を
構築するための具体的な課題と対策>
①学部教育早期での研究との出会いの機会の提供、研究の場の提
供と指導体制の充実
学部入学直後より、入門研究医コースを開始して、研究との出会いの機会を提供する。
医学部第2〜4学年のいずれかの時点で、審査を経て正式に登録研究医コースに登録の
上、学生個人がテーマを持って研究を進める。
②学生自身による自主的研究活動基盤形成の促進
研究サークルの後押し。
③研究における学生自身の達成感と、将来につながる実績の取得
短期海外留学、学会や論文での発表の機会。しかし、成功体験だけでなく、失敗体験も。
④将来の具体的なキャリアパスの提示とキャリアパスに応じたコー
スをつくる
コースのホームページを立ち上げ、キャリアパスを含めた情報提供を行なう。キャリアパ
スに応じて分子医科学、病理学、法医学および公衆衛生学の各コースを選択。
⑤修学における経済的支援
産学協働の奨学金附与(企業から:平成27年度から31年度選抜Aコース年1名5年間;
大学から:今年度から基礎系大学院年1-2名)。修学後大学で雇用するシステムの構築。
入門コース:
・学生には、研究室に机を与え、研究室の様々な活動に参加さ
せ、指導は研究の基盤となる知識の習得、研究の動向の理解に
重点を置き、定期的に学生に意向調査を行い、ラボローテーショ
ンも可能にしてきた。
・研究との出会いの機会を提供するために、昨年は研究室紹介
のセミナーを行なった。今年度からこのセミナーは、1年後期の必
修授業(医学特論・医学生命科学入門II)となった。
・これに呼応して、学生が基礎医学研究サークルを自主的に形
成した。学生と教員との関係だけでなく、2年次以上の学生によ
る1年次学生への研究活動への勧誘、基礎医学講座の研究を
実際に見学する研究室ツアー、輪読会等が学生によって企画さ
れ、教員がこれらの学生の主体的活動を支援している。
・運営を統括する研究医養成検討ワーキンググループ(教授6名
と事務職員で構成)を医療人育成センター内に立ち上げた。
登録コース:
・平成24年度から、 簡単な資格確認(時期は未定)を行ない、
2〜5年生(未確定)のいずれかの時点で4~10名程度の登録
を行う予定。
・いわば前期大学院として、各学生に対し、基礎医学講座の教
授あるいは准教授1名をメンターとして配置した上で、当該講座
の教員(教授・准教授・助教)や新設するポスドク(特任助教)が
学生の実験指導にあたり、きめ細かな指導体制を構築する。
・幅広い研究手法を身につけてもらうため、登録研究医コース期
間中は配属される基礎医学講座のローテーションを可能にする
と同時に、指導教員側もコースや分野を越えて指導できるように
講座間の横のつながりを強化する。
・学生が研究成果を広く学内に紹介・発表する研究発表会を行
い、広く学内教員からの助言を受けて研究を進める体制をとる。
・大学院の講義にも出席して単位の取得を可能とする。
分子医科学コース
養成する専門分野
解剖学,生理学,生化学,薬理学,微生物学,病理学(実験)
養成する人材像
解剖学,生理学,生化学,薬理学もしくは病理学(実験)分野に関する研究活動を経
験させ、これらの学問領域を専門とする基礎医学研究者(研究医)を養成する。
本コースでは、基礎医学研究に欠かせない幅広い知識・技術を身につけ、医学・医
当該人材養成により 療における課題を発見して自らの力でそれを解決することのできる人材を養成するこ
期待される成果や効 とを目指す。このような人材は、臨床医学における問題解決にも寄与することを通し
果(アウトカム)
て、人類の福祉の向上に貢献することが期待できる。
必修科目10単位、選択科目20単位の計30単位以上を履修し、自ら行った実験に
修了要件・履修方法 基づいた研究論文(英語)の作成・発表を行うこと。
教育内容の特色等
指導体制
段階を追って自立した基礎医学研究者としての必要な知識・技術を教育する。
入門研究医コースでは1年次後期の必須科目として、各基礎医学講座の具体的研究
内容を医学生命科学入門IIで紹介する(平成24年度より)とともに、世界的に活躍
している研究者に研究紹介をしていただき(平成12年度より継続中で例年3名)、
医学研究の意義を知らせて動機付けを行っている。
登録研究医コースでは、各基礎医学講座に配属し、教員の指導の下基本的実験手技
を習得するが、2〜3年のコース期間中に複数の講座をローテーションすること推奨
し、幅広い知識と技術の修得を確保する。平行して、研究テーマを複数の本学教員
(教授)と徹底的に討論することにより、大学院入学と同時に最先端の研究を開始で
きるよう準備する。大学院では講座の枠にとらわれず、全学体制で研究指導や支援を
行う。
専門分野の異なる主指導教員と副指導教員の最低2名の本学教員(教授)が責任を
持って行い、学際的研究となるよう支援する。さらに実際の研究活動(実験)の指導
は、研究を行う研究室の全教員がサポートする体制をとり、学生の研究の進捗を助け
る。なお、本学大学院では、既に主・副指導教員による共同の研究指導体制をとり、
十分な効果をあげている(大学院学生の研究論文のImpact Factorの平均3.1)。
病理学コース
養成する専門分野
病理学(診断)
養成する人材像
先端的な研究に軸足を置きながら、専門医として信頼できる診断もできる病理学研
究者。既存の診断基準を当てはめるだけでなく、総論的体系的知識に基づいたしっか
りした推論ができ、新たな診断基準の提案もできる病理専門医。
研究と診断のバランスのとれた病理医を育て、病理医不足解消、病態の解明と後進
当該人材養成により の育成に寄与する。大学院修了後、特任助教として病理専門医の資格取得を目指す。
期待される成果や効 専門医として関連病院の常勤病理医となり、診断病理の研鑽を積みつつ、大学での研
果(アウトカム)
究活動にも参加し、後進の診断・研究指導もできる大学教員となるべく準備する。
必修科目10単位、選択科目20単位の計30単位以上を履修し、論文の作成・発表
修了要件・履修方法 を行うことにより大学院博士課程を修了すること、および臨床研修を修了すること。
教育内容の特色等
①このコースの利点は、通常の大学院生よりも技術的な指導がしっかりできること、
若い学生に、研究の考え方を刷り込むことができることである。そのために、基礎的
な技術指導に専任の特任助教を配置し、形態を超えたゲノム科学や先端的な免疫学を
取り入れた新規性の高い研究に挑戦してもらう。
②最も大事だと考えているのは、研究と診断を一つの活動として行なえる人材を育成
するために、日常的に診断活動や病理解剖業務にも関わらせ、診断を通じてもサイエ
ンスの感覚を磨くことができるようにすることである。
③当面は関連病院に複数の病理医を配置して精度管理を行なうことは困難故、将来
「一人病理医」として関連病院に赴任しても精度管理、遠隔診断、遠隔コンサルテー
ションができるよう、digital pathologyの手法の修得にも重点を置く。
指導体制
①診断、研究を含め、あらゆる側面の病理学的な考え方の基本が学べる病理解剖症例
が最も重要な教材である。シニア病理医による、この症例解析の指導が基本になる。
②実験病理、遺伝子解析等の研究指導は専任の特任助教が技術指導を行なう。
③バーチャルスライドとして蓄積し、データベース化している教育的な症例を教材と
して活用する。
法医学コース
養成する専門分野
法医学
養成する人材像
しっかりとした倫理観を持ち、業務に対しては的確・誠実に対応でき、加えて、臨
床経験と研究者としての資質を保持し、国際交流にも貢献できる人材を養成する。
当該人材養成により 学部学生から論文作成、解剖経験と研究実績を国内外で積むことにより、国の方針
期待される成果や効 による死因究明推進にも十分対応でき、国際交流にも大きく貢献できる、高い能力を
果(アウトカム)
持った人材を育成でき、現在全国で約100名しかいない日本法医学会の検案認定医
師、法医学認定医、(本学の1名を含む)6名のみの法医学指導医資格認定者を増加
させ、監察医や他大学への法医学担当教員の供給も期待できる。
修了要件・履修方法 必修科目10単位、選択科目20単位の計30単位以上を履修し、論文(症例報告を
含む3編以上)の作成・発表を行うことにより大学院博士課程を修了すること、臨床
研修を修了することに加え、国内外での学会発表を5回以上、解剖経験10体以上を
課す。
教育内容の特色等
研究者コースで学会発表、国際学会発表、研究、論文作成を行い、法医解剖の実務
経験も積みながら6年で医学部を卒業。専門医の受験資格を早期に得るために、医師
免許取得直後に、社会人入学の大学院を兼ねて臨床研修に2年間従事。その後に大学
院に専念、臨床研修終了後2年で医学博士を取得させる。日本の法医学はドイツとの
交流が深く、大学院課程時に海外(ドイツ)留学を経験させる。
指導体制
現在、本学法医学部門では、学生が1年次から解剖実務経験を積み得る体制を提供
しており、既にのべ20人の学生が参加してきた。海外における研修も、法医学部門
からの援助でのべ4名が実施した。作成論文も5編を超える。特任教員を配置するこ
とで、きめ細かい指導ができると考えている。
公衆衛生学コース
養成する専門分野
養成する人材像
公衆衛生学全般、特に疫学及び医療統計学
疫学、医療統計学の学問的基盤のもと、公衆衛生学分野において国際的にも最先端
の研究を行い、将来、同分野においてわが国のリーダーとなる研究者を養成する
本コースにより公衆衛生学、特に疫学・医療統計学に興味のある学生が早期に本学
当該人材養成により の最先端研究に触れ、学ぶことが可能となり、不足している公衆衛生分野の研究者の
期待される成果や効 増加につながる。養成した人材はまた、貴重な公衆衛生専門医師として衛生行政や予
果(アウトカム)
防医学分野での活躍も可能である。
必修科目10単位、選択科目20単位の計30単位以上を履修し、論文(症例報告を
修了要件・履修方法 含む3編以上)の作成・発表を行うことにより大学院博士課程を修了すること、臨床
研修を修了すること。
教育内容の特色等
指導体制
本学は公衆衛生学、医療統計学、疫学の分野においてわが国でも有数の研究実績を
有しており、高度な研究環境を備えている。平成24年度には総合研究棟(疫学研究拠
点)を新築し、学生が良好な環境とスタッフのもとで早期からの学習と研究を行うこ
とが可能である。
本学公衆衛生学部門および医療統計学部門の正規教員及び特任教員が教育にあた
る。同部門は多数の客員教員を有し、また、国内外の共同研究者がいるため、その
ネットワークによる学外での研修等も並行して行う。