ぐんま天文台 天文学校について

Download Report

Transcript ぐんま天文台 天文学校について

ぐんま天文台
天文学校について
1.天文学校の概要
• 一般向け(高校生以上)の観測体験講座
(小中学生には「少年少女研究員」)
• 目標
– 天文学の一端に触れる体験をすること
– 自ら天体観測やデータ解析を行うことができる初
歩的な技能を身につけること
• 毎年異なるテーマにおける天文学体験
(担当者は持ち回り)
• ぐんま天文台の機材での観測を伴うもの
2.天文学校のこれまで
• H12年度「観測研究講座」として始まる
• 最初の数年は、講師数、実施回数や方法、ねらいな
•
•
•
どもまちまちであった。
その後、1テーマで3-4回という実施方法となる。
測光、分光などの観測手法、可視、赤外線という観
測波長、銀河、星、太陽などと観測天体も多様な
テーマで実施。
参加者はリピータが多い。
3.天文学校の実施内容①
年度 テーマ
実施回数
内容
12
1泊2日X4
(計4回)
散開星団・標準星の測光と、星の等級・
色指数の決定、HR図の作成。65cm望
測光の基礎
遠鏡+CCD
13
13
①CCDカメラを極
めてみよう
1泊2日(1回)
②分光器をつ
かってみよう
1泊2日(1回)
CCDの特性を測定。150cm望遠鏡と冷
却CCDカメラ。
分光観測から得られる情報について考
察。星の温度、惑星状星雲に含まれる
元素、宇宙膨張の解析を行う。
13
③銀河をかぞえ
てみよう
1日(×3)
既取得画像を用いて銀河の数を数え、
銀河の形成・進化を考察。
14
天体の虹をみて
みよう
1泊2日(1回)
65cm望遠鏡と小型低分散分光器を用
15
12年度同様
いて、分光観測の実際を体験する。
(本格的な観測研究の体験をする。)
3.天文学校の実施内容②
年度 テーマ
実施回数
内容
16
赤外線天文学入
門
1泊2日X2
1日 (計3回)
赤外線と他の波長の電磁波との違いを
体験する。可視光から近赤外にかけて
の波長域でのSEDを明らかにし、その
放射機構について考察する。
17
太陽
(特に初心者)
1日×4
(計4回)
太陽の分光観測を行う。吸収線から太
陽表面の物質の種類を調べる。プロミ
ネンスなどの活動現象の分光を行い、
ガスの運動などを調べる。
18
星の動きを調べ
てみよう
1泊2日、
1日(×3)
(計4回)
ヒヤデス星団の星々の運動の測定を体
験し、どのようなことがわかるか、将来
どのようなことがわかってくるのかを考
察する。
19
変光星の光度曲
線を調べる
1泊2日X2
(計2回)
変光星の撮像から光度測定(相対測光)
の実習を行う。データから読み取れる
物理的状況を考察する。
3.天文学校の実施内容③
年度 テーマ
実施回数
内容
20
本格的な分光観
測を体験しよう
1泊2日X2
1日 (計3回)
本格的な天文観測研究の一端に触れ
ることを目標に、自ら観測テーマを決定
して、150cm望遠鏡によって分光観測を
行う。
21
星の誕生いまむ
かし
1泊2日(×2)
1日(×2)
(計4回)
65cm望遠鏡により現在の星形成の観
測をする一方、γ線バーストによる宇
宙初期の星形成の観測の現状といった
最先端の研究にふれます。
•分光をテーマとした天文学校は、計4回 (太陽を含む)
但し、最初の2回は1泊2日の1回だけの実施。
4.H20年度天文学校①
• 案内Webページ
(http://www.astron.pref.gunma.jp/events/08gaosc-koho.html)
• (本格的な)分光をテーマにしたもの
• 参加者がテーマの決定を行う。
• すべて Linux/IRAF ベースでのデータ処理
(参加者ほぼ全員に、データ処理環境を構築させる。)
• GAOES、GLOWSを使ったはじめての天文学校
• MLを使ってのインストラクション
(環境構築からデータリダクション、その他)
4.H20年度天文学校②
• 参加者15名(!!)
4.H20年度天文学校③
• 初日プログラム
–
–
–
–
分光と分光器紹介
テーマの例(講義)
データ処理導入
テーマ決定と班分け
• テーマの例
– 高分散
• 星の自転速度
• 土星の回転速度など
– 低分散
• ルーリン彗星
• 銀河の後退速度、回転速度
4.H20年度天文学校④
高分散データの処理風景
低分散データの処理風景
4.H20年度天文学校⑤
4.H20年度天文学校⑥
• 反省点
– 時間の配分ができなかった。
– データ処理で終わってしまって、考察できなかった。
– 人数が多く、観測などの時間が十分に取れなかった。
– ほかになにかあれば。付け加えてください。
• アンケート紹介
4.H20年度天文学校⑦
• アンケート「運営について」
2.5
13
5,5
5
0
0
0
8
12
2.5
4
2
1
0
1
10.5
6
6
4
5
0
0
0
10
7.5
9.5
0
7
5
4
9
2
全般的に、もっと時間があればという印象。そのため、他の時間を節約したいという意
見もある。テーマ決定については賛否両論ありそう。
2
4.5
2.5
4.H20年度天文学校⑦
• アンケート「運営について」(意見一部抜粋)
○進め方などについての意見
○次回以降の希望内容
・今回のテーマに対し、時間が足りなかったように思い
•整約した結果をどのように研究に結び付けていくのか
を学びたい。
•同じテーマや流れで再チャレンジしたい
•分光以外の「IRAFによる***(測光、画像処理)」等
・最初にデータ解析について、より詳しい全体のフロー
の別のデータ処理
と処理方法を説明してもらえれば、もう少し理解が早
•既存のオープンになっているスバル望遠鏡のデータ
まったかもしれない…
を使った解析なども面白いと思います。
•データ解析で、途中経過を失った{誤った}場合などに、 •VO
どこからやり直しをすれば良いか、判断ができるように
理由:アマチュアでは自分のプロポーザルが採択され
なりたかった。
て観測時間が割り当てられる可能性は少ないので、V
Oからのデーター取得以外には、大規模な観測装置を
•グループに分かれたり個々人でことを進めたりと、教
使う道がないので。
室と言うより個別指導のような、独特の進め方だった。
•観測機器についての評価試験
こういう進め方も面白いと思う。
ます。回数を増やしてでも、もう少し時間を確保してい
ただければと思います。
もっと時間があればという意見が多い。同じ手法でもう一度やり
たいという意見やデータから物理的な解釈につなげたいという意
見がある。IRAFでは大変ではあるが、使いこなしたいという意見
が多い。一般に対する学校として、継続性が必要かも。
○感想
•天文アマチュアとしては考えられない、非常に貴重な
経験をさせていただきました。
•天文学校の意義は、実体験しないと学べないことを
教えてもらえることにあるでしょう。
•専門家に教わる楽しさはもちろんですし、同じ分野が
好きな人で違う年代&知識の方と交流がもてるのも、
天文学校ならでは。
•参加希望者数が多すぎると分かったら、誰もがIRAF
をインストールしてくる結果になって驚きました。皆さ
んやりたいんですね。
4.H20年度天文学校⑧
• アンケート「内容について」
3
0
9
0
8
1
1
3.5
3
3
2
7.5
0
1
2
2.5
8
3
7.5
0
2
11
0
6
0
4
6
1
0
参加前より興味を持っていたメンバーが大半だったが、分光観測の実際を知ってさらに意
欲が高まったようである。テーマ決定は多くは好印象だったが、中にはそうでない人も。
4.H20年度天文学校⑧
• アンケート「内容について」(意見一部抜粋)
○参加した理由
○今後の分光観測・解析について
・天文学において重要な観測手法である分光観測を、
150cm望遠鏡を実際に操作し、データ処理まで実体験
出来るということに興味を持ったため
・ぜひ♪ リベンジさせてください。今度は、分光結果か
ら何か導き出すところまでやってみたいです。
卒業研究など今後に生かせる知識及び技術の取得
•すばるアーカイブデータなどを用いて、興味のある対
象について詳細な分析をしてみたい。
○興味・関心をもった、理解できたところ
•高分散処理は大変である。
•文献を読むだけの知識と実践で得られる知識の違い
を改めて知らされました。
•自力でスペクトル解析ができそうで、公開されている
データも自分でデータ解析してみたい。
•分光は観測対象からの情報量が多い点です。
•そもそも最初にどのようなデータを取得したのか改め
て考えさせられるきっかけにもなりましたし、分光器や
カメラの特性を含めた理解も深められたと思います。一
番理解できたのは「大変な作業だ」ということでしょうか。
•公開されている、国立天文台のデータなどを使って、
自分で解析してそれがいろいろな本などで紹介されて
いることと同じことが確認できれば、より深く宇宙のこと
を理解できそう。
•毎月第4週の「観察体験時間」は分光の日、などとす
ればそこそこ人が集まるかも。
•データ解析より事実が明らかになるのが楽しい
参加前より分光についての興味・関心の高いメンバーが多かった。
分光観測の実際の大変さを感じながらも、自力で、または、アーカ
•バイアス、フラットなどそれぞれの画像が何なのか。
マニュアルに書かれている処理は何のために行うのか。
イブデータを使っての解析などにも関心が向いているようである。
•データ処理に追われて、なぜその処理が必要なのか
考える余裕もなかった。
4.H20年度天文学校⑧
• アンケート「内容について」(意見一部抜粋)
○テーマの決定について
・観測の前に、まずは仮説有り、という大前提に気づいた
•もうちょっと事前資料があったらいいなと思いました。当
たり前のことかもしれませんが、●●のテーマの場合、
▽◆などを検討するなど、箇条書きでいいので、項目が
提示されてたらいいなと思いました。
•観測時間に制約があった割には、銀河、恒星、彗星な
ど幅広い対象を研究体験することが出来たので、大変お
もしろかった。
○今後に役立ちそうなこと、関心をもったこと
・整約作業 金属欠乏星のこと
•VOの存在を知らなかったので、今回の経験を生かして、
VOからいろいろな公開データを引っ張り出して遊んでみた
いと思います♪
•エシェル分光器で取得したデータをIRAFで解析したこと
•IRAFの使い方が多少なりとも理解できたので、今後の
データ処理に役立てていきたい。
•ひとつのデータを得る為に必要な過程の膨大さに驚き
ました。望遠鏡を扱う時間よりもデータ処理や考察に要
する時間が長いということを改めて感じました。
•IRAFの使い方は、今後のデータ解析に役立つと思います。
テーマの決定についてはその大切と大変さを感じた様子。しかし、
また、講義の際にお話に出た、いろいろな機関のホーム
ページは、公開データも多く含まれていて、今後も自分で解
自分で決定できる喜びもあった様子。不十分だったとの意見も。
析してみたいと思いました。
•色々な可能性を考えるのは、わくわくする。
IRAFでの解析手法は今後生かせると多くの方が感じている。
•150cm望遠鏡での観測・解析手順を体験して、実際の分
•人数が15人、限られた時間、観測可能対象、などから
高分散では1等星をとるのが精一杯とおもっていました。
光観測はこうやるんだという具体的なイメージが持てたこと。
•事前に受講者に準備を促すことが重要。あくまでも研究
ということであれば、何を知りたいのか(仮説構築)その
ためには、このような手段が必要(仮説検証)というプロ
セスを理解してもらうことが重要だと考えます。
•今後自分が天文学にどのように取り組んでいくか?この
心の整理の一助になりました。
•とにかく解析をやってみたいと思って参加したのであま
りテーマにはこだわりませんでした。
•「分光観測により自転速度を求める」というのを太陽で
やってみようと思いました。あわよくば卒業研究にしてしま
おうと目論んでいます。
5.H21年度天文学校とその後
• H21年度天文学校
– 星形成率を求めることがテーマ。
– Linux/IRAFにての画像データ処理手法と物理量の求め方。一
部の人にはWindowsでの処理。
– 観測は大雪により不可能。帰宅できなかったひとも。
– 講義時間を多く取り、遠方宇宙の星形成率までひととおりの講
義をやった。
• その後は?
– 一部の方が中心となり、今回のデータ処理方法のおさらいをや
る天文台とは別なところで行うとのこと。
– (将来「天文学校」がどうなるかわからないが)参加者がコアと
なって独自の活動が可能であれば、天文台職員は手助けする
ことで「天文学校」のようなものが可能かも。。。