沖縄県地域離島医療 情報ネットワークについて

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Transcript 沖縄県地域離島医療 情報ネットワークについて

沖縄県立中部病院
プライマリケア医コース
沖縄県立中部病院付属津堅診療所
沖縄県福祉保健部医務国保課
本村 和久
沖縄県立中部病院における
卒後臨床研修目標
「本病院における初期研修目標は
研修事業開始以来一貫して
プライマリケアのできる医師の養成である」
当院ホームページより
http://www.hosp.pref.okinawa.jp/unihawaii/aisatsu/aramash
i.html
当院の理念と使命
550床 急性期医療中心
患者中心主義
社会的貢献
チームワーク
社会的貢献のなかには
「離島医療を支援し予防医学を担う」と離島支
援
が
謳
わ
れ
て
い
る
離島診療所と中部病院
県立中部病院の大きな貢献
一自治体が、ここまで医師を養成し、 地域に派
遣出来たことは特筆すべきことと考える。他府県
では、高額な年収を約束しても医師不足が存在
する地域が依然としてある。
沖縄県立中部病院について
公立病院としては、全国でも例のない研修システムをもち
、1967年より600名余りの医師を育て、 7割は沖縄県
で医業を営んでいる。
沖縄県18離島診療所勤務の医師の約6割は、当院で初
期研修を受けた医師である。
平成元年では医介補7名、韓国人医師4名が離島診療所
を支えていた歴史を考えると、近年の中部病院における
離島支援の役割はきわめて大きい。
全研修終了者動向調査
研修終了者
624名
沖縄県出身
390名
他県出身
234名
62.5%
37.5%
沖縄
県外
勤務
36名
沖縄
県内
勤務
354名
9.2%
90.8%
462名
沖縄
県内
勤務
108名
沖縄
県 外
勤務
126名
74.0%
46.2%
43.8%
離島医療を支えて来た人材
医師・医介補の内訳
12
10
国費
自治医科 プライマリ
韓国人医師
医介補
その他 8
6
4
2
15
年
平
成
13
年
成
平
平
成
11
年
9年
平
成
7年
平
成
5年
平
成
3年
成
平
平
成
元
年
0
医師確保対策等検討委員会報告書の概要
平成 16 年 11 月 30 日
全国自治体病院開設者協議会
先行する事例として、沖縄県立中部病院(中略)などを対象
として検証。地域の実情に応じシステムを構築。
○臨床研修から後期研修までを一連のものとして、
地域勤務の義務を課する一方で世界標準の医療や
専門医資格の取得に関し魅力ある研修制度を核と
して医師の定着に貢献しているもの
沖縄県18の県立離島診療所
医師の経験年数は?
医師の多くは経験年数6年以下の
若い医師
3年次〜6年次
8人
7年次〜
10年次
4人
11年次〜
6人
2/3は中部病院出身
継続的な研修を希望
継続的な研修のために
○初期2年の研修 →3年へ
2001年
〜自治医科出身者のみ
2006年〜総合診
療医コースすべて
○ドクタープール制(2名:田仲。本村)
2002年〜
診療所医師の年
間2週間の研修期間を確保、
その間の代診業務を
行う
18診療所×2週間=年間、約1/3の代診生活
○メーリングリストによる遠隔医療
○プライマリケア勉強会
週1回土
曜日 山川医師、神白医師、本村
医師偏在化解消
キーワードは
「研修医教育」
プライマリケア医コースとは?
「プライマリケア医コースは、2年間の
初期研修の後に、1年間の後期研修を
追加研修し、 さらに1年間の離島診療を
行う計4年間のカリキュラムである。」
琉球大学医学4年生に講議
2003年から年間2コマ
琉球大学医学4年生対象
離島医療について講議
前 琉球大学地域医療部
武田裕子先生 の御厚意による
講師 神白 麻衣子 医師
村 和久
本
琉球大学医学4年生84人に講議後アンケート
そう思う 5 4 3 2 1 思わない
(1)離島診療所の医師の仕事はやりがいがある
30 41 13 0 0
(2)離島診療所の医師は24時間拘束される
33 34 16 1 0
(3)離島診療所の医師は孤独である
10 34 21 19 0
(4)離島診療所の医師にはプライバシーがない
9 41 21 13 0
(5)将来離島診療所に医師として赴任したい
4 26 42 9 3
(6)将来何らかの形で離島医療に貢献したい
10 45 22 6 1
外来教育の必要性
降圧剤の選択がわからない
ARBが第一選択?
喘息に吸入ステロイドの使用頻度が低い
変形性膝関節症に
NSAIDSが第一選択?
患者さんとのコミュニケーションでの問題
など
外来教育の問題点
1)継続性がない(ローテーションの都合で細切れ)
2)指導体制に難あり
新患外来では指導する時間がとれない
新患外来レビューは機能しているが、出席者が
少ない
3)評価システムがない
4)専門科へのコンサルト的内容の紹介が多い
研修医が診て問題ないか?
外来教育の解決策
1)継続性をもたせる(曜日を固定)
2)指導体制改革
新患外来で指導専任のスタッフをつける
新患外来レビューの必修化
評価システムの確立
3)円滑な外来業務と研修
専門科へのコンサルト的内容の紹介が多い
トリアージスタッフが必要か?
今後の離島医療について 議論1
若い医師が1〜2年ごとに離島に来ては去っていくという島
が多く、島の人にとって、これで良いとは思いません。どのよ
うな形がいいのでしょうか。
これから離島医療を改善していくために『離島医療科』を病
院内に作るのはどうでしょうか。離島医療に関わる医師や離
島で働いている医師をすべてこの科の所属とし、研修医はこ
こから各科へローテーションで研修したり、専門を持っている
先生も病院の中では専科を持ちながら離島への業務応援な
どを行うといった感じです。
今後の離島医療について 議論2
離島医療はプライマリーケアの特殊形ですが、むしろ患
者層は理想的なのではないかと思っています。
「プライマリーケア科」の研修医が研修して、離島に派
遣。戻ってきて指導医や外来医となる形がとれにでしょ
うか。
また離島診療の継続性を考えるときに重要なものは
・病気の予防、健康増進のプランの標準化
・地域を理解し溶け込もうとする医者の努力
・誰が見てもわかるようなカルテの記載
・医者の定住を支える地域住民の協力
だと感じます。
今後の離島医療について 議論3
県行政が、離島医療を無視して、医療行政を行
う事は出来ません。最近は、PCを使用したネッ
トワーク、core lectureや症例検討会、コンサ
ルトなど大変やりやすく、離島と中部病院が近
付いた感じがあります。
いわゆるハードな面の改革はどんどん進むの
ですが、マンパワーなどソフトの面はなかなか
改善しません。
プライマリケア教育の解決策
• 研修目標の明確化
症例数の減少
中部病院が得意としてこなかった研修内容
On the job training の限界
• 方略の重要性 評価の重要性
• AFPの研修ガイドラインなどを参考
プライマリケア医コース
概要1
沖縄県には、18の県立離島診療所がありま
す。人口は500人〜2000人規模、1日の外
来患者数10〜40人、診療所に勤務するの
は医師ひとり、看護師ひとり、事務員ひとり、
といった構成です。このプログラムは、初期2
年、後期1年、計3年間の研修の後、離島で
たったひとりの「島医者」になるべく、プライマ
リケアをしっかり研修できるためのものです。
プライマリケア医コース
概要2
The doctors who specialize in you.”「あなたを専
門にしている医師です」
といつも考え、行動できるような医師になることを
目標とします
プライマリケア医コース
年間スケジュール
•
基本的には1年間の研修+1〜2年間の離島診療となります。希望があれ
ば、さらに中部病院での研修も可能です。
ローテーションの紹介
• 病院内研修を9ヶ月、院外研修を3ヶ月としています。
例)
• 病院内研修 9ヶ月
内科外来研修 2ヶ月
整形外科研修 1ヶ月
皮膚科、耳鼻科、眼科、精神科研修 2ヶ月 総合内科研修 2ヶ月
院内研修(自由選択) 2ヶ月
•
院外研修 3ヶ月
地域機関病院(県立北部病院、県立宮古病院、県立八重山病院など)、離島診
療所研修
県外で地域医療を積極的に行っている施設、開業医、本島診療所、老人保健
施設、訪問看護ステーション、社会福祉施設などで3ヶ月の予定を立てること
になります。
プライマリケア医コース
•
経験できる症例数
年間で約100人の病棟主治医、また外来では週10〜20人の患者さんを指導医
と主に受け持つことになります。具体的内容としては、ヘリ・航空機搬送の知識、
地域の救急体制つくりへのアプローチ、慢性疾患の管理、生活指導、1人で取る
レントゲンについてなど症例に限定されない研修も重要となります。看護実習、薬
剤部実習、放射線部実習も予定しています。
取得可能な資格
当院は日本プライマリ・ケア学会、日本内科学会、日本救急医学会の認定施設で
す。
• 研修後の進路
当院での研修継続、離島診療所勤務、他施設などが進路となります。
• 学会活動
日本プライマリ・ケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療医学会、
日本内科学会、日本救急医学会、WONCAへの参加
• 指導医紹介
田仲 斉、高良 剛、徳田 安春(日本プライマリ・ケア学会指導医)
•
プライマリケア医コース
長所
急性疾患には強い
研修病院としての歴史は長い(40年)
屋根瓦方式 研修医/指導医の意識が高い
短所
初期2年はきわめて多忙
外来教育がきわめて低い
病院内研修にきわめて片寄っている
もともと医師確保が目的 「理念なき実践」
「家庭医」の要件?