Transcript OpenSNP

地域SNS全国フォーラム全体会
「地域SNSが、地域を変える、社会を変える」
~つながりの地域ネットワーク~
2007年08月31日(金)
兵庫県公館大会議室
インフォミーム株式会社 代表取締役
兵庫県立大学大学院環境人間学研究科
和崎 宏
1
What is Web2.0 (ウェブ2.0って何?)
ティム・オライリー「What is Web2.0」 2005.11
「明確な輪郭は持たず、他のものを引きつけるコアとして存在する」
ブログ
HTMLを使わずにWebページが構築できるサイト。トラッ
クバックやRSSで情報がつながる。
SNS
人間関係を広げることができるコミュニティサイト。イン
ターネットの中に信頼空間を構築。(mixi)
オンライン 写真や映像をインターネット上に保存し、自分以外の人
アルバム にも閲覧してもらうことができるサービス。(YouTube)
百科事典 不特定多数の人が参加し、協力して作成していくユー
サイト ザ参加型の百科辞典サイト。(Wikipedia)
2
日本型地域ネットワークとWeb2.0の比較
講(結)
Web2.0・SNS
自発性
設立・運営・加入・脱退は個人の意志に
任される
自発的な参加が基本であり、サイト内のほ
とんどの機能が誰にも公開されていて自由
に利用出来る
閉鎖性
年齢層・地縁・職縁・経済など多様な
ネットワーク形態を持ち、それぞれがほ
どよく閉じた状態で運営される
公開制限によって、コンテンツは発信者の
意図により制御出来る
定期制
プロジェクトの節目や定期的に寄り合い
を開いて意志決定を行う。決められた日
に寄り合って宗教的行事を行い、飲食
を共にする(共食)。
主催者による定期的な行事だけでなく、コ
ミュニティやブログから派生する突発的イベ
ントでの交流により、随時関係性が更新さ
れる
柔軟性
同じ形態のまま持続させることのみを追
求せず、結成したり解消したりを柔軟に
繰り返す。
多様なアプリレーションとの連携を行ったり、
オープンソース化の推奨により、多くの開
発者がマッシュアップを行うことを推奨する
越境性
空間的広がりを持つ中小の共同体メン
バーや同業者が自発的にユニットを形
成する。身分の越境もある(無礼講)
ブリッジ役を担う人材によって、ユーザーの
意志でサイト内外の空間を融合的交流の
場として活用できる
平等性
出資や寄与の多寡と関わりなく全員が
平等の権利を有する
性別・年齢・障害・病気などによる区別がな
く、ユニバーサルなコミュニケーション環境
が作られる
その他
ネスティング構造、プロジェクト指向、信頼性、集合知の利用、分散ネットワークなどに
おいて、両者は類似した性格を持っている
(関係性の更新)
3
日本型地域ネットワーク概念の導入
•
「結縁ネットワーク」の活用
– 「まちづくり」を目的とした運営思想
・希薄化する地域のつながりの復興
・支え合う地域社会の実現
– 人的関係性を意識した運用制度
・完全招待制による後見人制度
・人的関係性の抑止力としての活用
– 人の関係性を確認しあうシステム設計
・つながりを意識されるユーザーインターフェース
・コミュニケーションが促進されやすい対話デザイン
– 「協働」を基本とした展開推進
・「のれん分け」による分散協調システムデザイン
・「のれん貸し」によるリソース共有システム
・リアルな活動とつながるグループウェア的展開
「結縁ネットワーク」:岡田真美子『地域をはぐくむネットワーク』(昭和堂,2006)P5
4
OpenSNP連携によるネットワークの活性
化
新たな連携
情報提供
協働作業
組織・団体としての活用
個人としての
交流・情報収集
個人アカウント
による認証
Open Socail Network Platform
(OpenSNP)
ひょこむ
LOGIN
さまざまな地域活動
をゲートウェイとした
LOGIN
自発した多様な
コミュニティ活動や
市民活動の創造
ログインモジュール
を提供し、擬似的に
SNS環境を利用。
県民交流広場事業
のれん貸し
5
地域活性化の担い手たちの役割
調整役
(coordinator)
つなぎ役
(connector)
外向的・友好的で、ソーシャルネットワークどうしのつながりを生み出すことに時間と
労力を費やす。
橋渡し役
(boundaryspanner)
性格的に誰が何を知っているのかという情報をソーシャルネットワーク外
部のグループ(組織外のグループであることが多い)に広める。
達人
(maven)
ソーシャルネットワークの任務や運営に関する特定の専門能力を磨き、他の者にも
そういう存在であると認められている。
伝道者
(evangelist)
ソーシャルネットワーク内の新たなアイデアや人材、プロセスに関する「よいニュー
ス」を宣伝し、他の者のあいだに情熱を呼び起こす。
門番
(gatekeeper)
ソーシャルネットワークと外部の世界のあいだで、いわば半透膜のような
役割を果たし、ネットワークに出入りする情報の流れを制御する。
出展:ドン・コーエン+ローレンス・プルサック『人と人のつながりに投資する企業』(2003)より、和崎が抜粋して作表
6
地域SNSによる地域活性化の3つの仮説
「地域でSNSを動かすと、自発した人がどんどんつながる」
情報システム技術の基盤に、社会学的知見や数学的理論を加え、更に地域現
場にあわせた日本型地域ネットワークを活かした設計・運用を行うことで、ネット
ワーク接続への自発を地域で生み出す
「地域は4人で繋がっていることを可視化できる」
住民のパーソナルネットワークを接続していくことによって、それぞれの認知
ネットワークが拡張・融合され地域のソーシャルキャピタルが構築される。
「地域SNSは地域力を覚醒させる」
住民間に「常時接続性」と「可視化されたパーソナルネットワーク」を実現する
コミュニケーションを提供し、相互の紐帯を強化し新たな連携の動機付けとなっ
たり、互いの活動の支援・協働意欲となって、ゆるやかに地域の活動を活性化
する原動力となる。
7
SNSブログとメーリングリストの比較
ネットコミュニケーションの変化
ZIT
兵庫
宇治・山城
館山
参加者数
930(66)
1,750(317)
700(-)
350(113)
スレッド数
66
2,090
1,146
638
コメント数
67
15,222
5,811
3,118
0.071
0.181
アクティブ率
-
0.323
約2.5倍
ポスト率
0.143
9.893
約69倍
コミュニケーション率
0.504
7.283
約14倍
アクティブ率(書き込み者数/全登録者数)の比較
ポスト率(総書き込み数/全登録者数)
コミュニケーション率(返信数/発言数)
2007.02.01~2007.02.28の調査結果
約4.5倍
9.939
約69倍
5.071
約10倍
10.731
約75倍
4.887
約10倍
参考)「ひょこむ」期間内関連データ
メッセージ数
コミュニティトピック数
コミュニティ返信数
3,740件
674件
2,535件
8
地域SNSコミュニケーション利用比較
使用システム
参加者数
兵庫
館山
千代田
長岡
ひょこむ
わんだぁらんど
ちよっピー
おここなごーか
OpenSNP
OpenSNP
Open-Gorotto
Open-Gorotto
706
174
903
307
32,253
18,847
115,169
63,501
日記(ブログ)登録
数
1,539
1,045
505
549
コミュニティ書き込
み数
4,268
1,092
2,639
1,122
トップページ訪問数
調査期間
2006/9/1
~2006/10/31
2006/11/11
~2007/01/10
2005/12/16
~2006/2/15
出展)総務省『住民参画システム利用の手引き』(2006)
2005/12/16
~2006/2/15
9
会員数・コミュニケーション量と紐帯数の相関
メトカーフの法則:ネットワークの価値は会員数の二乗に比例する
岡本の仮説:紐帯数は会員数の二乗に比例する
和崎の考察:紐帯数が会員数の二乗に比例するとき、ネットワークは活性化している
10
10日間あたりの増分相関
開設4ヶ月目から急激にユーザー同士がつながらなくなった
→賑わい感が大幅に低下、へビーユーザーにネット疲れの傾向
会員数が1000人を越えた頃から、新メンバーの顔が見えにくくなった
地域SNSの臨界点は、想定されるより小さい可能性が高
佐藤等史(関西学院大学)の研究から引用
い?!
11
地域SNSの向こうに見えるもの
●細則に拘らずに公共的価値を重視する
「みんなで汗かく『道普請』の復興」
●資金は唯一のネットワーク形成のツールではない
「金がないから、人や知恵が集まる」
●完璧は成功の敵である!
「ええかげんは、よいかげん♪」
●地域の人脈をつなぐ情報連携が大切!
「ほどよく閉じた地域ネットワークづくりを目指そう」
●地域情報エージェント(コミュニティゲートキーパー)づくり
「すべての住民とアクセスできる多くの人々を連携する」
●コミュニティガバナンスへの意識醸成
「地方自治へのIT活用から地域自治へのICT活用へ」
●コミュニティ・ソーシャルキャピタルの構築
「問題解決能力を向上させる地域人脈づくりの推進」
12