Transcript 地域SNS”ひょこむ”
地域SNS”ひょこむ”講習会 in 神楽の郷 『地域SNS”ひょこむ”でコミュニティづくり』 平成19年5月20日(日) 神楽の郷交流センター 丹波市青垣町檜倉 兵庫県立大学大学院環境人間学研究科 関西学院大学非常勤講師(伊丹フィールドワーク) 和崎 宏(こたつねこ) 1 What is Web2.0 ティム・オライリー「What is Web2.0」 2005.11 「明確な輪郭は持たず、他のものを引きつけるコアとして存在する」 ブログ HTMLを使わずにWebページが構築できるサイト。トラッ クバックやRSSで情報がつながる。 SNS 人間関係を広げることができるコミュニティサイト。イン ターネットの中に信頼空間を構築。(mixi) オンライン 写真や映像をインターネット上に保存し、自分以外の人 アルバム にも閲覧してもらうことができるサービス。(YouTube) 百科事典 不特定多数の人が参加し、協力して作成していくユー サイト ザ参加型の百科辞典サイト。(Wikipedia) 2 ソーシャルネットワーキング・サービス(SNS)の仕組み 可視化されたネットワーク SNS Internet ②友達 ①招待 コメント 紐帯を強める常時接続性の 高いコミュニケーション 信頼性を担保した ネットワークへの参加 HP上から ログイン参加 RSS連携 外部公開 ④WEB日記 イベント ③メッセージ交換 参加 外部からの 閲覧不可 ⑤コミュニティ トピック アンケート 3 世界のSNSと日本のSNS Sixdegrees.com 1997.1. アンドリュー.ワインライク Friendster 2003.3. 招待なしの「出逢い系」 Orkut(Google) 2004.1. 完全招待制 MySpace 2004.1. 世界最大(10,000万ユーザー) Flickr 写真共有型SNS LinkedIn リクルート型SNS the facebook 大学生向けSNS Gree(グリー) 2004.4. 田中良和 元慶応・楽天 Mixi(ミクシィ) 2004.4. イーマーキュリー mixi.jp 7,734,654 カフェスタ 1,727,250 gree 472,588 フレパ 405,683 キヌガサ 52,972 (2006.11.20調査) 巨大になりすぎると信頼関係が低下する!! →「地域(限定)SNS」の必要性 4 都道府県別mixi普及率 10% 9% 8% 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% 0% 東 神 京 大 千 埼 兵 愛 福 奈 北 滋 広 石 宮 沖 岡 静 山 三 岐 富 香 茨 福 徳 群 栃 山 愛 和 熊 長 大 鳥 新 長 高 鹿 宮 佐 島 山 青 岩 福 秋 京 奈 都 阪 葉 玉 庫 知 岡 良 海 賀 島 川 城 縄 山 岡 梨 重 阜 山 川 城 井 島 馬 木 口 媛 歌 本 野 分 取 潟 崎 知 児 崎 賀 根 形 森 手 島 田 川 道 山 島 国際大学グローバルコミュニケーションセンター・庄司昌彦研究員による調査(2007.1) 5 大規模SNSの課題 • mixiのインターネット化 – 犯罪や事故の増加と対策の不備 – サイト信頼性の低下 – よりリアルな関係性を求める 地域SNSに注目が集まる 6 地域SNSの活用 地域SNS 個人を起点とした社会的ネットワークをインターネット上に構築 ○時間的・場所的な制約を超えた情報交流空間 ○登録メンバーの顔が見えるコミュニティサイト 21世紀の 井戸端会議 安心感(発言のしやすさ) メール 地図 ニュース プロフィール 日記 8/11 *** 8/1 *** 友人リスト 携帯電話 参加 コミュニ ティ ○招待制、プロフィールによる安心感・信頼感がある。 ○プロフィール、日記や掲示板への書き込みなどの情報の 公開範囲を選択して段階的に設定することができる。 利便性(使いやすさ) ○自らの関心事項に係る新着情報をマイページで一覧できる。 ○SNSの中に、テーマ別掲示板、ブログ、地図情報など必要な パソコン コミュニケーション機能を集約できる。 c.f. 電子会議室・・・匿名を許容した場合、情報の信頼性が欠如したり、荒れる可能性がある。 7 地域SNSの動向(概要) • サイト数 – – – • 2004年12月に八代市で初のサイト 2005年秋頃から加速度的に増加 2007年1月末現在200ヶ所以上 急増の原因 1. mixiの普及 • 機能や使い勝手への不満と、SNSの特徴やメリットの認識 2. 総務省実証実験 • 広く認知されるきっかけ 3. OpenPNEの登場と普及 • 無料・オープンソース 8 (個) 220 LASDEC実験 200 (11自治体) 180 160 140 OpenPNEの普及 120 100 総務省実験 80 (長岡・千代田) 60 40 熊本県 八代市 20 12 月 2006年 8月 10 月 6月 4月 2月 12 月 8月 6月 4月 2005年 10 月 2004年 2月 0 12 月 個数 地域SNS累計数 地域S N S 累計数 2007年 (出展)『地域SNS最前線-Web2.0時代のまちおこし実践ガイド』(2007.03) 年月 9 地域SNSの動向(概要) • ユーザー数 – 最多:5000人 • (VARRY、表参道Comnit) – 100~300人が平均的 – ただし • 目的・対象地域によって適正規模 が異なる • 「作りっぱなし」は増えない • 他のネットコミュニティと比較 – 自治体BBSを上回る – mixiユーザーの偏在 名称・地域 人数 VARRY(福岡県) 5000人 表参道comnit(東京都) 5000人 ひびの(佐賀県) 4500人 ごろっとやっちろ(熊本県) 3000人 Yebisy!(東京都) 2800人 青森SNSコミュニティ 2600人 ショコベ(神戸市) 1900人 ひょこむ(兵庫県) 1800人 ユーザーが多い地域SNS(2007.02現在) (出展)『地域SNS最前線-Web2.0時代のまちおこし実践ガイド』(2007.03)のデータを更新 10 OpenSNP連携によるネットワークの活性化 新たな連携 情報提供 協働作業 組織・団体としての活用 個人としての 交流・情報収集 個人アカウント による認証 Open Socail Network Platform ひょこむ LOGIN 県民交流広場事業 (OpenSNP) さまざまな地域活動 をゲートウェイとした LOGIN 自発した多様な コミュニティ活動や 市民活動の創造 ログインモジュール を提供し、擬似的に SNS環境を利用。 のれん貸し 11 日本型地域ネットワーク概念の活用 • 「結縁ネットワーク」の活用 – 「まちづくり」を目的とした運営思想 ・希薄化する地域のつながりの復興 ・支え合う地域社会の実現 – 人的関係性を意識した運用制度 ・完全招待制による後見人制度 ・人的関係性の抑止力としての活用 – 人の絆感を確認するシステム設計 ・つながりを意識されるユーザーインターフェース ・コミュニケーションが促進されやすい対話デザイン – 「協働」を基本とした展開推進 ・「のれん分け」による分散協調システムデザイン ・「のれん貸し」によるリソース共有システム ・産学官民協働による運用モデル 「結縁ネットワーク」:岡田真美子『地域をはぐくむネットワーク』(昭和堂,2006)P5 12 ひょこむ(兵庫県エリアの地域SNS)参加者等の推移 ひょこむの特徴 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 一日あたり平均ページビュー 300000 30万 一日あたり平均訪問 数 250000 25万 200000 20万 150000 15万 50000 5万 (人) 10月 9月 信頼できるネットワークづくり 11月 15.0 10.0 5.0 会員の年齢分布 男性 1065人 10 12月 80-84 80-84 75-79 75-79 70-74 70-74 65-69 65-69 60-64 60-64 55-59 55-59 50-54 50-54 45-49 45-49 40-44 40-44 35-39 35-39 30-34 30-34 25-29 25-29 20-24 20-24 10-19 10-19 充実したコミュニケーション機能 15 人口比率(男性) 会員比率(男性) 0.0 5.0 会員数0.01553人 実名登録制、完全紹介制、後見人制 プロフィール、ブログ等のアクセスコントロー ル ブログ、コミュニティ、電子地図、カレンダー、メッセージ、 あしあと、写真・動画登録、携帯電話対応、メール配信、 地域通貨機能(検討中) 100000 10万 登録会員数(類計) 5 0 00 人口比率(女 (PV 会員比率(女 1月 10.0 数) 15.0 女性 488人 0 5 10 15 会員の地域分布 リアルな地域活動につながった事例 ○国際ため池シンポジウムやクリスマス会などの開催 県内 1261人 ○ 1.17リアルタイムレポート、創作家庭料理店の開店 姫路市487人、神戸市247人、たつの市83人、明石市54人、加古川市47人 ‥ ○姫路おでん、姫路城の清掃活動、活動資源マッチング情報 牧慎太郎・兵庫県県民政策局長と共同で作成(2007) 県外 292人 13 大阪府56人、東京都52人、神奈川県28人、千葉県16人、京都府16人‥ 47都道府県中39都府県で参加者あり メーリングリストによるコミュニケーションの推移 ZIT 参加者数 スレッド数 リプライ数 アクティブ率 ポスト率 コミュニケーショ ン率 JEARN Y-CMC JI-edu aibousan 2004 700(68) 200(20) 50(23) -(20) -(36) 2007 930(66) 210(4) 80(10) -(4) -(15) 2004 73 113 50 39 30 2007 66 35 12 10 16 2004 85 192 74 57 32 2007 67 45 5 0 2 2004 0.097 0.205 0.460 - - 2007 0.071 0.086 0.125 - - 2004 0.226 1,525 2.480 - - 2007 0.143 0.381 0.213 - - 2004 0.538 0,630 0,597 0.594 0.516 2007 0.504 0.563 0.294 0.000 0.111 アクティブ率(書き込み者数/全登録者数)の比較 ポスト率(総書き込み数/全登録者数) コミュニケーション率(返信数/発言数) 2007年2月と2004年2月の1ヶ月間調査の結果 14 SNSブログとメーリングリストの比較 ネットコミュニケーションの変化 ZIT 兵庫 宇治・山城 館山 参加者数 930(66) 1,750(317) 700(-) 350(113) スレッド数 66 2,090 1,146 638 コメント数 67 15,222 5,811 3,118 0.071 0.181 アクティブ率 - 0.323 約2.5倍 ポスト率 0.143 9.893 約69倍 コミュニケーション率 0.504 7.283 約14倍 アクティブ率(書き込み者数/全登録者数)の比較 ポスト率(総書き込み数/全登録者数) コミュニケーション率(返信数/発言数) 約4.5倍 9.939 約69倍 5.071 約10倍 10.731 約75倍 4.887 約10倍 参考)「ひょこむ」期間内関連データ メッセージ数 コミュニティトピック数 コミュニティ返信数 3,740件 674件 2,535件 2007.02.01~2007.02.28の調査結果 15 地域SNSコミュニケーション利用比較 使用システム 参加者数 兵庫 館山 千代田 長岡 ひょこむ わんだぁらんど ちよっピー おここなごーか OpenSNP OpenSNP Open-Gorotto Open-Gorotto 706 174 903 307 32,253 18,847 115,169 63,501 日記(ブログ)登録 数 1,539 1,045 505 549 コミュニティ書き込 み数 4,268 1,092 2,639 1,122 トップページ訪問数 調査期間 2006/9/1 ~2006/10/31 2006/11/11 ~2007/01/10 2005/12/16 ~2006/2/15 出展)総務省『住民参画システム利用の手引き』(2006) 2005/12/16 ~2006/2/15 16 地域SNSの課題と展望 • 地域SNSの課題 – 急増する地域SNS間のリソース連携 – 踊り場現象からの脱却と社会的認知向上 – プラットホーム化への対応と現実社会との共鳴 • 今後の展望 – 地域のソーシャル・キャピタルとして役割 – 新たな地域メディアとしての可能性 – 地域の再ネットワーク化促進による活性化実現 17 地域SNS--ソーシャル・ネットワーキング・サー ビス--最前線 Web2.0時代のまちおこし実践ガ イド (単行本(ソフトカバー)) 庄司 昌彦 (著), 三浦 伸也 (著), 須子 善彦 (著), 和崎 宏 (著) 単行本(ソフトカバー): 256ページ 出版社: アスキー (2007/3/19) ISBN-10: 4756148735 ISBN-13: 978-4756148735 地域をはぐくむネットワーク―歴史を活かす “縁”・未来を創る“絆” (単行本) 岡田 真美子 (編集) 単行本: 224ページ 出版社: 昭和堂 (2006/11) ISBN-10: 4812206464 ISBN-13: 978-4812206461 18 地域SNSによる地域活性化の可能性 「地域でSNSを動かすと、自発した人がどんどんつながる」 情報システム技術の基盤に、社会学的知見や数学的理論を加え、更に地域現 場にあわせた日本型地域ネットワークを活かした設計・運用を行うことで、ネット ワーク接続への自発を地域で生み出す 「地域は4人で繋がっていることを可視化できる」 住民のパーソナルネットワークを接続していくことによって、それぞれの認知 ネットワークが拡張・融合され地域のソーシャルキャピタルが構築される。 「地域SNSは地域力を覚醒させる」 住民間に「常時接続性」と「可視化されたパーソナルネットワーク」を実現する コミュニケーションを提供し、相互の紐帯を強化し新たな連携の動機付けとなっ たり、互いの活動の支援・協働意欲となって、ゆるやかに地域の活動を活性化 する原動力となる。 19