Transcript 量子ビーム基礎
量子ビーム基礎(石川顕一) 量子ビーム基礎 石川顕一 6月 7日 6月21日 6月28日 7月12日 レーザーとは・レーザーの原理 レーザー光と物質の相互作用 レーザーの生体組織への影響 レーザーの応用 講義PPT http://ishiken.free.fr/lecture.html 参考書:霜田光一著「レーザー物理入門」岩波書店 M. Niemz, “Laser-Tissue Interactions,” Springer 6/7 No. 1 量子ビーム基礎(石川顕一) レーザー:「20世紀最大の発明」 テクノロジー・産業応用 • IT・ナノテク – 半導体プロセッサー(リソグラフィー) – CD, DVD, 複写機 – 情報・通信の高速・大容量化 → 光通信、光コンピューティング • 生体(医療) – 腰痛の治療、歯科治療、手術(レーザーメス)、 がん治療 – 視力矯正(LASIK)、あざ・しみ治療、脱毛 – 子供の生み分け(性別)← アメリカ、ベルギー 6/7 No. 2 量子ビーム基礎(石川顕一) レーザー:「20世紀最大の発明」 基礎研究 レーザー関連のノーベル賞 • • • • • • • • タウンズ、バソフ、プロホロフ(1964年物理学賞):レーザーの開発 ガボール(1971年物理学賞) :ホログラフィーの発明と開発 ブルームバーゲン、ショーロー(1981年物理学賞):レーザー分光 クロート、カール、スモーリー(1996年化学賞):フラーレンの合成 チュー、コーエンタノージュ、フィリップス(1997年物理学賞):レー ザー光を用いた原子の冷却とトラップ スベイル(1999年化学賞):フェムト秒分光を用いた化学反応の遷移状 態の研究 → 「分子内の原子の動きを見る」 ワイマン、ケトレ、コーネル(2001年物理学賞):アルカリ元素のボー ズアインシュタイン凝縮 田中耕一(2002年化学賞):生体分子の質量分析のためのイオン化法 レーザーの応用は基礎研究から日常生活までのすみずみにまで行 き渡っている。 6/7 No. 3 量子ビーム基礎(石川顕一) レーザー光の特性 6/7 No. 4 量子ビーム基礎(石川顕一) 光の吸収と放出 アインシュタイン(1916年) 原子 ボーアの条件 h E2 E1 エネルギー準位 E2 h 光 吸収 自然放出 E1 誘導放出 振動数 h 6.6261034 Js プランク定数 上の準位にある原子が下の準位に遷移する時、光を放出する。 • 自然放出:入射光がなくても起こる。 • 誘導放出:入射光につられて、光を放出する。 6/7 No. 5 量子ビーム基礎(石川顕一) レーザーと他の光源との違い レーザー Laser Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation = 誘導放出による光の増幅 光の波長・位相・方向・偏光がそろっている。 偏光 振動数(→波長) ikxiti E E0e 方向 位相 他の光源(電球、蛍光灯など) 自然放出を利用 光の波長・位相・方向・偏光はばらばら。 6/7 No. 6 量子ビーム基礎(石川顕一) 指向性と単色性 指向性 • レーザー光は、細いビームになって いて、反射や屈折をさせない限り、 ほとんど一直線に特定の方向のみ へ進む。(平行光線) • レンズ等を用いて小さく絞れる。 →高強度 単色性 • 各種のレーザー光は、それぞれある 特定の波長のみを含み、その波長 は時間的に一定である。 6/7 No. 7 量子ビーム基礎(石川顕一) コヒーレンス レーザー の特徴 指向性・単色性 • • レーザービームの断面の中で各部分の光の位相がよくそろっている。 時間的にも位相が変化せずそろっている。 「レーザー光はコヒーレントである。」 時間的・空間的な干渉性が高い(干渉実験で干渉縞がよく見える)。 古典的電磁波 偏光 振動数(→波長) ikxiti E E0e 方向 位相 レーザーは理想的な古典的電磁波! 6/7 No. 8 量子ビーム基礎(石川顕一) 電磁波の波長領域 電磁波は、波長によって次の表のようなスペクトル領域に分類できる。 名前 波長(ナノメートル) 硬エックス線 <1 軟エックス線 1〜30 極紫外(XUV) 30〜100 真空紫外(VUV) 100〜200 紫外(UV) 200〜400 可視光 400〜780 近赤外 780〜3000 中赤外 3000〜6000 遠赤外 6000〜15000 極赤外 15000〜1000000 代表的なレーザー の波長領域 6/7 No. 9 量子ビーム基礎(石川顕一) 代表的なレーザーシステム 連続波(CW)レーザー 歴史上最初のレーザー(1960年) パルスレーザー 短パルスレーザー 超短パルスレーザー 6/7 No. 10 量子ビーム基礎(石川顕一) レーザー光のエネルギー・出力・強度 名前 定義 単位 パルスエネルギー パルス中に含まれる電磁 波のエネルギー J(ジュール) 出力(パワー) (パルスエネルギー) ÷(パルス幅) W(ワット) 強度 (出力)÷(ビーム断面積) W/cm2 or W/m2 6/7 No. 11 量子ビーム基礎(石川顕一) レーザーの動作原理 6/7 No. 12 量子ビーム基礎(石川顕一) アインシュタインのA,B係数の理論(1916年) 講義ノートP6 占位数N1, N2の時間変化 E2 ,N2 熱平衡状態(温度 T ) A 入射光 B12W ボルツマン分布 自然放出 吸収 W B21W 誘導放出 E1,N1 プランクの黒体放射の法則 6/7 No. 13 量子ビーム基礎(石川顕一) レーザーが動作するための条件 • 反転分布 • 増幅 • 発振 図:レーザーの構造 6/7 No. 14 量子ビーム基礎(石川顕一) 反転分布 誘導放出>吸収 N2 N1 一方、熱平衡では N2 N1 exp /kBT N1 励起エネルギー源が必要 • • • • • • フラッシュランプ 発光ダイオード ガス放電 電流 化学反応 レーザー E2 ,N2 A 入射光 BW 自然放出 吸収 W BW 誘導放出 E1,N1 6/7 No. 15 量子ビーム基礎(石川顕一) 3準位レーザーの反転分布 • • 2準位原子を励起 → 上の準位増加 → 励起エネルギー源の影響で下の準位に 遷移する確率も増加 → 反転分布不可 3準位、4準位系を利用 レート方程式 N N1 N2 N3 N3 32 レ ー ザ ー 遷 移 dN1 N1 21N2 31N3 dt 21 dN2 dN3 21N2 32 N3 N1 32 N3 31N3 dt dt N2 21 31 32 定常状態 N N 31 1 21 31 32 21 32 32 N2 N 21 31 32 21 32 N1 31 211 反転分布の条件 32 6/7 No. 16 量子ビーム基礎(石川顕一) 増幅 講義ノート8, 9ページ 光強度 I は活性媒質の長さ L に 関して指数関数的に増加 利得(ゲイン): s :作用断面積 • 固体・液体・気体 • プラズマ 散乱等による減衰を考慮すれば • 自由電子 E2 ,N2 G g a I I0 expGL A 入射光 BW 自然放出 吸収 W BW 誘導放出 E1,N1 6/7 No. 17 量子ビーム基礎(石川顕一) 拡張されたLambert-Beerの法則 dz I(z) 十分薄い厚さdzの活性媒質層による増幅 • 強度 I(z) に比例 • dz に比例 I(z+dz) I(zdz) I(z) GI(z)dz I(z) I0 exp(Gz) z z+dz dI(z) GI(z) dz G:ゲイン(利得係数) 6/7 No. 18 量子ビーム基礎(石川顕一) 発振 講義ノート9ページ R1 R2 レーザー光を発生するために、一 般に活性媒質は一組の向かい 合ったミラーからなる共振器の中 に置かれる。 フィードバック増幅器 増幅器 Ii A Io AI i Io Io Ii A A Io Ii 1 A Io 1 Io A 1 6/7 No. 19 量子ビーム基礎(石川顕一) 発振 フィードバック増幅器 Io Io Ii R1 1 Io 入射光がなくても、黒体放 射を種にして大きな出力 が得られる(発振)。 R2 A Ii 1 A A 1 では増幅率無限大 Io A 講義ノート9ページ 定常的なレーザー発振の条件 A から この式と 必要な反転分布は 6/7 No. 20 量子ビーム基礎(石川顕一) チタンサファイアレーザー(800nm程度) 活性媒質:チタンサファイア結晶 励起エネルギー源: Nd:YAGレーザー 6/7 No. 21