2.推論プロセスでの落とし穴 (1)帰納的推論

Download Report

Transcript 2.推論プロセスでの落とし穴 (1)帰納的推論

2.推論プロセスでの落とし穴
(1)帰納的推論
①帰納的推論
=個別の事例に関する情報から一般化された
仮説を導く推論
⇔演繹的推論
=形式論理をもとにして、事前に与えられた
一般的法則や情報を組み合わせ、新しい
情報や法則を導くこと
②帰納的推論の特徴
• 日常の思考パターンの多くは、演繹的思考では
なく、具体的な事例に基づく帰納的推論である
• 帰納的推論にはかならず飛躍がある
(⇔(厳密な)演繹的推論では飛躍はない)
↓
・帰納的推論によって、新しい発見が生み出される
可能性がある
・しかし、誤った事実認識が生じる可能性も高い
③帰納的推論における罠
典型的ヒューリスティックスに起因するバイアス
事例獲得
過剰一般化
仮説形成
仮説検証
錯覚的共変・ 確証バイアス
因果関係
(2)確証バイアス
○仮説の検証の要件
• 帰納的推論にとって一番重要なのは仮説
の検証である
• 仮説の検証のためには、
(a)仮説を肯定する事実の収集
だけでなく
(b)仮説の否定となる(=反証)事実の収集
も行う必要がある
(2)確証バイアス(continued)
• しかし、一般的には信念や仮説を確認する
情報を求める傾向が強い。
• 同時に、反証となる証拠の収集を避ける傾
向が強い
確証バイアス
(3)錯覚的因果関係
①共変(相関)関係
=同時に二つ(以上)の物事が変化すること
• 共変(相関)関係は帰納的に因果関係を推論する
ための重要な手がかりとなる
• 事象Xと事象Yが相関関係(共変関係)にあるから
といって、XがYの原因だったり、YがXの原因である
(因果関係がある)とは限らない
(3)錯覚的因果関係(continued)
②因果関係の確認の要件
(a)相関(共変)関係
(b)時間的順序関係
(c)第三変数の排除
• とくに(c) が見過ごされる傾向が強い
(4)原因帰属と自己をめぐる
バイアス
• 原因帰属=出来事の原因や人々の行動
の理由を推測すること
①原因帰属のタイプ
内的帰属:当事者の性格・行動傾向・願
望・能力などに原因を求める
外的帰属:当事者以外の他者、その場の
環境・状況などに原因を求める
②基本的帰属錯誤
• 他人の行動を説明する時に、外的帰属
よりも内的帰属が好まれる傾向がある
• 行為者-観察者効果
観察者:内的帰属を強調
行為者:外的帰属を強調
③集団と帰属錯誤
• 当事者が、内集団(自分が所属する集団)メン
バーであるか外集団(自分が所属していない集
団)メンバーであるかによって、原因帰属が異な
る傾向がある
成功
失敗
外集団
外的帰属
内的帰属
内集団
内的帰属
外的帰属
④自己中心性バイアス
=
自分にとって好ましいように、出来事や
情報を解釈する傾向
例:利己的帰属
自己防衛バイアス:ネガティブな(都合の悪い)
出来事を外的帰属
自己高揚バイアス:ポジティブな(好ましい)
出来事を内的帰属
⑤自信過剰
• 「自信過剰」は非常に陥りやすいバイアス
↓↑
• 「『自信過剰』は自分の問題ではない」と考えるこ
とに自信を持ちすぎる
• 自信過剰がもたらすもの
(a)非現実的すぎる楽観主義
(b)コントロールの錯覚
(c)利己的帰属