妄想はなぜ立ち上がるのか ー第6章 妄想はどの

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妄想はなぜ立ち上がるのか
ー第6章 妄想はどのように発生するのかー
文学部心理学専攻 3回生
1613080099-1 高橋美和
古典的理論と現代的理論
古典的理論
・ヤスパースの考え方
・フロイトの妄想理論
etc…
現代的理論
・感情とパーソナリティの障害
・知覚の障害
etc…
古典的理論-ヤスパースの考え方1-
真正妄想(一次妄想)
→原因不明の病的体験・人格の変容
・妄想知覚・・・知覚そのものは変化しないが
知覚の意味が変化すること
・妄想着想・・・人生経験の新しい側面や意味を
思いつくこと
・ 妄想気分・・・知覚が変化したり明らかな着想が
あるわけではなく、漠然と不気味だと
考えられること
古典的理論-ヤスパースの考え方2-
本当の妄想=真正妄想
→原因不明の脳の病気によって生じる
感情や幻覚から発生したと考えられるものは
妄想様観念にすぎない
本当の妄想は心理学的に説明できない!
それを心理学的に研究しても意味がない!
古典的理論-フロイトの妄想理論1-
投影
本当は自分の中にある感情や欲求なのに
誰か別の人のせいにしてしまうこと
内的帰属
抑うつ
外的帰属
被害妄想
ネガティブな
出来事
投影
古典的理論-フロイトの妄想理論2-
被害妄想のメカニズム→同性愛(仮説)
「私は彼を愛している」・・・基本
しかし、同性愛は受け入れがたい!
→不安になる
第1段階 自分の中の願望・葛藤・恐れ
「私は彼を愛しているわけではない。私は彼を憎む」・・・抑圧
第2段階 それが外界に投影され、外在化される
「彼が私を嫌っている。だから私は彼を憎むのだ」・・・投影
いやな体験をしたとき
・自分のせいだ・・・抑うつ
「私は劣っている。それは私に欠点があるからだ」
・他人のせい・・・被害妄想
「私は劣っている。それは誰かが私に何かをしたか
らだ」
内的帰属
抑うつ
外的帰属
被害妄想
ネガティブな
出来事
投影
妄想の事例の報告(Lacan 1932)
38歳の女性エイメは、ある有名女優を刺した。その理由
は、女優がエイメをそそのかして、スキャンダルに引き込ん
だからというものである。エイメは心因性の精神病を発症し
ていた。その原因は、性格や幼児期の体験、人間関係など
によるものである。
ラカンの分析によると、その女優はエイメ自身の理想が
外在化されたものであった。エイメは女優や作家が持つ自
由や特権を手に入れたいと思っていた。
「外在化された理想像」への攻撃・・・「投影」のメカニズム
現代的理論—感情とパーソナリティの障害1—
精神分析の妄想理論
「抑圧」と「投影」による妄想形成のメカニズムを支持
→妄想はその人の内部の無意識を反映していてそれらが
外界に帰属されたものである(WintersとNeale 1983)
第1段階 自分の中の願望・葛藤・恐れ
「私は彼を愛しているわけではない。私は彼を憎む」・・・抑圧
第2段階 それが外界に投影され、外在化される
「彼が私を嫌っている。だから私は彼を憎むのだ」・・・投影
現代的理論—感情とパーソナリティの障害2—
 精神分析における考え方
・妄想の内容はその人の感情や動機づけと関係
がある
・妄想は、不安を減らす働きがある
・パーソナリティのあり方が、妄想を発生させる
現代的理論—知覚の障害1—
 統合失調症の知覚世界を詳しく検討(Matussek 1952)
→個々の知覚要素が、自然な文脈から分離する
駅では、人は、電車や乗客や駅員など、個々の要素を知覚する。
ふつうの人は、「駅」という知覚的文脈の中で、「駅」という全体を知
覚する。この全体の知覚と知覚の中では、個々の要素は、ばらばら
の物として知覚されるのではなく、ある種の結びつきが感じられる。
もし、こうした文脈にふさわしくない要素が知覚されると(例えば、レ
ールの上に机があったりすると)驚きが生ずるのである。統合失調
症においては、この知覚的文脈が緩んでいる。重症になると、たと
えレールの上に机があっても、驚かなくなる。
現代的理論—知覚の障害2—
マトゥセックの理論
個々の知覚的文脈が弱まると個々の物体は正常
な時とは、別の意味を持つようになる
あれはきっと
↓
ねるために・・・
妄想的な意味
統合失調症
まとめ
古典的理論
・脳の器質的な病理による妄想
・パーソナリティの異常(満たされない願望を抑圧する傾向
など)
現代的理論
・脳の器質性の障害によって生じる妄想
・妄想の発生には感情やパーソナリティ(無意識的な願望な
ど)が関わっていて知覚障害などが妄想のきっかけになるこ
とも多い
参考文献
 P・ガレティ D・ヘムズレイ 共著/丹野義彦 監訳(2006)
妄想はどのようにして立ち上がるか ミネルヴァ書房