小学校における障害理解教育

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Transcript 小学校における障害理解教育

発信!出前授業
「小学校における障害理解教育」
~見て・聞いて・体験して、行動しよう~
1 障害理解教育の概要
2 出前授業の実際
3 成果と課題
はじめに
~出前授業のきっかけ~
秋田LD・AD/HD親の会「アインシュタイン」
・周りの子どもたちに発達障害のことを伝えてほしい
A小学校
・特別支援学級の新設に伴い、周囲の子どもたちが
適切に関わるヒントを与えてほしい
B小学校
・みどり学園のスクールバスを見た子どもが「汚いバスだ」
と話した
C小学校
・みどり学園の子どもと「居住地校交流」をする
障害理解教育の概要
~障害理解教育とは~
「障害に関する具体的な知識を与え、その知識をもとに
自分が何をすればよいかを考える教育」(徳田・水野)
・精神論ではなく、実践する態度・行動を育てる
・優しさや思いやりを強調するのでなく、子どもたちに障害に
関する適切な認識を与えていくことを重視する
・障害者に優しく接するのではなく、適切に接すること
障害者と時間と場所を
共有するだけでは 理解は進まない
障害理解教育の概要
~障害理解の発達段階~
〈第1段階〉気付き
・障害のある人が社会の中にいることに気付く
〈第2段階〉知識化
・差異がもつ意味を知る
〈第3段階〉情緒的理解
・機能面での障害や社会的な痛みを心で感じる
〈第4段階〉態度形成
・適切な認識が形成され障害者に対する適正な態度がで
きる
〈第5段階〉受容的行動
・生活場面での受容、援助行動の発現
段階を確実に実践する
障害理解教育の概要
~小学校における障害理解教育の現状~
〈小学校で扱われている「障害理解」のための教材〉
国語~もうどう犬の訓練(3年) 点字を通して考える(4年)
手と心で読む(4年)
便利ということ(4年)
いつでもどこでも~点字に触れてみよう~(4年)
道徳~「オトちゃんルール」は「あたりまえ」のルール
「わたしたちのボランティア体験」
社会~新しい社会 ユニバーサルデザインに関すること
調べ学習や総合的な学習の時間と関連付けて障害について学ぶ
障害理解教育を
教育課程に位置付けている小学校は少ない
障害理解教育の概要
~障害理解教育の内容~
%
90
障害者の感じるバリア
87
バリアフリー施設・設備
77
障害者の援助法
障害者の思い
24
自分にできること
24
障害者の苦労
12
障害の種類や特性
11
その他
18
障害理解教育の概要
~障害理解教育の方法~
%
47
疑似体験
44
障害者を招いた
41
口頭説明
24
市販の教材
13
調べ学習
11
自作資料
専門家を招いた
その他
8
11
出前授業の実際
~授業内容~ 道徳・総合・学級
1 みどり学園の紹介
・小学生から高校生まで在籍
・遊びの指導、生活単元学習、 作業学習や現場実習の様子
2 みどり学園の友達➟障害の種類と特性
(1)車いすを利用している友達(肢体不自由)
(2)ゆっくりタイプの友達(知的障害)
(3)不安な気持ちが強い友達(自閉症)
3 体験コーナー
学校展
(1)言葉が伝わらない、分からない(ピカピカ王国 バースデーリング)
(2)互いの気持ちを重ね合わせる(フラフープリレー・アップダウン)
(3)相手の気持ちに寄り添う(車いす)
(4)発達障害の疑似体験(聞く・話す・読む・書く)
出前授業の実際
~配慮したこと~
1 児童の発達段階に応じた授業をするために
・打合せをしてねらいを明確にするとともに、対象学年を絞った
2 障害に関する正しい知識を与えるために
・障害の種類や特性に加えて、関わり方のポイントも伝えた
3 障害を肯定的にとらえるために
・「~あれば~できる」ことを強調した
4 障害を身近な問題としてとらえるために
・「振り返りシート」を活用した事後学習を行った
5 体験を行動に結び付けるために
・みどり学園や特別支援学級との交流を設定した ※キーワード
6 教師が障害理解教育を進めるために
・事前学習→出前授業→事後学習の内容と役割を確認した
出前授業の実際
出前授業の実際
生活単元学習
遊び
作業学習
出前授業の実際
~みどり学園の友達~
文字を覚えたり、話をしたりするのが 苦手な
ゆっくりタイプの友達
い
い
出前授業の実際
「なにして あそぶ?」
「どっちであそぶ」
できることはひとりで
「それを はこぼう」
⇒
「 つくえ を はこぼう」
わかる言葉で伝える・ 実物を見せる
出前授業の実際
1 友達のよいところに気づくやさしい目
いつも
ありがとう!
さいごまで
がんばった
ね!
2 友達の困っていることに気づくあたたかい心
だいじょう
ぶ?
ぼくの
つかっていい
よ!
出前授業の実際
~子どもたちの感想(低学年)~
・学校に中学生や高校生もいるのにびっくりした。
・学校にエレベーターがあるのを知ってびっくりした。
・早く○○さんと交流したくなった。
・エレベーターやスロープがあったり、写真や
イラストを使って話したりして、いろいろ工夫
していることがわかった。
・今日、一番大切だと思ったのは、みんなと心を合わせる
こと。心を合わせることによってできないこともちょっとは
簡単になると思った。
・友達をつくるためには、優しい目とあたたかい心が大切
だとわかった。
出前授業の実際
~子どもたちの感想(高学年)~
・障害のある人は私には関係ないよ」と思っていたが、
話を聞いているうちに、私はなんてひどいことをしたん
だろう」と思った。これからは障害のある人を見つけた
ら、手伝ってあげたい。
・普通に生活できるのは当たり前だけど、実際はとても
幸せだということを改めて理解した。
・「しんしょう」と言うのは悪いことだと思い
ながらも黙ってみていたが、今度からは
「そういうことを言うのはやめたら」と言い
たい。
出前授業の実際
~先生方の感想~
・「障害」ということではなく、「○○が苦手」という説明は
低学年の子どもたちに分かりやすかった。
・みどり学園のことや障害のことについて、全く知らない
子どもが多くいたので、教師側の情報不足を感じた。
・自分の周りにはいろいろな人がいて、「みんなちがっ
てみんないい、お互いが大切な存在なんだ」という気
持ちが子どもたちの中に残ってほしいと思った。
・優しい目と温かい心が子どもたちの心の中に強く残っ
た。教室に戻ってから、自分たちの生活を振り返り、
「もっと友達と仲良くしたい」「困っている友達を助けて
あげたい」という感想が聞かれ、嬉しく思った。
成果と課題
1 成 果(H25年度3校5回
H26年度8校14回)
(1)障害に関する適切な知識の提供
(2)交流及び共同学習の推進
(3)みんなが分かる・できる授業の提示
2 課 題
(1)障害理解教育の位置付けと系統的な計画の提案
(2)実践的行動につなげるための工夫
(3)新たなセンター的機能の役割
障害理解教育は
学校(園)・学級づくりの要
参考文献
「障害理解~心のバリアフリー理論と実践~」
徳田克己・水野智美
「幼児に対する障害理解指導」
水野智美
「新しい障がい理解教育の創造」
冨永光昭