H23.06.03記念講演 資料(パワーポイント文書)

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1
広島の経済活性化と
男女共同参画
2011年6月3日
日本政策投資銀行 地域振興グループ 参事役
NPO法人 コンパス地域経営支援ネットワーク 理事長
株式会社
も た に
藻谷浩介
[email protected]
ひとはひとりひとり違う
女と男の違いなんて吹き飛んでし
まうくらい、個人個人はみな違う
違いを大事にして、ひとりひとり
が幸せをつかめる社会をつくろう
これが男女共同参画の原点です。
でもここででは、この原点を遠く離れて、経済面での話を
します。人が経済の道具であるというつもりはないですが。
「理念はわからんが、カネ勘定ならわかる」と
いう一部殿方にもお解りいただくために。
女性が働く県ほど出生率は高い
3
「女が働くようになって子供が減った」というのは、事実に反する思い込み
20・3 0代女性の就業率と出生率
20・3 0代女性の家事労働率と出生率
2005年・47都道府県比較
沖縄(1.72)
福宮佐 福 島根
島崎賀 井
1.5
鹿児島
長野
熊本 鳥取 山形
香川
長崎
栃木
岩手
1.4
大分
滋賀
富山
高
愛知愛媛 広島 知
石 新潟・秋田
和歌山
茨 徳
川
1.3
城 島
埼
青森
兵庫 玉千福
葉
大阪
岡 宮城
R2乗 0.39
1.2奈良 神奈川
(東京 ・沖 縄 を除 くと 0. 48)
京都 北海道
沖縄(1.72)
福
福
島根 井 佐
島 鹿児島
賀
1.5
宮崎
鳥取
長野
香川
長崎
山形
熊本
栃木
岩手 大分
滋賀
1.4
富山
石川
岡山
愛媛
愛知
新潟
秋田
広島
和歌山
茨
高
1.3
青森
福岡 城
知
兵庫
徳島
埼玉
宮城
千葉
大阪
1.2
R2乗 △0.22京都 神奈川 奈良
北海道
(東京 ・沖 縄 を除 くと △ 0. 30)
東京(1.00)
合 計 特 殊 出生 率
合 計 特 殊 出生 率
2005年・47都道府県比較
東京(1.00)
1.1
40%
45%
50%
55%
60%
65%
20 -39歳 女 性 に占 める 「主 に仕 事 」の 比 率
資料: 縦軸=人口動態調査、横軸=国勢調査
1.1
15%
20%
25%
30%
20 -39歳 女 性 に占 める 「家 事 」の 比 率
資料・注: 同左
女性が結婚する県ほど出生率は高
4
い
前ページと合わせて考えれば、女性が結婚しても 働
き続けられる県ほど、子供も生まれるということ
20・30代女性の既婚率と出生率 30代女性の既婚率と出生率
2005年・47都道府県比較
2005年・47都道府県比較
沖縄(1.72)
1.4
1.3
1.2
1.1
神奈川
京都 奈良
北海道
東京(1.00)
45%
50%
55%
20 -39歳 女 性 に占 める 既 婚 者 の 比 率
資料: 縦軸=人口動態調査、横軸=国勢調査
1.5
合 計 特 殊 出生 率
合 計 特 殊 出生 率
1.5
福
佐
島根 井
宮
鹿児島
崎賀
福島
長野
熊本
鳥取
山形
長崎 香川
大分
富山
広島
岡山
三重
R2乗 0.36 高
知
秋田
和歌山
愛知
青森
兵庫
福岡
徳島
宮城
大阪 千葉 埼玉
1.4
1.3
1.2
沖縄(1.72)
福
島根 井
鹿児島
福島
長崎 熊本
山形
大分
滋賀
R2乗 0.46
広島
三重
愛知
高知
和歌山
青森
兵庫
福岡
徳島
宮城
千葉・埼玉
大阪
京都 奈良 神奈川
東京(1.00)
北海道
1.1
65%
70%
75%
80%
85%
20 -39歳 女 性 に占 める 既 婚 者 の 比 率
資料・注: 同左
5
世界同時不況と日本の収支①
昨年は、
史上4位
の64兆円
にV字回復
世界同時不況と日本の収支②
リーマンショック
→半年間に輸出半減
しかし輸入も半減
アジア向け輸出の早々の復
活で輸出は再び増加へ
貿易黒字も半年で復活
輸出再増加→円高で
輸出増加にブレーキ
円高で輸入額も下がり
黒字の水準はリーマン
ショック前なみに回復
6
中国が栄えるほど日本は儲かる
7
中国経済台頭
→日本の輸出上昇
リーマンショック
→中国経済減速
→日本の輸出下落
対日貿易赤字の増大する韓国
8
韓国経済台頭
→日本の輸出上昇
リーマンショック
→韓国経済減速
→ウォン安
→日本の輸出下落
全分野で対日赤字の台湾
リーマンショック
→台湾経済減速
→日本の輸出下落
9
著しい対日赤字のシンガポール
10
リーマンショック
→経済減速
→日本の輸出下落
←輸送料収支は改善
経済発展で対日赤字増大のインド
11
インド経済急台頭
→日本の輸出上昇
リーマンショック
→インド経済減速
→日本の輸出下落
12
不況→消費減で対日収支改善の米国
リーマンショック
→米国民の消費下落
→日本の輸出下落
13
不況→消費減で対日収支改善のEU
リーマンショック
→EU内の消費下落
→日本の輸出下落
他国とは逆を行くスイス
リーマンショック
→日本国内の消費下落
→日本の輸入下落
日本に医薬品や
ブランド品を輸出
14
急増した県内の商業床
15
しかし総売上はむしろ減少
市民の所得は上がっていないのに商
業施設だけが増え続けているのだか
ら、当然売上は上がらないしどこか
に必ず無理が出てくる
16
採算悪化でお店の雇用も減少
17
以上を一枚にまとめてみると
18
広島市の状況は県平均より深刻
19
東京都心でも深刻な商業床過剰
20
広島県で今起きていること
(人口流出入を見込んだ、国立社会保障・人口問題研究所の予測)
県内在住者(外国人含む):2005年→15年 △9.3万人
100年で人口が3分の2になるという緩いペースの減少
80年で現役世代の人口がゼロになるという恐ろしいペースの減少
15-64歳人口の増減:
↓絶対数
↓増減
2005年 187万人→2015年 166万人 △21万人 △11%
0-14歳人口の増減:
↓絶対数
↓増減
2005年 41万人→2015年 34万人 △7万人 △17%
65歳以上の人口:
↓絶対数
↓増減
2005年 60万人→2015年 78万人 +18万人 +30%
75歳以上の人口:
↓絶対数
↓増減
2005年 29万人→2015年 38万人 +9万人 +32%
21
広島市で今起きていること
(人口流出入を見込んだ、国立社会保障・人口問題研究所の予測)
市内在住者(外国人含む):2005年→15年 △0.1万人
県全体と違って市内だけは人口はほぼ横ばい
120年で現役世代がゼロ!になるという意表を突いた減少
15-64歳人口の増減:
↓絶対数
↓増減
2005年 78.7万人→2015年 72.1万人 △6.6万人 △8%
0-14歳人口の増減:
↓絶対数
↓増減
2005年 17.0万人→2015年 14.7万人 △2.3万人 △14%
65歳以上の人口:
↓絶対数
↓増減
2005年 19.7万人→2015年 28.5万人 +8.8万人 +45%
75歳以上の人口:
↓絶対数
↓増減
2005年 8.8万人→2015年 12.8万人 +4.0万人 +46%
22
23
首都圏一都三県で今起きていること
(人口流出入を見込んだ、国立社会保障・人口問題研究所の予測)
一都三県在住者(外国人含む):2005年→15年 +72万人
100年で人口が2割増というステディな増加
150年後には現役世代の人口がゼロになるという不意打ちのような減少
15-64歳人口の増減:
↓絶対数
↓増減
2005年 24.0百万人→2015年 22.5百万人 △147万人 △6%
0-14歳人口の増減:
↓絶対数
↓増減
2005年 4.4百万人→2015年 3.9百万人 △50万人 △11%
65歳以上の人口:
↓絶対数
↓増減
2005年 6.0百万人→2015年 8.7百万人 +269万人 +45%
75歳以上の人口:
↓絶対数
↓増減
2005年 2.5百万人→2015年 4.0百万人 +154万人 +63%
24
日米開戦前夜の日本在住者
15-64歳 4,295万人
在日外国人を含
む数字
75歳以上
89万人
25
戦後復興の頃の日本在住者
15-64歳 4,966万人
在日外国人を含
む数字
75歳以上
106万人
所得倍増計画の頃の日本在住者
15-64歳 6,000万人
在日外国人を含
む数字
75歳以上
163万人
26
27
大阪万博の頃の日本在住者
15-64歳 7,157万人
在日外国人を含
む数字
75歳以上
221万人
28
安定成長移行期の日本在住者
15-64歳 7,883万人
在日外国人を含
む数字
75歳以上
366万人
29
バブル最盛期の日本在住者
15-64歳 8,590万人
在日外国人を含
む数字
75歳以上
597万人
30
2000年問題の頃の日本在住者
15-64歳 8,622万人
在日外国人を含
む数字
75歳以上
900万人
31
今年の日本在住者
15-64歳 8,128万人
毎年の外国人流入が大幅増という前
提の予測 (実際は増えていない)
75歳以上
1,422万人
32
10年後の日本在住者
15-64歳 7,363万人
毎年の外国人流入が大幅増という前
提の予測 (実際は増えていない)
75歳以上
1,874万人
33
20年後の日本在住者
15-64歳 6,740万人
毎年の外国人流入が大幅増という前
提の予測 (実際は増えていない)
75歳以上
2,266万人
34
30年後の日本在住者
15-64歳 5,734万人
毎年の外国人流入が大幅増という前
提の予測 (実際は増えていない)
75歳以上
2,214万人
35
40年後の日本在住者
15-64歳 4,930万人
毎年の外国人流入が大幅増という前
提の予測 (実際は増えていない)
75歳以上
2,373万人
36
高齢者が増え現役が減る広島県
37
高齢者が増え現役が減る広島市
38
高齢者が増え現役は減る首都圏
落ち始めた日本経済の基礎代謝
39
落ち始めた日本経済の基礎代謝
40
日本中が「消費者不足」不況
41
・ 日本人が続々60代・70代になり、高齢者は激増
するが、他方で年々現役世代は減少していく
・団塊世代だけで1100万人。他方で日本在住外国人は
不法滞在者を入れて230万人。現役世代の加齢によ
る減少を外国人受け入れで補うのは全くムリ。
・ 子供を増やそうにも、親世代が急減していくので、
出生率が劇的に向上しようとも出生数は減少へ。
・「現役世代減少=労働力減少」ではなく、
「現役世代減少=消費者数の減少」
※ 機械化による生産性の向上で、労働力減少=生産減少とはならないが、
消費性向は加齢により低下するので、消費者数減少=消費減少となる
・ 生産年齢人口減でも生産能力は維持 → 国内の
消費減少で供給過剰 → 輸出頼みの経済に
景気ではなくワーク・ライフ・バランスの回復
42
・ 問題は「国際競争」ではなく「日本人の加齢」
・地域間格差拡大ではなく大都市も急速に高齢化
・ 「少子高齢化」ではなく「現役世代の減少」
・「出生率低下」ではなく「親世代の絶対数の減少」
・ 「労働力の不足」ではなく「消費者の不足」
→ 経済再生の鍵は「次世代を産み旺盛に消費する
現役世代のワーク・ライフ・バランス回復」。つまり、
① 女性就労の促進と男女間賃金格差解消
② 多世代同居→退職高齢男性による家事分担
③ 「値上げし賃上げできる商品・サービスへの移行」
= 「低価・大量・少種」から「高価・少量・多種」へ
43
女性が働けば就業者数は減らない
図1 15歳以上人口の労働力状態 図2 女性の年齢別労働力状態
2005年・日本国居住者(外国人含む)
資料: 国勢調査(2005 年は1%抽出推計)
1950
1955
1960
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
70 48% 51% 50%
46% 47% 45% 50%
60 女性就業率 45%
54 56 57 40%
50 (右軸)
52
49
40
44 46
30%
41
38
15歳以上女性総数
34
30
20%
29 31
26 26 26
24
20
23
19 21 20 21
10%
10 14 16 17
女性就業者数
0
0%
100
200
300
その他
400
500
図4 20-39歳女性の労働力状態
45% 46% 48% 47%←「主に仕事」
万人
2,000
の比率(右軸)
38%
1,500 771 675 561 525
482
1,000
主に仕事
403 家事のほか
仕事
750 783 825 761
500 652 680
0
2005
図3 女性就業率の推移
百万人
万人→ 0
2000
1000 2000 3000 4000 5000
家事
176
115 資料: 図1に同じ
224
79
200 59
154
161 85
143
158 108 110
163 108 93
187 108
128
193
112
189
20~24歳
25~29
30~34
35~39
40~44
45~49
50~54
55~59
1995
0
家事のほか仕事
1985
万人→
主に仕事
1980
主に仕事
3,409 1,682
家事のほか仕事 806
通学の傍ら仕事
男
休業者
女
完全失業者
1,655
家事
資料: 2005年国勢調査
通学
1%抽出推計
その他 827 869
1990
2005年・日本国居住者(外国人含む)
家事
その他
資料:
図3に同じ
広島県の数字をみると
44
女性就労率の高い福井県の場合
45
日本経済再生の鍵:女性就労促進
46
女性の就労を増やすことで:
・家計収入が安定し、保育所を利用でき、出生率が上がる
・家計所得が増え、税収が増え、年金も安定する
・女性の収入が増え、モノ消費が増え、消費税収も増える
女性経営者を増やすことで:
・消費者の感性に対応した商品を出せる企業が増える
・客を軽んじ自分の権威にこだわる類の男性経営者を減らせる
しかもコストはない:
・外国人受入と違い教育コストは低く、福祉コストも増えない
・生きがいのある元気な日本人が増える
47
地域活性化の鍵:女性経営者増加
日本はモノ余り・カネ余りの高度消費社会 → 客はバブル
期までとは別人種 → 欲求が高度化、抽象化、多様化
→ 自分自身が客としてのセンス・能力を磨いていない人間
(豊かさを知らない人間)にこれからの経営はできない
ところが多くの地方では、客の気持ちに無関心な高齢の
男性が、30年前のままの感覚でトップを取り続けている
→ そのために客が逃げ、経済の衰退が著しい
地域活性化のためにいま一番必要なのは、地域の様々な主導
的立場から、その任にない人や団体を退場させ、新しい人材
や団体に厳しい役割を与えて練成していくこと
必要なのは、性別年齢を問わない地域の人材力の総結
集 → 結果として必ず、女性が地域づくりの前面に出てく
48
障害は男の側の「人格形成不全」
・ 男女共同参画の最大の障害は、女性への
侮りが染み付いた、一部男性の存在
彼らにして見れば:
・男の方が、より能力のある女性よりも地位を得やすい
今までの世の中の仕組みは、ライバルが減って好都合
・「しっかりした個を確立し、集団に頼らない本当の自信
を持つ」ことができていないので(人格形成不全)…
→自分が「男であること」「女ではないこと」という、
個性とはいえない、大ざっぱなものに、自分自身の心
の支えを頼ってしまっている
49
女性側にも求められる課題克服
・ 男社会のシステムに浸った多くの女性の、
経験不足と、主張の弱さ、受身の態度
・「女の敵は女」というさみしい状況 - が
んばる同性を支援できない心の貧しさ
・ 結局は、腹を据えて表に立ち、批判を堂々
と受ける女性の増加が、世の中を変える
50
経営者/団体トップ層へのご忠言
× 若い者は根性が足らん、景気が回復すれば乗り切れると信じる
←→ 景気回復(実は現役人口増加)が企業戦略の
不在を糊塗してくれた時代は二度と来ない。
根性ではなく理性、高度成長へのノスタルジー
ではなく未来に生き残っていく勇気が必要。
× 女は使えない、女はすぐ辞める、女の給料は低くていい、と信じる
←→ 女性を使えない、女性が辞めていく、女性に
いい給料を払えない組織からつぶれていく。
× 収入減を人件費カットと労働強化でしのぐ
←→ 値上げできる商品・サービスを開拓し、高い給
料に見合う力のある部下を育て、賃上げで地
域市場を、時短で地域の出生を拡大する。
51
人口成熟時代の市場活性化
× 大量生産・低単価の商品を世界中から調達して廉価販売
→ 地域地域の生活文化に支えられた、その地域で
しか作れない、ハイセンスで、少量生産で、高単
価の「地域ブランド商品」の流通促進・普及促進
× 減り続ける現役世代や、財政窮乏の公共の財布を奪い合う商売
→ 高齢者の貯蓄や、アジアで増える中上流層の所
得を狙って、モノやサービスを売る商売への脱皮
× 中高年退職で減る人件費を投資とR&Dに回し、国際競争に対処
→ 中高年退職で減る人件費で若者の給与を上げ、
女性を再雇用し、日本の内需を維持・高度化
退職年齢に達した世代への期待
52
× まだまだ若い者に負けず、企業経営者としてばりばりと働く
←→ 働く若い女性の代わりに家事を引き受け、
余った時間は心豊かに遊び、貯金を地域内で
きれいに使い切り、後の世代に雇用と文化と、
老後はこう暮らすんだという手本を残す
× 地域社会のリーダーとして、生き生きと活動する
←→ 人に指図せず、権限闘争、路線闘争もせず、
人目につかないところで黙々と世間さまの お
役に立ち、一隅を照らす存在になる
× 世の中の根本の誤りを正し、日本社会を正しい方向に導く
←→ 口よりも手を動かして身近な人の役に立ち、
地域と親族から愛され惜しまれる人となる