アメリカ型経済と 日本のゆくえ

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Transcript アメリカ型経済と 日本のゆくえ

創業時の資金調達
~日本と各国の比較~
宇和島商工会議所青年部例会
2006年6月21日(水)
松山大学経済学部 掛下 達郎
1
はじめに
• 金融庁
地域密着型金融の一層の推進
「リレーションシップバンキングの機能強化
に関するアクションプログラム」 2003年
• 皆様の創業時の資金調達
(苦しいというのが本音・・・)
銀行融資,信用保証協会,県,
株式発行,社債発行
2
日本の有担保原則
• 銀行融資
担 保
保証人
(根抵当) (連帯保証人)
• 有担保原則
昭和恐慌 1927年8月
無担保コールによる台湾銀行の破綻
• 1985年7月 無担保コールの開始
• 担保融資の形式化
3
東京タワー,借金100億円のカタ 元社長が事業に失敗
東京タワーが100億円分の借金の担保に取ら
れていることがわかった。東京タワーを経営する
日本電波塔の社長だった前田福三郎氏(64)が
ゴルフ場開発に失敗。日本電波塔が債務の肩代
わりを迫られ、タワーと敷地を担保に銀行から借
金したのだ。損失は120億円を超える。2011年
度に新東京タワーが完成すれば、現タワーの収
入は激減しかねず、首都のシンボルは、バブル
のツケと未来の存在意義に頭を悩ませている。
つまずきの原因は、3代目社長福三郎氏がバ
ブル期に手がけたゴルフ場開発だった。
しかし、思うように会員権が売れず、営業赤字も
続いて借金を返せなくなった。銀行団は99年、日
本電波塔に債務保証の履行を求めた。
残った債務は123億円。日本電波塔は99年12月に福三郎氏を社長か
ら解任。00年、東京タワーの敷地と建物を担保に銀行から100億円を借り
入れ、自己資金の23億円を加えて全額肩代わりした。登記簿には今も100
億円を限度額とする根抵当権が設定されているが、同社によると、すでに5
3億円は返済したという。
『朝日新聞』2006年6月18日,1面
2002.4.8 無担保・無保証人融資制度実現に向け一歩
前進 県保証協会と今治市へ今治民商が再度要請
今治市を窓口とする『無担保・無保証人融
資制度』の実現を目指して、今治民商は、1
昨年より今治市議会に『請願書』を提出し、
市議会や、市当局に懇談や申し入れを行っ
ていましたが、4議会を経て、『継続審議』の
末、廃案となりました。
県信用保証協会との交渉
そこで改めて会長を先頭に3月22日に
愛媛県信用保証協会に『申し入れ・交渉』を
行い、「今治市からこのような制度を創りた
いと話があれば、役員に話をして積極的に
進める。」という回答を持って4月8日に今
治市議会議長と産業部長・商工労政課長に
対して、要請を行いました。
川野議長は、「県の保証協会が、そういう事であれば、実現に向けて一歩前進する可能性
が出てきたということですね。話を進めてみるから、この件は預からせてほしい。」と快く答えて
くれました。
井出産業部長も、「新任でよく分からないが、全国的にも広がっているので、調査し検討した
いと思います。」と約束
私達は、今治地域の中小業者の実態を話した上で、地域の産業や経済を守るためにも、早
期に実現してほしいと再度、要請を行いました。
今回の要請には、小野会長、小野副会長、田部事務局長が参加し、日本共産党の山本市
議が同席しました。今治民主商工会 http://www.icknet.ne.jp/~min3704/imamin02.htm
愛媛県信用保証協会 1
• 信用保証料 年0.5~2.2%
創業関連保証制度
1,000万円
創業等関連保証制度 1,500万円
• 小口連携保証(トライアングル500)
保証限度額 5,000千円
貸付利率
通常金利より0.3%引き下げ
保 証 人 法人 原則代表者1名
推薦機関:各商工会議所,愛媛県法人会
連合会(法人会,税理士会,青色申告会)
6
愛媛県信用保証協会 2
• 中小企業活性化支援保証
保証限度額 3,000万円
保 証 人 個人 不要
法人 1名以上(代表者含む)
• 支店長推薦保証(提携)
保証限度額 3,000万円
保 証 人 法人 1名以上(代取含む)
個人 不要
7
経産省の公的信用保証改革
「連帯」巡り協会と対立(霞が関風速計)
中小企業が融資を受ける際、国が保証人となる「公的信用保証
制度」の改革を巡り、経済産業省と一部の信用保証協会が対立し
ている。保証協会が家族や知人などの第三者に求めてきた「連帯
保証」を経産省は原則廃止。回収率の低下を懸念した協会側は、
例外規定を使った連帯保証継続の余地を探っている。
経産省は全国五十二の保証協会に通達を出し、四月一日から
連帯保証をやめるよう要請した。自殺や連鎖倒産など連帯保証が
社会問題化していたのが背景だ。
今回の改革では一律一・三五%だった保証料率を、返済リスクに
応じ九段階の変動制に移行。リスクが高い企業に対し高い料率を
適用できるようにし、焦げ付きの損失を補てんしやすくした。このた
め「連帯保証は不要になった」というのが経産省の言い分だ。
中小企業庁はそうした保証協会を「野放しにすることはできな
い」とし、今後抜き打ち調査などによって公正に保証制度が実施さ
れているかを徹底する構え。国が中小企業の信用力を補完する制
度に連帯保証は本来、不要なはず。国の信用力が問われる。
『日経金融新聞 』 2006年4月17日,2面
信用保証制度の展望
貸し手責任へ
アメリカの中小企業庁(SBA)
1954年~ 融資残高の90%まで支払保証
→ 残りは貸し手責任
[参考]
現在,2~3割が連帯保証人をつけている
『日経新聞』 2006年3月20日, 1面
9
(財)えひめ産業振興財団
• 小規模企業者等への資金貸付
無利子貸付額
創業後5年以上
4,000万円
創業後1年以上5年未満 6,000万円
創業1年未満
4,000万円
連帯保証人 法人:代表者1名と他2名
個人:申込者本人を除く2名
不動産担保 創業5年未満の企業は必要
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愛媛県のベンチャー支援事業
• 未来型知識産業創出支援事業
(アクティブ・ベンチャー支援事業)
3,000万円×1/年
• 新規成長ビジネス創出等支援事業
1,000万円
/年
• ミニ・アクティブ・ベンチャー支援事業
250万円×7/年
• 南予地域密着型ビジネス創出支援事業
100万円
/年
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アメリカの個人保証制度
かならず事前に
「責任の範囲はどこまでか?」
「個人保証はしてもいいが、全額保証は嫌
だから○割だけ責任を負うというようにして
もらえないか?」
などと確認・交渉の余地がある
http://www.nekojiro.net/rentai/index.html
12
ドイツの連帯保証制度
• 小規模家族経営の会社の社長は会社の借り
入れのときに連帯保証人となることが一般的。
• 社長の家族もしばしば資産隠し防止のために
保証人となることが求められる。
• ドイツでは1999年まで免責制度がなかったた
め連帯保証人は一生支払い義務があった
(ただし最低限の生活は保証される)。
• 1994年に連邦通常裁判所で「保証人の支払
い能力を超える保証契約は、公序良俗に反
13
す」の判決。
フランスの個人保証制度
• 家族経営の小規模企業では行われている。
• 近年保証機関が充実してきたため、個人保証
を求めるケースは少なくなってきている。
• 素人保証人についての法的保護は充実してお
り、保証人が契約内容を知らずにサインした場
合は保証契約自体が無効となる。
• 「私は検索の抗弁の権利を放棄し、**と連帯
して責任を負います」のような書類を本人の手
書き(**部分)で作成することを求めている。
『連帯保証制度問題研究所』; 升味佐江子「欧米
なみの個人保証人保護を日本にも」
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銀行によるプロジェクトの審査
貸出
銀行
企業
投資
プロジェクト
プロジェクトに関する情報は銀行より
企業が正確に把握している
モニター
銀行の特別の役割 (メインバンク制)
15
アメリカの担保融資 1
• 1930年代~ プロダクション・ペイメント
当初は,すでに産出された石油を担保とした
商品担保の比較的短期の在庫金融
次第に,地下に埋蔵されたものをも担保とし
た長期貸付へと発展
• 1950年代後半~ オイル・ペイメント
石油またはそれに相当する代金の受領権
産出物またはそのキャッシュフローだけが担
保
Moore (1959)
アメリカの担保融資 2
• 1970年代~ プロジェクト・ファイナンス
プロジェクト・ファイナンスでは,リミテッド・
リコース(限定償還請求権付き)が主流
cf. 1972年 北海油田
リミテッド・リコースとは,貸し手が限定され
た範囲で借り手にリコース(償還請求)でき
ることをいう。この場合も,当該プロジェクト
のキャッシュフローに限定して償還請求
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新興市場(株式発行)
• 日 本
1999年 東証マザーズ
2002年 大証ヘラクレス
1999年 名証セントレックス
2000年 札証アンビシャス
2000年 福証Qボード
1963年 店頭市場 → ジャスダック
• アメリカ
1971年 NASDAQ (店頭市場)
エンジェル(投資家)の存在
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日本の社債発行
• 現状 中小企業の社債発行が困難
• 対策 信用保証協会,県の保証
アメリカの社債・普通株の無担保化
• 19世紀 アメリカの鉄道社債の無担保化
→ 収益力が実質的な担保
• 20世紀への転換期 普通株の無担保化
収益力担保へ
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展 望
• 日本経済は引き続き好況
• 信用保証協会の連帯保証制度が原則廃止
保証額がいくらかが明確に
→ 残りは貸し手責任
• 銀行融資はキャッシュフロー・ファイナンスへ
→ 貸し手責任へ
• 株式,社債発行 → 投資ファンドの成長
• 担保・保証人制度は小さくなるが残る
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