科学概論

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科学概論
2005年1月20日
酒居敬一([email protected])
http://www.info.kochi-tech.ac.jp/k1sakai/Lecture/N2004/
星の誕生と終末

星の一生は、その星の質量に左右される
体積:太陽の数百倍~数十分の1
 密度:

• 赤色巨星は約10万分の1グラム
• 太陽は1cm3あたり1.41グラム
• 超高温であるいっぽうで超高圧なため水より密度が高い
• 白色矮星は10~100トン
• 電子の縮退圧で支えられている
• 中性子星は5億トン
• 中性子の縮退圧で支えられている
• これを超える圧力がかかると重力崩壊を起こす
星の明るさと温度
星の実際の明るさ=絶対等級
星が地球から32.6光年にあるときの「明るさ」
32.6光年=10パーセク
 表面温度の高い星は青白く、低い星は赤く見える


さそり座の1等星アンタレスは赤っぽく
• 表面温度が3000度付近

こいぬ座の1等星シリウスは青白っぽく
• 表面温度が2万度くらい

スペクトルを調べれば表面温度が推定できる
ヘルツシュプルング・ラッセル(HR)図
縦軸に絶対等級、横軸にスペクトル型
(表面温度)をとった恒星の分布図
 デンマークのEjnar Hertzsprung
 アメリカのHenry Norris Russell により
独立に提案

[JAXAのページより]
恒星の一生におけるHR図上
での移動




星雲から原始星が誕生する。原始星は表面温度は
低いが直径が主系列星よりも大きいので絶対等級
は明るく、HR図上では主系列の上方、赤色巨星の
下部に位置する。
中心核の温度が上昇し、核融合反応が始まると星
は原始星から主系列星となり、その質量に応じた主
系列上の位置に移動する。
質量が大きい星ほど核融合反応が激しく、表面温
度が高く絶対等級も明るくなるから主系列の左上の
方に位置する
主系列上に位置する時間の長さは恒星の質量によ
る。質量が大きい星ほど核融合反応が激しく進行
するので水素の枯渇が早く主系列上に位置する時
間が短い。

原始星
重力による収縮で輝き始める
 中心温度が1000万度を超えると核融合する

• 0.08太陽質量が限界

主系列星


中心で核融合が安定して進行している星
巨星
中心の水素が減少し、老年期に入った星
 重い星の場合は、鉄までが核融合される

• 鉄は原子核の核子1個あたりの質量が最小
• 鉄は質量欠損が最大ともいう

矮星(主に白色矮星)

核融合が停止して一生を終える星
[Astronomy Magazine Nov. 2004]
[Astronomy Magazine Nov. 2004]
[Astronomy Magazine Nov. 2004]
軽い星の最期

0.46太陽質量以下
ヘリウムの核融合を起こせない
 赤色巨星となりある程度のガスを放出
 ヘリウム型の白色矮星となる


4から0.46太陽質量

ヘリウムの核融合が始まる(1億5000万度)
• 炭素・窒素・酸素までの核融合がすすむ
• それ以上は核融合しない
赤色巨星になってガスを放出(惑星状星雲)
 白色矮星となって一生を終える

[Astronomy Magazine Nov. 2004]
重い星の最期

4~8太陽質量の星
炭素どうしの核融合がすすむ(約0.1秒間)
 その後、超新星爆発を起こし何も残らない


8太陽質量以上の星
炭素どうしの核融合の後でも崩壊しない
 引き続き鉄までの核融合が進行する
 鉄の芯が大きくなってくると、鉄が光分解する

• 吸熱反応である
• 急激に圧力がさがる。爆縮をおこす。

超新星爆発を引き起こし中性子星が残る
[Astronomy Magazine Nov. 2004]
超新星爆発
爆縮の衝撃波により外層を急激に放出
 爆縮のときウランなどが生成される
 超新星爆発の後に残された中心核が太陽
質量の3倍以上あると中性子星の段階を過
ぎ、ブラックホールになる
 放出されたガスは超新星残骸と呼ばれる

Super Nova Remnant
 白鳥座の網状星雲
 おうし座のかに星雲

中性子星
陽子と電子が結合した状態の中性子星とな
り周期的な電波を出します
 半径で10km程の中性子星が毎秒数万から
数十回も高速自転しながら周期的な電波を
発している

パルサーと呼ばれる
 角運動量が保存されるため、高速回転する


現在まで500以上のパルサーが発見
[Astronomy Magazine Nov. 2004]
チャンドラセカールの限界
1930年代、インドのチャンドラセカール
 白色矮星の上限の質量を決めた
 白色矮星内の縮退電子圧が支える圧力は太
陽質量の1.4倍までであるとした
 すなわち赤色巨星となった老年期の星達も外
層を放出し、残った中心核が太陽質量の1.4
倍以下の星が白色矮星となるのです
 星の進化のプロセスで太陽の4倍位の星まで
がチャンドラセカールの限界に入り白色矮星
となる
