Transcript グローバル・ビジネスと知的財産権戦略 1

グローバル・ビジネス論
Nov.14,2011
産業の知識集約化(技術集約化）
Knowledge-based Economy
新製品開発の必要性
研究開発費の増大
開発技術の防衛と有効利用
1




産業の知識集約化と新製品開発の重要性
Nov. 7
グローバルビジネスと知的財産権戦略
Nov.14
休講（秋季入試）
Nov. 21
ゲストスピーカー
「トヨタのグローバル戦略」鵜沢氏
Nov.28
2
市場占有率・利益率・R&D費/売上高
R&D(研究開発）=Research and Development
Market Share 10 - 20%
20 - 30%
30 - 40%
40% -
利益率
3.4%
4.8%
7.6%
13.2%
R&D費/売上高
2.4%
2.8%
3.2%
3.6%
野口・林・夏目『競争と協調の技術戦略』ミネルヴァ書房
HBR, Jan-Feb, 1975(米国企業75社）
3
日本製造業の研究開発集約化
R&D Intensity of JPN Manufacturing Industries
売上高/
研究開発費比率
研究開発本務者数
/ 正規従業員1万人
（単位：人）
研究開発本務者数
/ 従業員数
（単位：人）
1960
0.88
149
67名に一人
1970
1.38
180
56名に一人
1980
1.63
323
31名に一人
1990
3.36
517
19名に一人
2000
3.70
776
13名に一人
1050(1,625*)
9.5名に一人
(1/6.2*）
2010
4.17(6.34%)*
出所：総務省『科学技術研究開発調査報告書』各年版
4
日本製造業の技術集約化 ３
設備投資額(A) 対 研究開発費(B): B/A
（単位：億円）（下段）は資本金１００億円以上
75
80
85
90
95
30.1% 36.8% 51.9% 43.4% 65.7%
34%
51.7%
73%
99
2000
69.6
72.2%
66.6% 96.1% 110.3 126.3%
総務庁『日本統計年鑑』『科学技術研究調査報告』より作成
5
The Number of Researchers per 10,000
(population/people)
1965
1971
1981
1991
2001
Japan
12.0
18.5
33.5
48.6
59.0
USA
25.5
25.2
29.7
38.7
45.2(2000)
UK
－
13.8(1972)
22.5
22.3
27.0
Germany
10.8(1968)
16.8(1975)
20.8
30.2
32.2
France
9.7(1966)
11.7
15.4
22.2
29.1
Korea
1.0(1966)
1.7
5.4
17.6
37.8
Source: OECD, Main Science and Technology Indicators
6
研究開発生産性の低下
『平成15年版科学技術白書』
7

研究費 / GNP : 日本








1971年 1.63%
1975年 1.72%
1980年 1.91%
1985年 2.49%
1990年 2.74%
1995年 2.68%
2000年 2.92%
2004年 3.14%
米国2002年の研究費 /GNP=2.61%(人文・社会科
学も含む、日本の同数値は2004年：3.41%) 8

研究（技術）開発

新技術の開発

新製品の開発

高いマーケットシェア

高価格・高利潤率

研究開発費への充当
9
研究開発
新技術の開発ー模倣
技術独占ー崩壊
新製品ー他企業の参入
利益率の低落
10
知的所有権の重要性
新技術・アイデアの開発・創造
知的所有権による保護
技術独占＝参入障壁
高価格＝高利益率
知識資本主義時代の知識労働の成果を防衛
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Intellectual Property Rights
工業所有権
知的所有権
(=知的財産権)
特許権
商標権
意匠権
著作権
半導体集積回路の回路配置権
種苗法：植物新品種保護権
営業秘密
12
特許権（Patent )
開発技術の独占的使用権



自然法則を利用した技術的思考の高度なもの
出願の日から２０年間有効
近代特許法の成立：イギリス・１６２４年
産業革命の制度的（技術的）基盤を整備
Ｊ．ワット、アークライト、－－－－産業革命を牽引した
重要技術は特許権化
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海外からの技術導入
特許ライセンス契約に関する実態調査：発明協会（1998年）
～2%
2% - 5%
5% - 8%
8%～
Total
医薬品
3(3.4)
28(32.2%) 30(34.5%)
26(29.9)
87(100.0)
金属
15(31.3)
24(50.0%)
6(12.5%)
3(6.2)
48(100.0)
精密機器
7(14.6)
20(41.6%)
6(12.5%)
コンピュータ分
野
8(11.8)
30(44.1%)
5(7.4)
電子・通信用
部品
9(10.1)
42(47.2%) 15(16.9%)
3(6.3%) 48(100.0)
6(8.8)
68(100.0)
3
14
89(100.0)
特許戦略をめぐる駆け引きは
Water Polo
15
狙った事業への進出を断念

東洋紡とジェネンテック社との紛争
1987年：ジ社が東洋紡を特許侵害で提訴
生産・販売差し止め仮処分申請
：バイオによって開発された血栓溶解剤に関する技術
1991年：大阪地裁は東洋紡社に対して同製品の生産・
販売差し止め判決
同製品は東洋紡社が同分野への進出を始めて１３年目にして開発
に成功した製品、１９９１年に販売開始
東洋紡：１９９６年、医薬品製造の受託事業を本格的に開始
東洋紡バイオロジックス（株） （２００７年社名変更）
：２０１０年現在従業員数５７名:
16
Hoberman Designs Inc
米国での独占的使用権
USA
国内特許出願
USA
H社
日本での独占的使用権
JAPAN
EXPORT
特許出願
特許出願
EXPORT
China
中国での独占的使用権
17
商標権（Trade Marks)
名称の排他的使用権
＊文字・図形もしくはこれらの結合、または
これらと色彩の結合
＊登録の日から１０年間
＊ダンヒル・シャネル・・・・・・の名称の不正使用
＊ニセブランドの例：
CAMON / CANNON / NILKON
18
19
意匠権（Industrial Design)
外観の排他的使用権

登録の日から１５年間
車・家電・アパレル・・
20
著作権（Copy Rights)
思想または感情を製作したものであって、
文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するもの
 出願の必要なし
 創作の時から著作者の死後５０年間、ベルヌ条
約に加盟する国すべてに適用される
公表後70年
 著書・小説・詩・美術品・音楽CD、映画のビデオ、

コンピュータソフト・ゲームソフト
21
黒澤明監督「七人の侍」
1953年（東宝）
著作権法第５４条
（映画の著作物の保護期間）
映画の著作物の著作権は、その著作物の
公表後７０年
映画の著作権は、原則として映画製作者（監督・プロデューサー）(制作会社ではない）
著作者財産権 ：創作の時点で著作者個人が専有するが、譲渡、相続することができる
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営業秘密(Trade Secrets)１
ノウハウ：製造方法・組成・処方・加工方法・
運搬方法・測定方法・材質・仕様・設計、等
例： 焼酎・Chartreuseリキュール・ラーメン・
半導体・コカコーラ・相模ゴム・
村田製作所・Zildjam家のシンバル・
シャープ・・・・
23
営業秘密(Trade Secrets) ２
営業情報
 新製品の発表時期
 発売時期
 設定価格
 流通経路、等々

24
転職の時代には要注意
営業秘密の漏洩は処分の対象
不正競争防止法
情報窃盗罪の創設（2009年4月改正）

転職（＝退職）の際のノウハウ・情報の
持ち出し

自分の技術・ノウハウを活かした転職＝
同業他社＝競合企業の可能性大
米国では経済スパイ法が適用
25
改正平成18・法律 ４６号(未)
(施行＝平２１年４月１日)
不正競争防止法案

営業秘密を保有者から示された役員又は従業
者であって、不正競争の目的で、営業秘密の管
理に係る任務に背き、その営業秘密を使用し、
又は開示したものは、十年以下の懲役若しくは
千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
詐欺等行為又は管理侵害行為により取得した企
業秘密を、不正競争の目的で、使用し、又は開
示した者は、十年以下の懲役若しくは千万円以
下の罰金に処し、又はこれを併科する。
法人は３億円以下の罰金。
26
ICT ＆ 市場と競争のグローバル化
参入の脅威がグローバル化
技術・名称・形・営業情報
の排他的使用権の確保
研究開発と
新製品開発
の重要性
知的所有権による
グローバルな
参入障壁の構築
国際経営戦略を優位に展開
知識資本主義時代の知的財産権の戦略的重要性
27
日本製品の模倣品製造国
65.5%
52.3%
China
China
32.8%
32.8%
Taiwan
Taiwan
22.9%
18.1%
18.1%
17.6%
17.6%
19.7%
22.5%
22.4%
Korea
Korea
Thai
6.5%
641 JPN Companies reporting infringed.
2004
出所: 日本特許庁(2005)(2007), 『模倣品による侵害実態調査報告』
2006
28
日本企業が自社製品を海外拠点に移管するまで
の日本での生産年数
（1985-1997)
1985 - 89
1990 - 1996
1997 -
12.3
17.3
31.9
10.8
19.2
13.0
5 – 10 years
26.2
21.2
11.6
10 – 20 years
23.1
20.2
23.2
More than
20 years
27.7
22.1
20.2
Less than
2 years
2 – 5 years
299
Source: Hayashi(2000),P.
M.ポーターの戦略論と競争優位の源泉
業界内でのPositioningー市場環境や競争環境のような外部要因
5 Forces
新規参入企業
の脅威
既存企業間
の競争関係
売り手
売り手の交渉力
買い手
買い手の交渉力
代替製品
からの圧力

基本的な競争戦略



コスト・リーダーシップ
差別化
集中
Value Chain
Trade Off
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競争優位の源泉としての企業組織内部への着目
１）資源ベース論(RBV)
Resource Based View
企業が保持する固有の資源こそが持続的競争優位をもたらす
VRIO Framework




V: Value （経済価値）
R: Rarity (希少性）
I: Inimitability (模倣困難性）
O: Organization (組織）

J.Barney, Gaining and Sustaining Competitive Advantage
31

講義内容「国際技術戦略と知的財産権」
に対する質問とコメント
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１２月１３日：特別講義
「グローバル・ブランド戦略」
元AGF
マーケティング部長
元Dupont 社 Marketing Director
：簗瀬允紀氏
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