ワーク・ライフ・バランスの社会的意義 ~地方都市から男性の働き方を考える~

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Transcript ワーク・ライフ・バランスの社会的意義 ~地方都市から男性の働き方を考える~

ワーク・ライフ・バランスの社会的意義
~地方都市から男性の働き方を考える~
日本総合研究所主任研究員
池本美香
E-mail:[email protected]
2008年3月21日
広島大学地域経済システム研究セン
ター
1
目次
1.ワーク・ライフ・バランスが注目される背景
2.日本の子育ての現状
3.なぜライフではなくワークに向かうのか
4.ワーク・ライフ・バランスの社会的意義
5.諸外国におけるワーク・ライフ・バランス施策
6.地方都市におけるワーク・ライフ・バランスの可能性
参考文献:
池本美香『失われる子育ての時間』勁草書房、2003年
池本美香「乳幼児期の子どもにかかわる制度を再構築する」日
本総研『Business & Economic Review』 2007年12月
2
1.ワーク・ライフ・バランスが注目される背景
• ワーク・ライフ・バランスとは
仕事と生活(家事・育児・介護・地域活動・趣味・学習等)の調和
仕事時間の長さ+配分の問題(日・週・年・生涯、男女、社会)
• 出生率の低下・労働力人口の減少
出生率の回復+女性の就業促進+労働生産性向上
が課題に
• 諸外国と比べた男性の労働時間の長さ
女性の育児休業取得率の低さ、出産退職の多さ
• 保育サービス整備中心の少子化対策に対する反省
長時間労働のストレス、育児不安の高まり
男性の働き方の見直し、地域の子育て支援の必要性
3
合計特殊出生率の国際比較
0
0.5
1
1.5
2
2.5
2.05
アメリカ
2.01
ニュージーランド
1.94
フランス
1.80
イギリス
スウェーデン
1.77
1.63
O EC D 平均
ドイツ
1.34
イタリア
1.34
1.29
日本
韓国
1.16
(注)2005年頃のデータ
(資料)O EC D , Babies and Bosses - Reconciling Work and Family Life: A Synthesis of Findings for
4
OECD Countries
合計特殊出生率の推移
2.20
2.01
2.00
1.80
1.77
1.60
1.40
1.32
日本
フランス
1.20
スウェーデン
1.00
1985
1990
1995
(資料)国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」
2000
2005
(年)
5
人口構造の変化
(出所:平成18年版少子化社会白
書)
6
少子化対策の流れ
1986年 男女雇用機会均等法
→1989年 合計特殊出生率1.57ショック
1992年 育児休業法(95年より育児休業給付金)
1994年 緊急保育対策(時間延長保育、低年齢児保育など)
2001年 保育所の待機児童ゼロ作戦(認証保育所、預かり保
育、定員弾力化、公設民営化等)
→「女性の働く権利」を重視した保育サービスの整備が中心
2002年 少子化対策プラスワン(働き方の見直し等)
2003年 次世代育成支援対策推進法(自治体・企業による行動
計画策定)
2007年 次世代育成支援対策推進法による企業の認定
2008年 内閣府「仕事と生活の調和」推進室
7
→ワーク・ライフ・バランスと地域の子育て支援へ
労働時間の国際比較
2,000
30
1,804
1,800
1,600
1,775
28.1
1,672
1,587
25
1,535
1,435
20.0
20
1,200
15.5
1,000
15
(%)
(時間)
1,400
800
10
600
年間平均労働時間(2005)
400
200
5.7
5.3
週労働時間50時間以上の労働者
の割合(2000)
5
1.9
0
0
スウェーデン
フランス
ドイツ
イギリス
アメリカ
日本
(資料)O EC D , D atabase on Labour Force S tatistics, ILO ,W orking tim e and w orker's preferences in
industrialized countries: Finding the balance 2004
(出所)厚生労働省資料
8
夫の仕事・通勤時間の国際比較
(時間)
0
1
2
3
アメリカ
6
7
8
9
0.8
6.1
4.5
0.5
フランス
4.9
スウェーデン
4.9
イギリス
5
7.5
日本
ドイツ
4
仕事と仕事中の移動
通勤
0.6
0.4
5.6
(注)アメリカの移動は関連する行動に含まれる。
(資料)総務省統計局「平成18年社会生活基本調査」
0.7
9
夫の家事・育児時間、自由時間の国際比較
0
日本
1
2
1.3
3
4
5
6
3.1
4.4
ドイツ
3.0
4.7
スウェーデン
イギリス
2.5
(時間)
8
家事と家族のケア
自由時間
3.0
アメリカ
フランス
7
3.9
3.4
2.8
4.2
4.0
(資料)総務省統計局「平成18年社会生活基本調査」
10
9
女性が職業を持つことについての考え
45
40
40.4
35
34.9
女性は職業をもたない方がよい
結婚するまでは職業をもつ方がよい
(%)
30
子どもができるまでは、職業をもつ方
がよい
25
20
子どもができても、ずっと職業を続け
る方がよい
15
子どもができたら職業をやめ、大きく
なったら再び職業をもつ方がよい
10.2
10
その他
6.7
5
わからない
0
1992
1995
2000
2002
2006
(調査年)
(資料)内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」
11
第1子出産前後の女性の就業状況の変化
(資料)厚生労働省「第1回21世紀出生児縦断調査」(2002年)
12
子どもの出生年別にみた
第1子出産前後の妻の就業経歴
0%
20%
1985-89年 5.1
19.9
1990-94年
8.0
16.4
1995-99年
10.3
12.2
2000-04年
13.8
11.5
40%
60%
80%
100%
35.7
34.6
4.7
37.7
32.3
5.7
32.0
6.1
39.5
41.3
就業継続(育児休業利用)
出産退職
その他・不詳
25.2
8.2
就業継続(育児休業利用なし)
妊娠前から無職
(資料)国立社会保障・人口問題研究所「第13回出生動向基本調査(夫婦調査)」
13
6歳未満の子を持つ母の就業率
0
10
20
30
40
50
60
70
スウェーデン
77.5
54.0
アメリカ
48.5
OECD平均
41.4
ドイツ
(資料)OECD, Society at a Glance 2005
85.0
36.0
59.5
59.2
57.1
42.5
イギリス
日本
90
61.3
64.7
フランス
ニュージーランド
80
(%)
100
57.0
49.2
1990年
2002年
37.2
35.2
14
男女賃金格差の国際比較
0
韓国
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
0.57
0.61
日本
ドイツ
イギリス
アメリカ
O EC D 平均
スウェーデン
フランス
ニュージーランド
(注)男性の賃金を1としたときの女性の賃金水準。賃金は正規雇用者。
(資料)O EC D , Em ploym ent O utlook 2007 P .268
0.63
1
1995年
2005年
0.69
0.77
0.76
0.73
0.79
0.75
0.81
0.77
0.81
0.81
0.85
0.9
0.89
0.85
0.91
15
家庭養育上の問題
0
10
20
30
40
(%)
60
50
問題がある(計)
しつけや子育てに自信がない
親(保護者)と子の接触時間が不足している
養育費に困っている
親類や近所づきあいが乏しい
子育てと社会参加との両立が難しい
家族の協力が得られない
住宅が狭い等居住環境に悩んでいる
平成元年
平成6年
平成11年
その他
問題はない
(注)18歳未満の児童のいる世帯対象。
(資料)厚生労働省「全国家庭児童調査」
16
2.日本の子育ての現状
• 家庭環境
未婚率の高まり、母子家庭の増加、母親のストレス(理
想と現実のギャップ)
• 子どもの保育環境
認可外保育所の増加、保育所の定員弾力化、長時間保
育、学童保育の大規模化など、保育の質の低下
• 地域環境
近所づきあいの減少、治安の悪化、情報化・ネット社会、
環境汚染など
17
未婚率の推移
(%)
70
男性30代前半
60
59.0
男性30代後半
54.0
女性20代後半
50
48.0
女性30代前半
47.1
42.9
40.2
40
37.3
30.6
28.1
30
20
10
24.0
21.5
20.9
7.2
4.7
14.3
7.7
6.1
9.1
8.5
14.2
10.4
32.0
26.6
25.7
19.0
18.1
11.7
32.6
30.0
22.6
19.7
13.9
0
1970年
1975年
(資料)総務省「国勢調査」
1980年
1985年
1990年
1995年
2000年
2005年
18
母子世帯の増加
(
千世帯)
800
母子世帯
700
691
父子世帯
597
600
543
508
483
500
439
400
374
300
200
100
95
99
102
65
84
83
79
0
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
(注)母子(父子)世帯は配偶者のいない65歳未満の女(男)と20歳未満のその子のみで構成される世帯。
(資料)厚生労働省統計情報部「厚生行政基礎調査報告」「国民生活基礎調査」
19
(
年)
夫(パートナー)が1週間に料理する回数
(ニュージーランド・日本)
0%
ニュージーランド
日
20%
7
本 2
9
7
40%
33
11
60%
16
20
80%
16
100%
19
58
2
ほぼ毎日
週に1日
週に4、5日
月に2、3日
週に2、3日
全くしない
(注)ニュージーランドはオークランドとウェリントンで2002年2月に35~44歳の有配偶女性が回
答。日本は東京で1999年7月に妻年齢が35~44歳の核家族世帯の夫が回答したもの。
(資料)財団法人家計経済研究所「ニュージーランドの家族・家庭生活」
20
児童相談所における児童虐待相談対応件数
(
件)
40,000
37,343
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
(
年)
(資料)厚生労働省
21
認可外保育施設数の推移
(施設)
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
1996
1997
1998
1999
2000
事業所内保育施設
その他認可外保育施設
私立認可保育所
2001
2002
2003
2004
2005
(年)
ベビーホテル
公立認可保育所
認可外保育施設合計
(資料)厚生労働省「社会福祉施設等調査報告」、厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課
22
保育所の定員弾力化を実施している市町村割合
0%
1999年
2005年
10%
20%
30%
40%
51.5
50%
60%
5.9
69.1
弾力化を実施している市町村
70%
80%
100%
42.6
11.8
弾力化を認めている市町村
90%
19.1
弾力化を認めていない市町村
(注)保育所のある市町村数に対する割合。10月1日現在。弾力化を認めていない市町村に
は、待機児童がいないため必要ない市町村を含む。
(資料)厚生労働省「地域児童福祉事業等調査」
23
就学前教育・保育への公費支出の対GDP比
0.0
0.5
1.0
1.5
(%)
2.5
2.0
2.0
デンマーク
ノルウェー
1.7
スウェーデン
1.7
1.3
フィンランド
1.0
フランス
0.80
ハンガリー
0.55
オーストリア
0.50
イギリス
アメリカ
0.48
ドイツ
0.45
オランダ
0.45
0.43
イタリア
オーストラリア
0.40
カナダ
0.25
日本
0.26
(
注)
O EC D ,Starting Strong Ⅱ(2006) p.105 0~6歳の2004年の数値。
日本の数値は、認可保育所および幼稚園への公的補助(
保育所の地方追加額は含まない)
をもとに計算。
24
家族関係社会支出の対GDP比(2003年)
0.0
0.5
1.0
フランス
1.5
2.0
1.4
スウェーデン
2.5
3.0
1.6
1.6
3.5
(%)
4.0
0.8
1.9
0.0
イギリス
2.2
0.8
1.2
ドイツ
0.8
1.3
OECD平均
ニュージーランド
1.0
0.9
1.9
0.4
0.2
0.4
0.0
アメリカ
0.6
0.7
0.1
イタリア
0.6
0.7
0.0
日本
0.30
0.44
0.47
現金給付
韓国
サービス
税控除
0.0 0.1 0.0
(注)家族手当、育児休業給付、保育サービス等で、住宅補助、医療費補助は含まない。2003年のデータ。
25
(資料)Social Expenditure Database
近所づきあいの程度
0%
20%
40%
1975
60%
52.8
1986
(
調
査 1997
年
2004
22.3
11.8
32.4
42.3
21.1
100%
32.8
49.0
) 2002
80%
14.4
35.3
48.3
49.4
16.7
23.3
21.9
0.8
1.8
3.8 0.4
5.3 0.4
6.8
0.4
5.8
0.6
親しく付き合っている[
よく付き合っている]
付き合いはしているがあまり親しくはない[
ある程度付き合っている]
あまり付き合っていない
付き合いはしていない[
全く付き合っていない]
わからない
(
注)[ ]
内は2002年、2004年調査の選択肢
(
資料)
内閣府「社会意識に関する世論調査」
26
3.なぜライフではなくワークに向かうのか
• 労働・所得環境 雇用不安、正社員と非正社員の格差が長時間
労働を促進、教育費のための長時間労働
• ライフの大切さについて議論することへの抵抗 女性の社
会進出に逆行
• 「家庭より仕事優先」の上司の影響? 再チャレンジの難し
さ、新しい父親・母親像が実現しにくい
• 1960年代生まれ以降の世代の特徴 競争的価値観、「社
会力」不足、育った家庭環境が父親不在・近所づきあいなし、豊かな
ライフの体験がない、女性の高学歴化
• ビジネスチャンスとして広がる保育・教育サービス 少子
化で乳幼児期に企業が進出、雇用創出への期待
• ライフの環境の貧困さ 住環境、地域社会の厚み
27
非正規雇用者の増加
0
1985年
1990年
1995年
2000年
2005年
1000
2000
3343
3488
3779
3630
3374
正規雇用者
3000
4000
5000
(万人)
6000
655
881
1001
1273
1633
非正規雇用者
(資料)2000年までは総務省「労働力調査(特別調査)」(2月調査)、2005年は総務省
28
「労働力調査(詳細集計)」(年平均)による。
耐久消費財普及率の推移
(%)
100
90
80
70
60
50
40
電気冷蔵庫
30
電気洗濯機
電気掃除機
20
10
カラーテレビ
乗用車
0
60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85
(年) 29
(資料)内閣府経済社会総合研究所「家計消費の動向-消費動向調査年報-」
きょうだい数(生まれた年別)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
30~34年生まれ
4.8
9.3
15.9
21.4
48.7
35~39年生まれ
4.8
8.7
17.2
20.0
49.4
40~44年生まれ
4.9
45~49年生まれ
4.9
50~54年生まれ
4.3
55~59年生まれ
11.4
7.6
65~69年生まれ
6.7
70~74年生まれ
6.2
75~79年生まれ
6.9
24.4
16.2
28.0
25.5
6.1
60~64年生まれ
20.5
28.6
35.0
18.7
12.3
30.4
52.3
31.7
55.7
2人
9.8
7.9
32.3
54.9
1人
16.5
33.0
49.2
100%
38.8
22.3
38.8
90%
4.9
6.8
5.0
32.2
3人
4人
(資料)厚生省人口問題研究所「現代日本の世帯変動-第3回世帯動態調査(1994年)-」
3.4
5人以上
30
1.9
2.1
1.8
4.ワーク・ライフ・バランスの社会的意義

企業・経済力の視点
企業の生産性、人材確保、国際競争力、出生率回復

子どもの権利の視点
子どもにとって親子一緒の時間+親の精神的余裕が必要。
虐待等のリスク軽減など、子どもの福祉向上につながる。
教育の充実は将来の人材育成にもプラス。
• 大人の権利の視点
働く権利(特に女性)、子育てをする権利(特に男性)、学習の権利、
ボランティア活動の権利など。
人付き合いの豊かさ(ソーシャル・キャピタル<社会関係資本>)、
自己実現が精神的な健康につながる。医療費削減にもプラス。
31
5.諸外国のワーク・ライフ・バランス施策
• 諸外国の労働政策の動向
育児休業の父親割当(ノルウェー6週間、スウェーデン60日、ド
イツ2ヶ月)、父親の出産時休暇、短時間勤務、学期勤務、
在宅勤務、フレックスタイム、看護休暇、在宅育児手当(ノ
ルウェー、フィンランド)など
• ワーク・ライフ・バランスを支える保育・教育環境
親の参加+親の学習の促進、保育・教育施設における
就労支援、幼児教育の無償化(ニュージーランド、フランス、ス
ウェーデン、イギリス)
• ワーク・ライフ・バランスを支える都市環境
緑地の充実(ドイツ)、ボランティアの活性化(イタリア)
• ワーク・ライフ・バランスを支える思想
1989年国連「児童の権利条約」、権利擁護の独立機関
の設置(ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、フランス等) 32
諸外国における育児に関する休業制度
育児休業 産休を含 うち給付 育児休業の 育児休業 給付金の 父親休暇
期間(月) めた産後 のある期 権利
給付の水 対象
(○給付
の休業期 間(月)
準(注)
あり・△無
間(月)
給)
オーストラリア
12
12
0
家族
無給
-
オーストリア
22
24
24
家族
50%未満 全家庭
-
ベルギー
6
9.5
9.5
個人
50%未満 休業者
○
カナダ
8.5
12
11.5
家族
50%以上 休業者
△
デンマーク
7.5
10.5
10.5
家族
50%以上 休業者 ○2週間
フィンランド
36
36
36
家族
50%以上 休業者 ○3週間
フランス
33
36
36
家族
50%未満 休業者
○14日
ドイツ
34
36
14
家族
50%以上 休業者
-
ハンガリー
31.5
36
36
1歳まで母親 50%以上 休業者
-
アイルランド
6.5
12
0
個人
無給
-
イタリア
10
12.5
12.5
個人
50%未満 休業者
-
オランダ
6
8.5
2.5
個人
無給
休業者 ○2日間
ノルウェー
10
11.5
11.5
家族・個人 50%以上 休業者 △2週間
ポルトガル
6
11.5
5.5
個人
無給
休業者
○
スウェーデン
16
16
16
家族・個人 50%以上 休業者
○10日
イギリス
5-6
18
0
個人
無給
○2週間
アメリカ
0
0
0
-
-
-
-
日本
10
12
12
個人
50%以上 休業者
-
(注)50%未満は、休業前賃金の50%未満の給付もしくは対象者・対象期間が限定的。
50%以上は、休業者全員に50%以上の給付(ただし全期間とは限らない)。
フランスの給付期間は、第一子については6ヶ月。
(資料)OECD, Starting Strong ⅡP.24 Table1.1をもとに日本総研作成
看護休暇
(○給付
あり・△無
給)
-
○
△
△
-
△
△
○
○
○
△
○
○
○
○
△
-
△
33
ニュージーランド プレイセンター(協働保育施設)
活動理念
“Families growing
together” を表すロゴマーク
絵本の読み聞かせをする親↑
■保育所、幼稚園に次ぐ第三の
幼児教育施設
■全国に約530ヶ所
■50年以上前から政府が補助
幼児教育や運営に関する知識を
身に付ける親の学習会 →
34
フランス 親保育園
crèche parentale
 親も保育活動に参加する形態
 ある園では、親が少なくとも週に半日は保育に参加し、二週
間に一回食事当番や子どもの外出の手伝いをする。
 親が子どもの生活をよく知ることができる、保育士のやり方
から親が学ぶことができる、親同士、親と保育士の協力関係
によい影響がある。
スウェーデン 親組合保育所
親が組合を作って保育士を雇う方式の保育所
待機児童対策として始まったが、親が運営に深くかかわり、
親の意見が保育に反映しやすいことから、現在も支持され
ている。
35
イギリス 子どもセンター
Children’s Centre
• 保育所・幼稚園の施設に、親や地域住民を対象とし
たサービスや学習の場を設けることで、親や地域住
民のネットワーク作りや生活の質向上を図り、幼児教
育の質向上につなげようという試み。
• 精神的・経済的に不安定になる乳幼児期の親が立ち
寄る場所に、就職支援、就職のための学習の場、女
性の健康づくり(ヨガなど)の場を作ることで、乳幼児
期の家庭を安定させる効果。
• こうした総合施設への1ポンドの投資は、他のサービ
スへの8ポンドの効果に匹敵するという財政面での効
果も指摘されている。
36
ドイツ クラインガルテン(小さい庭)運動
ー子どもの健康には土と緑が必要―
■1919年に法整備
■一区画100坪、100~200
区画で一地区を形成
■25年以上の長期利用
■自主運営(クラブハウス)
■自然保護、余暇の充実、
家族の会話など
高齢者の生きがいとして
「病院よりクラインガルテンを」
ドイツでは園舎を持たない「森の幼稚園」活動も盛ん。
参考文献:今泉みね子、アンネッテ・マイザー著『森の幼稚園』
37
イタリア 時間銀行
■近隣の助け合いの復活・学び合いの促進
■国内約300ヶ所
←ローマの時間銀行で
使われている小切手
時間銀行の仕組みで
行われている英会話教室 →
参加には保証人が必要。
信頼できる人間関係を築くきっかけに。
38
6.地方都市における
ワーク・ライフ・バランスの可能性
• 中国地方の父親の帰宅時間が早い。平均労働時間が長
いのは、多くの人が働いているから?
• ワーク・ライフ・バランスはコミュニティ、保育・教育環境、
雇用機会、自然環境等のバランスのとれた地方都市が
リードできる可能性大。実現にむけての課題は・・・
• 良質な雇用機会 格差の縮小
• ライフを楽しめる都市空間づくり 放課後子ども教室「広島オリ
ジナル」の親の学習プログラム、学校の森(新潟県長岡市)、プレイ
センター(北海道恵庭市)など
• 新しいライフスタイルの発信 新しい父親像で、子どもの福祉・。
教育の質向上、出生率向上、生産性向上の好循環を目指す。
• 子どもの権利など人権の視点からの議論 ワーク・ライフ・
バランスを経済効果だけでなく権利保障として議論すべき。
39
平日の帰宅時間が23時以降翌朝3時未満の父親の割合
(就学前児童のいる父親)
(%)
25
20.5
20
15
13.7
11.9
10.1
10
12.7
12.8
12.3
6.8
8.9
9.0
四
国
九
州
5.9
5
0
全
国
北
海
道
東
北
南
関
東
北
関
東
北
陸
東
海
近
畿
中
国
・
甲
信
越
40
(資料)(株)UFJ総合研究所「子育て支援策等に関する調査研究」(厚生労働省委託(2003年3月))
地域別にみた男性の平日の帰宅時間
0%
20%
40%
60%
80%
100%
平均
帰宅時間
19:37
全国
広島県
19:09
関東大都市圏
19:57
中京大都市圏
19:50
京阪神大都市圏
19:47
3大都市圏以外
19:19
17時以前
17時台
18時台
19時台
(資料)総務省統計局「平成18年社会生活基本調査」
20時以降22時まで
22時以降
不詳
41
地域別にみた男性の仕事時間
(週全体・一日当たりの平均)
(分)
0
50
100
150
200
250
300
350
全国
317
広島県
札幌大都市圏
仙台大都市圏
関東大都市圏
静岡大都市圏
331
296
304
319
307
中京大都市圏
京阪神大都市圏
広島大都市圏
338
301
333
北九州・福岡大都市圏
321
8大都市圏以外
319
(資料)総務省統計局「平成18年社会生活基本調査」
42
地域別にみた仕事をしている人の割合
(男性・15歳以上)
0
10
20
30
40
50
60
(
%)
70
全国
広島県
札幌大都市圏
仙台大都市圏
関東大都市圏
静岡大都市圏
中京大都市圏
京阪神大都市圏
広島大都市圏
北九州・福岡大都市圏
8大都市圏以外
(
資料)
総務省統計局「
平成18年社会生活基本調査」
43
学校の森
 1986年から学校に森をつくる活動がスタート(写真:新潟県長岡市川崎小学
校)。2004年よりNPO学校の森が、学校での森づくりを支援。
 子どもたちのストレスを解消。
 自然、地域社会から閉ざされていた学校を開く効果。幼稚園児なども散歩で
訪れ、幼小連携にも効果。
 子どもたちが木を植え、地域の後援会とともに森を維持していくことで、いの
ちとのつながり、地域とのつながり、未来へのつながりを実感できる場となる。
 幼稚園の事例としては、四日市市まきば幼稚園(2000年)がある。
 韓国でも、1999年より「学校の森」づくり国民運動がスタート。自治体や企業
などの援助も得て広がっている。
(今井重孝・佐川通編『学校に森をつくろう!』より) 44
プレイセンター・ピカソ
(東京都国分寺市)
• 日本プレイセンター協会
(http://www8.plala.or.jp/playcentre)
の講座を受講した元幼稚園教諭ら
が中心になってスタート。
• 北海道恵庭市では、マニフェスト
にプレイセンター活動の導入を取り
上げている。
45
スウェーデンの父親
• 1歳までに父親の50%が育児休業を取得
育児休業の取得はプラス評価。育児休業を取得したこと
のある上司は、より人間的で信頼がおける。オープンに
話し合って仕事を調整する関係を築くことは、仕事の生
産性を高めるという考え方。
• 看護休暇の43%は父親が取得
• 80%の父親が出産休暇を取得
• 保育所の利用時間(週平均)は31.9時間
内閣府「少子化社会に関する国際意識調査」(2006年3
月)
• 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方:
賛成 日本57.1% スウェーデン 8.7%
反対 日本37.7% スウェーデン90.7%
• 子どもを生み育てやすい国かどうか:
そう思う 日本47.7% スウェーデン97.8%
46
末子3歳以下のカップルの帰宅時間(スウェーデン・日
本)
(%)
(%)
0
10
20
30
0
40
15時頃まで
18時頃まで
16時頃
19時頃
17時頃
20時以降
40
60
80
20時頃
18時頃
19時頃
20
21時頃
スウェーデン・男性
スウェーデン・女性
22時以降
決まっていない
決まっていない
家にいることが多い
日本・男性
日本・女性
家にいることが多い
その他
その他
(資料)内閣府経済社会総合研究所「スウェーデン家庭生活調査」
1週間に家族全員で夕食を取った回数 2回以下
7回
スウェーデン48% 日本21%
スウェーデン15% 日本52%
47
都道府県別合計特殊出生率(2006年)
1.8
1.74
1.6
1.4
1.37
1.29
1.2
1.02
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
沖 宮 島 鳥 鹿 福 佐 熊 福 長 山 大 長 香 滋 栃 岡 山 岩 静 新 広 愛 群 石 愛 茨 岐 三 秋 富 山 和 高 青 徳 福 全 兵 宮 埼 千 神 大 奈 京 北 東
縄 崎 根 取 児 井 賀 本 島 崎 形 分 野 川 賀 木 山 口 手 岡 潟 島 媛 馬 川 知 城 阜 重 田 山 梨 歌 知 森 島 岡 国 庫 城 玉 葉 奈 阪 良 都 海 京
島
山
川
道
48