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(2)株式の流通市場
(b)未公開株取引市場
• 金融ビッグバンの中で97年、日本証券業協会が未
公開株を取引するグリーンシート市場を開設
• 証券会社が売り気配・買い気配を提示し、証券会社
の店頭で売買(マーケット・メイカー)。PTSを使って証
券会社間を仲介。
• 登録銘柄:34銘柄(2014年8月、2004年96銘柄)、上
場廃止となった銘柄も登録可能(フェニックス銘柄)
• cf.米国の未公開株市場:マーケット・メイカー制
– OTCブリティンボード市場(登録銘柄:約2500)、OTCマー
ケッツ(登録銘柄:9694):両者に重複あり
– 日本証券経済研究所『アメリカの証券市場2013年版』
p.146-51
1
(3)ベンチャー企業向け株式市場:新興市場
• 東証マザーズ:1999年11月開設、現在 ( 14.9.30 )192社上場
• 新ジャスダック市場:853社登録
– 1983年:店頭市場開設:中堅企業・ベンチャー企業向けの市場(2001
年にジャスダック市場に名称変更)
– 2000年5月:大証にナスダック・ジャパン開設
– 2002年12月:ナスダック・ジャパン、ヘラクレスに名称変更(ナスダック
の撤退により)
– 2010年ヘラクレス市場とジャスダック市場を統合(新ジャスダック市
場)
• 東証・大証合併2013.1.後も、マザーズとジャスダックは併存
(両方とも東証傘下)
• 上場基準を安易に緩めると、問題のある企業が上場し、投
資家に損失を与える危険性がある
2
・新興市場の株式上場基準:形式要件
東京証券取引所HP
3
・東京証券取引所上場基準(その1)
東京証券取引所HP
4
・新興株式市場におけるIPO(新規株式公開)の推移
社数
日本の新興株式市場
新規上場企業数の推移
・米国IPO件数推移
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2014年は9月まで
・2014年は9月まで
・IPO件数は、米国でも世界
金融危機以降急減、
しかし2010年には回復
5
○ベンチャー株式市場:株式公開までの期間
・創業から公開までの期間が短縮
・公開までの期間:
楽天(2000年上場):3年2ヶ月、
ライブドア(2000年上場、2006年
上場廃止):4年
日経新聞12.03.29.
・米国IPO企業の平均年齢
・中国深圳証券取引所の新興
市場「創業板」(09年10月開
設)の初期の上場企業(28社)
平均年齢:10歳
日経2010.01.14
6
・ライブドア事件(06年1月)以降、上場企業の不祥事も重なり
ベンチャー株式市場の取引は低迷していたが、アベノミクスに
よる株式市場の活況・株高の中で新興市場でも取引高急増
新興市場売買高:兆円
日経
08.1.28.
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2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2014年は9月まで
7
新興市場売買高/東証一部
の比率%
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日経
08.1.28.
.標準
.標準
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2014年は9月まで
・日本の新興株式市場の構造的問題点:取引が個人に偏って
おり、機関投資家の参加が少ない
・株価が投機的に乱高下しやすい
8
・日経平均株価
・東証
マザーズ
指数
・JASDAQ
INDEX
9
(4)株価の決定理論
・ 株式:
- 株式会社に対する所有権を細かく等分し、それを表示
した有価証券(株券)
・ 株主の権利:
–①
- ②
- ③(会社解散時の)
○配当割引モデル:
- 上記②の観点から株価の決定メカニズムを考える
10
• 株式からは、i年後にDi円の配当を受取る
ことができる(と見込まれている)。
受取配当
1年後
2年後
3年後・・・
D1
D2
D3 ・・・
11
• 株式:配当を受け取る権利(利益配当請求権)
• 株価=
1年後
受 取 D1
配当
現 在 D1/(1+r)
価値
2 年後
3年後…
D2
D3…
D2/(1+r)2
D3/(1+r)3…
金利: r
・
12
• 1年後に受け取る100円の現在価値?
– 現在時点で x 円を持っており、1年間運用して
金利を稼げば、1年後に元利合計で100円を受
取ることができる。
– 1年後の100円と現在の x 円とは同等の価値
を持つ。
– 1年後の100円の現在価値は x 円
– 金利を5%とすると、
– 1年後の100円の現在価値は 95 円
13
• 2年後に受け取る100円の現在価値?
– 現在時点で x 円を持っており、2年間運用し
て金利を稼げば、2年後に元利合計で100円
を受取ることができる。
– 2年後の100円の現在価値は x 円
– 金利を5%とすると、
–
– 2年後の100円の現在価値は 91 円
• 株価
•
: ①式
14
・毎年一定の配当を受け取る株式のケース
従って、D1= D2 = D3= ‥‥=D 、①式より
株価P=D/(1+r)+ D/(1+r)2+ D/(1+r)3+‥‥ :②式
等比数列の無限和(無限等比級数):
公比 1/(1+r) 初項 D/(1+r)
P=初項/(1-公比) if |公比|<1
株価P=
D /(1  r )
1
1
1 r
=
:③式
・
例えば、配当D=50円、金利5%(r=0.05)なら、
株価
15
○株式投資のリスク
• 将来の株式配当は、確定しておらず不確実
– D1 , D2 , D3 ,・・・は平均的に見込まれる大きさ
(期待値)
– 1年後の100円:不確実でリスクのある100円は
安全確実な100円より低く価値を評価する
16
• 不確実でリスクのある1年後の100円の現在価値
– 100/(1+r+δ)
– δ:
•
cf. 「④式についての厳密な説明」
– δの大きさを規定する要因:
• その企業の株式配当の不確実性・リスク↑⇒ δ↑
• 投資家のリスク回避度↑⇒ δ↑
• 株式投資のリスクを考慮した上での株価の決定
• 株価
•
: ④式
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・毎年一定の配当を受け取る株式のケース
従って、D1= D2 = D3= ‥‥=D 、④式より
株価P=D/(1+r+δ)+ D/(1+r+δ)2+ D/(1+r+δ)3+‥‥
:⑤式
等比数列の無限和(無限等比級数):
公比 1/(1+r+δ) 初項 D/(1+r+δ)
P=初項/(1-公比) if |公比|<1
株価P=
D /(1  r   )
=
1
1
1 r  
:⑥式
・
例えば、配当D=50円、金利5%(r=0.05)、リスクプレミアム
3%(δ=0.03)なら、株価
18
○企業が成長し、1株当りの企業収益、配当も毎年増大
(成長率g)するケース
D1= D, D2 = D(1+g), D3= D(1+g)2, ‥‥
では、株価Pを表す式⑥はどう変わるか?
・株価P=D/(1+r+δ)+ D(1+g)/(1+r+δ)2
+D (1+g)2/(1+r+δ)3+‥‥
:⑦式
等比数列の無限和(無限等比級数):
公比 (1+g)/(1+r+δ) 初項 D/(1+r+δ)
D /(1  r   )
=
・株価P=
1 g
1
1 r  
:⑧式
19
• 株価の決定要因:
• 例えば、配当D=50円、金利5%(r=0.05)、リスクプ
レミアム3%(δ=0.03)、企業成長率4%(g=0.04)な
ら、
• 株価
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◎④式についての厳密な説明
○株式投資の予想収益率E(R0)
=[予想配当+予想キャピタルゲイン]/投資額
=1株当り[予想配当D1+予想キャピタルゲイン]
÷現在の株価P0
1年後の予想株価E(P1)-現在の株価P0
E(R0)={D1+E(P1)-P0}/P0
: ①式
将来の配当・株価は、確定しておらず不確実であ
る。
D1,E(P1), E(R0)は平均的に見込まれる大きさ
(期待値)
21
• 投資家の資産選択
– 預金・債券に投資 or 株式に投資
収益率は
金利rで確定
収益率は不確実で
平均値がE(R0)
投資家は一般にリスク回避的と考えられる:
予想収益率 i.e. リターンが同じなら、リスクの
あるものより安全確実なものを好む。
すると E(R0)=r なら、投資家は安全確実な
預金・債券投資を好む
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• 投資家が株式を保有(に投資)するためには、
• E(R0)>r となることが必要。
• E(R0)=r +δ (δ>0) の時、投資家は預金・債券投
資と株式投資とを同等(無差別)だと見なす。
• δはリスクプレミアム:
– 投資家がリスクのある株式を保有するために、そ
のリスクの埋め合わせとして必要とされる予想収
益率の(安全確実な金利に対する)上乗せ分
• δの大きさを規定する要因:
– その企業の株式の不確実性・リスク↑⇒ δ↑
• より正確には、分散投資によっても削減できない、その企業株式
のリスク(分散不能リスク)↑⇒δ↑ cf. 前期第3章(2)資産運
用・投資におけるリスク分散
– 投資家のリスク回避度↑⇒ δ↑
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○投資家の資産選択と株式投資収益率
• 預金・債券に投資(収益率=金利r) or
株式に投資(収益率E(R0)) ⇒有利な方に投資
• E(R0)>r+δ なら、株式投資が有利
⇒株式が買われる⇒株価P0上昇
⇒①式より、株式投資の収益率E(R0)低下
• 逆に、E(R0)<r+δ なら、E(R0)上昇
• 結局、最終的には E(R0)=r+δ が成立。
①式より E(R0)=(D1+E(P1)-P0)/P0=r+δ
∴ 現在の株価P0= (D1+E(P1))/(1+r+δ ): ②式
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• では、 ②式の中の1年先の株価E(P1)はどう決定
されるのか?
– 1年先にも現在時点と同様の資産選択(預金・
債券or株式)が行われると考える。単純化して、
1年先の金利も現在と同じ r と仮定。
– ②式を導いた論法を1年ずらして、1年先の時
点での資産選択について適用する。
時間
現在
1年先
2年先
25
– 1年先から1年間株式に投資した場合の予想収
益率をE(R1)とすると、①式と同様に
– E(R1)= (D2+E(P2)-E(P1))/ E(P1) で
あり、
– これが資産選択行動の結果、金利プラス株式
投資のリスクプレミアム r+δ に等しくなる。
– E(R1)=(D2+E(P2)-E(P1))/E(P1)
=r+δ より
• よって、
E(P1) = (D2+E(P2))/(1+r+δ ):③式
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• ③式を②式に代入
D1
D 2  E ( P 2)

P0=
2
1  r δ (1  r δ)
上の式のE(P2)について同様の代入操作を行い、
さらにE(P3)、E(P4)・・・に同様のプロセスを繰り返
すと、結局
・株価P0=D1/(1+r+δ)+ D2/(1+r +δ)2
+ D3/(1+r +δ )3+‥‥
: ④式
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