syoukennsijyouron141105

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○前回の授業の補足説明
• 配当割引モデルによる株価Pの決定式
• P = D/(r + δ -g) :⑧式
• 株価Pの決定要因:配当D、配当増大率(企業成長率)g、金利
r、リスクプレミアムδ
• 配当D↑⇒株価P↑
• 成長率g↑⇒株価↑、 金利r↑⇒株価↓
• リスクプレミアムδ↑⇒株価↓
• なぜ、金利r↑⇒株価↓ ?
– ⑧式導出の計算上は、金利r↑⇒将来受取配当の現在価
値↓ ⇒株価↓
– 直観的説明:株式と国債・預金(金利商品)との資産選択
を考えると、金利↑⇒金利商品の魅力増大⇒株式から金
利商品への資金シフト⇒株価↓
1
(5)株式投資の指標
・配当利回りYield
=
・配当利回りが高い株:
割安株
cf.
日経14.9.3.
・東証一部上場銘柄の
配当利回りの平均:
1.66% (2014年10月27日時点)
2
・配当利回りと長期金利
• 世界的に
– 1950年代まで:配当利回り>長期金利
– 1960年代以降:配当利回り<長期金利(
)
• 日本:2000年代に両者が同水準、2008年以降は配
当利回りが高い(
)
• 米国・ドイツ:2008年の金融危機以降の長期金利の
急低下の中で、配当利回りが高い(逆利回り革命)
– ドイツ:2008年以降、米国:2010年以降
3
日経2011.9.22.
日経12.6.28
4
日経13.2.28
5
・(4)株価の決定理論
・株価P= D/(r+δ-g)
:⑧式
D:配当
r :金利
δ :リスクプレミアム
g :配当成長率(企業成長率)
・⑧式が成立しているなら、
配当利回りD/P=r+δ-g :⑨式
成長率が高い時は、キャピタルゲインが大きい
6
• ⑨式より
• 配当利回りが長期金利より高くなる要因:
–
– or 長期金利の低下は一時的なもので、その内長期金利は上
昇と見なされている(⑧式が一時的に成立していない)
– 米国(2014.9.30):配当利回り(S&P500)2.04%
–
<長期金利(10年物国債利回り)2.495%
–
7
・PER:Price Earnings Ratio
株価収益率
=
株価が年間企業利益の何倍か
(何年分の利益に相当するか)を
示す
– 株価の割安(低PER)・割高の
指標 (高PER)
・ 東証一部上場銘柄
平均PER(14.10.27):15.71倍
cf. フェイスブック110倍(株式
公開時点)
日経14.6.4.
8
2014.10.27.
現在のPER:
日経平均:15.71
S&P500:18
日経12.6.5.
第一投資顧問「日本株:歴史的な買いの好機?」
9
• 企業の成長性との関連
– ⑧式が成立しているとすると、⑧式の両辺を企業収益
Eで割ると
– P/E(=PER)=D/E÷(r+δ-g)
–
=配当性向/ (r+δ-g)
: ⑫式
• 日本企業の収益成長が余り期待できなくなって
きたことを反映
10
・
・米国S&P500:PER推移
・米国において1990年代末から2000年代初頭にかけて、
株式バブル(ITバブル)が発生し、PERが急上昇
11
○アベノミクスと株価
• PER(株価収益率)の観点からの株価変動の分析
• 日経平均株価の動き
• 2012年11月14日:8664円→2014年10月31日:16413円:株価
上昇率89%
• その間の予想PER変化:13.58倍→16.63倍:PER上昇率22%
12
•
•
•
•
株価P = P/E×企業収益E = PER×E
株価の上昇P+ΔP = (PER+ΔPER)×(E + ΔE)
(P+ΔP)/P =(PER+ΔPER)/PER×(E + ΔE)/E
1+株価上昇率 = (1+PER上昇率) ×(1+ 予想企業収益
増大率)
• 1 + 0.89= (1+0.22) ×(1+ 予想企業収益増大率)
• 予想企業収益増大率= 0.55 (55%)
• 株価上昇89%は、PER上昇による部分が22%と企業収
益増大による部分が55%
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• アベノミクスによる株価上昇効果
• =アベノミクスによるPER上昇効果+アベノミクスによる企業収
益拡大効果
• ⑫式:P/E(=PER)=D/E÷(r+δ-g)=配当性向/ (r+δ-g)
• アベノミクス→今後の中長期的成長期待の高まり( g の上昇)
→PERの上昇、と考えることができる(PERの上昇はアベノミクス
の効果によるもの)。
• 当面の企業収益E拡大の要因
• 日本経済の景気の好転・拡大と円安効果
• 景気の好転・拡大
– アベノミクスの効果というより、日本の景気が2012年秋に
底を打ち、自立回復の局面にあったことが大きい。
– アベノミクスはこうした景気回復の動きを促進
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・日本の景気動向:一致指数の推移
・2012年
11月が底
内閣府
・経済成長率の推移:GDP実質成長率、年率換算
2012年: 7-9月
4-6月
‐1.2%
‐3.5
10-12 2013
月
年1-3
月
1.1
4.1
4-6月
3.4
7-9月
10-12 2014年
月
1-3月
4-6月
1.8
-0.5
-7.1
6.0
15
・円安はアベノミクスによるものか?
2012年
9月
2013年
• 円安自体はアベノミクス開始前に始まる:2012年10月初め
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– 円安への転化の要因
• 日本の貿易収支が赤字に転化・定着
• 欧州金融危機の鎮静化(2012年9月以降)にともなう、世
界の投資資金のリスクオフ(安全資産としての円買い)か
らリスクオン(リスク資産への投資・安全資産である円売
り)への変化
– アベノミクスはこうした円安の動きを促進
• アベノミクスの株価上昇効果
• =アベノミクスによるPER上昇効果22%+企業収益拡大の中
でアベノミクスによる部分の大きさ(55%の中でどの位?)
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・PBR:Price to Book Value
Ratio
株価純資産倍率
=
総資産-負債
=
PBRが1以下は、生きている企業の
価値が解散価値以下
:資本が有効に活用されていない企業
or 割安に放置されている株
・東証一部上場銘柄
平均PBR(14.10.27):1.28倍
日経13.4.18.
日経14.5.14
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○2014年10月時点の株式指標:( )内は2013年10月時点
配当利回り
PER
PBR
トヨタ
2.66%
(2.09)
11.89倍
(14.51)
1.46倍
(1.77)
ホンダ
2.64
(2.11)
10.05
(11.84)
1.01
(1.36)
日産
3.48
(3.09)
10.55
(10.45)
0.98
(1.18)
NTTドコモ
3.44
(3.90)
15.81
(13.17)
1.34
(1.24)
ソフトバンク
0.53
(0.57)
19.37
(18.68)
4.55
(5.36)
東証一部平均
1.66
(1.32)
15.71
(16.25)
1.28
(1.65)
2014年10月28日の株価で計算、配当利回り、PERは予想
www.nikkei.com/markets/kabu
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