CMBの弱い重力レンズ効果精密測定に向けた方法論の構築と宇宙論へ
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CMBの弱い重力レンズ効果精密測定に向けた
方法論の構築と宇宙論への応用
並河 俊弥 (東大)
2012/12/22@筑波
Cosmic Microwave Background (CMB)
CMBの精密測定
WMAP
COBE
taken from http://lambda.gsfc.nasa.gov/
宇宙のエネルギー組成はflat ΛCDM モデルでよく記述できる
今後はより進んだ課題
ダークエネルギー
ダークマター
ニュートリノ質量
原始重力波
原始非ガウス性
宇宙紐
・・・
宇宙論的観測
宇宙論的観測
CMB
Ia型超新星
バリオン音響振動
銀河団統計
弱い重力レンズ
21cm輝度温度揺らぎ
・・・
Weak lensing
密度揺らぎ、宇宙膨張の双方にsensitive
銀河バイアスによる不定性がない
さらにCMB lensing の場合は、他の弱い重力レンズと比べ、光源 (CMB)
の統計的性質がよく分かっている
CMBの弱い重力レンズ
CMBの弱い重力レンズ =
重力レンズにより、CMBの揺らぎのパターン
が歪められる現象
(Review: Hanson+’10, Lewis&Challinor’06)
最終散乱面
Θ 𝑛+𝑑
Θ 𝑛
𝒅 曲がり角
Θ 𝑛
観測面
時間
レンズを受けた揺らぎ
レンジング・ポテンシャル(レンズ場)
Θ(𝑛) = Θ 𝑛 + 𝑑(𝑛)
𝛻 −2
𝜒𝑠
0
重力場
𝜒𝑠 − 𝜒
𝑑𝜒
𝜓(𝜂0 − 𝜒, 𝜒𝑛)
𝜒𝜒𝑠
CMBにおける重力レンズの測り方
パワースペクトルを利用
〈 𝚯ℓ 𝟐 〉 = 𝑪𝚯𝚯
ℓ
𝝓𝝓
レンズ場の推定、レンズ場のパワースペクトル(𝑪ℓ )は困難
統計的性質の違いを利用(レンズ場の再構築)
=各方向のレンズ場の測定
銀河の弱い重力レンズなど、種々の観測量との相関量の測定
その他
原始非ガウス性の推定に用いられている統計量
(Minkowski Functionals)など
CMBの弱い重力レンズの測定方法の改良
CMB lensing reconstruction
レンズ効果
(Review: Hanson+’10)
レンズを受けた温度揺らぎには、レンズ効果によるmode couplingが含まれる
Θℓ = Θℓ −
𝑑 2 𝐿 ℓ ⋅ 𝐿 𝜙𝐿−ℓ Θ𝐿
異なるモードどうしの相関 𝚯ℓ 𝜣𝑳 (ℓ ≠ 𝑳) をとることでレンズ効果を取り出せる
Estimator
(𝐶)
𝜙𝐿
(e.g., Hu&Okamoto’02; Hanson+’09)
(𝑆)
𝑆
= 𝜙𝐿 − 〈𝜙𝐿 〉
(𝑆)
𝜙𝐿
=
(𝐿 ≠ 0)
Mean-field bias: 重力レンズ以外の効果(mask,
inhomogeneous noise, beam asymmetry, …)で生じる
𝜙
𝑑 2 ℓ 𝐹ℓ,𝐿 Θℓ Θ𝐿−ℓ
Θℓ =
Θ𝐿
𝐶𝐿ΘΘ
Mean-field bias
Mean-field bias の例 (マスク)
(𝑺)
𝝓ℓ
Mean-field bias を抑制する方法
(𝑺)
mean-field bias: 〈𝝓ℓ 〉
(TN,Hanson&Takahashi+’12)
レンズ場のestimator以外にmask field のestimator を用意し、「うまく」
組み合わせてmean-field bias が消えるようなレンズ場の推定量を提案
勾配・カール成分
曲がり角
scalar
linear density fluctuations
𝑑 𝑛 = 𝛻𝜙 𝑛
勾配
+(⋆ 𝛻)𝜔(𝑛)
カール
vector, tensor
magnetic fields
rotation in 2D
from ESO
カール成分の応用
宇宙紐・重力波・磁場の検証
系統誤差の確認
cosmic strings
gravitational waves
from NASA
カール成分を含めたEstimator の定式化
観測された揺らぎの積を用いてestimatorを定義
(𝑋𝑌)
𝜙ℓ𝑚
(𝑋𝑌)
𝜔ℓ𝑚
= −1
𝑚
= −1
𝑚
𝑋𝑌
𝐹ℓ𝐿
1 𝐿2
ℓ 𝐿1 𝐿2
X
𝑌
−𝑚 𝑀1 𝑀2 𝐿1𝑀1 𝐿2𝑀2
𝑋𝑌
𝐺ℓ𝐿
1 𝐿2
ℓ 𝐿1 𝐿2
X
𝑌
−𝑚 𝑀1 𝑀2 𝐿1𝑀1 𝐿2𝑀2
𝐿1 𝑀1 𝐿2 𝑀2
𝐿1 𝑀1 𝐿2 𝑀2
Mode coupling
𝑋ℓ𝑚 と 𝑌ℓ𝑚 : レンズを受けた揺らぎ(Θℓ𝑚 , 𝐸ℓ𝑚 , or 𝐵ℓ𝑚 )
重み関数は、以下の条件から決める
1. 勾配・カールの推定量には、それぞれカール・勾配の寄与を含まない
2. 上記の推定量にはprimaryなCMB揺らぎの寄与が含まれるため、その
寄与が最小になるようにする
その結果、勾配・カールのパリティが違うことで、上記2つの条件を満たす
重み関数が存在し、さらに観測量で表せることが分かった
CMB・銀河の弱い重力レンズを用いた宇宙論への示唆
宇宙論への応用の現状:勾配成分
近年のCMBの弱い重力レンズ効果の検出
WMAP + Atacama Cosmology Telescope (ACT)
(Das+’11)
WMAP + South Pole Telescope (SPT)
(van Engelen+’12)
Angular power spectrum of lensing potential
SPT
𝜙𝜙
𝐶ℓΘΘ (𝑊𝑀𝐴𝑃) + 𝐶ℓ (𝑆𝑃𝑇)
(~6.3σ)
(~4σ)
𝐶ℓΘΘ (𝑊𝑀𝐴𝑃) + 𝐶ℓΘΘ (𝑆𝑃𝑇)
𝐶ℓΘΘ (𝑊𝑀𝐴𝑃)
(van Engelen+’12)
galaxies/quasars との相関も検出されている
Smith+’07, Hirata+’08, Bleem+’12, Sherwin+’12
宇宙論への応用の現状:カール成分
カール成分の応用例(宇宙紐)
ℓ4 𝜛𝐿 2 /2𝜋
𝐶ℓ𝜛𝜛
ACTの公開データ(from LAMBDA)を用いて重力レンズをのカール成分を測定
ACT から測定したCMBの弱い重力レンズ効果を用いることで、温度揺らぎのパワース
ペクトルで棄却されていないパラメータ領域( 𝑮𝝁~𝟏𝟎−𝟗 , 𝐏 ∼ 𝟏𝟎−𝟓 )を棄却できる
将来の展望: 勾配成分
今後のCMB観測
PLANCK, CMBPol, LiteBird
PolarBear, SPTPol, ACTPol, Polar, …
CMB Lensing + Cosmic Shear
PLANCK
制限(1𝝈)の見積もり
ACTPol
𝛿𝑤 = −0.2
𝛿∑𝑚𝜈 = 0.2 𝑒𝑉
CMB (lensing なし)
∑𝑚𝜈 [eV]
+ 銀河の WL
+ lensing
+ 両方
ln(Ω𝑚 ℎ2 )
TN, Saito & Taruya ’10
将来の展望: カール成分
カール成分の応用
𝒓 = 𝟎. 𝟏
原始重力波: r=0.1でも検出は難しい
𝐏 = 𝟏𝟎−𝟑 , 𝑮𝝁 = 𝟏𝟎−𝟖
TN, Yamauchi & Taruya ’12
宇宙紐: ACTPol+PLANCKを想定した場合でも検証できるかもしれない
まとめ
Mean field bias の推定法
MCシミュレーションを用いずに観測量から mean-field bias を抑える
方法を提案
勾配・カール成分の測定を利用した宇宙論
カール成分までを含めた再構築法の導出
系統誤差の観点から、銀河の弱い重力レンズ等と組み合わせた
解析を行うことは重要。
今後
偏光への拡張など
補足
重力レンズのパワースペクトルの推定
レンズ場の推定量 → レンズ場のパワースペクトル
𝑥𝐿 =
(e.g., Hanson+’11)
𝑥
𝑑ℓ 𝐹ℓ,𝐿
Θℓ Θ𝐿−ℓ
〈 𝑥𝐿 2 〉 =
𝑑ℓ1
∗
𝑥
𝑥
∗
𝑑ℓ2 𝐹𝐿,ℓ
𝐹
〈
Θ
Θ
Θℓ2 Θ𝐿−ℓ 〉
ℓ
𝐿,ℓ
1 𝐿−ℓ
1
2
2
1
decomposed into disconnected/connected part
𝑥, 0
〈 𝑥𝐿 2 〉 ≃ 𝑁ℓ
𝑥, 1
+ 𝐶ℓ𝑥𝑥 +
𝑁ℓ
𝑥
disconnected part
(Gaussian bias)
𝑥𝑦 2
+ 𝑂[ 𝐶ℓ
connected part
]
Cosmic Shear
distortion of the galaxy images
source galaxy
(Review : e.g., Bertelman&Schneider’99)
Conformal distance
observer
Characterizing distortion
Jacobi matrix, 𝑫𝒂𝒃
𝑫𝒂𝒃 = 𝜹𝒂𝒃 +
−𝜸𝟏
𝜸𝟐
shear: 𝜸 = 𝜸𝟏 + 𝒊𝜸𝟐
𝜸𝟐
𝜸𝟏
将来の展望: Cosmological Implications
B-mode shear
𝒓 = 𝟎. 𝟏
𝐏 = 𝟏𝟎−𝟑 , 𝑮𝝁 = 𝟏𝟎−𝟖
Yamauchi, TN & Taruya ’12
サーベイ領域のapodization
Θ𝑜𝑏𝑠 (𝑥, 𝑦) = 𝑊𝑎𝑝 𝑥 𝑊𝑎𝑝 𝑦 Θ(𝑥, 𝑦)
1
𝜋 𝑎− 𝑡
𝑊𝑎𝑝 (𝑡) = sin
2 𝑎 − 𝑎𝑡0
0
マスク領域でのapodization
Θ𝑚𝑎𝑠𝑘 𝑥, 𝑦 = ∑𝑀𝑛 𝑥, 𝑦 Θ𝑜𝑏𝑠 𝑥, 𝑦
𝑀𝑛 𝑥, 𝑦 = 1 − 𝑀𝑎𝑝 𝑥 − 𝑥𝑛 𝑀𝑎𝑝 (𝑦 − 𝑦𝑛 )
1
𝜋 𝑎𝑡0 − 𝑡
𝑀𝑎𝑝 (𝑡) = sin
2 𝑎(𝑡0 − 1)
0
( 𝑡 ≤ 𝑎)
(𝑎 < 𝑡 ≤ 𝑎𝑡0 )
(𝑎𝑡0 < |𝑡|)
( 𝑡 ≤ 𝑎𝑡0 )
(𝑎𝑡0 < 𝑡 ≤ 𝑎)
(𝑎 < |𝑡|)
レンズ・マップ
・convergence
・lensed Cl