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2012/09/21
日本天文学会2012年秋季年会
CMB偏光観測衛星LiteBIRDにおける
系統誤差の研究
永田 竜(KEK 素核研 CMB)
LiteBIRD ワーキンググループ
竹井洋、福家英之、松原英雄、満田和久、山崎典子、吉田哲也、坂井真一郎、佐藤洋一、篠崎慶
亮、杉田寛之、四元和彦、河野功、野田篤司、石野宏和、樹林敦子、岐部佳朗、三澤尚典、美馬
覚、Adnan Ghribi、William Holzapfel、Bradley Johnson、Adrian Lee、Haruki Nishino、Paul
Richards、Aritoki Suzuki、Julian Borrill、大田泉、吉田光宏、石徹白晃治、片山伸彦、佐藤伸明、
田島治、茅根裕司、永井誠、永田竜、羽澄昌史、長谷川雅也、服部香里、松村知岳、森井秀樹、
木村誠宏、鈴木敏一、都丸隆行、井上優貴、清水景絵、渡辺広記、小松英一郎、鵜澤佳徳、関本
裕太郎、野口卓、服部誠、高田卓、Matt Dobbs、夏目浩太、村山慧、高木雄太、中村正吾、古賀
健祐、大谷知行
1
インフレーションと原始重力波
LiteBIRD輻射とプラズマの時代
インフレーション時代
星と銀河の時代
プロジェクト概要
10-38 秒
38万年
137億年(現在)
• サイエンスゴール
インフレーション理論の検証
原始重力波
• 観測
マイクロ波背景輻射(ミリ波)偏光の全天地図作成(1度角まで分解)
電子
• 戦略
光
■ インフレーション由来の原始重力波に特化した観測
■ 大型望遠鏡による地上観測との相乗効果
• プロジェクトの現況 クォーク
■ JAXA 小型科学衛星ワーキンググループの1つ
■ 2020年頃の打ち上げを目指して、
ミッション定義審査に向けた検討を推進中
2
LiteBIRD による偏光地図の作成
B-mode (奇パリティ成分)
重力波に由来する
E-mode (偶パリティ成分)
密度の揺らぎに由来する
地図上では大きさが何桁も異なる信号が混在している
3
LiteBIRD の観測戦略と系統誤差要求
r = 0.1
r = 0.01
系統誤差要求
1
98% removal
重力レンズ雑音の
10
r = 0.001
大角度構造を高感度で
世界に先駆けて測定
4
潜在的な系統誤差群
・ differential beam width
・ differential gain
・ differential pointing
・ differential ellipticity
pointing
・ satellite
satellite
pointing
・ differential rotation
・ pixel rotation
・ optical cross polarization
・ far sidelobe
5
ポインティングのズレが偽の B-mode を作る
pointing error
sat.
actual pointing direction
false B-mode
E-mode
B-mode
6
スキャン と ポインティングの正味のズレ
[𝑄 + 𝑖𝑈] 𝑥 + 𝑑 ≈ 𝑄 + 𝑖𝑈 𝑥 + 𝑑 ∙ 𝛻[𝑄 + 𝑖𝑈](𝑥)
instantaneous displacement
net distortion vector
𝑑
𝑑
同じピクセルを何度も掃くことで正味のズレが軽減される
7
ポインティングのズレの空間分布
error components
ランダム成分
コヒーレントタイムが短い
ズレは(空の)各ピクセルでランダム
ピクセルヒット数に応じて正味のズレが軽減される ( in prop. to 1/sqrt(N) )
バイアス成分
コヒーレントタイムが長い
ズレの度合や空間分布はスキャンに応じて変わる
ピクセルを掃く際の、光軸の回転具合によって正味のズレが軽減される
いずれも、ピクセル毎の正味のズレで系統誤差がスケールする
8
ランダム成分
Hu, Hedman and Zaldarriaga model ( PRD 67 (2003) 043007 ) :
2
𝐶𝑙𝑑𝑑 ∝ exp[−𝑙(𝑙 + 1)𝜎𝑏𝑒𝑎𝑚
]
ビーム径でカットオフを入れたホワイトノイズを
ズレの場の rms でノーマライズ
B-mode のスペクトルに現れる系統誤差は重力レンズと酷似している
9
ランダム成分
lensing B-mode
requirement :
1
lensing
10
B-mode
各ピクセルを約1000回掃くとして
5 arcmin (=10’’x30) のポインティング精度が要求される
10
バイアス成分
Constant displacement model :
機体に付随した座標系で、ズレのベクトルが一定であるとする
例えば、スキャン方向に沿ったズレだとすると
連続したピクセルヒットでは、あまり向きが変わらない
スキャン期間全体でのズレの相殺を評価する必要がある
11
バイアス成分
ピクセル毎のズレの方向ベクトルをスキャンで平均:
𝑟1 =< cosθ >2 +< sinθ >2 , 𝜃: angle from meridian
光軸回転の寄与をピクセル毎に評価
T.Matsumura
全天での rms は約 0.3
1度角以上の構造が支配的であることが伺える
12
バイアス成分
ズレの場の角度スペクトル (バイアス 10’’ を仮定) :
HHZ (10’’rms)
1度スケールで振る舞いに遷移が見られる
ホワイトノイズと言うよりもダブルパワーロー的に振る舞う
13
バイアス成分
B-mode のスペクトルに現れる系統誤差 (バイアス10’’ を仮定) :
requirement :
1
lensing
10
B-mode
2 arcmin (~10’’x10) のポインティング精度が要求される
14
Summary
LiteBIRD の系統誤差研究の一つとして、衛星の姿勢制御にかかわる
ポインティングの不定性を検討し、 その要求精度を評価した。
• ポインティングのズレがランダムな場合
5arcmin のポインティング精度が要求される。
要求精度はピクセルヒット数に応じて軽減される。
• ポインティングのズレが一定な場合
2arcmin のポインティング精度が要求される。
要求精度は光軸回転によってピクセルを等方的に掃くことで軽減される。
⇒ ポインティングの精度として数分が要求される
今後は焦点面の構造、FOVのサイズなど諸々を考慮した包括的
なシミュレーションで評価の裏付けをとること。
15