資料組織概説 第8回 標目とアクセスポイント

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Transcript 資料組織概説 第8回 標目とアクセスポイント

情報資源組織論 第7回
英米目録規則とRDA
FRBRとFRAD
2012年11月6日(火)
第4時限
R101教室
復習小テスト
1. 日本目録規則で規定されている4つの標目とは?
2. 「を見よ参照」と「をも見よ参照」はどう違うか?
3. 著者や著作が複数の名前で知られている場合、
それらを関連付けて管理し、検索漏れを防ぐ役割
をもったファイルを何と言うか?
4. シリーズのタイトルを固有のタイトルとして記述す
ると、日本目録規則の書誌階層ではどういうレベ
ルの目録が作成されるか?
5. 上下2分冊の本の上巻と下巻を区別する単位を
何というか?
標目と記入
• 記入(目録記入) entry
– 書誌的記録を手書きまたは印刷したもので、
記述、標目、所在記号等からなり、参照ととも
に目録の構成単位となる
『日本目録規則 1987年版 改訂3版』用語解説
– すなわち1件の目録データ全体のこと
• 記入の方式として、基本記入方式と等価
標目方式(記述ユニット方式)がある
基本記入(main entry)方式
• 一番基本的な標目(西洋では伝統的に著
者)のもとに、対象資料を十分識別できる
詳細な記入を一つだけ作成(基本記入)
• それ以外の標目(タイトル、件名など。副出
標目)からは副出記入、分出記入という簡
略な記入を作成。詳細な情報は基本記入
を参照させる
• 英米目録規則は伝統的にこの形式
等価標目方式(記述ユニット方式)
• 書誌記述を標目とは切り離して完結させ、基本的
な記述ユニットとする。この記述ユニットに必要な
だけの等価の標目を与え、指示されたそれぞれの
標目のもとに各種の目録を編成する
• 複写技術の発達により、基本記入を必要なだけ複
製し、副出標目をつけ加えて利用するようになり、
基本記入と副出記入の差がなくなった
• 目録カード手作りの時代から印刷カードが容易に
複製できる時代へと移り変わる中で生まれてきた
考え方で、コンピュータ目録ではあまり意味がない
(記述ユニット方式による記載例)
タイトル目
録用カード
ジェイエルエイ トショカンジョウホウガク テ
キスト シリーズ 9
資料組織概説 / 柴田正美著. – 新
タイトル
目録用
カード
記
述
ユ
ニ
ッ
ト
カ
ー
ド
シリョウ ソシキ ガイセツ
資料組織概説 / 柴田正美著. – 新
著者目録用
カード
資料組織概説 / 柴田正美著. – 新
訂版. – 東京 : 日本図書館協会, 2001.
– 286p ; 26cm. – (JLA図書館情報学
テキストシリーズ ; 9)
シバタ, マサミ
資料組織概説 / 柴田正美著. – 新
訂版. – 東京 : 日本図書館協会, 2001.
– 286p ; 26cm. – (JLA図書館情報学
テキストシリーズ ; 9)
ISBN4-8204-0104-1
ISBN4-8204-0104-1
t1. シリョウ ソシキ ガイセツ t2. ジェイエ
ルエイ トショカンジョウホウガク テキスト
シリーズ 9 a1. シバタ, マサミ
t1. シリョウ ソシキ ガイセツ t2. ジェイエ
ルエイ トショカンジョウホウガク テキスト
シリーズ 9 a1. シバタ, マサミ
英米目録規則の歴史(1)
• cf. A Brief History of AACR
• パニッツィの91条目録規則 (1841)
– Antonio Panizzi “Rules for the Compilation
of the Catalogue”
– 大英博物館刊本目録の第1巻に掲載
• ジュエットの目録規則 (1853)
– 米スミソニアン協会図書館長Charles C.
Jewettが提案
英米目録規則の歴史(2)
• カッター(Charles Ammi Cutter)の辞書
体目録規則
– 1876 『辞書体冊子目録規則』 Rules for a
Printed Dictionary Catalogue
– 1889 第2版『辞書体目録規則』 Rules for
a Dictionary Catalogue
– タイトル、著者、件名を混排したカード目録
• 長所:一つの目録ですべて検索できる
• 短所:排列しにくく、利用者も混乱しやすい
英米目録規則の歴史(3)
• アメリカ図書館協会(ALA)
– 1876年創立
– 『要約著者書名目録規則』 Condensed
rules for an author and title catalog(1883)
• イギリス図書館協会(LAUK後にLA)
– 1877年創立
– 『イギリス図書館協会目録規則』
Cataloguing rules of the Library
Association of the United Kingdom(1881
承認)
英米目録規則の歴史(4)
• 『目録規則:著者書名記入』 Catalog rules :
author and title entries (1908)
– 通称英米コード(Anglo-American code)
– デューイ(Melvil Dewey)の仲立ちで英米が協力して
作成
– 完全には合意できず、アメリカ版とイギリス版に分か
れる
• 『目録規則:アメリカ版第2版予備版』
Cataloging Rules : preliminary American 2nd
ed. (1941)
英米目録規則の歴史(5)
• 『アメリカ図書館協会著者書名目録規則第2版』
A.L.A cataloging rules for author and title
entries, 2nd ed. (1949)
• 『議会図書館記述目録規則』 Rules for
descriptive cataloging in the Library of
Congress (1949)
• 英米目録規則北米版 Anglo-American
Cataloging Rules : North American Text
(1967)
• 英米目録規則イギリス版 Anglo-American
Cataloging Rules : British Text (1967)
英米目録規則の歴史(6)
• 『英米目録規則第2版』 AACR2: AngloAmerican Cataloging Rules Second
Edition (1978)
– 北米版とイギリス版を統一
– 英語圏の標準的な目録規則
– 細かい改訂は何度もなされている
– 日本でも欧米の資料の目録作成に使われる
• 2010年、AACR2に代わる新たな標準
RDAを発表
RDA (Resource Description and Access)
• 直訳すると「資源の記述とアクセス」
• 当初、英米目録規則第3版 (AACR3)となる予
定
– 原案に対し多くの批判、根本的に見直し
• 2010年、名称もRDAと一新して発表
• デジタル情報資源の発見、識別、選択、取得に
力点
• AACR2と互換性を保つ
• 理論的枠組みとしてFRBRとFRAD
書誌データの概念モデルFRBR
• Functional Requirements for Bibliographic
Records(FRBR)
– IFLAの研究グループによる報告書(1997)
– 翻訳『書誌レコードの機能要件』(和中、古川、永
田訳, 日本図書館協会, 2004)
– 書誌的記録の対象となる著作や資料の概念を整
理する試み
– 著作と資料の関係を四つの階層的な実体として
とらえる
– RDAの基盤となっている
FRBRの4階層
• Work 著作、作品
– それぞれの作品(抽象的な概念)
• Expression 表現形、表出物
– Workが現実に表明されたもの。テキスト、翻訳テキスト、
楽譜、演奏など
• Manifestation 体現形、具現形、具象化物
– Expressionが出版物等として物理的に具体化したもの
• Item 個別資料、個体、対象物
– Manifestationの一つの実物。個々の物体(一冊の本、一
点のDVDなど)
*下線は訳書『書誌レコードの機能要件』が採用した語
FRBRの適用事例(1)
• 著作1:Dan Brown “The Da Vinci Code”
– 表現形1:英語の原テキスト
• 体現形1:Doubledayのハードカバー版(2003)
– 個別資料1:著者署名入りの一冊
• 体現形2:Transworldのペーパーバック版(2004)
– 個別資料1:山形大学附属図書館所蔵の一冊
– 表現形2:越前敏弥訳『ダ・ヴィンチ・コード』
• 体現形1:角川書店が2004年に出した上下2冊本
– 個別資料1:水戸市立図書館所蔵の第1セット
– 個別資料2:水戸市立図書館所蔵の第2セット
– 個別資料3:水戸市立図書館所蔵の第3セット
FRBRの適用事例(2)
• 著作2:映画 “The Da Vinci Code”
– 表現形1:日本語字幕版
• 体現形1: DVD 販売元:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
– 表現形2:日本語吹き替え版
• 体現形1: DVD 販売元:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
• 著作1:Dan Brown “The Da Vinci Code”
は翻案を持つ→
←翻案である
• 著作2:映画 “The Da Vinci Code”
典拠データの概念モデルFRAD(1)
• Functional Requirements for Authority
Data (典拠データの機能要件)
• IFLAの作業グループが2008年12月に最終
報告書
• 2009年3月にIFLAの目録・分類・索引セクシ
ョン常置委員会で承認、出版
• FRBRを拡張して典拠コントロールを可能にし
たもの
典拠データの概念モデルFRAD(2)
書誌エンティティ
(著作、表現形、体現形、
個別資料、人、概念など)
によって知られる
名前および/または
識別子
の基礎
統制された
アクセスポイント
第7回のまとめ
• パニッツィの91条目録規則に始まり、カッター
の辞書体目録規則等を経て、英米目録規則
(AACR)の成立に至る
• 長らく英米目録規則第2版(AACR2)が英語圏の
標準的な目録規則となっていたが、新たな目録
規則としてRDAが制定された
• IFLAによるFRBR(書誌レコードの機能要件)で
は、著作の概念を四階層の構造でとらえる
• RDA はFRBRおよびFRAD(典拠データの機能
要件)の考え方を基盤としている