資料組織概説 第8回 標目とアクセスポイント

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Transcript 資料組織概説 第8回 標目とアクセスポイント

資料組織概説 第6回
標目と排列
2010年10月26日(火)
第4時限
R101教室
標目とは?
• 現在のコンピュータ目録では、文字列を
入力し、それが含まれるものを引き出す
• コンピュータがない場合はどうするか?
– たとえば、辞書(紙の)では?
– 50音順、アルファベット順の見出し
– 目録データを検索するための見出し=標目
標目 heading
• 書誌的記録を検索する手がかりとなるも
ので、目録記入の冒頭に記載され、その
排列位置を決定する第一要素。標目とな
るものには、タイトル、著者、件名および
分類記号がある
『日本目録規則 1987年版 改訂3版』用語解説
• 集中性、排他性、排列性を条件として備
えなければならない
『図書館情報学用語辞典』第3版(丸善, 2007)
標目の備えるべき条件
• 集中性
– 同一著者や同一主題のものを集中させる
– ある決まった形を決め、それだけを使うようにする
(他の形からは参照を付ける)
• 排他性
– 同名異人、異分野の同一用語などを区別する
– 生没年をつけたり、分野名を付記する
• 排列性
– 定まった規則(排列規則)に従って順番に並ぶ
– 漢字等は「読み」やローマ字表記をする
アクセスポイント
• そのもとで、書誌レコードを探索し識別することの
できる名称、用語、コードなど
(『英米目録規則 第2版 日本語版』用語解説)
• 標目で検索するカード目録と異なり、コンピュータ
目録では、理論的には記述中に出現するあらゆ
る文字列が検索の手がかりとして利用可能
• 標目を含めて目録中で検索に用いられる手がか
りのことをアクセスポイントと言い、標目よりも意味
範囲が広い用語
• 便宜的に標目と同義で用いられることもある
標目指示
• 記述の下部に、図書館が編成する目録の
種別ごとに、各種の標目を指示すること。こ
の指示に基づいて目録記入の冒頭に標目
を記載する。また、資料を除籍する場合に
は、目録中の当該資料に関するすべての
目録記入を除去する手がかりともなる。
(『英米目録規則 第2版 日本語版』用語解説)
• 古くはトレーシングと言った
標目
タイトル目録
著者目録
シリョウ ソシキ ガイセツ
資料組織概説 / 柴田正美著. – 新
訂版. – 東京 : 日本図書館協会, 2001.
– 286p ; 26cm. – (JLA図書館情報学
テキストシリーズ ; 9)
シバタ, マサミ
資料組織概説 / 柴田正美著. – 新
訂版. – 東京 : 日本図書館協会, 2001.
– 286p ; 26cm. – (JLA図書館情報学
テキストシリーズ ; 9)
ISBN4-8204-0104-1
ISBN4-8204-0104-1
t1. シリョウ ソシキ ガイセツ t2. ジェイエ
ルエイ トショカンジョウホウガク テキスト
シリーズ 9 a1. シバタ, マサミ
t1. シリョウ ソシキ ガイセツ t2. ジェイエ
ルエイ トショカンジョウホウガク テキスト
シリーズ 9 a1. シバタ, マサミ
標目指示
日本目録規則における標目(1)
• タイトル、著者、件名、分類の4種類
• タイトル標目
– 番号にtを冠する(t1, t2, t3 …)
– 本タイトル、別タイトル。(必要に応じて)部分タ
イトル、並列タイトル、タイトル関連情報、シリー
ズ名、注記に記録されているタイトル
– シリーズ名もタイトル標目として本書名などと同
様に検索されることに注意
日本目録規則における標目(2)
• 著者標目
– 番号にaを冠する(a1, a2, a3 …)
– 本タイトルの責任表示として記録されている個人、
団体。(必要に応じて)版、シリーズの責任表示、
注記に記録されている個人、団体
• 件名標目
– 番号にsを冠する(s1, s2, s3 …)
• 分類標目
– 番号を○で囲む(①、②、③ …)
参照(1)
• 目録の中で、ある標目から他の標目へ導き、
案内する役割をもつもの。ある標目を直接他
の標目に導く「を見よ参照」と、他に関連の深
い標目があることを示す「をも見よ参照」とが
ある。
『日本目録規則 1987年版 改訂3版』用語解説
• 統一標目
– 著者や著作が二つ以上の名前で知られている場
合、そのうちの一つに統一する
– どの名前に統一するかを決めて、管理するのが
典拠ファイル
参照(2)
• を見よ参照 (see)
– 統一標目として採用されなかった別の形や読みなどから
統一標目への参照を作る
例) アベ, キミフサ
アベ, コウボウを見よ
• をも見よ参照 (see also)
– 他に関連の深い標目が存在することを示す
例) 東京大学
東京帝国大学をも見よ
東京帝国大学
東京大学をも見よ
典拠ファイル(1)
• 統一標目の形と読み、典拠とした参考資料
名、採用しなかった名称からの参照等を記
録したファイルで、統一標目を維持管理する
ためのもの。著者名典拠ファイル、件名典拠
ファイル等がある
『日本目録規則 1987年版 改訂3版』用語解説
• 従来はカードで維持管理。現在はコンピュー
タ・ファイルに
典拠ファイル(2)
• 著者名典拠レコードの例(簡略化したもの)
HDNG:夏目, 漱石<ナツメ, ソウセキ>
PLACE:東京
DATE:1867-1916
SF:夏目, 金之助<ナツメ, キンノスケ>
HDNG:Goethe, Johann Wolfgang von
DATE:1749-1832
SF:ゲーテ, ヨハン ヴォルフガング フォン
SF: ゲエテ
*常磐大OPACで著者名リンクをたどってみよう
排列
• 目録を編成するに際して、目録記入を一定の順序
に並べること
『日本目録規則 1987年版 改訂3版』用語解説
• 日本目録規則では第III部で排列規則を規定
– 五十音順、アルファベット順が基本
– 濁音・半濁音は清音として、拗音、促音を表す小字は直
音として排列
– 長音符は無視する
– 同一標目の中をどういう順に並べるか
など
標目と記入
• 記入(目録記入)
– 書誌的記録を手書きまたは印刷したもので、
記述、標目、所在記号等からなり、参照ととも
に目録の構成単位となる
『日本目録規則 1987年版 改訂3版』用語解説
– すなわち1件の目録データ全体のこと
• 記入の方式として、基本記入方式と等価
標目方式(記述ユニット方式)がある
基本記入方式
• 一番基本的な標目(西洋では伝統的に著
者)のもとに、対象資料を十分識別できる
詳細な記入を一つだけ作成(基本記入)
• それ以外の標目(タイトル、件名など。副出
標目)からは副出記入、分出記入という簡
略な記入を作成。詳細な情報は基本記入
を参照させる
• 英米目録規則は伝統的にこの形式
等価標目方式(記述ユニット方式)
• 書誌記述を標目とは切り離して完結させ、基本的
な記述ユニットとする。この記述ユニットに必要な
だけの等価の標目を与え、指示されたそれぞれの
標目のもとに各種の目録を編成する
• 複写技術の発達により、基本記入を必要なだけ複
製し、副出標目をつけ加えて利用するようになり、
基本記入と副出記入の差がなくなった
• 目録カード手作りの時代から印刷カードが容易に
複製できる時代へと移り変わる中で生まれてきた
考え方で、コンピュータ目録ではあまり意味がない
(記述ユニット方式による記載例)
タイトル目
録用カード
ジェイエルエイ トショカンジョウホウガク テ
キスト シリーズ 9
資料組織概説 / 柴田正美著. – 新
タイトル
目録用
カード
記
述
ユ
ニ
ッ
ト
カ
ー
ド
シリョウ ソシキ ガイセツ
資料組織概説 / 柴田正美著. – 新
著者目録用
カード
資料組織概説 / 柴田正美著. – 新
訂版. – 東京 : 日本図書館協会, 2001.
– 286p ; 26cm. – (JLA図書館情報学
テキストシリーズ ; 9)
シバタ, マサミ
資料組織概説 / 柴田正美著. – 新
訂版. – 東京 : 日本図書館協会, 2001.
– 286p ; 26cm. – (JLA図書館情報学
テキストシリーズ ; 9)
ISBN4-8204-0104-1
ISBN4-8204-0104-1
t1. シリョウ ソシキ ガイセツ t2. ジェイエ
ルエイ トショカンジョウホウガク テキスト
シリーズ 9 a1. シバタ, マサミ
t1. シリョウ ソシキ ガイセツ t2. ジェイエ
ルエイ トショカンジョウホウガク テキスト
シリーズ 9 a1. シバタ, マサミ
コンピュータ目録における標目・排列
• カード目録においては、アクセスを提供する
ため、標目の選定と排列が非常に重要
• コンピュータ目録においては、記述項目から
機械的に検索キーを作成、検索・参照・表示
は機械が行うため、標目・排列は不要
– どの項目を検索対象とするかが重要
• 典拠ファイルの維持は重要
第6回のまとめ
• 標目は検索の手がかりで、タイトル、著者、件名、
分類記号の四種類
• 著者などが2以上の名で知られている場合、そ
のうちの一つの名称に統一(統一標目)し、採用
しなかった名称から参照を行う
• 統一標目を管理する典拠ファイル
• カード目録時代の目録編成の考え方として基本
記入方式と等価標目方式(記述ユニット方式)
• コンピュータ目録では記述項目から自動的に作
成された検索キーで該当レコードを直接検索す
るため、標目・排列という考え方はなじまない