Transcript 資料組織概説 第3回
資料組織概説 第3回 目録法と目録規則 2011年10月4日(火) 第4時限 R101教室 復習小テスト 1. 現在、図書館の目録の主流となっているオ ンライン目録のことをアルファベットの略称で 何と言うか? 2. 複数の図書館の所蔵をまとめて検索できる 目録を何と言うか? 3. コンピュータ出現以前、主流だった目録の形 態は何か? 4. 資料が図書館内のどこにあるかを示す記号 を何というか? 目録法とは?(1) • 目録法 cataloging code – 目録の種類や体系等の決定とその作成方 法に関する知識の総体 – 記述目録法と主題目録法に分けることがで きる – 具体的な目録作成のツールとしては、目録 規則、分類表、件名標目表、排列規則など がある 『図書館情報学用語辞典 第3版』(丸善, 2007) 目録法とは?(2) • 記述目録法 descriptive cataloging – 対象とされた資料の特徴を記録し、資料自体 の代用となる書誌記述の作成と、記述を検索 するための見出しとなる標目(アクセスポイン ト)の選定と形の決定、それらから構成される 書誌的記録の排列等にかかわる目録法 『図書館情報学用語辞典 第3版』(丸善, 2007) 目録法とは?(3) • 主題目録法 subject cataloging – 目録法とは、書誌的記録作成のための諸種 の作業のことであり、そのうちの主題に関す る記録作成にかかわる側面を主題目録法と いう – 主題分析とその結果の分類記号および件名 標目の付与が中心となる。この作業によって、 主題からの検索が可能になる 『図書館情報学用語辞典 第3版』(丸善, 2007) 目録法とは?(4) • 『図書館情報学用語辞典』では、定義に 若干の混乱(?) • 目録法、記述目録法の説明では知識体 系ととらえているのに対して、主題目録法 の説明では作業ととらえている • cataloging なのか cataloging code なの か 目録法とは?(5) • catalog code – A set of rules for the preparation of bibliographic records; designed to ensure consistency in the construction of a catalog. (書誌記録の準備のための一組の規則。目 録の構築において一貫性を確保するよう設 計される) ALA Glossary of Library and Information Science (『ALA図書館情報学辞典』) 目録法とは?(6) • cataloging – Those activities performed in the preparation of bibliographic records for a catalog. (目録のための書誌記録の準備においてなさ れる諸活動) ALA Glossary of Library and Information Science (『ALA図書館情報学辞典』) 目録法とは?(7) • 記述目録作業 descriptive cataloging – 目録作業の一面で、書誌的対象資料の書誌 記述とそれの目録中での見出しとなる標目 (件名標目と形式標目を除く)の決定に関す るもの。書誌的対象資料の識別と記述を行う • 主題目録法 subject cataloging – 資料を分類し、その資料を目録中でその下に 提示する適切な件名標目もしくは形式標目を 決定するために、書誌的対象資料中の著作 の主題を決定する過程 『ALA図書館情報学辞典』(丸善, 1988) 目録法とは?(8) • 『ALA図書館情報学辞典』での「作業」と 「法」の違いは翻訳の問題。ここでは両方 とも活動あるいは作業過程ととらえている • すなわち、catalogingは目録作業 • 日本語の「目録法」は、ある時は目録規則 (cataloging code, cataloging rules)、あ る時は目録作業 (cataloging)の意味で使 われるので注意が必要 記述目録法と主題目録法 • 記述目録法(作業) descriptive cataloging – 資料の書誌記述 – 記述を検索するための見出しとなる標目(アク セスポイント)の選定 – 指針=目録規則 • 主題目録法(作業) subject cataloging – 資料の主題分析→分類記号、件名標目の付与 – 指針=分類表、件名標目表 資料組織の構成要素 • 目録(広義) – 記述目録作業(狭義の目録) • 書誌記述 • 標目選定 – 主題目録作業(広義の分類) • 件名付与 • 分類番号付与(狭義の分類) • 装備 目録規則(1) cataloging rules • 図書館の目録を作成する指針や方法を 規則の形式に箇条書きし、体系的に編成 したもの • 対象とされた資料の特徴を記録した書誌 記述の作成に関する規則、記述を検索す る際の手がかりとなる標目(アクセスポイ ント)の選定と形の決定に関する規則など からなる 『図書館情報学用語辞典 第3版』(丸善, 2007) 目録規則(2) cataloging rules • 本の形で出版されている • 代表的な目録規則 – 英米目録規則第2版(AACR2) – 日本目録規則(NCR) – ドイツ目録規則(RAK) – 韓国目録規則(KCR) – その他各国・言語圏で標準的な目録規則 を制定 目録規則の標準化 • 標目と記入語の選定と形式に関する基本 原則(パリ原則)1961 • 国際標準書誌記述 International Standard Bibliographic Description (ISBD) 1974– 書誌的事項の記述要素、要素の順序、区切り 記号などを統一 – 各国の目録規則がこれに準拠。 しかし、目録 規則そのものを一つにしたわけではない 英米目録規則の歴史(1) • cf. A Brief History of AACR • パニッツィの91条目録規則 (1841) – Antonio Panizzi “Rules for the Compilation of the Catalogue” – 大英博物館刊本目録の第1巻に掲載 • ジュエットの目録規則 (1853) – 米スミソニアン協会図書館長Charles C. Jewettが提案 英米目録規則の歴史(2) • カッター(Charles Ammi Cutter)の辞書 体目録規則 – 1876 『辞書体冊子目録規則』 Rules for a Printed Dictionary Catalogue – 1889 第2版『辞書体目録規則』 Rules for a Dictionary Catalogue – タイトル、著者、件名を混排したカード目録 • 長所:一つの目録ですべて検索できる • 短所:排列しにくく、利用者も混乱しやすい 英米目録規則の歴史(3) • アメリカ図書館協会(ALA) – 1876年創立 – 『要約著者書名目録規則』 Condensed rules for an author and title catalog(1883) • イギリス図書館協会(LAUK後にLA) – 1877年創立 – 『イギリス図書館協会目録規則』 Cataloguing rules of the Library Association of the United Kingdom(1881 承認) 英米目録規則の歴史(4) • 『目録規則:著者書名記入』 Catalog rules : author and title entries (1908) – 通称英米コード(Anglo-American code) – デューイ(Melvil Dewey)の仲立ちで英米が協力して 作成 – 完全には合意できず、アメリカ版とイギリス版に分か れる • 『目録規則:アメリカ版第2版予備版』 Cataloging Rules : preliminary American 2nd ed. (1941) 英米目録規則の歴史(5) • 『アメリカ図書館協会著者書名目録規則第2版』 A.L.A cataloging rules for author and title entries, 2nd ed. (1949) • 『議会図書館記述目録規則』 Rules for descriptive cataloging in the Library of Congress (1949) • 英米目録規則北米版 Anglo-American Cataloging Rules : North American Text (1967) • 英米目録規則イギリス版 Anglo-American Cataloging Rules : British Text (1967) 英米目録規則の歴史(6) • 『英米目録規則第2版』 AACR2: AngloAmerican Cataloging Rules Second Edition (1978) – 北米版とイギリス版を統一 – 現在、英語圏で使われている代表的な目録 規則 – 細かい改訂は何度もなされている • 2010年、AACR3改めRDAを発表 第3回のまとめ • 目録法という言葉は、目録作業を指す場合と、 目録の方法・規則のことを言う場合がある • 記述目録法と主題目録法 • 目録作成の指針や方法を成文化した目録規則 • 現在の代表的な目録規則としてAACR2とNCR • 目録規則は国際的な標準化が行われている • 近代の目録規則はパニッツィの91条目録規則 に始まり、カッターの辞書体目録規則等を経て、 英米目録規則(AACR)の成立に至る