Transcript 資料組織概説 第14回
資料組織概説 第14回 多様な情報資源の組織化とMLA連携 2013年1月8日(火) 第4時限 R101教室 復習小テスト 1. ネットワーク上の情報資源を検索したり管理す るため、その情報資源に付与されるデータを 何というか? 2. 上記1.の国際標準として有名な規定は? 3. 情報資源をリソース、プロパティ、プロパティの 値の3要素で記述することを定めたものは? 4. 情報資源の記述に最もよく使われるタグ付け 言語は? 5. 上記1.を交換するため規定されている国際 標準は? 多様な情報資源の組織化 • 日本目録規則では、図書以外の資料の組織化 についても規定 – 書写資料、地図資料、楽譜、録音資料、映像資料、 静止画資料、電子資料、博物資料、点字資料、マイ クロ資料、継続資料 • すなわち、博物館や文書館で扱うような資料も、 一応、日本目録規則で組織化可能 – ただし、図書館の所蔵目録作成が前提 – 博物館、文書館等には別のルールがある • CD、DVDなどはAV資料として目録作成 • ネットワーク系電子資料の組織化は不確定 電子ジャーナル • 学術雑誌の電子版 – 大学図書館にとって必須の情報資源 • 海外の学術雑誌はほとんど電子ジャーナル 化 • 利用者はインターネットで出版社のサイトに 直接アクセス、図書館は契約のみ • OPACで検索できないことが多い – 図書館のウェブ・サイトに案内やリスト 電子書籍 • コンピュータを通して読む • パッケージ系(CD/DVD-ROMなど)からネット ワーク系(インターネットからダウンロード)へ • 専用のリーダー(読書端末) – iPad、AmazonのKindle、Barnes & Nobleの Nook、SonyのReader など • 日本では普及が遅れ、組織化もこれから • 米国等では公共図書館が電子書籍を貸出 – ボストン公共図書館の例 博物館等における情報資源組織 • 付属の図書館(図書室)は専門図書館 – 専門的な資料を扱うが、基本的に図書館としての情 報資源組織 – 司書の領域 • 博物館・美術館の資料の組織化 – 資料は多種多様だが、基本的に一点一点が代替の きかない「物」 – 学芸員(キュレーター)の領域 • 文書館の資料の組織化 – 史料となるような文書を扱う(特に公文書) – アーキビストの領域 博物館の情報資源組織における国際標準 • 博物館資料情報のための国際指針 (International Guidelines for Museum Object Information: The CIDOC Information Categories) – 国際博物館会議 (International Council of Museums)が1995年に策定 • CIDOC概念モデル (CIDOC Conceptual Reference Model (CRM) ) – 文化遺産の記述に使われる概念や関係を定義 – 国際標準 ISO 21127:2006 文書館の情報資源組織における国際標準 • 国際標準記録史料記述一般原則(ISAD(G): General International Standard Archival Description) – 国際公文書館会議 (International Council on Archives: ICA)が1993年に策定 – 2000年、第2版 (ISAD(G)2) – 図書館界のISBD(G)に相当 • 団体、個人、家のための国際標準記録史料典拠 レコード (ISAAR (CPF)) – 2003年、第2版 • 符号化記録史料記述 (EAD) – XMLによるマークアップ形式での記述の標準規定 MLA連携 • 博物館/美術館(Museum)、図書館(Library)、文 書館(Archives)3者の連携が注目されている – 人類の知的財産を収集・整理・保存・提供する施設とい う共通点 – さまざまな経緯で博物館資料が図書館にあったりする – デジタル化→あらゆる種類の資料が同じ基盤で扱える – 参考書:水谷長志編著『MLA連携の現状・課題・将来』 勉誠出版, 2010 • 2009年12月、東京国立博物館で開催されたアート・ドキュメ ンテーション学会20周年記念フォーラムの記録 デジタル情報資源の長期保存 • デジタル情報資源は不安定 – 欧米では1990年代から盛んに指摘されている – ウェブ・ページはよく消滅(404というコードが有名に) – 電子媒体自体の劣化の問題 • 紙は何百年も持つ – 媒体を読み書きできる機器がなくなる • 磁気テープやFD等は既に対応機器を探すのに一苦労 – 古い形式のファイルを処理できるソフトがなくなる • デジタル保存(digital preservation)の重要性 記述メタデータと保存メタデータ • 記述メタデータ (descriptive metadata) – 情報資源を発見、選別するためのメタデータ – タイトル、作成者、主題 – ダブリン・コアはこれに該当 • 保存メタデータ (preservation metadata) – 情報資源の保存に役立てるためのメタデータ – ファイル・フォーマット、作成アプリケーション、 ハードウェアやソフトウェアの環境など – 対象の知的内容には立ち入らない OAIS参照モデル • デジタル情報の長期保存システム構築に関 する指針 • 米宇宙データシステム諮問委員会(CCSDS) が1999年から2002年にかけて策定 • 国際標準 ISO 14721:2003となる • 2012年改訂→Magenta Book • 情報パッケージ(保存対象データと保存メタデ ータの組み合わせ)という概念を打ち出す OAIS参照モデル -- 機能モデル 保存計画 記述情報 者生 データ管理 記述情報 アクセス 産 受入 SIP AIP 保管 AIP 問合せ 結果 消 注文 費 DIP 者 運用統括 SIP:提出用情報パッケージ AIP:保管用情報パッケージ DIP:配布用情報パッケージ 経営 Reference Model for an Open Archival Information System(OAIS) Blue Book, Issue 1. January 2002. p. 4-1. より 保存メタデータ規定の取り組み • CEDARS(CURL Exemplars in Digital Archives) – 2000年、OAIS参照モデルに基づいたメタデータ要素 案を公表 • オーストラリア国立図書館(NLA),ヨーロッパ国 立寄託図書館ネットワーク(NEDLIB),OCLCも 独自の案を作成 • 2003年、PREMIS作業グループ結成 • 2005年、『保存メタデータのためのデータ辞書: PREMIS作業グループ最終報告書』 • 2008年、『PREMIS保存メタデータのためのデー タ辞書 第2.0版』 – 標準的なメタデータ要素を「意味単位」として規定 ウェブ・アーカイビング • ある時点,ある範囲のウェブ・ページを収集し て保存する事業 • 先駆的な例として,米国で1996年に設立され た非営利団体 Internet Archive が有名 • 各国の国立図書館がプロジェクトとして行う – オーストラリア国立図書館のPANDORA – スウェーデン国立図書館のKulturarw3 – 米国議会図書館のMINERVA – 国立国会図書館のWARP 第14回のまとめ • 日本目録規則では、図書以外の資料の組織化に ついても規定 • 電子ジャーナル、電子書籍はOPACで検索でき ない場合が多い • 博物館/美術館、文書館ではそれぞれ独自の情 報資源組織化の規定を作成、その中には国際標 準になっているものもある • 図書館と博物館/美術館、文書館の協力を表す MLA連携という言葉が注目されている • 保存メタデータ規定やウェブ・アーカイビングなど デジタル情報資源の長期保存に関する取り組み