フラクタル日除けによる暑熱環境緩和実験

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フラクタル日除けによる暑熱環境緩和実験
スケールモデルサイトでの比較実験
1093151 小澤 和樹
研究背景・目的
都市部が郊外より暑く感じるのは
建築物や地面の表面温度が高く、
放射環境が悪化していることが原因の1つである。
そのような放射環境を改善する方法の1つとして、
フラクタル日除けが提案されている
今回の実験では、フラクタル日除けにより
暑熱環境がどのように緩和されるのか明らかする。
フラクタル日除けとは
日本の夏の太陽高度に合わせて作られた日除け
で、ある特定の方向の光をほぼ100%遮光し、方向
によってはかなり低い遮光率となる。
裏から見ると光がこのように見える
光をほぼ100%遮光のとき
また、放熱効果が高く、日除け自体の温度が
上がらないのが特徴である。
実験概要
本学のスケールモデルサイトに
市街地空間を想定し実験を行う。
日除けありの区画(フラクタル街区)
なしの区画(コンクリート街区)を設定。
測定項目
温熱4要素(気温+湿度+放射+風速)、
気温鉛直分布、日射量、風速、表面温度
実験期間:8月21日~10月31日
東武動物公園
N
観測地点
N
フラクタル街区
コンクリート街区
48m
街路部分
交差点部分
98m
温熱4要素+気温鉛直分布+放射環境測定点
気温鉛直分布測定点
フラクタル日除け設置風景
環境測定機器
鉛直気温分布
全天日射計
温湿度計
長短波放射計
グローブ球
表面温度
極細熱電対詳細
表面温度・風速実測点
N
N
フラクタル街区
風速計3点
コンクリート街区
表面温度19点
フラクタル街区断面測定点
街路部分
1.5m
1.5m
0.75m
交差点部分
フラクタル日除けの表面温度
1.50
1.25
1.00
0.75
0.50
0.25
0.75m
0.5m
0.50m
1.75
1.50
1.25
1.00
0.75
0.50
0.25
0.2m
鉛直温度分布13点
:気温
:地表面,壁面表面温度
:気温・相対湿度・グローブ温度・風速・日射量
:長短波放射計
フラクタル街区設置状況
コンクリート街区断面測定点
街路部分
1.5m
1.5m
0.75m
2.00
1.75
1.50
1.25
1.00
0.75
0.50
0.25
交差点部分
0.30m
0.50m
2.00
1.75
1.50
1.25
1.00
0.75
0.50
0.25
鉛直温度分布16点
0.30m
:気温
:地表面,壁面表面温度
:気温・相対湿度・グローブ温度・風速・日射量
:長短波放射計
コンクリート街区設置状況
フラクタル日除けの温度上昇について
測定箇所
コンクリート屋上面
約10℃の差がある
フラクタル日除け
気温
夜間の日除けは気温より低く、
空気を冷却している
フラクタル日除け自体の温度が
上昇しないことから放熱効果が高い
両街区の床面温度と気温の比較
N
両街区の表面温度に差がある
N
測定箇所
コンクリート街区床面
フラクタル街区床面
両街区には気温に差がない
コンクリート街区0.25m気温
フラクタル街区0.25m気温
人が受ける熱的影響は、表面温度が低いことによって軽減されている
MRT(平均放射温度)
人体とその周辺の面との位置関係を含めて、平均した
放射温度。本研究では、以下の式を使用
:グローブ温度
:風速(m/s)
:グローブ球の直径(m)
:グローブ球の放射率(-)
:気温(℃)
SET*(新有効温度)
SET*は、温熱6要素を考慮した物理的、生理的理論に基づく
快適性指標であり、室内における快適範囲は22.2~25.6℃
MRT・SET*の比較
コンクリート街区MRT
フラクタル街区MRT
コンクリート街区SET*
フラクタル街区SET*
MRTの比較
MRTの差は最大約12℃あるが、気温には差がないことから
放射環境の緩和がフラクタル街区の
快適性を向上させている要因
SET*の比較
SET*の快適範囲
22.2℃~25.6℃
9時
16時
フラクタル街区のSET*は、昼間の時間帯に
屋外ではあるが室内の快適範囲に入っている
両街区の放射量
日射量(S↑:S↓)
赤外放射量(L↑:L↓)
人体温度(35℃)の差分で表示
S↓が抑えられていることが快適性の向上につながっている
フラクタル日除けの日射遮蔽率
夏季
反射率10%
秋季
反射率10%
吸収率75%
吸収率50%
透過率15%
遮蔽率約85%
透過率40%
遮蔽率約60%
季節により日除けの遮蔽率が変わってくる。
結論
•フラクタル日除けによる暑熱感の緩和効果を
確認できた
•気温に差はないが放射環境の改善されてお
り、特に日除けによる日射の遮蔽効果が高
いことが、快適性の向上に繋がっていた
結果:フラクタル日除けの下の空間は、
温熱環境的に快適となることが分かった