Transcript 第4講

情報と流通
流通を変化させたもの
生産と消費の関係
• 消費はすべての生産の唯一の終末であり目
的
• 生産者の利益は、消費者の利益の促進に必
要である場合に限り許される
• 「生産」は「消費」のために行われる
• この両者を結び付けたものが「流通」
流通の歴史1
1945年~1973年
• WWII終了後の10年間、日本は人々の生活
水準をいかに引き上げるかが重要課題
• 政府の方針は製造部門の発展を重視
• 流通部門は後回し
• この結果、「発達した生産分野」と「発達の遅
れた流通分野」に齟齬が生じた
• そこで流通の系列化により自ら製品を消費者
に届けた
流通チャネルの系列化
• 松下電器産業や資生堂は自社製品を消費者
のもとに確実に届ける思惑から、卸段階・小
売段階を流通支配
• 流通チャネルの系列化は1950年代に行われ、
人々の生活は向上
• 製造業者によって作られた優れた製品は、製
造業者により消費者に確実に届けられていっ
た
跛行状態の解消の兆し
• 1960年代からGMSが登場し、生産分野との
間の跛行現象(アンバランス)が解消しそうに
なった
– 大量生産された製品の受け皿がGMS
– GMSが大量販売を行う
– 生産と小売の間に太く短いパイプが出来るはず
• 大量生産・大量流通・大量消費はGMSによ
る販売で実現できるはず
第1期のまとめ
• 1950年代は流通系列化の時代
• 1960年代はGMSが力をつけた時代
• 1970年代に入ると大規模小売店舗法(大店
法)の施行(1973年)によりGMSは苦境に立
つ
流通の歴史2
1973年~1985年
• CVSの台頭
• CVSは大店法の対象外
• 最初のCVSはセブン・イレブン1号店(1974)
• CVSは消費者への便利さを追求したシステ
ム
• 売れそうな商品は必ず店頭に存在していなけ
ればならない
• 欠品は許されない
昔のレジスター
POSの活用
• POSシステムはレジ業務のスピード化と容易
化を追求するシステム
• POSデータの利用により「売れ筋」「死に筋」
商品の区別が可能となる
• 消費者の求める商品(売れ筋商品)の欠品率
を大幅に低下
消費の多様化
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1980年代は消費の多様化・個性化が顕著
以前にもまして、売れ筋商品の予想が困難
POSデータの活用により状況を打破
EOSによりシステムは進化
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Electronic Ordering System
電子受発注システム
POSデータにより商品の販売状況を把握
納入業者に電子的に発注
納入業者はただちに納品
欠品・品切れを回避
第2期まとめ
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大店法(1973年)によりGMSが苦境に立つ
大店法の適用を受けないCVSが登場
POSデータによる情報管理
EOS+POSによる受発注の効率化
流通の歴史3
1985年~1995年
• 受発注を異なる種類のコンピュータで行うこと
は困難
• VANにより、異なる種類のコンピュータ間でも
受発注が可能となる(1985年)
• ICTにより大手メーカーと大規模小売業者は
直接受発注が可能となった
– 情報流通面では卸売業者の存在意義は消滅
– 物流やリテールサポートに特化
EDIの導入
• Electronic Data Interchange
• 電子データ交換
• EDIにより商品の受発注データ以外の小売店
頭データがメーカーに直接伝送
• 卸売業者を通さなくてもメーカーは消費者
ニーズを知る機会を得た
• これにより新商品開発に役立つ情報の入手
が可能となった
小売とメーカーの連携
• QR
– 店頭での販売状況から、消費者ニーズをキャッチ
し、即座に製品開発や製造に適用させる仕組み
• ECR
– 商品補充・品揃え・新商品導入・販売促進をより
効率的に対応する仕組み
• SCM
– 原材料の調達から消費者への配達までを最大限
の効率を追求する仕組み
第3期まとめ
• 電気通信事業法(1985年)によりNTTの回線
を使ったVAN事業者が出現
• 異なるコンピュータがネットワークでつながる
• EDI QR ECR SCM 登場
情報化の段階
• 第I期 (クローズド型流通システム)
– POS EOS EDI
– 品切れ回避
– 売れ筋商品の発見
• 第II期 (オープン型流通システム)
– QR ECR SCM
– 顧客のニーズへの迅速な対応
オープン型流通システムの発展
• インターネットEDI
– インターネットにより、新たな取引相手が登場
• GDS
– 地球規模でのデータの同期化
– 効率のよい生産と物流網の構築が可能
• 電子タグ
– 物流の効率化が格段に発展
オープン化がもたらすもの
• 製販同盟やSCMはICTのオープン化によって
普及・発展
• オープンであることは、情報のやり取りを一企
業がコントロールできないことを意味
• 流通システムをチャネルキャプテンによる一
方的な管理を成立させない
• メンバー同士は対等な役割分担が求められ
る
延期-投機の理論
• オルダーソンやバックリンによって提示された
理論
• 製品形態の確定と在庫形成をいつ行うかの
理論
• 消費現場に近い時点でまで引き延ばすことを
「延期」
• 消費から遠い点で前倒して行うことを「投機」
• 延期のほうが消費者ニーズにより正確に近
づくことが可能
投機時の財の流れ
生
材
産
料
者
製
品
投機
製品の流れ
消
費
現
場
延期時の財の流れ
生
材
産
料
者
製
製品の流れ
品
延期
消
費
現
場
投機時の生産・流通
生産
流通
時間
見込み
長サイクル
空間
集中
集中在庫
延期時の生産・流通
生産
流通
時間
受注
短サイクル
空間
分散
分散在庫
流通戦略の方向付け
• 従来のチャネル戦略では投機の原理が支配
的
• 消費者のニーズやライフスタイルが多様化し
顧客満足を重視
• これからは意思決定を消費現場に近づける
延期の原理が必要
• 延期型の流通システムはQR ECR SCM
• 延期の原理はメーカーや小売業が個別に導
入しても意味はない
大量生産から消費者中心へ
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消費財メーカが流通のリーダ
大量生産・大量流通が重要
その後、大手スーパが拮抗力
依然として、大量生産・大量流通・大量消費
• 近年は顧客ニーズに密着したシステムの構
築へ
中心にいるのは消費者
• 消費者中心に取り巻くように生産・流通が存
在
• 早く、正確に消費者ニーズ掴むのが重要
• 重要なのはシステム内の「協力」と「相互依存
性」
• 流通チャネルは選択・管理・再構築を繰り返
す
• メーカ、流通業者、消費者間のコミュニケー
ションの維持発展を追及
流通システムのアーキテクチャ
• クローズド
– 一企業内のシステム
• オープン
– 様々な企業との連携
• インテグラル
– 製品の調達から販売までを統合したシステムとして
扱うもの
• モジュラー
– 個々の活動を区切り、独立した単位として扱うもの
流通システムの分類
• I型(クローズド・インテグラル型)
– 製造・販売を一貫して行う垂直統合型企業
• II型(オープン・インテグラル型)
– 垂直的統合企業がオープンに技術提携や、流通チャ
ネルの提携を積極的におこなうもの
• III型(クローズド・モジュラー型)
– モジュール化させるが独自仕様のアウトソーシング
するもの
• IV型(オープン・モジュラー型)
– 各単位・部分をオープン化し積極的にアウトソーシン
グするもの
用語の説明
おまけ
流通とは
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生産者から消費者へのモノの流れ
モノが流れ通ることを流通
モノを流し通すことをマーケティング
モノの流れは物流・ロジスティクス・SCM
物流とは
• 物的流通の略
• 社会全体でモノがどう流れているか
ロジスティクスとは
• ロジスティクスは兵站を語源
• 一企業の個別的な物流活動を指す
– 原材料の物流
– 生産拠点内における物流
– 完成品の物流
SCM
• サプライ・チェーン・マネジメント
• 供給連鎖管理
• 複数の企業が物資の供給上連鎖
• 原材料から完成品の配達までを複数の企業
で協力し最小の物流コストで最大の顧客満足
を追求するもの