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鹿児島県薬剤師会 平成26年度食品衛生研修会
2015年3月6日(金曜日) 13:20~16:30
マリンパレスかごしま 3Fマリンホール
安全な食品製造の基本:一般的衛生管理とHACCP
●
食品製造業者や調理従事者が知っておくべきこと
鹿児島大学名誉教授・獣医学博士 岡本 嘉六
「食の安全性」は一様ではない
● 誰に提供する食品なのか?
➜ 健康弱者(ハイ・リスク者):乳幼児、子供、老人、妊
婦、 特異体質、免疫系基礎疾患、抗がん剤治療
● 国際基準、国の基準、民間取引規格
➜ 国の基準は貿易に絡む国際基準に準拠しなくては
ならないが、民間取引の安全規格はそれ以上であ
れば取引価格・条件の問題に過ぎない。
「食の安全性」は一様ではない
● 誰に提供する食品なのか?
➜ 健康弱者(ハイ・リスク):乳幼児、子供、老人、妊
婦、 特異体質、免疫系基礎疾患、抗がん剤治療
食品衛生法第19条の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令
(平成23年8月31日内閣府令第45号)
乳児用規格適用食品〖「食品、添加物等の規格基準(昭和34年)」
の成分規格に規定する乳児の飲食に供することを目的として販売する
食品、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年、乳等省
令)」に規定する乳と乳製品およびそれらを主要原料とする食品であっ
て、乳児の飲食に供することを目的として販売するものを除く〗
解毒、代謝機能が未発達で、調節機能が不十分な乳児(1歳未満)
は食事による影響を受けやすい。乳児ボツリヌス症は、それ以上の年
齢層が食べても問題とならない蜂蜜中のボツリヌス芽胞が、乳児の腸
内で出芽・発育・毒素産生して死亡させる乳児特有の重大疾病であ
る。蜂蜜を乳児に与える母親は依然として少なくないが、食品安全の
問題ではなく、常識の問題!
腸管出血性大腸菌
事件 患者 死者
1996
179 14488
8
1997
176 5407
0
1998
16
182
3
1999
8
46
0
2000
16
113
1
2001
24
378
0
2002
13
273
9
2003
12
184
1
2004
18
70
0
2005
24
105
0
2006
24
179
0
2007
25
928
0
2008
17
115
0
2009
26
181
0
2010
27
358
0
2011
21
614
7
2012
11
275
8
637 23896
37
計
37.5 1405.6
2.2
年平均
0.15
致命率
1996~2010年における年齢別発生状況
年齢
0~4
5~9
10~14
15~19
20~29
30~39
40~49
50~59
60~69
>70
不詳
患者数
%
583 2.5
7426 32.3
4678 20.3
1442 6.3
2147 9.3
1540 6.7
1807 7.9
1796 7.8
728 3.2
431 1.9
429 1.9
死者
% 致命率
数
1 4.5
17.2
4 18.2
5.4
2 9.1
4.3
0 0.0
0.0
0 0.0
0.0
0 0.0
0.0
0 0.0
0.0
2 9.1
11.1
0 0.0
0.0
13 59.1
301.6
0 0.0
0.0
死亡は、ハイリスク者(年少者、高齢者、
妊婦、免疫低下者、糖尿病などの基礎疾患
のある者)で起きている。
腸管出血性大腸菌の感染様式
非加熱の食肉
レバー刺し
発酵不十分な堆肥
調
理
時
の
交
差
汚
染
子供には
食べさせない!
細切れ生牛肉
用便後の便器、ドアノ
ブには、下痢便中の大
腸菌が付着する。
その後に利用する子供
は・・・
大人は腹痛・
下痢程度で
終わるが・・・
この感染経路を断つのは
難しい!
Q38 腸管出血性大腸菌は人からうつるのですか?
腸管出血性大腸菌は100個程度の菌数でも感染すると言われていますが、感
染するのは菌に汚染された飲食物を摂取したり、患者さんや無症状病原体保有者
の糞便で汚染されたものを口にした場合だけで、職場や学校で話をしたり、咳・くしゃ
み・汗などでは感染しません。ヒトからヒトへの感染を予防する基本は手洗いです。
排便後、食事の前、下痢をしている子どもや高齢者の排泄物の世話をした後など
は、せっけんと流水(汲み置きでない水)で十分に手洗いをしましょう。
厚労省
感染症法 「三類感染症」
全数把握疾患
感腸
染管
症出
の血
発性
生大
状腸
況菌
健康保菌している成人がかなりいる。調理従
事者は、赤痢菌やサルモネラ等を含めて定期的
検便を励行する必要がある。
● 誰に提供する食品なのか?
➜ 健康弱者(ハイ・リスク):乳幼児、子供、老人、妊
婦、 特異体質、免疫系基礎疾患、抗がん剤治療
IgMは素早く産生されるが威力は
小さく、抗体が力を発揮するのは感
染後1週~10日のIgG産生後。
分泌型抗体のIgA産生が成人並み
になるのは中学になってから。それ
までは、消化器系感染症や上部気
道炎とは縁が切れない。
老人は免疫系もそれ相応に衰えて
いく。
● 誰に提供する食品なのか?
➜ 健康弱者(ハイ・リスク):乳幼児、子供、老人、妊
婦、 特異体質、免疫系基礎疾患、抗がん剤治療
リステリア菌は自然界に広く分布し、冷蔵庫でも増殖す
るので、低温流通時代の間隙を突く。
妊娠している女性は健康成人より20倍リステリア症にな
り易い。新生児リステリア症:経胎盤的または分娩中か分
娩後に感染する。生後数日間のうちに呼吸窮迫,ショック
が現れ,激症の経過をたどることがある。殺菌していない
乳製品(カマンベール、ブルーチーズなど)やウシやヒツジ
の生糞に触れた生野菜を避ける。 調理時の交差汚染
平成13~15年度厚生労働科学研究報告書
ナチュラルチーズのリステリア汚染実態
国産
輸入
サンプル数
1,075
1,387
陽性数
0
33
陽性率
0%
2.4%
食肉のリステリア汚染率
ブロック 薄切
5%
27%
牛
8%
32%
豚
15%
40%
鶏
挽肉
22%
19%
42%
トキソプラズマ病
人獣共通感染症
病原体:原虫
終宿主(ネコ科)
消化管寄生 有性生殖
オーシスト(虫卵)
糞便
捕食
中間宿主
筋肉内寄生
シスト(嚢子)
無性生殖
捕食
砂場
飲用水
食品汚染
感染豚由
来の豚肉
一般健康人は
発病しない。
妊婦および
免疫低下者のみ
2500
発
生
率
(
豚
飼
養
1
千
万
頭
当
り
)
養豚業が専業化、大規模化し、衛生管理技術
が向上したことにより、豚の感染は激減した。
2000
発生率
一戸当り飼養頭数
猫を飼わない。
野良猫を近づけない
1500
頭数
750
500
1000
500
飼料の汚染
(ネズミの死体)
0
ブタにおけるトキソプラズマ症の発生推移
250
0
● 誰に提供する食品なのか?
➜ 健康弱者(ハイ・リスク):乳幼児、子供、老人、妊婦、
特異体質、免疫系基礎疾患、抗がん剤治療
ビブリオ・バルニフィカス
腸炎ビブリオやコレラ菌などと同
じビブリオ科に属し、暖かい海水中
の甲殻類や魚介類の表面や動物性
プランクトンなどに付着しつつ増殖し、
周囲の海水中にも遊出する。
都道府県別発生件数(1999~2003年)
熊本 24
福岡 15
佐賀 11
長崎 5
岡山
山口
広島
大阪
9
4
2
2
東京
千葉
神奈川
静岡
7
4
3
1
肝硬変などの重大な肝臓疾患者、鉄剤投与を受けている貧
血患者、免疫低下者 ⇒ 夏場は生の魚介類を食べない
「食の安全性」は一様ではない
● 誰に提供する食品なのか?
➜ 健康弱者(ハイ・リスク):乳幼児、子供、老人、妊婦、
特異体質、免疫系基礎疾患、抗がん剤治療
健康状態を異にする各人が求める食品の安全性水準は異なってお
り、万人に共通の安全性(逆に万人に共通の危害)は理論上のこと。
ADI を求める
際の種差と個体差
の係数に理論的
根拠がある訳では
なく、大半の科学
者が種々のデータ
を眺めて判断した
値である。アル
コールや薬物感受
性など、10倍以上
の差があるものも
ある。
「食の安全性」は一様ではない
● 国際基準、国の基準、民間取引規格
➜ 国の基準は貿易に絡む国際基準に準拠しなくては
ならないが、民間取引の安全規格はそれ以上であ
れば取引価格・条件の問題に過ぎない。
1930年代の世界恐慌やブロック経済が諸国の経済的対立を激化
させ、第二次世界大戦発生の一因になったとの反省から、1944年の
ブレトン・ウッズ会議で国際通貨基金 (IMF) 、国際復興開発銀行
(IBRD、世界銀行) 、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)を柱と
する現在の世界体制が構築された。
GATTは「無差別(最恵国待遇、内国民待遇)を原則とする自由貿
易」を基本としたが、生命や健康に関わる重大事項については「検
疫」による輸入制限を各国固有の権利として残した(「衛生植物検疫
措置の適用に関する協定; SPS協定」)。WTO体制でもこれが維持さ
れ、Codex委員会やOIE(国際獣疫局)が検疫措置の国際基準を管理
している。各国の安全性基準は、それに準拠しなければならない。
食の安全性が求められる背景
国際取引による食品事故の影響の広域化
➜ 国際基準の設定
七面鳥X病: 1960年にイギリスで七面鳥70万
羽が斃死 ➜ 原因物質はブラジルから輸入
された落花生粕に着生したカビが産生したア
フラトキシンによると判明。 アフラトキシン
は、ヒトの肝癌の原因となることが疫学的に証
明。乳に移行するので乳製品がとくに問題。
この他にも、様々なカビ毒、重金属、農薬に
よる農産物汚染が明らかになっていった。
Codex委員会は、消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等
を目的として、1963年にFAOおよびWHOにより設置された国際的な政
府間機関であり、国際食品規格の策定等を行っている。Codex基準を
上回る国の基準を設定することは事実上困難であり、日本の「食品衛
生法」もCodex委員会に従っている。
B国
非関税障壁
(WTO訴訟)
A国は損害賠償する
A国
危
害 衛生水準が同等の国
因
子 同士では問題は生じ
に ないが、衛生水準が
つ
い
異なると・・・・
て
の
国
の
衛
生
基
準
C国
E国
D国
国
際
基
準
国としての
輸入許可
自由貿易の枠組み(WTO)と衛生基準の関係概念図
物流に伴う病気の世界的蔓延を防ぐため、自由貿易の例外規定とし
て「衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)」が結ばれた。
B国
危
害
因
子
に
つ
い
て
の
国
の
衛
生
基
準
➜需要に応える
A国
民間取引規格
F社
M社
国
際
基
準
E国
民間取引規格
R社
C国
D国
S社
➜需要に応える
民間取引においては、各国の法令に基づいて、それぞれの衛生
水準に応じた安全性規格を基に貿易を行うことは自由である。輸出
入許認可権を持つ行政がこれに関与するとWTO問題となるが・・・
平成25 年度輸入食品監視統計
輸入量
国
件数
重量(t)
合計
2,185,480 30,982,370
米国
241,522 10,119,480
カナダ
28,256
4,221,095
中国
676,475
4,054,887
オーストラリア
54,157
2,060,502
タイ
144,870
1,541,592
ブラジル
28,690
1,300,335
フィリピン
35,633
1,172,819
韓国
130,562
806,911
メキシコ
26,207
592,821
フランス
206,054
433,497
ベトナム
51,997
368,523
ニュージーランド
27,295
355,982
イタリア
103,860
342,272
インドネシア
38,725
280,863
南アフリカ
5,837
221,748
台湾
28,218
198,765
違反
違反率(%)
件数
重量(t) 件数 重量(t)
1,043
71,059
0.05
0.23
196
65,174
0.08
0.64
14
779
0.05
0.02
244
1,608
0.04
0.04
9
37
0.02
0.00
74
613
0.05
0.04
23
41
0.08
0.00
13
25
0.04
0.00
36
41
0.03
0.01
10
79
0.04
0.01
31
5
0.02
0.00
69
371
0.13
0.10
3
38
0.01
0.01
52
18
0.05
0.01
23
35
0.06
0.01
6
79
0.10
0.04
19
59
0.07
0.03
おもちゃ
包装容器
穀類156 件(15.0%)
畜産加工品84 件(8.1%)
魚類加工品70件(6.7%)
種実類66 件(6.3%)
野菜加工品62 件(5.9%)
腐敗・変敗、有害物質、
病原微生物、不潔・異物
積み戻し、廃棄又は食用
外転用等の措置に要する
出費を防ぐには、「顧客の
要望」を満たすことが重要
と畜場法、食鳥
処理場法違反
農薬、動物薬の残留
食品衛生法の違反条項別割合
添加物
国際的業務規格として推奨される食品衛生の一般的原則
食品の検査はX線検査とは異なり、検査後はもはや商品とならな
い破壊検査である。所定量の製品から一定量を抜き取って検査して
も(ロット検査)、それからもれた製品に危害がある可能性が残る。
Codex委員会は、より安全な食品を製造するために、最終製品の
検査だけでなく、生産工程管理の一種である「危害解析必須管理点
(HACCP)」を重視するよう1969年から推奨を始めた。
衛生標準作業手順
(SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure)
生産管理手順に、法令に定められた衛生基準を組み込む作業
一般的衛生管理プログラム
(PP;Prerequisite Program)
標準作業手順
(SOP;Standard Operation
Procedure)
法令に基づく適正慣行(GMP、GAP)
HACCPの考え方
PDCAサイクル(失敗は二度と繰り返すな)
Plan(計画) ➜ Do(実行) ➜ Check(検証)
➜ Act(改善)
1950年代に考案された「事業を継続的に改
善するシステム」 ➜ 個人ではなく、集団・組
織の取組み方
HACCPと一般的衛生管理
危害解析必須管理点
危害解析によって安全性を損なっている工
程(CCP)を特定し、管理基準を定める。モ
ニタリング(警報付き温度計)によって常時
監視し、逸脱した製品を廃棄・回収する。
一般的衛生管理
前提条件プログラム
(PP; Prerequisite programme)
適性農業慣行(GAP)
適性製造慣行(GMP)
「食品衛生法」などによる法的規制
食品衛生監視員による立ち入り検査
施設・設備、給水(受水槽、塩素濃度)、
排水・廃棄物(環境負荷軽減、鼠族昆虫
の侵入防止)、従事者(手洗い、服装、教
育)、規格基準と検査
HACCP
永続的改善システム
衛生標準作業手順
SSOP
再吟味
検証
記録
衛生標準作業手順
SSOP
危害分析
再吟味
重要管理点
検証
記録
衛生標準作業手順
SSOP
標準作業手順
SOP
危害分析
一般的衛生管理
PP
重要管理点
HACCPは定まった衛生水準を規定
するものではなく、衛生水準を向上さ
せる永続的システムであり、そのシス
テムの可否を認証するものである。
HACCPと衛生水準
➜ 誰が、何時、点検して、
是正措置を講じるのか?
受水槽の点検
高置水槽の晒し粉補充
蛇口での塩素濃度測定
工程管理の考え方
適性慣行(GAP、GMP)やHACCPの工程管理の考え方は、通常
の生産・製造過程における集団活動の中で生じる見落としやうっかり
ミスを、作業所定の手順、点検、記録、是正措置を予め決めておくこと
により、ゼロに近付ける管理手法である。
「失敗は二度と繰り返すな」は個人の成功を約束するが、PDCAサイクルはその
取組み方を集団・組織に広げることで、事業体のミスをなくして成功に導く。
Plan(計画) ➜ Do(実行) ➜ Check(検証) ➜ Act(改善)
5S 活動: 毎日の作業が重要です
• 整理 (Seiri): 要るものと要らないものを区分して、要らないものを処分する
• 整頓 (Seiton): 必要なものが必要な時にすぐにとり出せるよう、定位置定数管
理を行う
• 清掃 (Seisou): 掃除をしてきれいな状態にすると同時に、不具合な箇所の点検
を行う
• 清潔 (Seiketsu): 整頓され、かつきれいな状態を維持。食品工場においては、
菌が付着すると夜間に増殖する「腐り易い素材」を扱っており、作業終了
時からの清掃・消毒がきわめて重要である。
• 躾 (Shitsuke): 決められたことを決められたとおりに実行できるよう習慣づける
食品をより安全にする5 つの鍵(WHO)
1) 清潔の維持
*食品を取扱う前だけでなく、調理
中も頻繁に石鹸で手を洗う
*トイレ後は石鹸で手を洗う
* 全ての表面と食品の調理に使用
した器具を洗って消毒する
* 害虫、害獣およびその他の動物
から台所と食品を保護する
3) 完全に加熱する
* 食品、とくに赤身肉、家禽肉およ
び魚介類は十分に加熱する
* スープやシチューなどの食品は、
具の中まで確実に70℃に達するよう
沸騰させる。食肉は、肉汁がピンク
色でなく確実に透明になるにする。
理想的には、調理用温度計を使用
する
* 調理済み食品は完全に再加熱す
る
* フライ、網焼き、オーブン焼きする
際に、有害物質が生じるのを避ける
ため、過度に加熱しない
2) 生の食材と調理済み食品を分ける
* 生の赤身肉、家禽肉および魚介類をその他の食
品と分ける
*生の食材を調理するための包丁やまな板などの
機器と器具は区別して使う
* 生の食材と調理済み食品が接触しないように、
別々の容器で保存する
4) 安全な温度に保つ
* 調理した食品を2 時間以上室温に放置しない。
* 調理済み食品と傷みやすい食品は全て速やかに
冷蔵する(5°C 以下が好ましい)。
* 調理した食品は食べるまで熱い状態(60°C 以
上)を保つ。
* 冷蔵庫内でも食品を余りに長期間は保存しない。
* 冷凍食品を室温で解凍しない。
5) 安全な水と原材料を使用する
* 安全な水を使用するか、または安全にするための
処理をする。
* 新鮮で健全な食品を選ぶ。
*殺菌乳のような安全処理された食品を選ぶ。
* 果物や野菜は、生で食べる場合はとくに、良く洗
う。
* 消費期限を過ぎた食品を使用しない。
HACCP手法を満たす7原則12手順
(出典:コーデックス委員会「国際的業務規格として推奨されている食
品衛生の一般的原則CAC/RCP 1-1969, Rev. 4-2003」)
1. 製品と工程における専門を持ったHACCP チームの結成
2. 製品の説明
準備段階
3. 意図する使用を特定
4. 流れ図の作成
5. 流れ図を作業工程(または計画した工程)に照らして確認
6. 危害解析を実施
7原則
7. 必須管理点(CCPs)の決定
準備段階の前に
8. 管理基準の設定
9. CCPの管理をモニターするシステムの確立 記録の習慣づけ
10.モニタリングでCCPが管理されていないことが示された時に採るべ
き是正措置の確立
11. HACCPシステムが効果的に機能していることを確認するための
検証手順の確立
12.全ての工程を網羅する文書化の確立およびその原則と適用に対
して適切な記録
もめん豆腐の流れ図
(出典:日本豆腐協会 平成12年3月 発行)
石などの異物を除去
「食品添加物」のシールを確認
「煮沸」は通常の製造工程であるが、殺
菌の役割を果たせる唯一の工程であり、
CCPとする。
細菌の多くは100℃で死滅するが、芽胞
性細菌は生き残る ➜ 低温管理
手作業の工程は、作業員による汚染が
生じ易いので、教育、作業管理が大切
「水さらし」の工程は、菌が
増殖しない温度管理が重
要であり、CCPとする。
劣化した器具の破片はそのまま口に入
れる豆腐において危害因子である。「金
属探知機」が有効であり、CCPとする。
HACCP手法を取り入れた「豆腐安全確保システム構築」マニュアル
では、「煮沸」と「検品」をCCPととし、それ以外は前提条件プログラム
で対処するとしていが。それには冷却の管理手順が必要。「食品産業
センター」には、様々な食品についての事例が紹介されている。
11. HACCPシステムが効果的に機能していることを確認するため
の検証手順の確立
検証は、モニタリングおよび是正措置の実行責任者以外の者に
よって行われなければならない。特定の検証が事業所内で実施でき
ない場合、外部の専門家や資格のある第三者による業務として実施
すべきである。
第三者
自己宣言
認証
ISO 22000:2005
この国際規格は、組織が以下のこ
とをできるための要件を特定している。
取引先が
取引先が
e) 組織が宣言した食品安全方針
確認可能
確認不可能
を遵守していることを保証する
f) 関連する関係者に対してその
HACCP
ような適合性を証明する、ならびに
ハセップ
g) 食品安全管理システムを外部
の組織による認証や登録を求めるか、
一般的衛生管理
または、この国際規格への適合性を
前提条件プログラム
(PP; Prerequisite programme)
自己査定して自己宣言する。
第三者認証システム
第三者認証による付加価値
生産者
この契約関係の理解を普及することが肝要
より高度の安全性確保
設備改善、衛生管理改善、
人材教育・訓練
保証
クレーム
消費者
安全性に対する対価
安全性向上には経費が
掛かることの理解
係争が発生した時、利害関係にない第三者が仲裁に入ることは
一般社会で普通に行われている。金融・経営問題に関しては、公的
団体、金融機関などに対して公認会計士が国民や株主の付託を受
けて、会計監査を行うことが法で義務化されている。食品の安全性
と品質に関する工程管理に関しても、この手法を導入することに
なった。
原理的には利害関係がなければ誰でもできるが、国際取引に関
係する以上、それなりの資格を持った監査員を擁する国際的に認め
られた第三者認証機関による認証でなければならない。
国際標準化機構(ISO)
工業分野の国際的な標準で
ある国際規格を策定するための
民間の非政府組織。本部はスイ
スのジュネーブ。
参加機関:日本工業標準調査会(JISC)、米国 アメリカ規格協会
(ANSI)、英国(BSI)、フランス(AFNOR)など、一部の国を除く。
JISC は、「工業標準化法」に基づいて経済産業省に設置されてい
る審議会で、工業標準化全般に関する調査・審議を行っている。
自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化してしまう「もの」
や「事柄」について、経済・社会活動の利便性の確保、生産の効率化、
公正性を確保、技術進歩の促進、安全や健康の保持、環境の保全
等の観点から、国レベルの「規格」を制定し、全国的に統一すること。
「計量法」によって、商取引に用いる計器(長さや重さ等)は、JIS
マークの付いたもので、定期的な行政検査を受けなければならないと
定められている。
ISO
各国に一つの適合性認定協会を
設け、審査・認定基準を統一する
日本適合性認定協会
JAB
審査
・認定
認証機関
監査・
認証
国
際
的
相
互
認
証
協
定
組織・企業
製品
A国
適合性認定協会
審査
・認定
認証機関
監査・
認証
組織・企業
同等性
製品
GLOBALG.A.P
「Eurep」:欧州農産物小売業組合
(Euro-Retailer Produce working group)
1997年に 創設され、生産段階における品質・安全性認証システムとしては世界の
最先端とみなされている。
EurepGAPの包括的農業保証
(EurepGAP Integrated Farm Assurance)
総則
第2版(2005年5月)
1.EUREPGAPの委任事項(Terms of Reference)
食品の安全性に関する消費者の関心、動物福祉、環境保護ならびに
農業者の健康・安全・福祉を確保するために、以下のことを実行す
る。
1.1. 商業的に利用できる農業保証計画の採用を推進し、それに
よって欧州内および世界的に、農業化学資材と農業薬物の使用を
最小限にする。
1.2. 遡及調査(traceability)を含む既存の保証計画と基準にベン
チマーキングを行うために適正農業規範(GAP :Good Agricultural
Practice)を作成する。
種苗
果樹・野菜
GLOBALGAPで
適用される基準
の範囲
Version 4.02, 2013
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定
作
物
共
通
穀物
コーヒー(生豆)
茶
花卉と観葉植物
全
農
場
反芻獣
共
共通
家
通
畜
共
通
牛と羊
乳牛
仔牛と育成肉牛
豚
鶏
七面鳥
水産養殖
配合飼料製造
加
工
・
流
通
過
程
輸 の
送 管
理
必須要件(Major Musts): 100% compliance of all
applicable Major Must and QMS control points is compulsory.
準必須要件( Minor Musts): 95% compliance of all
applicable Minor Must control points is compulsory.
推奨事項(Recommendations): No minimum percentage
of compliance
全農場共通
管理点
適合基準
農場の
履歴
AF112
生産の各区画、またはその他の区
画・場所で行われる家畜生産、水産
養殖または農業活動について記録
する仕組みが確立されているか?
最新の記録は、全生産場所
でGLOBAL GAP生産履歴
を提供しなければならない。
適用除外なし。
必
須
記録の
保管
AF21
生産者は最新の記録を最低
2年間保管しなければならな
外部審査の際に要求される全ての
記録が閲覧可能で、2年以上の保管 い。新規申請者は、登録申
を要求している特定の管理点を除き、 請した全区域の農業生産活
最低2年間保管しているか?
動の記録文書を外部審査日
前3ヶ月分を保管する。
準
必
須
管理点
適合基準
衛生
AF324
農場の衛生手順が実施され
ているか?
衛生手順に指定された作業を行なう
者は検査を通して適格性を証明しな 必
ければならず、衛生手順が実施され 須
ている肉眼的証拠が必要である。
教育
訓練
AF331
教育訓練活動と出席者の記
録があるか?
テーマ、講師、期日および参加者を
含む訓練活動の記録を保管する。
出席の証拠が必要である。
苦情
AF71
Global GAP基準に関連する
問題を取り扱う苦情処理手順
があるか? その手順は、苦
情を適切に記録、検討、追跡
および是正措置を確実にして
いるか?
文書化された苦情処理手順は、
Global GAPに含まれる問題に関連
して受取った全ての苦情の記録・追 必
跡に容易に利用できるものである。 須
そのような苦情に関連して採った行
為は文書化しなければならない。
衛生
AF324
認証生産物と非認証生産物
を適切に出荷するための最
終チェック工程があるか?
認証生産物と非認証生産物が適切
に出荷されたことを示すために、そ
のチェックは文書化しなければなら
ない。
準
必
須
必
須
農業生産工程管理(GAP: Good Agricultural Practice)
農業生産活動を行う上で必要な関係法令等の内容に則して定め
られる点検項目に沿って、農業生産活動の各工程の正確な実施、
記録、点検及び評価を行うことによる持続的な改善活動のこと。
かごしまの農林水産物認証制度(K-GAP)
安全基準
安心基準
生産に関する基準
1.産地管理
1.ほ場管理
2.適正表示
2.投入資材・機械・施設
3.情報提供システム
の管理、労働安全
4.内部研修
3.土づくり、施肥管理
5.内部検査体制
4.病害虫・雑草管理
6.クレーム処理体制
5.収穫・調整管理
加工・出荷に関する基準 7.知的財産
1.作業者管理
農薬や化学肥料の使用を低減した栽培方法
2.施設・設備管理
に取り組む場合は、産地の取組、 生産ほ場
3.用排水管理
の設定、取組の計画作成と実践、 取組内容
4.製品管理
の確認などの項目が追加される。
ピーマンでは,複数の種類の害
虫を捕食する「スワルスキーカブ
リダニ」という天敵(益虫)を利用し
ています。
いちごでは,ハダニという害虫を
捕食する「チリカブリダニ」と「ミヤ
コカブリダニ」という天敵(益虫)を
利用しています。
かごしまのIPMキャラクター「チーム・マモット」
食品の安全性: 科学に基づく合理的判断
安心: 食料生産提供網に対する信頼感
相互理解と協力に基づく信頼性構築が基礎となる
なぜ安心できるのか?
1.FAO、WHO、Codex委員会、OIEなどの国際機関が、世界的科学者
を集めた委員会で農場から食卓までの安全性確保に関する基準
を策定している。これらの国際基準を満たさない食料は、輸入検
疫によって排除されている。
2.ISO、Global GAP、SQFなどの民間機関による第三者認証システ
ムが国際展開しており、多くの食品産業がそれらの認証を取得し
ている。貿易に参入する食品産業は、取引相手から認証取得の
証明書の提示を求められる。
3.国内農産物については、農水省および県の主導によるGAP認証
が推進されている。
4. 上記の基準や認証の基礎となっているHACCPやGAPは、農場か
ら食卓までの食品の安全性を確保するための最新の科学的方法
である。