研究会でのパワーポイント プレゼン

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Transcript 研究会でのパワーポイント プレゼン

中学校
数と式分科会 レポート
小学校算数に接続した
正負の数の加減
8時間教材が 3時間で完了する 単元構成の提案
教科書の書き変えを願って!
奈良市退職教員
福尾忠彦
中学校
数と式分科会 レポート
プロローグ
このレポートは
・ 授業時間の大巾短縮
( 8時間 → 3時間 )
生徒への説明がシンプル
生徒の理解よく 乗りもよい実践報告です。
・ 30年以上の実績で 自信のある報告です。
・ しかし、初めて聞く先生方には 何か違和感があるでしょう。
・ 4項の加減計算から入り、2項計算へと展開します。
通常とは逆パターンだからです。
・ 小学校算数と接続することで それを解決しました。
それでは 報告に移ります。
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先生方 どのように計算しますか?
-5-(-6)+(-9)+2
=-5+6-9+2
↓① (
)をはずす
↓② 正の項を左に 負の項を右に合計する
=(6+2)-(5+9)
↓③ 合計どうし引き算
= 8-14 =-6
3(スリー)ステップ
教科書も含め ほぼ全ての参考書も、表現は多少違っていても 加減の最後の説明として
この方法を示しています。 日常の黒字・赤字の計算もこの感覚で行われています。
つまり この方法は 新規な方法ではなく どなたもご存じの方法です。
これから行う提案は 説明の順番を組み替えた方法です。
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教科書の 加減についての指示
2項の計算から始めますから
加法について
減法について
どちらも 東書教科書より
果たして この指示は先の計算に役立つでしょうか?
型分け認定は 初心者にとって不得手で 混乱の原因。
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小学校算数修了者の持っている計算技量
正数のみとは言え
加減乗除 ( ) {
} なども含む多項式の計算練習を
しています。
扱っていない 計算は
2-5=
のように答えがマイナスになるパターンのみ
つまり
このパターンのみを新たに学習・練習する単元構成で
十分かつスッキリします。
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発想の転換
▷ 3項以上の多項式を暗算で出来る生徒たちに
何故 2項計算に無理矢理戻らせるのか?
▷ 2項計算から始めれば
どうしても場合による型分けが必要になる。
⇨ 説明が煩雑になる。
⇨ 型分けの認定は 初心者には苦手 ⇨ 混乱の原因
▷ それなら
同一手順で全て処理出来る4項計算で一般化した後に
2項計算へ移行すればよいであろう。
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以上が このレポートの要点の全てで
既に 結論を推察されていると思いますが、
私が実際に進めていた授業の流れを基に
新たな単元構想を提案させてもらいます。
トランプゲームの流れから発想した方法ですが、
トランプを利用しない方にも使える展開に一般化しました。
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次に
・実際の授業の流れを示します。
・生徒に問いかける文体と
教材の意図の説明文体が混在しますが
適当に読み分けてください。
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1、 負数の導入
買い物で お釣りの計算を見ていきましょう。
例えば 所持金4万円での買い物で 買う金額を増やしていきます。
⇨ -1
4-1=3
4-5=?
⇨ -2
4-2=2
4-6=?
4-3=1
・
4-4=0
・
・
小さい子なら家へお金をとりに返るであろうが、
君たち中学生や大人で よく知っている店ならば、
借金(つけ払い)して後日に払うであろう。
借金をマイナスで表せれば上の答えは
これは 教え込まなくても、発問に対して生徒は自然に解答します。
これをマイナスの数と定義し、全ての引き算が完結することを理解させます。
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2、 負数の必要性 使用例
① 全ての引き算に答えを用意する。 (先ほどの説明)
② 正反対のもの、
電気 現金と借金 など
③ 基準からのズレが反対のもの、
温度 標高 位置表示 など
各項の例は生徒に発問して引き出しますが、
現金と借金については意外と出てこないので その場合は、
授業者から提案して付け加えます。
単元の核心
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3、負数を加減する意味の理解
( )はずしの練習
5+(-2)=5-2
5-(-2)=5+2
などの説明は
① 数直線での 右へ進む 左へ進むの方法。 (教科書の説明)
② トランプカードでの説明。
③ 現金や借金のやりとり。
など
大切な事項なので 3つとも 実物を示し じっくり説明します。
本提案は時間の余裕がありますので 何度もこれらを説明します。
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結果のまとめ
5+(+2)= 5+2
5+(-2)= 5-2
5-(+2)= 5-2
5-(-2)= 5+2
この(
さらにまとめて
=
=
=
=
7
3
3
7
(
⇨
)のはずし方
同符号
異符号
→
→
+
-
)はずしの結果を 計算の最初に適応します。
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4、 小学校算数の復習
項の多い計算
いろんな方法がありますが話の展開として
次のように復習します。
7-5+3-1
↓① 足し算を左に 引き算を右にまとめる
=(7+3)-(5+1)
↓② 合計どうしを引き算
=
10-6
=
4
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授業内容に合わせ
その都度に配布演習させる
プリントです。 ノートに貼らせます。
このようなプリントを
No、0~No7まで用意します。
授業に沿って 練習・演習さ
せます。
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先ほど 示した式です
-5-(-6)+(-9)+2
=-5+6-9+2
=(6+2)-(5+9)
= 8-14 = -6
↓① (
)をはずす
↓② 正の項を左に 負の項を右に合計する
↓③ 合計どうしの引き算
3(スリー)ステップ
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次からは
1、 4項計算から → 2項へと
逆順のメリット
2、 全て 3ステップ法の同一手順で行える
この2つを具体例で見て行きます。
もう お気づきですね、
用語の絶対値 項の数 各項の正負
正負の絶対値の大小などが、
各段階の説明で不要なことがお分かりと思います。
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つまり、
全て 3ステップで可能なことを説明します。
・この場の先生方については
型分けの提示ではなく
どんな場合でも3ステップで可能なことの説明です。
・生徒については、
たとえ単純な指示でも
自分勝手に変更解釈するのでなく、
どんな場合も指示通りに計算する練習。
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(2)引き算も混じった型
型の特徴は口頭説明程度で、板書は式を例示するのみにする。
(+5)-(+2)+(-3)-(-4)
場面の説明は特に必要ないですが、もしするならば 「最初 5万円所持 →
次に 2万円消費 → 3万円借金を増やす → 借金4万円を減らす。」
板書は
(+5)-(+2)+(-3)-(-4)
↓①(
)をはずす
=5-2-3+4
↓ ②正負それぞれを合計
=(5+4)-(2+3)
(正は左 負は右)
↓③合計どうしを引き算
=9-5=4
3ステップ
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この会場にはプリントは用意
していません。
後述のホームページから
ダウンロード出来ます。
以後 この説明では
プリントの表示は省略します。
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(3) (
)はずし後 正負2項ずつで最左の項が負の型
(-2)-(-6)-(+3)+(+1)
↓①( )をはずす
=
-2+6-3+1
↓②正負それぞれの合計
=(6+1)-(2+3)
(正は左 負は右)
↓③合計どうしを引き算
= 7-5 = 2
(4) (
)はずし後 正負の項が3つと1つの型(
)のない項も挿入
(-2)-(+6)+3-(+4)
↓①( )をはずす
=-2-6+3-4
=( 3 )-(2+6+4)
= 3 - 12 = -9
↓②正負それぞれの合計
(正は左 負は右)
↓③合計どうしを引き算
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(5) 4項すべてが負の型
(-3)-2-4+(-5)
↓①( )をはずす
=-3-2-4-5
↓②正負それぞれの合計
=(0)-(3+2+4+5)
(正は左 負は右)
↓③合計どうしを引き算
= 0-14 = -14
正項の合計は0と表記するが、3ステップは同じ。
教科書の問題 (2項)を同じ3ステップ法で計算する
-5-(-3)
↓①( )をはずす
=-5+3
↓②正負それぞれの合計
=( 3 )-( 5 )
(正は左 負は右)
↓③合計どうしを引き算
= 3-5 = -2
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-12+(-5)
↓①( )をはずす
=-12-5
=( 0 )-(12+5 )
↓②正負それぞれの合計
(正は左 負は右)
↓③合計どうしを引き算
= 0-17= -17
板書では各段階の式をていねいに書きますが、暗算出来る者は途中の式の省略を促
します。
・このようにして、教科書の各セクションの問題を 説明抜きでどんどん進めて行きます。
式の変形 手順は3ステップ法で行いますが、教科書の例題 については、何故それ
を例題に取り上げているのかの型についての説明を口頭にて簡単に行う。
・数直線での加減の説明を、口頭にて簡単に説明する。 加法は数直線上を右へ進む、
減法は左へ進む。 負数の場合は進む方向が逆になることなど、教科書の説明の意
味が理解出来るようにします。
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まとめです。
現在の教科書流説明
3ステップ法
↓① ( )をはずす
↓② 正負をそれぞれ合計
↓③ 合計どうしを引き算
全て同一手順で
3時間
説明が単純明快 シンプル
授業の“乗り” が良い
2項計算の後 4項計算の説明
標準8時間
説明が多く “乗り”が悪い
余った時間で この単元の核心
負数の加減と ( )はずし意味を
十分に繰り返し扱えます。
さて
先生方、 どちらの手法を採用しますか?
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3ステップ法の正統性
1、今までは
教科書流の説明とあまりに違うし、私自身 正統な方法ではな
いと考えていました。
2、現在は
小中の連携・接続を重視するならば、小学校算数の延長で説
明するこの3ステップ法こそが正統ではないかと思っています。
つまり、教科書の書き変えを願っています。
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春の 東大寺 大仏池
ご静聴ありがとう御座いました。
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筆者ホームページ
Yahoo の画面で
中学校数学 正負 奈良
検索
メールアドレス
f[email protected]
どちらもプリントに記載しています
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符号 と 演算記号 代数和について
この項は授業で取り上げる内容ではなく、授業者の知識として考
える材料にしてもらえば幸いです。
代数和に関する考察です。 例えば
5-3+4-1=(+5)+(-3)+(+4)+(-1)
などと、いろんな加減を全て正数と負数の合計で表したうえで考え
を次に進める方法があります。 そして式をこのような形にしたもの
を代数和と呼んでいます
これらの式の中に出てくる + や- の記号の名称というか働き
は同じものに対して別の名称や働きが与えられています。
つまり、同じ + であっても ( )の中の + は符号、( )の
外の + は加法を示す演算記号と呼ばれている。
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演算記号と符号では意味合いが違います。 ですから 私は若い頃、違う意味
合いのものに同じ記号を使うのは不都合であり、これらの事を生徒に説明する
時に誤解が生じるであろうと思っていました。
この代数和を授業で取り上げたことはありませんが、もし取り上げるならば意味
合いの違うものには別の記号を使うべきだと思っていました。
⊕⊖などと
例えば 演算記号としての +,- はそのままで、符号の方には
別の記号を用意すべしと考えていました。
しかし、数学のテキストでそのような区別をしているものはありません。
最近になり、数学の記述方法は 長年の経験で よく出来ているものだなぁと
思いあたりました。
符号と演算記号、別のものと言えば別のものですが、考えようによっては同じも
のと解釈出来なくはないと考えられます。
例えば -3、のマイナスはどちらかと言えば符号であろう。 しかし、こうとも考
えられます。
-3=0-3 のことである。 加法・減法では‘0’を省略しても意味は通じま
す。
ですから -3は 0-3 の0を省略したものと考えてもよいはずです。
中学校
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つまり、同じ - の記号を片方では符号と呼び、他方を演算記号と呼んでいます
が、元々は同じものと考えられます。
特別な説明はどのテキストにもありませんが呼び名が違うのに別々の記号を使っ
ていないのは このような理由が背景にあるからではないでしょうか。
このような意味で、符号と演算記号とを別なものを使って生徒に説明することをし
なかった事をよかったと思い直しています。
[小学校算数との関連]
上の考え方の結果、さらなる事に思いあたりました。
マイナスのマイナスはプラスになるという( )のはずし方です。
7-(-2)=7+(+2)=7+2 を説明するのに、「負数を引くことは符号を
変えて加法にする」と中学校数学として新たな事として説明しますが、あらたな説
明方法でなく小学校算数流に説明できます。
中学校
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7-(5-2)=7-5+2
の(
)のはずし方は小学校算数で既に修得ず
みです。
上の式の5の代わりに 0 を入れて考えてみましょう。
7-(0-2)=7-0+2 となります。 この式で不要な‘0’を省略しますと、
7-(-2)=7+2=7+(+2)
となり、小学校算数で十分説明がつきます。
「符号を変えれば 加法・減法が入れ替わる」という結果は有用な結論ですか
ら、従来通り中学校流の説明が必要であります。
しかし 授業者としては、
このように小学校流の説明も可能であることを心得ていれば何かの役にたつ
のではないでしょうか。
代数和の説明を授業でしたことはありませんが、以上のような
考察を つい最近に思いあたりました。
中学校
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授業の流れ 概略
(プリント資料参照で省略します。)
① 負数の導入にあたり、負数の使用例や必要性を説明する。
② 各種の方法で負数を含む加減に実感的に慣れる。
③ 負数を足すこと 負数を引くことの意味を十分実感させる。
④ 小学校算数を基に
4項計算を一般形として → 2項計算 へと進む。
⑤ 多項式計算・2項計算 (
)のある式も含め 全てを
同一手順 3ステップのみで処理する。
各種の方法とは ・トランプゲームでの札のやり取り
・数直線での 左右への進み方(教科書の説明方法)
・現金や借金のやり取り
中学校
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指導の流れ
(時間配分)
(配布プリント参照)
① 負数の意味や導入の必要性の説明
② 3-5=-2 などの練習
・・・①と②で 1時間
③ (トランプゲームでの得点表記入)
・・・③で
1時間
④ 負数を加減することの意味
⑤( )のはずし方の練習
⑥ 4項の加減
・・・④⑤⑥で 2時間
(ここで、いろんな型を出題)
4項計算の延長で2項計算へ移行します。
↑ここまでは独自教材
(4時間)
↓ここからは教科書に沿った教材
⑦ 教科書の説明と、この説明を対応させる
⑧ 教科書の問題を演習する
・・・⑦⑧で
1~2時間
注、 トランプゲームをしない方は ③を省略します。
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(省略ページ)
この小論ではトランプでの説明を取り上げます。
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負数の加減の意味と
(
)はずし
(+4)に(+2)を加える
+4
+2
式表現
(+4)+(+2)
= 4 +2 =6
負数の加法
不要な(
)をはずす
(+5)に(-3)を加える
+5
-3
式表現
(+5)+(-3)
= 5 -3 =2
不要な(
)をはずす
[ ゲームでの札のやり取りで ]
・赤札が増える → 「ちぇっ、、」と思う → 点合計へる → ひき算
つまり
「マイナスを足し算することは 引き算になる」ことを確認する。
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+2
+4
合計6
+5
合計3
負数の減法
(省略ページ)
式表現
(+6)-(+4)
= 6 -4 =2
不要な(
)をはずす
式表現
(+3)-(-2)
= 3 +2 =5
不要な(
)をはずす
残り 2
-2
残り 5
[ ゲームでの札のやり取りで ]
・赤札が減る → 「やった~、、」と思う → 点合計増える → たし算
つまり
「マイナスを引き算することは 足し算になる」ことを確認する。
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トランプゲームをしない方は この項は不要です。
(1)トランプの並び図と式の対応
カードの得点計算の確認です。
生徒の暗算は 加法のみ。
このカードの並び図を式で表示しますと
(+5)+(-3)+(+4)+(-2)
↓①(
=5-3+4-2
=(5+4)-(3+2)
9 -
5
=
↓②正負それぞれの合計
↓③合計どうしの引き算
3ステップ
正の合計左 負の合計を右に書く
=
)をはずす
4