rejime_yoshida_nyosaikan_2012

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国家試験レベル
 55歳の女性。3ヶ月前から下腿浮腫が出現してきたため来院し
た。15年前から関節リウマチに罹患し、3年前から金製剤で治
療されている。尿所見:蛋白(3+)、糖(ー)、潜血(ー)、尿蛋白
5.5g/日。血清生化学所見:総蛋白5.0g/dL, 尿素窒素12mg/dL,
クレアチニン0.8mg/dL, 総コレステロール385mg/dL。考えられ
る腎病変はどれか。2つ選べ。
A 膜性腎症
B 腎乳頭壊死
C 腎皮質壊死
D アレルギー性腎炎
E アミロイド腎症
国家試験レベル

43歳の男性。発熱と下腿の痛みを伴うしこりのため来院した。2ヶ月前から夕方に
38℃台の発熱、鼻汁および鼻閉が出現し、副鼻腔炎と診断された。1週間前から
両下腿に有痛性の紅斑が出現した。意識は清明。身長183cm、体重71kg。体温
37.8℃。脈拍88/分、整。血圧122/84mmHg。眼瞼結膜に貧血なく、眼球結膜に黄
疸はない。胸部、腹部に触診、聴診上異常所見はない。両下腿に径1cmの有痛性
結節性紅斑を数個認める。尿所見:蛋白(2+)、潜血(1+)。血液所見:赤血球
423万/μL, Hb 12.1g/dL, Ht 36%, 白血球10,800/μL, 血小板39万/μL。血液生化学
所見:総蛋白7.4g/dL, クレアチニン0.7mg/dL, AST 14, ALT 19, LDH 129。免疫学所
見:CRP 7.5mg/dL, CH50 60単位(基準30-40)、抗好中球細胞質抗体陽性。胸部レ
ントゲン写真で両肺に多発性の結節影を認める。診断はどれか。
A 悪性リンパ腫
B サルコイドーシス
C 結節性多発動脈炎
D 全身性エリテマトーデス
E Wegener肉芽腫症
認定内科医試験レベル
 45歳の女性。1年前に非アトピー型喘息を発症し、副鼻腔炎の
合併と繰り返す肺浸潤影との既往がある。1ヶ月前から発熱、
体重減少、四肢末梢のしびれと筋力低下および下腿浮腫が出
現し、徐々に増悪したため来院した。検査所見:末梢血好酸球
6,790/μL。最も考えられる診断はどれか。1つ選べ。
A Wegener肉芽腫症
B アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群)
C アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
D 急性好酸球性肺炎
E 顕微鏡的多発動脈炎
腎障害をきたす全身性疾患
 代謝性疾患
 自己免疫疾患
 パラプロテイン血症
 その他
代謝性疾患
 糖尿病
 高尿酸血症・痛風
 糖原病
 脂質代謝異常症
糖尿病性腎症(病期分類)
糖尿病性腎症(病期)
糖尿病性腎症(病期)
糖尿病性腎症(病理)
糖尿病による糸球体硬化症のこと。
びまん性病変、結節性病変、滲出性病変
尿細管間質障害もみられる
びまん性病変
結節性病変
滲出性病変
10
糖尿病三大合併症の進展
神経障害
網膜症
腎症
症状がないことが多く、気づいた時にはかなり進んでいる!
早期発見が大事
糖尿病は腎症進展率よりも死亡率
が高い(5097人の10年間追跡結果)
2.0%
腎症なし(第1期)
2.8%
微量アルブミン尿
(第2期)
1.4%
3.0%
蛋白尿(第3期)
4.6%
死亡
2.9%
腎不全、末期腎不全
(第4、5期)
19.2%
2nd Dept. of Internal Medicine, Sapporo
Medical University School of Medicine
UKPDS64より改変引用
糖尿病性腎症の治療
1. 血糖コントロール
2. 血圧管理
3. 蛋白制限食(Stage 3以降)
4. 腎保護薬
stage 2→stage 1やstage 3→stage 2 へ改善させることができる
stage 4以降でも末期腎不全へ進行を遅らせることが可能
血糖コントロール
 空腹時血糖
110 mg/dl未満
 食後血糖
180 mg/dl未満
 HbA1c (JDS値)
6.5%未満
米国DDCT (The Diabetes Control and Complication Trial Research Group), NEJM 1993
欧州UKPDS33 (UK Prospective Diabetes Study Group), Lancet 1998
日本Kumamoto Study, Diabetes Res Clin Pract 28, 1995
膵移植後の尿蛋白の推移
移植患者
非移植患者
(Coppelli: Transplantation, Volume 81(7)15, 2006)
膵臓移植
健康人
33歳女性 1型糖尿病17年
移植前
HbA1c 8.7%
移植後5年
HbA1c 5.3%
移植後10年
HbA1c 5.5%
Fioretto P, et al. NEJM 339: 69, 1998
血圧管理
 アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)またはアンジオ
テンシンII受容体拮抗薬(ARB)を使用
 日本人2型糖尿病を対象にした、RENAAL Studyや
INNOVATION Studyでは、尿アルブミン減少効果、腎機能
低下抑制がみられた
 血圧目標値:130/80 mmHg未満(合併症なし)、125/75
mmHg未満(蛋白尿1g/日以上)
血圧管理以外に、蛋白制限、脂質管理、禁煙などがある
血圧の適正化は腎機能低下を予防する
2型糖尿病患者の家庭の早朝収縮期血圧と
合併症の関係
170人の検討
有
病
率
(%)
腎症
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
脳卒中
心臓病
110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 210
mmHg
早朝収縮期血圧
Diabetes Care 25; 2218, 2002
透析になりやすい人
100%
透
析
血圧
蛋白尿
蛋白尿がかなり多い
糖尿病は高血圧と蛋白尿を合併しやすい
蛋白尿がまあまあ多い
蛋白尿が少し
0
時間
低い
(血圧)
高い
糖尿病性腎症のstageと大規模臨床試験
第1期
第2期
第3期a
正常
微量
アルブミン尿 アルブミン尿
腎症前期
早期腎症
第3期b
第4期
持続性蛋白尿
顕性腎症
前期
顕性腎症
後期
透析療法
腎不全期
DETAIL
ROADMAP
ORIENT
IRMA 2
IDNT
Steno-2
RENAAL
TRENDY
J-DOIT3
第5期
透析療法期
ACE-I, ARBは糸球体高血圧を
改善する
喫煙者と非喫煙者の
糖尿病性腎症発症率
ア
ル
ブ
ミ
ン
尿
が
検
出
さ
れ
な
い
割
合
1
0.8
非喫煙者
0.6
糖尿病の喫煙者は2倍腎症になりやすい!
喫煙者
0.4
0.2
0
0
2
4
6
追跡期間(年)
8
Diabetes Care 30;1286,2007
高尿酸血症のリスク(腎障害)
・血清尿酸値は慢性腎臓病(CKD)の発症や進展と関係する。
・一般集団において高尿酸血症は腎不全の危険因子である。
■血清尿酸値と血清クレアチニン値上昇
エビデンス2b
推奨度A
*
9
男性(SCr≧1.4mg/dLへの進展)
女性(SCr≧1.2mg/dLへの進展)
Student’s t-test
補
正
相
対腎
危不
険全
度に
よ
(
95 る
%死
亡
、に
年お
齢け
でる
補
正
)
CI
CI
血 10
補清
正ク 8
相レ
ア
対チ
危ニ 6
険ン
度値
(上
95 昇 4
%に
お
)け 2
る
推奨度A
■血清尿酸値と腎不全による死亡
12
*
エビデンス2b
0
<5.0
5.0-5.9
6.0-6.9
7.0-7.9
8.0-
血清尿酸値(mg/dL)
8
*:P<0.01
Trend Test
7
6
5
4
3
2
1
0
0.3-4.9
5.0-6.4
6.5-8.4
8.5-13.0
血清尿酸値(mg/dL)
*:年齢・BMI、血圧、総コレステロール値、血清アルブミン値、血糖値、喫煙、
飲酒、運動、蛋白尿、血尿で補正
<対象>1997年と1999年に沖縄県総合保健協会の健診データに登録された
男女 6,403人(日本)
<方法>2年間に血清クレアチニン値高値となった人のデータを解析した。
<結果>男女ともに血清尿酸値は血清クレアチニン上昇と正相関していた。
Iseki K, et al. Hypertension Res 24: 691-697, 2001より作図
<対象>鉄道会社に勤務する労働者49,413人(1975-1982、日本)
<方法>984死亡例(平均5.4年観察)の死因と血清尿酸値8.5mg/dL以上の
関係を解析した。
<結果>血清尿酸値5.0-6.4mg/dLと比べて8.5mg/dL以上では腎不全による
死亡の危険度が高かった。
Tomita M, et al. J Epidemiol 10: 403-409,2000より作図
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版 p42改変
血清尿酸値はCKD発症の予測因子となる
開始時の尿酸値による層別:CKD発症リスク
開始時の尿酸値による層別:CKD発症リスク
1
尿酸値グループ
0.9
5.1mg/dL未満
5.1-6.0mg/dL
6.1-7.0mg/dL
7.1mg/dL以上
累
積
無 0.8
イ
ベ
ン
ト 0.7
生
存
率
尿酸値5.1未満
5.1以上6.1未満
6.1以上7.1未満
7.1以上
0.6
0.5
0
2
4
6
8
10年
ハザード比
( ):年齢調整後
1.00
1.19(1.25)
1.33(1.47)
1.59(1.84)
p値
0.0323(0.006)
0.0007(<0.0001)
<0.0001(<0.0001 )
• 血清尿酸値はeGFRに対して、尿素窒素と同程度の
強さの相関。
• 開始時尿酸値は、高尿酸血症(7.1mg/dL以上)のみ
ならず、5.1mg/dL以上であれば、5.1mg/dL未満の群
と比較して有意にCKDを新規に発症しやすく、開始
時血清尿酸値が高値であるほど、CKD発症に関する
リスクが高かった。
辻裕之 他: 人間ドック. : 23(3): 533, 2008
腎疾患を引き起こす危険因子としての
高尿酸血症の重要性
ベースラインの血清尿酸値によるESRDの累積
頻度(男性、女性)
女性におけるESRDの発症に関するCox解析
女性
男性
多変数ハザード比
(95% CI)
P
5.770(2.309-14.421)
0.988(0.955-1.023)
1.003(0.974-1.033)
1.012(0.965-1.062)
0.968(0.870-1.077)
3.925(2.900-5.312)
1.005(0.998-1.012)
1.000(0.997-1.003)
1.701(1.245-2.324)
0.966(0.858-1.088)
1.006(0.996-1.015)
0.0002
NS
NS
NS
NS
<0.0001
NS
NS
0.0009
NS
NS
*ベースラインの血清尿酸値: 6.0mg/dL 以上
ESRD
高尿酸血症*
年齢(y)
収縮期血圧(mmHg)
拡張期血圧(mmHg)
BMI(kg/m2)
タンパク尿
トータルコレステロール(mg/dL)
トリグリセライド(mg/dL)
血清クレアチニン(mg/dL)
ヘマトクリット(%)
空腹時血糖値(mg/dL)
(受診者1,000あたり)
の
累
積
頻
度
(受診者1,000あたり)
10
10
9
9
8
8
7
7
6
6
5
5
4
4
3
3
2
2
1
1
0
血清尿酸値
mg/dL
0
<7.0
≧7.0
<6.0
≧6.0
スクリーン症例数 15617
7332
21795
3433
34
19
31
ESRD発症
症例数
19
Iseki K. et al.: Am J Kidney Dis.: 44(4): 642, 2004
高尿酸血症による腎障害発症メカニズム
URTなどの有機酸トランスポータ
尿酸
尿酸
MAPキナーゼ
ERK,
p38MARK
NF-k B, AP1
COX-2
(TXA 2)
レニン基質産生過剰
NOSの抑制
全身高血圧
糸球体高血圧
MCP-1
PDGF
炎症
血管平滑筋細胞増殖
腎内血管病変
腎障害の発症および腎疾患の進展
UAT:尿酸トランスポーター/チャネル
ERK:細胞外シグナル制御キナーゼ
NF-k B:核内因子κB
MCP-1:単球走化性タンパク質-1
MAPキナーゼ: マイトジェン活性化プロテインキナーゼ
p38:p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ
AP1:アクチベータータンパク質1
NOS: 一酸化窒素合成酵素
PDGF:血小板由来増殖因子
:細胞内の経路
:細胞外の経路
久留一郎: 血圧.: 14: 272, 2007
糖原病と腎障害
 横紋筋融解を発症する筋型糖原病に伴う急性腎不全
 肝型糖原病に分類される糖原病I型(von Gierke病)に伴う
腎合併症
横紋筋融解症の原因
主な原因
外傷
Crush syndrome
運動(非生理的)
痙攣重積、過度な運動負荷
筋虚血
動脈閉塞、意識障害などで四肢の圧迫
代謝性(遺伝性)
糖原病、脂肪代謝異常症、ミトコンドリア病、プリン体代謝異常
感染
インフルエンザA,B、EBウイルス、AIDS、レジオネラ、黄色ブドウ
球菌、クロストリジウム
体温異常
悪性高熱、熱中症、低体温、悪性症候群
酸塩基・電解質異常
電解質異常、アシドーシス
薬剤性
高脂血症治療薬(フィブラート、スタチン)
特発性
先天代謝異常に起因する横紋筋
融解症と腎障害の機序
代謝性基礎疾患
筋細胞へのATP供給破綻
膜のATP依存性ポンプの破綻
細胞内へのNa, Cl, 水分の流入
浸透圧上昇
細胞内へのCaの流入
Lipase, Proteaseの活性化
横紋筋融解症:筋細胞壊死と細胞内物質の逸脱
(CK, Myoglobin, ALT, AST, LDH, Purin, Aldolase, K, Pi)
myoglobin
Oxidant injury
NO
1.腎血管収縮
2.遠位尿細管閉塞
3.近位尿細管への虚血、毒素
腎不全
腎硬化症
高血圧が持続して腎臓の細動脈が硬化する。
① 悪性腎硬化症
急激な血圧上昇(悪性高血圧:最低血圧130mmHg以上)の
ために起こる腎臓の細動脈および糸球体病変。
壊死性血管炎(壊死性細動脈炎、壊死性糸球体炎)を伴う。
内膜が肥厚(玉ねぎ様)。
腎萎縮、蛋白尿を呈する。
② 良性腎硬化症
小葉間動脈や輸入細動脈が硬化する。
線維性に肥厚し、硝子様物質が沈着する。
壊死性血管炎を伴わない。
悪性腎硬化症への進展を避けるため、降圧療法。
良性腎硬化症
悪性腎硬化症
小葉間動脈
自己免疫疾患
 全身性エリテマトーデス(SLE)
 関節リウマチ
 結節性多発動脈炎(PN)
 Wegener肉芽腫症
 ANCA関連腎炎
 Sjögren症候群
 紫斑病性腎炎
ループス腎炎(LN)
 多彩な腎病変を呈する
 免疫複合体の沈着があっても、臨床的にSLEの診断がさ
れないとLNとは診断できない
 代表的な病理像は“ワイヤーループ病変”と“半月体形
成”を伴うような活動性の高いび慢性LN
LNの腎炎組織分類(ISN/RPS)抜粋
Class I
軽微メサンギウム変化
Class II
メサンギウム増殖性ループス腎炎
Class III
巣状ループス腎炎
Class IV
び漫性ループス腎炎(LNの代表的組織像)
Class V
膜性ループス腎炎
Class VI
進行性硬化性ループス腎炎
International Society of Nephrology/Renal Pathology Society (ISN/RPS)
免疫複合体の沈着が必須
WHO分類も広く使用されてきた
LNの予後と治療
 発症頻度は明らかではないが、約20%が透析導入される
 透析導入されてもSLEの治療の継続が必要なことが多い
 全経過でLNを発症しないSLEもある
 LNを合併したSLEの予後は悪い
 治療はSLEの治療が基本、LNの発症期にはステロイドパ
ルス、免疫抑制剤パルス、ステロイド、免疫抑制薬の維持
療法が行われる
RAでみられる尿異常・腎機能障害
 尿異常は20~40%にみられる(血尿が多い)
 蛋白尿は0.5g/日未満と少量が多い(80-90%)
 GFRは30-60ml/minと軽度低下であることが多い(7080%)
 上記は罹病期間や治療薬剤に影響する
関節リウマチに合併する腎障害(1)
原因病態による分類
病理組織学的所見など
【1】関節リウマチ固有の腎障害
1.メサンギウム増殖性糸球体腎炎
日本ではIgA沈着、欧米はIgM 沈着
2.糸球体基底膜のび漫性菲薄化
3.続発性アミロイドーシス(AA)
急性期反応蛋白の血清アミロイドA蛋白
(SAA)の分解産物のAAが腎臓に沈着
予後不良(全身に沈着するから)
【2】関節リウマチや他の膠原病に合
併 する腎障害
1.悪性関節リウマチ
2.Sjögren症候群
間質性腎炎、遠位尿細管性アシドーシス
3.SLE
ループス腎炎
関節リウマチに合併する腎障害(2)
原因による分類
病理組織学的所見
【3】薬剤性腎障害
(1)鎮痛薬
1.アスピリン
2.非ステロイド性抗炎症薬
(NSAIDs)
3.選択的COX-2阻害薬
腎乳頭壊死、間質性腎炎
急性尿細管壊死、間質性腎炎、微小変化型
膜性腎症、微小変化型、間質性腎炎
(2)抗リウマチ薬
1.金製剤
膜性腎症
2.D-ペニシラミン
膜性腎症、微小変化型、薬剤性ループスによる腎炎、
ANCA陽性半月体形成性糸球体腎炎
3.ブシラミン
膜性腎症、微小変化型、ANCA陽性半月体形成性糸
球体腎炎
4.ロベンザリット
間質性腎炎(10-30%)
5.カルシニューリン阻害薬
内皮細胞障害による血栓性微小血管症(TMA)、尿細
管萎縮、間質の線維化
6.TNF-α阻害薬
膜性腎症、間質性腎炎、SLEに伴う腎炎、ANCA陽性
半月体形成性糸球体腎炎
RAに伴う腎病変の病理組織と頻度
海外(%)
(Helin HJ, 1995)
日本(%)
(Nakano M, 1998)
メサンギウム増殖性糸球体腎炎
36
34
アミロイドーシス
30
19
膜性腎症
17
31
巣状糸球体硬化症
4
2
微小変化型
3
13
急性間質性腎炎
1
1
腎硬化症
2
-
糖尿病性腎症
2
-
正常
5
-
血管径による腎血管炎の分類
小葉間動脈
弓状動脈
毛細血管
細静脈
静脈
葉間動脈
輸入細動脈
腎動脈
大動脈
炎症性腹部大動脈瘤
高安動脈炎
Buerger病
側頭動脈炎
古典的
多発動脈炎
ANCA関連血管炎
Wegener肉芽腫症
Churg-Strauss症候群
顕微鏡的多発血管炎
一次性血管炎
原発性クリオグロブリン血管炎
血管Behcet病
大血管炎
川崎病
血管炎
中型血管炎
リウマトイド血管炎
ループス血管炎
Schonlein-Henoch
紫斑病
小型血管炎
血管Behcet病
二次性血管炎
結節性多発動脈炎と顕微鏡的
多発血管炎の比較
結節性多発動脈炎
顕微鏡的多発血管炎
罹患血管
中~小型の筋型動脈、時に細動脈
細動脈、毛細血管、細静脈
病理所見
壊死性血管炎、結節形成
壊死性血管炎、白血球破砕性血管炎
発熱
39 ℃台の抗菌薬不応性弛張熱
時に微熱程度のことがある
腎症
糸球体腎炎(−)、蛋白尿・血尿(±)
半月体形成、蛋白尿・血尿(+++)
高血圧
高頻度
まれ
肺病変
まれ
多い(肺出血、間質性肺炎)
皮膚病変
潰瘍(下肢)
潰瘍はまれ、有痛性紫斑
MPO-ANCA
陰性(ごくまれに陽性)
陽性(50-75%)
血管造影
小動脈瘤・狭窄
正常
確定診断
血管造影または生検
生検
主要症候
polyarteritis (PN), microscopic polyangiitis (MPA)
PNとMPAの治療・予後
 ステロイド(パルス含む)、免疫抑制薬、血漿交換(PN)
 PNは多くの症例が半年以内に死亡し、1年以内の死亡率
が45%,その後の死亡率は低下。主な死因は呼吸不全、
腎不全、心不全、消化管出血。
 MPAは半年以内に30%が死亡、1年以内の死亡率は35%,
主な死因は感染症、肺出血、腎不全
 MPAの予後は限局型>全身型である
Wegener肉芽腫症
 三主徴:①上気道(鼻、眼、耳、咽喉頭)②下気道(肺)③
腎や皮膚など、の肉芽腫性炎症、原因不明の血管炎
 40-60歳代の中高年に多く、性差はない
肉芽腫性変化
C-ANCA(またはPR3-ANCA)が70-80%に陽性
P-ANCA(またはMPO-ANCA)が20-30%に陽性(日本)
WGの主病変と進展過程
E
耳
肉
芽
腫
性
炎
壊
死
性
血
管
炎
鼻・副鼻腔 眼
壊死性鼻炎
nasal stage
限局型WG
L
肺
肉芽腫症
壊死性血管炎
腎
壊死性半月体形成性腎炎
壊死性血管炎
全身型WG
K
結節性多発動脈炎
壊死性血管炎
治療はストロイド、免疫抑制剤
ANCA関連腎炎
 抗好中球細胞質抗体(ANCA (anti-neutrophil cytoplasmic
autoantibody))が関与していると考えられる血管炎が原因
 診断・治療が遅れると急速進行性腎炎(rapidly progressive
glomerulonephritis: RPGN)症候群をきたす予後不良の疾患
 MPA, Churg-Strauss syndrome (CSS), WGの3疾患が含まれる
 MPO-ANCAとPR3-ANCA
 日本ではMPO-ANCA関連血管炎の頻度が高い(高齢者が多
い)
ANCA関連腎炎の組織像
 糸球体毛細血管の壊死
 病変が軽度であれば、壊死部は少数の糸球体(巣状)に部分的(分節
性)に認められるのみで、巣状・分節性壊死性糸球体腎炎(focal
segmental necrotizing glomerulonephritis)と呼ばれる
 病変は急性期で高度の場合、糸球体の半分以上に細胞性の管外性増
殖を認め壊死性半月体形成性腎炎(necrotizing crescentic
glomerulonephritis)
 細胞性半月体は慢性化すると線維細胞性、さらに線維性半月体となり、
ついには糸球体硬化となる
 糸球体のみならず、細動脈や小葉間動脈、弓状動脈にも壊死性血管炎
を認めることがある
 Churg-Strauss症候群では肉芽腫と好酸球浸潤を認める
 WGでは糸球体病変に加え、尿細管・間質に肉芽腫を認める
RPGN (MPO ANCA関連)
72y, M
H/B; 159cm / 67.3kg
Cr/BUN; 3.4mg/dl / 40mg/dl
尿蛋白; 1.3g/dl
尿潜血; 50-99/ HPF
WBC/ CRP; 6100/ul / 0.74mg/dl
MPO-ANCA; 312EU
尿β2MG; 2830ug/l
PAS x400
ANCA型RPGNの治療
 プレドニゾロンのパルス療法を含めた副腎ステロイド薬、
免疫抑制薬(シクロホスファミドなど)、抗血小板薬、抗凝
固薬、血漿交換の併用
 感染症の合併率が高く、特に高齢者では慎重に
 全てのRPGNの腎生存率2年で80%ほど、生命予後は
70-80%(死因の50%前後が感染症)
Sjögren症候群の腎病変
 Sjögren症候群患者の約30%に腎病変が出現
 間質性腎炎(最も多い)、メサンギウム増殖性腎炎、膜性
腎炎、半月体形成性腎炎など
 臨床的に問題になる場合は多くない
 生検が施行された間質性腎炎では、浸潤細胞の大半は
CD4陽性T細胞で本疾患の唾液腺組織に類似
 尿細管性アシドーシス(遠位型:type I、近位型:type II)、
本症では遠位型が多い
尿細管性アシドーシス(RTA)
 尿pHが6.5以上でありながら、アニオンギャップ正常の高Cl性代
謝性アシドーシスを呈する場合はRTAを疑う
 遠位型(type I):遠位尿細管でのH+分泌が障害され、塩化アン
モニウム負荷試験にて尿を酸性化(pH5.5以下)することができ
ない。集合管におけるH+/K+ ATPaseの欠損も報告され、H+の分
泌障害と同時にK+の再吸収障害を生じ、低K血症を生じる。低
K血症から筋力低下、脱力、麻痺、イレウス、心筋障害などを引
き起こす。脱力発作から本症の初発症状であることもある。
 近位型(type II):近位尿細管でのHCO3-の再吸収障害、同時に
アミノ酸、糖、リン酸の再吸収が障害され、時にFanconi症候群
を示す。塩化アンモニウム負荷試験は正常反応。
腎尿細管性アシドーシス
pRTA (II型)
dRTA(I型) Hyper K dRTA(IV型) Hybrid RTA(III型)
血漿HCO3-
8〜20 mM/L
10〜15
10〜15
8〜15
血清K
正常か低下
低下
上昇
低下
尿pH
< 5.5
> 5.5
> 5.5
< 5.5
尿NH4
正常
低下
低下
正常か低下
尿Ca
正常
増加
増加
正常か低下
尿中クエン酸
正常か増加
低下
正常
正常
アルカリ補充
時
の%FEHCO3-
> 10〜15%
< 3〜5
<5
> 10〜15
U-B PCO2
> 20 mmHg
< 15 mmHg < 15 mmHg
10〜20 mmHg
腎石灰化
ー
+
ー/+
+
遠位尿細管細胞における水素イ
オン排泄過程
管腔側
血管側
Cl-
H+-ATPase
Cl-/HCO3exchanger
H+
HCO3H+
H+-K+ ATPase
K+
H2CO3
CAII
CO2 + H2O
CAII: carbonic anhydrase
Cl-
Cl- channel
近位尿細管細胞における重炭酸
イオン再吸収機序
管腔側
血管側
HCO3H+
Na+/H+ exchanger
+
Na
H+
Na+
Na+/HCO3cotransporter (kNBC)
HCO3H2CO3
H2CO3
CAIV
CO2 + H2O
CAII
CO2 + H2O
CAII: carbonic anhydrase
Na+
Na+-K+ ATPase
K+
強皮症と腎障害
 強皮症腎クリーゼ
①高血圧性腎クリーゼ:悪性高血圧に類似、腎葉間動脈~
小葉間動脈に同心円状の内膜肥厚による狭窄、血栓閉塞、糸
球体の虚脱、高レニン血症
②MPO-ANCA陽性腎クリーゼ
③微小血管障害性溶血貧血を呈する腎クリーゼ(TTP様)
治療はACEIやARBを中心とした降圧(①)、ステロイドや免疫抑制
薬(②、③)、血漿交換(③)
紫斑病性腎炎
 Henoch-Schönlein purpura (HSP)に合併した腎炎(HSPN)
 組織学的・免疫学的にIgA腎症に類似
 病因は感染(溶連菌が多い)、薬剤などが関与していると
考えられるが、詳細は不明
 小児に多く2:1で男児に多い
 紫斑、腹部症状(腹痛)、関節症状、腎炎が四徴
 治療は副腎皮質ステロイドが中心、病状により免疫抑制
剤も併用
 予後:成人では13-16%で腎不全に至る(小児は5%程度)
パラプロテイン血症
 多発性骨髄腫
 アミロイドーシス
 クリオグロブリン血症
多発性骨髄腫
cast nephropathy
アミロイドーシス
 全身の臓器の細胞外に難溶性のアミロイド線維が沈着し、
機能障害を引き起こす一連の疾患群
 アミロイド線維が糸球体や血管壁に沈着し、ネフローゼや
腎機能低下をきたすことを腎アミロイドーシス
 免疫細胞性アミロイドーシス(amyloid light chain, ALと
amyloid heavy chain, AH)と反応性アミロイドーシス(AA)
がある。
 腎アミロイドーシスはほとんどALとAAによる
 コンゴレッドでアミロイドは染色される
アミロイド腎症
コンゴレッド
原疾患(アミロイドーシス)のアミロイド
(免疫グロブリンの変性物)が腎に沈着する。
「症状」 蛋白尿、ネフローゼ、慢性腎不全
「予後」 進行性で予後不良、平均余命は一年。
「参考」 慢性糸球体腎炎は腎の萎縮を認めるが、
糖尿病性腎症やアミロイド腎症では腎萎縮を認めない。
腎臓のみに限局するものは予後は悪くないが、心臓など多臓器にわたるものは
60
特に予後不良
クリオグロブリン血症
 寒冷で沈殿し37℃に加温すると再溶解する異常蛋白で、構成成分は
免疫グロブリン
 健常人にはほとんど存在しない
 血管内で沈降物が形成されることによる小血管の血管炎で、免疫複
合体型血管炎を呈する
 皮膚、関節、神経、腎臓が侵され、症状は多彩
 I型クリオグロブリン血症:モノクローナルIg自体が寒冷沈殿、Bリンパ
球系の悪性腫瘍などが原因
 II型クリオグロブリン血症:モノクローナルIgとポリクローナルIgGの混
合で、血液疾患や膠原病に合併。最も多い原因はHCV感染症
 III型クリオグロブリン血症:2つのポリクローン性Igの混合型からなる
その他
 溶血性尿毒症症候群
 血栓性血小板減少性紫斑病
 ウイルス性肝炎
 電解質異常
 HIV関連腎障害
 感染症関連(MRSA腎炎など)
 悪性腫瘍と腎障害
 薬剤性腎障害
血栓性微小血管障害症
 Thrombotic microangiopathy (TMA)は細血管障害性溶
血性貧血、破壊性血小板減少、血小板血栓による臓器機
能障害(特に腎不全)の3徵からなる「病理学的診断名」
 代表的疾患として溶血性尿毒症症候群(hemolytic
uremic syndrome: HUS)と血栓性血小板減少性紫斑病
(thrombotic thrombocytopenic purpura: TTP)で、両者は
臨床症状のみで鑑別は困難
 HUS、TTPいずれも先天性と後天性がある
HUS(後天性)
 HUSの90%が後天性
 57が有名
 病原性大腸菌(ベロ毒素産生)
 治療は抗菌薬と保存的治療(体液管理、透析、血漿交換
を行うこともあるが、効果について一定の評価なし)
TTP
 3徵に発熱、動揺性精神神経障害を加え5徵
 先天性TTPはADAMTS13 (a disintegrin-like and
metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13)遺伝
子異常による同酵素活性欠損
 後天性TTPはADAMTS13活性低下とADAMTS13に対する自己
抗体陽性で診断できるものと(定型的)、活性は正常であるが5
徵から診断されるもの(非定型的)、がある
 先天性のものは定期的に新鮮凍結血漿の投与(ADAMTS13の
補充)
 後天性のものは、副腎皮質ステロイド(パルス含む)、免疫抑制
薬、血漿交換
ウイルス性肝炎
 B型肝炎ウイルス関連腎症→膜性腎症
血中HBs抗原やHBc抗体が陽性などのB型肝炎ウイルス
の感染が持続的に認め、いずれの組織像であっても、ウイルス
関連抗原が免疫グロブリンや補体成分とも同様の沈着パター
ンで糸球体に沈着
 C型関連ウイルス関連腎症→膜性増殖性糸球体腎炎
通常ネフローゼをきたし、70%の症例にクリオグロブリン血
症、低補体血症、リウマチ因子陽性
両者ともにステロイド、免疫抑制薬は肝炎の悪化をきたす可能性
があり、慎重に検討。インターフェロン治療により肝炎ウイルス
が消失・減少すれば腎炎も改善する可能性あり。
HIV関連腎障害
 HIV associated nephropathy (HIVAN)
慢性、進行性の腎機能障害、蛋白尿(時にネフローゼ)
病理では、糸球体の虚脱と分節性の硬化(collapsing focal
segmental sclerosis)、上皮の過形成、嚢胞状の尿細管拡張
 HIV-immune-complex kidney disease (HIVICK)
典型的にはC型肝炎ウイルスなどとの重複感染患者にみられ
る。免疫反応が原因か
 HAARTに伴う腎障害
薬剤性腎障害→間質性腎炎、結晶による結石・閉塞、Fanconi
症候群
MRSA腎炎
 腎病理組織所見→糸球体:半月体形成を伴うびまん性メ
サンギウム増殖、または管内増殖性糸球体腎炎、IgAがメ
サンギウム領域に陽性となり、末梢の係蹄壁に沈着。IgG
やC3が陽性となることも多い
間質:高頻度に間質炎
 約20%が末期腎不全
 治療は抗菌薬が基本。感染症がコントロールされ、腎炎
が残る場合はステロイドも使用。
悪性腫瘍と腎障害

腫瘍の直接的機序
腫瘍細胞の腎内への直接浸潤、尿路の閉塞、腎血管系の圧迫

腫瘍の間接的機序
腎石灰化、電解質異常、DIC、尿路感染症
骨髄腫によるcast nephropathy
免疫学的異常(paraneoplastic glomerulopathy)

治療誘発性
腫瘍融解症候群
抗がん剤などの薬剤による腎障害
放射線腎症
尿細管間質性腎病変の分類(WHO)
1.感染性
A. 急性腎盂腎炎:細菌、真菌、ウイルス
B. 全身感染症に伴う急性尿細管間質性腎炎:A型
溶連菌、ジフテリア、トキソプラズマ、ウイルスなど
C. 慢性腎盂腎炎
D. 特殊な腎感染症:結核、梅毒など
2.薬剤性腎症
A. 急性薬剤性尿細管傷害
B. 薬剤性過敏症
C. 慢性薬剤性尿細管間質性腎炎:非ステロイド性
解熱鎮痛薬、リチウムなど
3. 免疫学的尿細管間質性腎炎
A. 全身性エリテマトーデス
B. シェーグレン症候群
その他
4. 閉塞性腎疾患
水腎症
5. 逆流性腎症
6. 乳頭壊死を伴う尿細管間質性腎炎
A. 糖尿病性腎症
B. 解熱鎮痛薬腎症
その他
7. 重金属性尿細管障害
鉛、水銀、カドミウム、など
8. 急性尿細管壊死
中毒性、虚血、ショック、敗血症、ミオグロブ
リン血症、など
9. 代謝性尿細管間質性病変
A. 高カルシウム性腎症
B. 痛風腎
C. 低カリウム性腎症
D. 蓚酸腎症
その他
10. 遺伝性尿細管間質性腎症
11. 悪性疾患に伴う腎症
A. ミエローマ腎症
B. マクログロブリン血症
C. クリオグロブリン血症
D. 白血病、リンパ腫の浸潤
12. 血管性尿細管間質病変
13. その他の原因による
A. 放射線腎症
B. サルコイドーシス
その他
急性間質性腎炎
急性に間質(尿細管どうしの間)が
侵される腎炎のこと。
「病因」
急性腎盂腎炎、特発性間質性腎炎
薬剤性(βラクタム系、メチシリン)
好酸球
「病理」 間質の浮腫、リンパ球の浸潤。
「症状」 突然、原因不明の急性腎不全症状を呈する。
尿細管機能障害(電解質異常、濃縮力障害)
「検査」 好酸球増加(血中および尿中)
「治療」 重症には、副腎皮質ステロイド。
72
Bartter症候群
 低K血症、代謝性アルカローシス、高レニン血症、高アル
ドステロン血症などを特徴とする尿細管機能障害によって
生じる症候群
 Gitelman症候群はBartter症候群の異常に加え、低Mg血
症と低Ca尿症を伴う。
太いヘンレ上行脚におけるイオン
チャネルと輸送体
尿
血液
paracellin-1
Mg2+
Na+
Type 1
2ClNKCC2
+
K
Clチャネルの異常
ROMK
Type 2
3Na+
ATPase
K+
Cl- ClC-Kb
Cl-
Clチャネルの異常
2K+
Type 3
Barttin
Type 4
ClC-Ka
Kチャネルの異常
Type 4b(5)
Mg2+
paracellin-1
NKCC2はフロセミド(ループ利尿薬)の作用点
遠位尿細管におけるイオンチャネル
と輸送体
血液
尿
3Na+
ATPase
Na+
NCCT
Gitelman
Ca2+
Mg2+
TRPM6
2K+
Type 3
ClCl- ClC-Kb
EcaC
ROMK
Clチャネルの異常
K+
Cl-
Barttin
ClC-Ka
Type 4b(5)
Mg2+
Na+
NCTTはサイアザイド系利尿薬の作用点
Type 4
Bartter症候群とGitelman症候群
の遺伝子異常
1型
2型
3型
4型
4B(5)型
Gitelman
病因遺伝
子
SLC12A1
KCNJ1
CLCNKB
BSND
CLCNKA
and KB
SLC12A3
蛋白
NKCC2
ROMK
ClC-Kb
Barttin
ClC-Ka,
CiC-Kb
NCCT
Bartter症候群・Gitelman症候群・偽性Bartter症候群
Bartter症候群
Gitelman症候群
偽性Bartter症候群
発症
新生児期、幼児期
小児期〜思春期以降
思春期以降の女性に多
い
臨床症状
重症
比較的軽症
軽症〜重症
代謝性アルカローシ
ス
あり
あり
あり
低K血症
あり
あり
あり
低Mg血症
頻度は低い
あり
頻度は低い
尿中Ca排泄
正常〜増加
減少
正常〜増加
随伴症状
腎石灰化、感音性難聴、
CLCNKB異常では低Mg血
症、低Ca尿症を伴うことが
ある
テタニー、関節石灰化
習慣性嘔吐、下剤の乱
用では尿中Cl排泄低下
最大水利尿時利尿薬
反応性
Furosemideに反応性低下
Thiazide系に反応性低下
Furosemide, Thiazideに
正常反応
原因
NKCC2, ROMK, CLCNKB,
Barttin, Ca-sensing receptor
の遺伝子異常
TSCの遺伝子変異
Furosemide乱用、習慣
性嘔吐、下剤乱用などに
よる
Liddle症候群
 低K血症、Na貯留による高血圧、代謝性アルカローシス、血漿レニン活性とア
ルドステロンが低値が特徴
 腎集合管にあるアミロライド感受性上皮型Naチャネル(ENaC)の機能亢進性
の変異→ENaCの発現量が増え、管腔側でのNa+の取込が増大、基底膜側
のNa+/K+-ATPaseが亢進する。その結果、血管側にNa+が取り込まれるととも
に、細胞内K+濃度が上昇するため、管腔側のKチャネルを通して尿中へ排泄
される。この結果、低K血症とNa増大による低レニン・低アルドステロンの高
血圧を呈する。
Na+
K+
K+
ENaC
Na+
K+