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「量子論の新しい解釈」 2015年4月5日 神戸 サラ・シャンティ 題目 • 複素数平面とオイラーの公式 • 位置と運動量の不確定性と交換関係 • 量子論的重ね合わせとシュレーディンガーの猫 実数 実数(R)=直線(数直線) 0 -∞ -1 +∞ 1 3 1 2 𝜋 有理数→整数の比で表すことができる 無理数→三角形, 円などのカタチが由来 小 大 数(直線)は円から作られる S1 視線 接線 円周上の1カ所を切 る 切った場所に自分(観 察者)を入れる • S1-{∞}= R 位相同型(同相) →直線(1次元) 点(観察者) +直線(被観察者) 平面(2次元)の形成 円周と直線(軸) 知恵の輪(直交トーラス) 「原点」を形成 2本の直交 する直線 観察者から見ると 平面 実平面と複素数平面 y Im(虚軸) 実部+虚部 (x, y) (2,1) 1 1 O 2 x O 2+𝑖 2 Re(実軸) 原点 実平面(座標平面)R2 →2つの実数を用いて位置を表す 複素数平面(ガウス平面)C →1つの複素数を用いて位置を表す →古典物理学と量子物理学の違いに対応 虚数単位と複素数 Im(虚軸) 虚数単位 𝑖 2 = −1 i 90°+90°=180° z = x + yi 複素数 -1 O 1 Re(実軸) -i 実部 虚部 • 複素数の和 (a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i • 複素数の積 (a+bi)(c+di)=(ac-bd)+(ad+bc)i 練習問題 以下の計算をしなさい。 (1) 5 + 𝑖 + (4 + 2𝑖) (2) −3 + 2𝑖 − (1 − 3𝑖) (3) 1 + 𝑖 (1 − 𝑖) (4) (2 + 3𝑖)(−4 − 𝑖) 複素数の絶対値 Im 𝑦 O 𝑧 = 𝑥2 + 𝑦2 𝑥 Re • 複素数𝑧の絶対値 𝑧 は原点 からの距離を表します。 • 𝑧 = 𝑥 + 𝑦𝑖 のとき、 𝒛 = 𝒙𝟐 + 𝒚𝟐 練習問題 以下の複素数の絶対値を求めなさい。 (1) 1 + 2𝑖 (2) −4 + 3𝑖 (3) 𝑖 (4) −2 弧度法 • 中心角θ, 半径1の扇型を考えたとき、角θを 円弧の長さとして表す方法を弧度法といいま す。(単位はラジアン[rad](無次元量)) 1 θ • 180°= π rad, 1 rad ~ 57° 1 以下の表を埋めなさい 度数法 0° 弧度法 0 30° 60° 90° 120° 180° 270° 360° π 複素数の偏角 • ある複素数を複素数平面上の点として表したとき、その点と 原点とを結ぶ線分と、実軸の正の方向とのなす角を偏角(物 理学では位相)といいます。 • 偏角 𝜃 は一般に 𝜃 + 2𝑛𝜋(𝑛は整数)と表されます(一般角) が、通常は 0 ≤ 𝜃 < 2𝜋 などの制限をつけて一意に表します。 Im 𝑥 + 𝑦𝑖 𝜋 𝑦 𝜃 O 𝜋 例) 𝑖 の偏角 𝜃 は 2 , 1 + 𝑖 の偏角 𝜃 は 4 (ただし、 0 ≤ 𝜃 < 2𝜋 とする。) 𝑥 Re 𝑦 𝜃=arctan 𝑥 練習問題)以下の複素数の偏角 𝜃 を求 めなさい。ただし、 0 ≤ 𝜃 < 2𝜋 とする。 (1) 1 (2) −1 (3) −1 + 3𝑖 (4) 1 − 𝑖 複素数の極形式 • 複素数 𝑧 を実部 𝑥 と虚部 𝑦 とに分けて表す表し方(𝑧 = 𝑥 + 𝑦𝑖)を直交形式といいます。 • 𝑧 を絶対値 𝑟 = |𝑧|と偏角 𝜃 を用いて𝑧 = 𝒓𝒆𝒊𝜽 と表すこともでき ます。この表し方を極形式といいます。 • 𝑒 = 2.718281828 ⋯はネイピア数とよばれる無理数(超越数) です。 Im 直交形式 Im 𝑧 =2 𝑧 = 1 + 3𝑖 3 極形式 60° = O 1 Re O 𝑧= 𝜋 2𝑒 3 𝑖 𝜋 3 Re 練習問題 次の複素数を極形式で表しなさい。ただし、0 ≤ 𝜃 < 2𝜋 とすること。 (1) 1 + 𝑖 (2) − 3 + 𝑖 (3) −𝑖 (4) −1 オイラーの公式 Im 𝑖 𝑒 𝑖𝜃 = cos𝜃 + 𝑖sin𝜃 Re 𝜃 −1 O 1 −𝑖 • 複素数平面上において、絶対値が 1 の点の集合は円となります。 • 極形式と直交形式の関係を示したのが、オイラーの公式 𝑒 𝑖𝜃 = cos𝜃 + 𝑖sin𝜃 です。 オイラーの公式 虚数単位 𝑖 2 = −1 𝑒 𝑖𝜃 偏角(実数) = cos𝜃 + 𝑖 sin𝜃 指数関数 ネイピア数=2.718281828… 三角関数 cos 2 𝜃 + sin2 𝜃=1を満たす 極形式と直交形式 Im 𝑖 偏角[°] 偏角[rad] 極形式 直交形式 0 0 𝑒0 1 𝜋 6 𝜋 3 𝜋 2 2𝜋 3 5𝜋 6 𝜋 𝜋 𝑒 6𝑖 3 1 + 𝑖 2 2 1 3 + 𝑖 2 2 30 −1 𝜋 6 O Re 1 60 90 120 −𝑖 150 180 𝜋 𝑒 3𝑖 𝜋 𝑒 2𝑖 2𝜋 𝑒3𝑖 5𝜋 𝑒6𝑖 𝑒 𝜋𝑖 𝑖 1 3 − + 𝑖 2 2 3 1 − + 𝑖 2 2 −1 複素数と回転 Im 𝑖 ×𝑖 ・ある複素数に 𝑖 をかけると いう演算は、複素数平面上 の 90 度の回転に相当しま す。 ×𝑖 1 −1 O Re ×𝑖 ×𝑖 −𝑖 ・たとえば、1 から始めて、 順々に 𝑖 を掛けるという操 作を繰り返すと、1 → 𝑖 → − 1 ⟶ −𝑖 ⟶ 1となり、4 回の操作で元に戻ることが わかります。 練習問題 複素数 1 + 𝑖 に順々に 𝑖 をかけて、もとの数に戻ることを示しなさい。また、そ れぞれの数のガウス平面上の位置を示しなさい。 ここから物理学 運動量 • 質量m[kg]の物体が速度v[m/s]で運動しているとき、物体は p=mv[kg・m/s]の運動量をもつという。 • 2つの物体が衝突するとき、衝突前と衝突後で運動量の総和は 変わらない(運動量保存の法則) 質量小 同じ速度でも質量が大きいと 運動量が大きい 質量大 量子化 𝜕 𝑝 = −𝑖ℏ 𝜕𝑥 虚軸 p 運動量 実軸 x 位置 複素数平面 • 古典力学 → 位置xと運動量pは両方実数 • 量子力学 → 位置xと運動量pは実数(実軸)と虚数(虚軸)の 関係 位置と運動量 Im 𝑝 Re 𝑝 ℏ ℏ x x 観察者の回転軸上 の動きによって円 の大きさが変化 ミクロ世界→ • 位置xと運動量pが知恵の輪(直交トーラス)の2つの円環に対応 • 円の半径がプランク定数 不確定性原理 p p ∆p ℏ ℏ x x xを決定→ xが直線(数) pが円環のまま • 位置を決定すると、運動量が不定になる Δ𝑥Δ𝑝 ≥ ℏ 2 ハイゼンベルク 不確定性原理 p p ℏ ℏ ∆𝑥 x x pを決定→ pが直線(数) xが円環のまま • 運動量を決定すると、位置が不定になる マクロとミクロ 𝑒 𝑖𝑝𝑥/ℏ 𝑝 = 𝑚𝑣 𝑚 マクロ → 円周(モノの輪郭)を観察 「点」に収縮 ℏ ミクロ → 点(素粒子)を観察 𝜕 𝑝 = −𝑖ℏ 𝜕𝑥 可換な回転 SO(2)=U(1) α β α • 同じ軸についての回転→可換 • 角度α回転+角度β回転=角度β回転+角度α回転 • 数の演算 2+3=3+2 2x3=3x2 β 非可換な回転(SO(3)) pを掛ける→pを軸として回転 xを掛ける→xを軸として回転 p x p x • 互いに直交する回転→順序を変えると、結果が変わる 𝑥𝑝 ≠ 𝑝𝑥 𝑥𝑝 − 𝑝𝑥 = 𝑖ℏ 交換関係 「シュレーディンガーの猫」問題 • 猫の生と死は意識(複素数)の世界においては実数と虚数(1とi)の関係 である。従って、「重ね合わせ可能」(共存可能) | 1 | 生 | 死 2 • 現実(実数)の世界においては、生と死は+1と-1の関係である。よって 共存できない(足し合わせると0となる) 生成・消滅演算子 p a=x+ip 消滅演算子 x a x a†=x-ip 生成演算子 p a†