高齢者に多い

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高齢者に多い脳疾患と心疾患
~原因と症状を中心に~
7月23日
院内勉強会
1.脳梗塞
脳梗塞の前触れ(一過性脳虚血発作)
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片方の手足がしびれる。
急に手の力が抜けて、持っているものを落としてしまう。
めまいがして真っ直ぐに歩くことができない。
ろれつが回らなくなる。
力はあるのに歩くことができなかったり、立っていることができない。
人が話していることをよく理解することができない。
文字が思うように書けない。
物が二重に見える。
片側の目に幕がかかったようになり、一時的に物が見えにくくなる。
脳梗塞の症状
・麻痺
・運動障害(多くは片側の腕や足、顔面が脱力してしまったり、筋力が低下してしまう片麻痺)
・感覚障害(感覚が鈍くなったり、鋭くなったりする)
・失調(巧緻運動や歩行、話すという行為やその音声、平衡感覚の障害)
・意識障害
・構音障害、嚥下障害
・高次脳機能障害(失語、失認など)
2.脳出血
脳内出血
くも膜下出血
頭全体、時に前頭部、後頭部などに頭痛が起こります。同
時に吐き気、嘔吐、頸の後ろ(うなじ)が凝(こ)る、などのいわゆ
る髄膜(ずいまく)刺激症状が起きます。
頭痛の第1の特徴は、突然起こり、それが続くことです。突然
とは、○時○分○秒にとか、部屋を出て3歩歩いたら頭痛が起
きた、というほど突然に 起こります。瞬間的にびりっと痛んで
すぐやみ、またしばらくしてびりっと痛む頭痛は、持続してはい
ないので、突然起きたとしてもくも膜下出血ではありません。
第2の特徴は、いままで経験したことのないほど強い頭痛で
あることです。しかし、はじめに軽い頭痛が前駆症状として突
然起こり、少したってから強い頭痛が起こることもあります。
3.慢性硬膜下血腫
4.認知症
5.パーキンソン病
脳は、大脳、小脳、脳幹(のうかん)に大別されます。パーキンソン
病では、脳幹に属する中脳の「黒質(こくしつ)」という部分と、大
脳の大脳基底核(だいのうきていかく)にある「線条体(せんじょう
たい)」という部分に異常が起こっていることが明らかにされていま
す。
脳の断面図
脳は神経細胞の集合体です。 脳では、神経細胞のネットワークがさ
まざまな情報伝達を行い、体全体のバランスを保ち、生命を維持する
ように働いています。この神経細胞同士の情報伝達に は、「ドパミ
ン」「セロトニン」「アセチルコリン」といわれる神経伝達物質が欠
かせません。
パーキンソン病では、黒質に異常が起こって正常な神経細胞 を減少
させるため、そこでつくられるドパミンの量が低下し、黒質から線条
体に向かう情報伝達経路がうまく働かなくなっている状態ということ
がわかっていま す。このため、姿勢の維持や運動の速度調節がうまく
行えなくなるなど、パーキンソン病特有の症状が現れると考えられて
います。
黒質でつくられるドパミンの量が正常な人の20%以下まで低下する
と、パーキンソン病の症状が現れるといわれています。
高齢者に多い心臓病
1.虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患は、心臓を養う冠
動脈の動脈硬化により血管の内腔が狭くなり、血液の流
れが制限されて生じます。冠動脈が閉塞すると約40分後
から心内膜側の心筋は壊死に陥ります。これが心筋梗
塞です。
壊死は次第に心外膜側へ波状に広がり6〜24 時間後
には貫璧性梗塞(かんぺきせいこうそく)となります。
同じく冠状動脈の動脈硬化に基づく狭心症は心筋の壊
死がなく、心臓本来のはたらきであるポンプ機能は正常
に保たれているのに対し、心筋梗塞では心筋が壊死に
陥ってポンプ機能が障害され、壊死が広汎に及べば心
不全やショックを合併することもあります。
急性心筋梗塞は多くの場合、胸部の激痛、絞扼感(こうやくかん)(締めつけられるよう
な感じ)、圧迫感として発症します。胸痛は30分以上持続し冷や汗を 伴うことが多く、重
症ではショックを示します。胸痛の部位は前胸部、胸骨下が多く、下顎(かがく)、頸部(け
いぶ)、左上腕、心窩部(しんかぶ)に放散し て現れることもあります。随伴症状として呼
吸困難、意識障害、吐き気、冷や汗を伴う時は重症のことが多いとされています。
高齢者では特徴的な胸痛でなく、息切れ、吐き気などの消化器症状で発症することも
少なくありません。また、糖尿病の患者さんや高齢者では無痛性のこともあり、無痛性
心筋梗塞は15%程度に認められます。
狭心症の患者さんで、症状の程度がいつもより強くなったり、回数が頻回になったり、
軽い労作で誘発されるようになった場合には、不安定狭心症や心筋梗塞に移行する可
能性があるので、ただちに専門医を受診するのが安全でしょう。
2、不整脈(心房細動)
3.心臓弁膜症
心臓は、全身に血液とともに酸素を供給する、ポンプのような役割をしてい
ます。全身に酸素を届けたあとの血液(静脈血)は右心房から右心室へ戻り、
肺動脈から肺に送られます。肺で酸素を受け取った血液(動脈血)は左心房
から左心室へ送られ、大動脈を通って全身をめぐり、酸素を届けます。この
一連の動きは休むことなく、1日におよそ10万回も繰り返されています。 この
ように血液の流れを一方向に維持するために、心臓内の4つの部屋には、そ
れぞれ弁があります。右心房と右心室の弁が「三尖弁」、右心室と肺動脈の
間の弁が「肺動脈弁」です。また、左心房と左心室の間にあるのが「僧帽弁」、
左心室と全身をめぐる大動脈の間にあるのが「大動脈弁」です。
心臓にある弁に障害が起き、本来の役割を果たせなくなった状
態を「弁膜症」といいます。 弁の開きが悪くなり血液の流れが妨
げられる「狭窄」と、弁の閉じ方が不完全なために血液が逆流し
てしまう「閉鎖不全」があります。
4つの弁のうち、「大動脈弁」と「僧帽弁」に多く起こる疾患です。
弁膜症の原因
弁膜症の原因には、先天性と後天性(リウマチ熱、動脈硬化、心筋梗塞、組織変性な
ど)があり、原因を特定できないものも多くあります。
かつては、リウマチ熱の後遺症として弁膜症になることが多かったのですが、現在は抗
生物質の普及によりリウマチ熱自体が減り、リウマチ熱を原因とする弁膜症は減少しま
した。
一方、高齢化に伴い、大動脈弁に動脈硬化と同じような変化が起きて硬くなり、うまく開
かなくなる「大動脈弁狭窄症」や、弁の組織が弱くなって起きる「僧帽弁閉鎖不全」が増
加しています。
弁膜症の症状
動悸や息切れ、疲れやすい、胸痛、呼吸困難などの症状が出てきます。
弁膜症は、はじめは弁という一部分の病気ですが、進行すると心筋(心臓を動かしてい
る筋肉)という心臓全体の病気になります。そのような状態になると、いくら一部分であ
る弁を取り換えても心筋の障害は回復せず、心臓は元通りに働くことができなくなりま
す。
また、症状はじわじわと進行していくので、体のほうが慣れてしまい、自覚症状がない
場合もあります。
弁膜症は自然に治ることはないので、心筋の障害が進行する前に治療をすることが非
常に大切です。