Bid-offer価格に着目した住宅市場シミュレーションモデル

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Transcript Bid-offer価格に着目した住宅市場シミュレーションモデル

○名城大学大学院
市川航也
名城大学
鈴木温
HBA Specto Incorporated John Abraham
マイクロシミュレーション型都市モデル
 ミクロな経済主体の選択行動を積み重ねて都市全体の動きをモデル化
 主体の多様性や行動原理を表現しやすく、高い説明力が期待できる
既存のMS型都市モデル
土地・住宅市場
世帯の土地・住宅への割当
モテンカルロシミュレーションによる
世帯と土地・住宅との
ランダムな割当
相関関係が表現できていない
土地・住宅価格の決定
主体の行動と乖離したヘドニッ
主体の行動を考慮した
ク価格法により推定
価格形成が行えていない
世帯と住宅の相関性,主体の行動による価格決定が表現可能な
MS型住宅市場モデルの構築(Suzuki et al, 2011)
これまでの研究では…
ある時点における
住宅市場の静的な枠組み
仮の世帯・住宅データを用
いたシミュレーション
動的な要因の考慮
実際の都市の情報を反映
 主体属性の経年的変化
 世帯の住み替えの発生
 住宅供給者の価格調整
 世帯データ
 住宅データ
 土地情報
Agent-based シミュレーションのソフトウェア(Netlogo)を用いたビジュアル化
エージェントベースの動的な住宅市場・世帯立地シミュレーションモデル
t期 Offer価格の提示
世帯主 42歳
世帯主 66歳
世帯主 27歳
世帯主 56歳
オファー価格は市場の動向によって設定
(一定期間住宅が売れなければ価格を下げる)
住宅C
住宅D
新築
広さ:118㎡
最寄駅まで2分
住宅B
築10年
広さ:278㎡
最寄駅まで5分
築5年
広さ:350㎡
最寄駅まで15分
築3年
広さ:410㎡
最寄駅まで21分
2500万円
1500万円
1200万円
1000万円
住宅A
住宅供給者
住宅供給者
住宅供給者
住宅供給者
t期
転居の発生
転居したい
世帯主 42歳
転居したい
世帯主 66歳
世帯主 27歳
世帯主 56歳
住宅C
住宅D
新築
広さ:118㎡
最寄駅まで2分
住宅B
築10年
広さ:278㎡
最寄駅まで5分
築5年
広さ:350㎡
最寄駅まで15分
築3年
広さ:410㎡
最寄駅まで21分
2500万円
1500万円
1200万円
1000万円
住宅A
住宅供給者
住宅供給者
住宅供給者
住宅供給者
t期
マッチング
転居したい
転居したい
世帯主 42歳
世帯主 27歳
世帯主 66歳
世帯タイプ別に推定
世帯主 56歳
(選好順位、Bid価格)
(4位、2750万円)
(3位、2630万円)(2位、1100万円)
(2位、1060万円)
(3位、1600万円) (1位、1250万円) (1位、1330万円)
契約成立
(4位、1400万円)
住宅C
住宅D
新築
広さ:118㎡
最寄駅まで2分
住宅B
築10年
広さ:278㎡
最寄駅まで5分
築5年
広さ:350㎡
最寄駅まで15分
築3年
広さ:410㎡
最寄駅まで21分
2500万円
1500万円
1200万円
1000万円
住宅A
住宅供給者
住宅供給者
住宅供給者
住宅供給者
ΔT期 属性の更新・供給者の価格調整
転居したい
世帯主 42歳
1ヵ月住宅が売れない
場合は価格を下げる
住宅供給者
世帯主 28歳
世帯主 67歳
世帯主年齢の変化
住宅の老朽化
住宅A
築1年
広さ:118㎡
最寄駅まで2分
住宅供給者
住宅D
住宅B
築11年
広さ:278㎡
最寄駅まで5分
築3年
広さ:410㎡
最寄駅まで21分
住宅供給者
世帯主 57歳
住宅供給者
t+1期 Offer価格の提示
転居したい
転居したい
900万円
世帯主 42歳
住宅A
世帯主 67歳
住宅供給者
世帯主 28歳
住宅D
築1年
広さ:118㎡
最寄駅まで2分
住宅B
築11年
広さ:278㎡
最寄駅まで5分
築3年
広さ:410㎡
最寄駅まで21分
2450万円
1499万円
1000万円
住宅供給者
住宅供給者
世帯主 57歳
住宅供給者
対象地域
富山県富山市の都市計画区域
世帯データ
対象地域
 2011年12月~2012年1月にかけ
て行ったアンケート調査(配布数
14,073部/回収数5,089)から2,056
世帯を作成
住宅データ
図-1 シミュレーション対象地域
 世帯が居住している住宅
アンケート調査から2,056軒作成
 売り出し中の空き住宅
2011年8月に不動産業者が売りに出していた住宅を100軒抽出
世帯の選考の多様性を表現するため,世帯属性に
よって世帯タイプ分けを行った.
世帯主年齢
世帯
子供
人数
有無
20~30 代
40~50 代
60 代~
単身
無
タイプ 1
タイプ 2
タイプ 3
無
タイプ 4
タイプ 5
タイプ 6
有
タイプ 7
タイプ 8
タイプ 9
2~3 人
4 人~
無 or 有
タイプ 10 タイプ 11 タイプ 12
世帯の分布
住宅価格,時期毎の世帯タイプ
毎の住宅属性の平均値,
値下げ頻度,マッチング結果
駅から遠い位置
に空き家が増加
都心に集中
世帯主の高齢化
12
45
40
タイプ1
タイプ2
タイプ3
タイプ4
タイプ5
タイプ6
タイプ7
タイプ8
タイプ9
タイプ10
タイプ11
タイプ12
最寄駅まで15分以下
最寄駅まで16分以上30分以下
最寄駅まで31分以上
10
35
最
寄
り
駅
ま
で
の
時
間
(
分
)
8
30
高齢世帯に人気の住宅の需要増
⇒駅に近い住宅の需要が増える
値
下
げ 6
頻
度
25
20
15
4
10
2
5
0
競争率が上がり,駅から近い住宅の価格が上昇
競争率が下がり,駅から遠い住宅の価格が下降
0
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
シミュレーション期間(日)
図-2 最寄駅までの平均時間の遷移
3500
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
シミュレーション期間(日)
図-3 値下げ頻度の遷移
駅から遠い住宅ほど値下
高齢世帯は駅の近くに転居する
げ頻度が高くなる
世帯属性の変化によってどのように選考が変化し,それによって市
場ではどのような価格の変化が起こるのかを表現することが可能
世帯属性と住宅属性の相関関係を表現し,主体の行動による
価格形成を行うため,マッチングとダブルオークションの概念を
用いてモデルの構築
動的な世帯立地シミュレーションを行うため,世帯主の高齢化・
住宅の老朽化・住み替えの発生・住宅供給者の価格調整プロ
セスを導入
実際の都市を対象とした世帯立地シミュレーション
世帯・空家住宅の分布の動的な変化,住宅価格・世帯が住んでいる
住宅の傾向を表現することのできるモデルの構築ができた
世帯の立地選択行動の改良
世帯はすべての住宅の中から住宅選択を行っている
職場までの立地等を考慮した転居エリアの選択過程の導入
世帯属性の遷移・転居発生のモデル化
世帯の転居発生率は初期条件として与えられている
世帯員の増減が反映されていない
住宅供給者の行動の改良
景気の動向・住宅の売れる見込みを反映した価格調整
行動プロセスの導入
住宅の新規建築,建て替え行動のモデル化
データ数を実際の富山市の世帯数に合わせたシミュレーション