Transcript 戦略タスクNo1 印刷
埋没する技術・知財の無力化
ー 現象と処方箋 ー
渡部俊也
2015/5/15
Toshiya Watanabe
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目次
• 日本の企業に見る「技術の埋没」「知財の無
力化」
• グループ討論
• 2つの解決の鍵
• 研究紹介
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Toshiya Watanabe
2
1.0
1.0
食料品
化学
医薬品
ゴム製品
機械
電気機器
輸送用機器
精密機器
その他製品
0.8
0.6
Spearman相関係数 (p<0.01のみ)
自由度調整済み決定係数 (p<0.01のみ)
日本産業の特許と株価の相関
(大崎、渡部、関野)
0.4
0.2
0.0
2000
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
2008
2002
2004
2006
2008
2010
2012
繊維製品
化学
鉄鋼
その他製品
2010
2012
年
年
2000年における「特許件数/時価総額」が、
その後2004年前後での株価上昇比を決定
する要因の1~2割を説明
⇒
⇒ 2008年を起点とした場合(有効な
業種は、繊維製品、化学、鉄鋼などの
素材系のみ)
•大﨑 敏郎, 渡部 俊也, 関野 勝弘,「株価先行指標としての特許件数の分析」
研究技術計画(2011).
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「TIMS Lecture T.W.」
2010.9.14
2010.11.10
特許と収益のリンケージ
A
0.45
社
B 社
0.4
0.4
0.35
0.3
0.3
0.25
0.2
0.2
0.15
0.1
0.1
0.05
0
0
-0.1
-0.2
-0.3
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企業Aの研究開発成果
• 長年研究開発を行なって特許も数多く出願した
が、社内で検討しても実用化の可能性が見いだ
せなかった。
• 研究開発を終了させることになり、最後に学会
発表を行なった。
• その当日発表会場で聴講していた人物から「そ
れこそ自分が求めていた技術だ」と申し出を受
け、その後とんとん拍子に事業化が実現した。
• その聴講していた人物は・・・・・・
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シンビコートの事例
• 現在アストラゼネカ社が製造販売している喘息治療薬シ
ンビコートに用いられている化合物は、かつてアステラス
製薬が経口薬として研究開発をしており、特許出願まで
行ったが、医薬品になることなく特許も期限切れになって
しまった。
• しかしそののち同じ化合物について、アストラゼネカ社が
吸入剤として開発をやり直して成功したもの。
• この薬はアストラゼネカ社が発売後、日本では製造・開
発はアストラゼネカ株式会社が担当し、流通・販売はア
ステラス製薬が担当。プロモーション活動はアストラゼネ
カ株式会社とアステラス製薬が共同で行なうという契約
を行っており、この際アステラス製薬はアストラゼネカに
対し数十億以上の契約金を支払ったと報道されている。
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光励起親水化反応
Photo-induced Wettability Conversion on TiO2 Surface
UV illu.
TiO2
(a)
UV
Irradiation
in the dark
TiO2
(b)
Original Paper:
Nature: R.Wang, K.Hashimoto, A.Fujishima, M.Chikuni,
E.Kojima, A.Kitamura, M.shimohigoshi and T.Watanabe:
“Light Induced Amphiphilic Surface”,
388,431-432(1997).
In the Dark
Adv.Mater., : R.Wang, K.Hashimoto, A.Fujishima, M.Chikuni,
E.Kojima, A.Kitamura, M.Shimohigoshi and T.Watanabe:
(c)
“Photogeneration of Highly Amphiphilic TiO2 Surface” ,
(d)
10,135-138(1998).
UV
Irradiation
Langmuir: N.Sakai, R.Wang, A.Fujishima, T.Watanabe and
K.Hashimoto: ”Effect of Ultrasonic Treatment on Highly
Hydrophilic TiO2 Surface”, 14,5918-5920(1998).
Review paper:
Int Glass Review: A.Fujishima, D.A.Tryk, T.Watanabe and K.Hashimoto:
In the Dark
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“Self-cleaning Glass”, 2(1998).
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問い
• 貴社では「技術の埋没」や「知財の無力化」は
おきていますか?
• どの程度おきていますか、いつ起きていまし
たか?
• おきているとしたら何が原因なのでしょうか?
• どうしたら「技術の埋没」や「知財の無力化」を
防ぐことができるでしょうか?
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技術の不確実性
極めて美しく特殊な構造をした物質であることか
ら、その物性についても特殊な性質を発現すること
が期待されている。カーボンナノチューブが応用を
期待されている用途としては、高強度材料、伝導性
樹脂、マイクロマシン、CO固定、ナノフィルター、燃
料電池、二次電池、バイオセンサ、ドラッグデリバリ
(DDS)、ディスプレー、LSI配線などへの応用であ
る。
立川飛行機(後のプリンス自動車)は1947年に「た
ま」と名付けた電気自動車(E4S-47)を開発している。
この当時の性能は2ドアセダン最高時速35km/hで
あったが、1充電で200kmの走行が可能であったとさ
れる 。
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知識と知財の組織的管理
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ロトカの法則 (Lotka’s law) とは
•
•
統計学者Alfred J. Lotka (1926)がChemical Abstract における研究者と論文発表数との
関係が「逆二乗則」になることを発見。
物理学や心理学の論文,特許,音楽などの分野においても法則が確認されている。
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Allen, T. J., and Cohen, S. I.(1969) “Information Flow in Research
and Development Laboratories,” Administrative Science
Quarterly, Vol.14, pp.12-19.
• 研究開発組織を対象にしたコミュニケーション構造の分析を通じ,
組織内において,組織外部の情報源に精通し,それを頻繁に組織
内にもたらす少数のゲートキーパーが存在する.組織外部の情報
は,少数のゲートキーパーを経由して組織内部にもたらされる.
外部情報
①情報収集機能
○
○
○
○
○
②情報伝達機能
○
○
○
○
○
○
プロジェクト等(組織)
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タスクフォースマネジメントがポイント
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スピルオーバーと流出
技術スピルオーバー
意図せざる技術流出
技術情報
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営業秘密侵害
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日本企業から東アジア企業へ移動した研究者の推移
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回答件数731件(15%)
技術ノウハウの流出
推定被害額
1億円未満
流出した
8%
11%
28%
1~10億円未満
流出が疑われる
流出はないと
思われる
53%
不明
10~
100億円未満
100~
1,000億円未満
1,000億円以上
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戦略の事例
•
•
•
•
•
•
•
3Dプリンター
特許開放、OSS(トヨタ、Google)
モンサント
クボタ
フードビジネス
自動運転
東大発ベンチャー
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2つのポイント
• 組織における知識と知財のマネジメント
• ビジネスモデルと知財戦略
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TOTOの光触媒ビジネス
ハイドロテクト(薄膜光触媒,超親水性光触媒)
既存事業
新規事業
・内装タイル
・外装タイル
・タイルコーティ
ング材
・外装水性塗料
・ガラスコーティ
ング材
など
・自動車ドアミラ
ーフィルム
・自動車コーティ
ング材
・自動車用消臭剤
・家庭用消臭剤
・家庭用脱臭剤
・結露防止剤
など
クローズ
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クローズ
ライセンス
事業
(フロンティア・
リサーチ社)
・ビル用ガラス
・住宅窓
・外壁鋼板
・外装タイル
・テント屋根
・自動車ミラー
・遮音壁
・カーブミラー
・反射鏡
など
合弁事業
(JHCC社)
・塗料
・コート材
・施工
など
オープン クローズ
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モノのサプラ
イチェーン
日本本社
知財のサプ
ライチェー
ン
委託開発
契約
特許等のラ
イセンス
部材・
中間財
の供給
A 国 現地法人
製造拠点
ノウハウの発生
製品の
輸出
C 国 現地法人
商標等の
ライセンス
B 国 現地法人
研究開発拠点
知財の発生
販売拠点
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Consideration on the IP system after
establishment
Trade
secret
Copyright
Utility
model
Design
Trademark
Patent
After
Scope (N=25)
2.8
Development of enforcement procedures (N=25)
3.0
Operation of enforcement (N=25)
3.0
Scope (N=23)
3.1
Development of enforcement procedures (N=25)
3.2
Operation of enforcement (N=25)
3.4
Scope (N=25)
2.8
Development of enforcement procedures (N=25)
2.8
Operation of enforcement (N=25)
2.8
Scope (N=23)
2.5
Development of enforcement procedures (N=23)
2.4
Operation of enforcement (N=23)
2.4
Scope (N=21)
2.3
Development of enforcement procedures (N=21)
2.4
Operation of enforcement (N=20)
2.4
Technology know-how protection (N=25)
3.0
Trade secret protection (N=23)
3.0
0.0
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1.0
2.0
3.0
4.0
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知財部門のアセアン進出決定の際の関与
CN/JP/KR
(N=25)
1
16
US/EU
(N=31)
17
0%
20%
highly involved
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8
12
40%
60%
slightly involved
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2
80%
100%
not involved
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アルフレッド・D・チャンドラーJr.
「組織は戦略に従う」
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このプログラムで学ぶべきこと
• 組織論
• 戦略論
• イノベーション&知財マネジメント
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