屋上緑化率 - TOK2.com

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2013年度「千代田学」採択研究
中小ビルを対象とする
屋上緑化の評価・認定制度
による支援の拡充
―千代田区へのヒートアイランド緩和策の提案―
明治大学 政治経済学部
大森正之ゼミナール 3年共同研究
岡部翔一郎・塩谷祐輝・篠原妃智・堀川美穂
2013年12月12・13・14日
1
目次①
はじめに
1-1千代田区ではヒートアイランド現象が深刻
1-2ヒートアイランド抑制には緑化が有効
1-3千代田区の中小ビル密集地域は屋上緑化が少ない
1-4中小ビルに屋上緑化が広まらない原因
2-1補助金が不十分なのは本当か
2-2検討に用いるモデルケース(住居兼オフィス)
2-3ビルオーナーが屋上緑化を施工する条件
2-4モデルケースにおける屋上緑化の経済性の検討
2-5屋上緑化への補助金が不十分
2-6追加の補助金で目指す政策目標
2-7-1問題①は割増補助金の給付で解決
2-7-2問題①は割増補助金の給付で解決
2
目次②
3-1中小ビルに緑化が広まらない原因②
3-2原因②は緑の評価制度の創設で解決
3-3千代田緑化ビル評価・認定制度の仕組み
3-4 認定付与の基準
4-1中小ビルに緑化が広まらない原因③
4-2原因③は緑化管理組合の設立で解決
4-3緑化管理組合の設立によるメリット
4-4千代田緑化ビル推進税(仮称)の提案
おわりに
残された課題
【調査協力企業・団体】
【参考文献・資料】
【参考URL】
付録
3
はじめに
千代田区の緑が少ない中小ビル密集地域では
ヒートアイランド現象が深刻化
千代田区に以下の政策パッケージを提案
①千代田緑化ビル評価・認定制度の創設
②屋上緑化に対する割増補助金の給付
③緑化管理組合の設立
千代田区は緑豊かな街になる!
4
1-1千代田区ではヒートアイランド現象が深刻
【図1】千代田区における地表熱分布状況
【図2】都心5区における
熱中症患者の発生率(/100万人)
1600
1391.3
(
発
生 1400
率
%
)
1200
/
1
1000
0
0
万 800
人
黄色:39℃~
オレンジ:42℃~
千代田区(2011)
「千代田区の緑と熱分布」より
千代田区の
熱中症患者発生率が
圧倒的に高い!
600
513.6
536.5
458.8
493.5
400
200
0
千代田区
中央区
港区
新宿区
渋谷区
国立環境研究所HP 熱中症患者速報を基に独自に作成
5
1-2ヒートアイランド対策には緑化が有効
ビル密集地は地上部にスペースが無い
ホテルニューオータニ
2013.5.3
屋上緑化が最適
植物の蒸散作用
気温上昇の抑制効果
断熱効果
冷房の使用頻度減=人工排熱削減
6
1-3千代田区の中小ビル密集地域
は屋上緑化が少ない
神保町地域
万世橋地域
和泉橋地域
千代田区役所(2011)「千代田区緑の実態調査及び熱分布調査業務 」より転載
7
1-4中小ビルに屋上緑化が広まらない原因
①屋上緑化への補助金が不十分
②屋上緑化を評価する制度が無い
※付録①参照
③植物の維持管理が重荷
東京都千代田区の中小ビル密集地域
8
2-1補助金が不十分なのは本当か
千代田区に多く
みられる中小ビルの
モデルケース
を用いて
検討してみよう!
9
2-2検討に用いるモデルケース(住居兼オフィス)
イメージ図
屋上面積100㎡、屋上緑化(芝)
(ビルへの負荷を考慮すると緑化率60%が上限)
ビルオーナーが
居住(7~8階)
ベランダ緑化
(プランター)
テナントが入居
(入居率74%※)
周辺緑化
(プランター)
※付録②参照
10
2-3ビルオーナーが屋上緑化を施工する条件
屋上緑化の
経済効果(30年)
≧
屋上緑化の
実質負担額(30年)
(推定値を含む)
屋上緑化の経済効果
屋上緑化の実質負担額
E1 + E2 + E3 + E4 ≧ IC
初
期
費
用
現
行
の
補
助
金
維
30 持
管
年理
間費
分用
)
電 益 賃
料
気
の
代
よ上
削
る昇
減
利に
S1 + RC
(
※
緑 益 空
の
室
癒
に期
よ間
し
効
る短
果
利縮
ー
ビルオーナーが享受する効果のみとする 経済効果および実質負担額の算出方法の詳細は付録②③参照
11
2-4モデルケースにおける屋上緑化の経済性の検討
【図3】モデルケースにおける屋上緑化の
経済効果と実質負担額
経済効果・費用
現状
①初期費用+維持管理費用
IC+RC
①
S1
②(初期費用-現行の補助金)
+維持管理費用
(IC-S1)+RC
②
③経済効果の総和
③
E1
E2
E3
E4
O
10%
20%
30%
40%
50%
60%
緑化率
(E1+E2+E3+E4)
E1…緑の癒し効果
E2…空室期間短縮による利益
E3…電気代削減
E4…賃料の上昇による利益
●…損益分岐点(30%、40%)
企業やビルオーナーへの
ヒアリング調査で屋上面積の
30~40%を緑化しているビル
が多いことが分かったため
※独自に作成
12
2-5屋上緑化への補助金が不十分
【図4】モデルケースにおける屋上緑化の
経済効果と実質負担額
経済効果・費用
現状
①
S1
が
③
出るが、その利益は僅か
・・・式②、③
(3)現行の補助金を利用して
も
緑化率40~60%では利
益
は出ない ・・・式②、
②が③を下回る
③
E1
E2
E3
E4
10%
20%
30%
40%
50%
60%
緑化率
※独自に作成
緑化率30~40%で利益
②
②
O
(1)現行の補助金なしでは利
益
は出ない・・・式①、③
(2)現行の補助金を利用すれば
ように補助金の
追加が必要
13
2-6追加の補助金で目指す政策目標
[政策目標]
屋上緑化率の上昇に伴って
割増していく補助金の給付により
屋上緑化率60%まで既存中小ビルオーナーを誘導
[割増補助金の給付範囲]
(屋上緑化率)
30% ~ 60%
経済効果と実質負担額の
損益分岐点
ビルの重量負担の上限
※緑化率30%未満および60%を超えた場合は現行の補助金のみとする
14
2-7-1問題①は割増補助金の給付で解決
緑化率30.0~60.0%において、緑化率10.0%の上昇に
つき現行の補助金(初期費用の50.0%相当)に
初期費用の7.5%ずつ助成額を割増す補助金
屋上緑化率
30.0%未満
30.0~40.0%未満
40.0~50.0%未満
50.0~60.0%未満
60.0%
初期費用に対する
助成額の割合
50.0%(現行の補助金)
57.5%
65.0%
72.5%
80.0%
15
2-7-2モデルケースにおける補助金追加後の屋上緑化の経済性
緑化率60%
で利益最大
【図5】モデルケースにおける補助金追加後の
屋上緑化の経済効果と実質負担額
経済効果・費用
[拡大図]
現状 政策目標
①
①
② S1
②
③
③ S2
緑化率60%
まで誘導できる
④
④
E1
E2
E3
E4
①初期費用+維持管理費用
②(初期費用-現行の補助金)
+維持管理費用
③経済効果の総和
④(初期費用-現行の補助金-追加の補助金)
+維持管理費用
→(IC-S1-S2)+RC
O
10%
20%
30%
※独自に作成
30%
40%
40%
50%
50%
60%
60%
緑化率
16
3-1中小ビルに屋上緑化が広まらない原因②
①屋上緑化への補助金が不十分
①割増補助金の給付で解決!
②屋上緑化を評価する制度が無い
③植物の維持管理が重荷
東京都千代田区の中小ビル密集地域
17
3-2原因②は屋上緑化の評価制度の創設で解決!
屋上緑化の量・質を評価
認定取得者に割増補助金の給付を認める
18
3-3千代田緑化ビル評価・認定制度の仕組み
認定機関
②認定付与
①認定申請
③認定付与の
通知
認定対象
(ビルオーナー)
千代田区
④割増補助金の
給付、
補助政策による
メリット
※独自に作成
19
3-4 認定付与の基準
認定付与の基準(既存中小ビル)
屋上緑化率(%)
土壌の厚さ(cm)
30.0~60.0%
5.0cm以上
認定取得者には、緑化率に応じた
割増補助金を給付する
屋上緑化率
初期費用に対する助成額の割合
30.0~40.0%未満
40.0~50.0%未満
50.0~60.0%未満
60.0%
57.5%
65.0%
72.5%
80.0%
※なお、本研究は既存の中小ビルの屋上緑化の推進策の提案であるため新築は考慮しない
20
4-1中小ビルに屋上緑化が広まらない原因②
①割増補助金の給付で解決!
②屋上緑化を評価する制度が無い
②千代田緑化ビル評価・認定制度で解決!
③植物の維持管理が重荷
東京都千代田区の中小ビル密集地域
21
4-2原因③は緑化管理組合の設立で解決!
認定
取得者
法人
(組合員)
①
組合費
千代田区民
千代田区
寄付
補助
緑化管理組合
② 維持管理の委託
③維持管理 緑化施工会社、NPO
園芸系専門学校など
22
4-3緑化管理組合の設立によるメリット
ビルオーナーのメリット
①直接外部に
委託するより
低額で維持管理を
委託できる
②維持管理の
負担を軽減
できる
千代田区内の緑地を
長期的に保持できる!
23
Q.屋上緑化の支援策の
財源確保が困難な場合は?
千代田緑化ビル
A. 推進税(仮称)
を導入したらどうか?
24
4-4千代田緑化ビル推進税(仮称)
課税対象:個人 ※5年単位で見直し
区民税の均等割に年間約220~680円の上乗せ
課税例
①約220円・・・割増補助金の財源のみ確保
②約230円・・・千代田区が組合員の維持管理費用の半額を
補助
③約680円・・・千代田区が組合員の維持管理費用を全額
補助し、割増補助金の財源も確保 付録④参照
横浜市では約24億円(年平均)の税収となっ
た。
使途・・・緑化の推進
課税方法
維持管理の充実による緑の質の向上
【個人】市民税の均等割に年間900円上乗せ(約75円/月)
公有地化等植林地・農地の保全など
【法人】市民税の均等割に約9%上乗せ
例)横浜みどり税 平成21年度~
参考:横浜市HPより
25
おわりに
私たちの政策パッケージにより3つの問題解決!
千代田緑化ビル
評価認定制度の創設
認定対象者への
割増補助金の給付
緑化管理組合の
設立
26
残された課題
①千代田緑化ビル評価・認定制度の対象範囲
をビル単体からエリア単位へ拡大すること
の検討
②千代田緑化ビル評価・認定制度の
大企業への普及可能性の検討
③千代田緑化ビル評価・認定制度を新築ビル
に適用する際の認定基準の策定
27
千代田区は緑豊かな街になり
気温が約0.3℃※1低下
千代田区内のすべての
ヒートアイランド現象が抑制!
中小ビルに屋上緑化が
屋上緑化の断熱効果により
広がれば・・・
1年間で約530~660t
(杉37,763~47,025本分)※2
のCO2の削減が見込まれる
※1参考資料
大岡龍三(2005)「建物壁面緑化/
国土交通省(2003)「緑地保全と緑化の
屋上緑化の屋外温熱環境緩和効果
推進によるヒートアイランド現象緩和効果について」 について」
※2付録⑤参照
28
調査協力企業・団体
1.株式会社小学館集英社プロダクション
(2013年3月18日)
2.株式会社ベジトリー
(2013年3月18日)
3.芝浦工業大学 システム理工学部環境システム学科
インテリジェントデザイン研究室
(2013年4月30日)
4.三井住友海上火災保険株式会社
(2013年5月7日)
5.明治大学 農学部 緑地工学研究室
(2013年5月11日)
6.田島ルーフィング株式会社
(2013年5月14日、7月23日)
7.三菱地所株式会社
(2013年5月17日)
8.株式会社三越伊勢丹ホールディングス
(2013年5月24日)
9.群馬県吾妻郡嬬恋村
(2013年5月25日、5月26日)
10.明治大学 事務室和泉キャンパス課
(2013年6月3日)
11.株式会社久保工
(2013年6月10日、7月23日、11月29日)
12.千代田区立お茶の水小学校
(2013年6月15日)
13.千代田区立神田一ツ橋中学校
(2013年6月15日)
14.NPO法人大江戸野菜研究会
(2013年6月17日)
15.岐阜県高山市
(2013年6月21日、6月22日)
16.NPO法人屋上開発研究会
(2013年6月28日)
17.NPO法人環境リレーションズ研究所
(2013年7月23日)
18.3331 Arts Chiyoda
(2013年7月26日)
19.千代田区役所 環境安全部
(2013年11月22日)
20.パナソニック株式会社
(質問状回答2013年12月8日)
21.千代田区グリーンビル評価制度構想会議にご出席の皆様
29
参考資料・文献
東京都環境局(2012年)「東京都における屋上緑化等実績」
渡辺貴典ら(2010) 「屋上緑化による気温緩和効果に関する研究」
千代田区役所(2012)「千代田区行政基礎資料集」
千代田区役所(2012)「千代田区緑の実態調査および熱分布調査 概要版」
Brian W. Edwards(2013)“Green Buildings Pay” Taylor & Francis
McGraw Hill Construction(2011)“Green Outlook 2011:Green Trends Driving Growth ”
Norm Miller, Jay Spivey and Andy Florance Final Draft(2008)
“Does Green Pay Off?”
Piet Eichholtz, Nils Kok and John M. Quigley(2009)“Doing Well by
Doing Good? Green Office Buildings”
猪倉雅生(2004)「都市環境改善の視点から見た建築物緑化の展望―屋上緑化等の技術
とコストを中心に―」
滝澤重志(2010)「東京5区内のオフィスビルへのテナント入居と空室期間に関する分析」
山田明歩(2003)『ISO崩壊』築地書館
渡辺貴典ら(2010) 「屋上緑化による気温緩和効果に関する研究」
国土交通省(2003)「緑地保全と緑化の推進によるヒートアイランド現象緩和効果
について」
大岡龍三(2005)「建物壁面緑化/屋上緑化の屋外温熱環境緩和効果について」
30
参考URL
1.環境省 http://www.env.go.jp/
2.株式会社日本政策投資銀行http://www.dbj.jp/
3.日本工業標準調査会 http://www.jisc.go.jp/index.html
4.ISO http://www.iso.org/iso/home.html
5.千代田区 http://www.city.chiyoda.lg.jp/
6.CES(千代田エコシステム)推進協議会 http://www.chiyoda-ces.jp/
7.京都市 http://www.city.kyoto.lg.jp/
8.USGBC http://www.usgbc.org/
9.CASBEE http://www.ibec.or.jp/CASBEE/index.htm
10.気象庁http://www.jma.go.jp/jma/index.html
11.東京都http://www.metro.tokyo.jp/
12.一般社団法人東京ビルヂング協会http://www.jboma.or.jp/tokyo/
13.東京オフィス検索http://of-tokyo.jp/
15.一般社団法人太陽光発電協会http://www.jpea.gr.jp/
16.国土交通省http://www.mlit.go.jp/
17.資源エネルギー庁http://www.enecho.meti.go.jp/
18.東京電力http://www.tepco.co.jp/index-j.html
19.経済産業省http://www.meti.go.jp/
20.神奈川県http://www.pref.kanagawa.jp/
21.国立環境研究所http://www.nies.go.jp/
22.横浜市http://www.city.yokohama.lg.jp/front/welcome.html
23.パナソニック株式会社http://panasonic.jp/
31
ご清聴ありがとうございました
32
付録目次
①環境マネジメントシステムとグリーンビル評価制度の現状
と問題点について
②屋上緑化の経済効果の算出方法
③屋上緑化の実質負担額の算出方法
④区民1人あたりの特別区民税上乗せ額の試算
⑤屋上緑化の断熱効果によるCO2削減量の算出方法
明治大学和泉図書館屋上2013.7.16
33
付録①-1 環境マネジメントシステムについて
環境マネジメントシステム(以下EMS)※とは
経営の環境影響を企業内部で管理し、自己で環境に配慮した
取り組みを計画、実行、点検、改善していく仕組み
Environmental Management System
国際版EMS
ISO14001(1996~)
地域版EMS(ISOの簡略版)
京都環境マネジメント
システムスタンダード
以下KES (2007~)
千代田エコシステム
以下CES (2009~)
※元々は、公害の防止のために、第2次産業の企業が内部監査の手段と使用していた仕組みである。
しかし、近年では多くの第3次産業の企業が取得するようになったことから、企業内部における省エネル
ギー・省資源を促進する手段という意味合いも含まれるようになった。
34
付録①-2 ISO14001の現状と問題点
現状
①日本における取得件数が停滞
②大企業が対象(主に製造業)
問題点
①審査登録費用が高額
②省資源、省エネルギーに偏重している
ために、費用対効果が経年で減少
③自主的な緑化を促す仕組みがない
35
付録①-3 地域版EMS(CES)の現状と問題点
現状
①審査登録費用が低額
②中小企業が対象
問題点
①省資源、省エネルギーに偏重して
いるために、費用対効果が経年で減少
②千代田区内の中小企業に普及してない
③自主的な緑化を促す仕組みがない
36
付録①-4 既存のグリーンビル評価制度について
グリーンビル評価制度(以下GBES)とは
ビルの環境性能(省エネ・省資源など)を評価し、ランク付けする
システム
Green Building Evaluation System
国際版GBES
日本版GBES
CASBEE(2001~)
LEED(1998~)
DBJ Green Building 認証(2011~)
37
付録①-5 既存のGBESに共通する問題点
(LEED、CASBEE、DBJ Green Building認証)
①環境経営の指針となるツールと併用しなけ
れば環境に配慮した、長期的なビルの運用
を徹底できない※
②既存のGBESには中小企業・中小ビル向け
のものはない
LEED、CASBEE⇒審査登録費用が高額
DBJ Green Building認証⇒認証対象は日本政策投資銀行の融資先のみ
③評価項目全体の中で緑化が得点
となる項目の割合が少ない
※付録③-6参照
38
付録①-6 EMSとGBESの併用について
海外ではEnergy Star Portfolio Manager※とLEEDの併用【1】、
日本の企業ではGBESとEMSの併用【例2】がみられる
【例1】
※エネルギー使用量の管理ツールのことである。GBES(主にLEED)と併用する
ことで長期的なビルの管理・運用の省エネルギー化を図ることができる。
米国カリフォルニア州ではESPMによって
ビルのエネルギー使用量のデータを
管理することを義務付け(2009~)
Central Utility Plant, Sacramento
【例2】
NTTファシリティーズ
清水建設
本社ビルにてISO14001(2003)・LEED‐CI(2011)を取得
本社ビルにてISO14001(1999)・CASBEE (2011)を取得
39
付録①-7LEED認証の取得で賃料と入居率がアップ
2005~2008年のLEED認証取得物件の賃料の推移
LEED認証の取得物件の方が
約13ドル賃料が高い
(四半期あたりの平均)
2005年~2008年のLEED認証取得物件の
入居率の推移
LEED認証の取得物件の方が
約2.3%入居率が高い
(四半期あたりの平均)
Florance(2008)“Does Green Pay Off?”より
※LEED認証ありの場合の入居率が2006年に一時的に
下回っている理由→賃料が急激に上昇した為。
40
付録①-8グリーン・ビルで不動産価値アップ
グリーンビルによる不動産価値の向上
(既存ビルはグリーンビルに改修した場合)
既存ビル
新築ビル
不動産価値
の上昇率
6.8%
10.9%
投資利益率の上昇
19.2%
9.9%
McGraw Hill Construction(2011).
Green Outlook 2011:Green Trends Driving Growth をもとに作成
ビルの環境性能を向上させると
不動産そのものの価値が向上
41
付録②-1屋上緑化の経済効果の算出方法
E1:緑による癒し効果
⇒緑化による満足感、生産性の向上、医療費の削減が含まれる。しかし、これらの効果は緑化以外
の要素(オーナーの生活習慣の改善や植物に対する愛好心など)も考慮しなければならないこと、
また算出の根拠となるデータが無いことから現段階での算出は不可能であると判断したため、
推定値をグラフに当てはめている。
E2:空室期間短縮による利益の算出方法
①テナントの入居率:74%※1
⇒モデルケースでは1~6階を貸し出しているため、入居率74%からテナントの入居数は4となる・・・A
※1一般社団法人東京ビルヂング協会(2012)「ビル実態調査(東京版)」より
②千代田区神保町地域のオフィスビルの平均賃料:3696円/㎡・月※2
⇒モデルケース(屋上面積100㎡)の1フロアの賃料は約400,000円/月となる・・・B
※2東京オフィス検索より
③東京都主要5区(千代田、中央、港、渋谷、新宿)の平均空室期間:3か月※3
⇒緑化による不動産価値の上昇効果により空室期間が0.5か月短くなると想定・・・C
東京都主要5区(千代田、中央、港、渋谷、新宿)の平均入居年数は14年※3
⇒30年間ではテナントが2回入れ替わると想定・・・D
※3滝澤重志(2010)「東京5区内のオフィスビルへのテナント入居と空室期間に関する分析」より
空室期間の短縮によって得られる1フロアの賃料収入は、B,Cより、約400,000円×0.5か月=200,000円と
なる。またDより、1フロアの賃料収入は30年間で200,000円×2=400,000になる。
Aよりテナントの入居数は4であるため、4フロア合計した賃料収入は30年間で400,000円×4=1,600,000
円となる。
42
付録②-2屋上緑化の経済効果の算出方法
E3:電気料金の削減額
⇒芝による屋上緑化(土壌の厚さ10㎝)の1年間の電気代削減額は約76円/㎡※
※田島ルーフィング株式会社の試算結果をもとに算出
E4:賃料の上昇による利益
⇒現段階での賃料の上昇による利益の算出は緑化以外の要素(オフィスビル周辺の
再開発などによって利便性が向上し地価が上昇など)も考慮しなければならないこと、
また算出の根拠となるデータが無いことから不可能であると判断した。そのため推定
値をグラフに当てはめている。
43
付録③屋上緑化の実質負担額の算出方法
IC:初期費用
⇒芝による屋上緑化の初期費用:2万円/㎡※
※田島ルーフィング株式会社や株式会社久保工へのヒアリング調査により
RC:維持管理費用
⇒約720円/㎡・年※
モデルケースのビルオーナーは維持管理を外部に委託せずに自己で行うことと
する。そのためRCは水道代のみとなる。
※株式会社久保工へのヒアリング調査により
S1:現行の補助金
⇒初期費用の50%
千代田区の屋上緑化に対する補助金では、【3万円/㎡×緑化面積】または
【初期費用の50%】のどちらか低額な方が給付される。モデルケースではどの
面積においても初期費用の50%が支給される。
44
付録④-1区民1人あたりの特別区民税上乗せ額の試算
(割増補助金の財源を確保する場合)
割増補助金の財源を確保するための千代田区民1人あたりの特別区民税の上乗せ額を算出
する。
千代田緑化ビル推進税(仮称)の実施期間を5年と設定する。
千代田区(2013)「主要施策の成果」によるとヒートアイランド対策助成制度における助成件数
は2010年が39件、2011年が29件、2012年が33件であるため2013年以降も30件前後で推移す
ると考えられる。そこで認定取得による割増補助金の利用件数を年間30件と想定する。した
がって実施期間5年で150棟の中小ビルが緑化されることとなる。この中小ビル150棟に重量負
担の上限である緑化率60%の屋上緑化(芝)を施工した場合に必要となる特別区民税の上乗せ
額を算出する。
中小ビル1棟の屋上面積を100㎡とすると、150棟の屋上面積の合計は15,000㎡、緑化面積の
合計は9,000㎡となる。また、付録③より芝による屋上緑化の施工費用は20,000円/㎡であるた
め、150棟の施工費用の合計は180,000,000円である。緑化率60%では施工費用の80%を助成
するため、助成額の合計は144,000,000円となり、このうち割増補助金の実施により増加する
負担額は54,000,000円である。
千代田区(2013)「千代田区行政基礎資料集」より2013年の千代田区の人口は49,734人であ
る。
したがって、54,000,000円を実施期間5年で特別区民税の上乗せにより賄うとき、千代田区民1
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人あたりの特別区民税の上乗せ額は約217円となる。
付録④-2区民1人あたりの特別区民税上乗せ額の試算
(緑化管理組合で維持管理の全額を補助する場合)
ここでは緑化管理組合の財源を確保するための千代田区民1人あたりの特別区民税上乗
せ額を試算する。
千代田緑化ビル推進税(仮称)の実施期間を5年と設定する。
付録④-1では、認定取得による割増補助金の利用件数を年間30件と想定した。そこで緑
化管理組合の加入件数も年間30件ずつ増加すると想定する。したがって実施期間5年で
150棟の中小ビルが加入することとなる。また、ここでは150棟に重量負担の上限である緑
化率60%の芝による屋上緑化を施工するものとする。
中小ビル1棟の屋上面積を100㎡とすると、株式会社久保工へのヒアリング調査より緑化
面積60㎡の芝による屋上緑化の維持管理の委託費用は1年間で約250,000円である。こ
の維持管理の委託費用を全額補助した場合の千代田区民1人あたりの特別区民税上乗
せ額を試算する(維持管理にかかる水道代はビルオーナー負担とする)。
緑化管理組合の加入件数は累積的に増加するため、5年間で維持管理の委託費用の合
計は以下のとおりとなる。
(30+60+90+120+150)棟×250,000円=112,500,000円
これを2013年の千代田区民の人口49,734人(千代田区(2013)「千代田区行政基礎資料
集」より)、そして実施期間の5年で割ると112,500,000円÷49,734人÷5年=約452円とな
る。 以上より緑化管理組合の財源を確保するための千代田区民1人あたりの特別区民税
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上乗せ額は452円となる。
付録④-3 区民1人あたりの特別区民税上乗せ額の試算
付録④-1,2より、千代田区民1人あたりの特別区民税の上乗せ額を試算すると
●割増補助金の財源を確保する場合
217円となる。
●緑化管理組合で維持管理の半額を補助する場合
452円÷2=226円となる。
●緑化管理組合の維持管理費用の全額を補助する財源と割増補助金の財源を確保する場合
217円+452円=669円となる。
これは、千代田区で毎年30棟ずつ5年間に渡って中小ビル(2-2のモデルケース)の屋上面積
60㎡に芝による緑化を施工していく場合を想定している。
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付録⑤屋上緑化の断熱効果によるCO2削減量の算出方法
千代田区内の中小ビル全棟に重量負担の上限である緑化率60%の屋上緑化(芝)を施工した
場合のCO2削減量を算出する※。
※千代田区内の中小ビルの棟数や屋上面積に関する資料は不明であった。そこで東京都(2013)「東京都統計年鑑」をも
とに、中小ビルが最も多く含まれると考えられる4~10階建ての建築物全棟におけるCO2削減量を算出する。
東京都(2013)「東京都統計年鑑」より、千代田区内の4~10階建ての建築物の総数は5,725
棟である。屋上面積は不明のため、1棟あたり100㎡とする。したがって、5,725棟の屋上面積
の合計は572,500㎡、緑化面積の合計は、緑化率60%のため343,500㎡となる。・・・A
株式会社田島ルーフィングより屋上緑化の断熱効果による1年間のCO2削減量は緑化面積1
㎡あたり1.92㎏である。・・・B
A、Bより千代田区内の中小ビル全棟に重量負担の上限である緑化率60%の屋上緑化(芝)を
施工した場合のCO2削減量は659520Kg(約660t)と想定される。また、このときの施工費用は
6,870,000,000円、 CO2削減量10tあたりの施工費用は104,090,909円である。・・・C
なお、1棟あたりの屋上面積を80㎡とした場合、5,725棟の屋上面積は458,000㎡となり、緑化
面積の合計は、緑化率60%のため274,800㎡となる。
よって、その際のCO2削減量はBより、約527,616tとなる。
なおCより、CO2削減量10tあたりの施工費用は5,496,000,000円である。
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