松田 - 東京理科大学

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実験観察講座
ペットボトルを利用した簡単な
温室効果実験
東京理科大学理学部応用物理学科4年
1508135番 松田 峻
目的
地球環境問題を児童・生徒にとって身近なものにしたい。
未来を担う子どもたちに環境について考えてもらいたい。
主な環境問題を挙げると・・・
酸性雨 オゾン層の破壊 異常気象 地球温暖化
しかし,話ではよく聞くがあまり実感できていないのが現実。
実験を通じて地球環境問題を考える。
→実験教材の開発。
研究背景
現行の高等学校学習指導要領
課題研究の目標
観察,実験などを通して研究を行い,科学的に探究する能力と
態度を育てるとともに創造性の基礎を培う。
課題研究の内容
先端科学や学際的領域に関する研究
自然環境の調査に基づく研究
課題研究の構成
生徒の興味・関心,進路希望に応じて,個人またはグループで
適切な課題を設定,成果の報告
大学や研究機関などと積極的に連携,協力を図る
研究背景
現行の高等学校学習指導要領
物理IIの課題研究,物理IBの特設単元の自由研究において
2つの観点をもりこんだ実験を行うよう指導。
「もし小学生や中学生が行うとするなら,
どのような実験が可能かについて工夫してみよう」
「物理の授業中に行う実験ではあるが,
地球環境問題との接点をもったような実験を工夫してみよう」
次の世代に実験を通じて
物理や地球環境問題を伝えることに繋がる。
研究背景
二酸化炭素による温室効果の実験は,
より簡単でより確実な実験結果が得られるような
実験方法の開発研究を平成6年から継続してきた。
しかし,小学校高学年や中学生にも行える
実験として教材化するには,実験器具の入手などが困難だった。
今回は,入手しやすいペットボトルと白熱電球を用いて
二酸化炭素の温室効果を確かめることができたので報告。
研究内容
温室効果とは・・・
大気(N2・O2・CO2・H2O)
再放射
太陽放射
短波長
地球放射
長波長
地上
吸収・放射
研究内容
二酸化炭素の温室効果を際立たせるために,
普通の空気の場合との比較対象実験を行う必要がある。
→実験は二酸化炭素と空気以外の実験条件をそろえる。
課題研究として実験させるためには,各学校や家庭で
準備できるような身近な実験器具である必要がある。
→つまり,高価な精密機器を用いることはできない。
2Lのペットボトルと白熱電球,温度計からなる簡単なもので作成。
研究内容
準備として・・・
複数の温度計
50
40
30
20
10
0
ペットボトル2体
研究内容
熱源に太陽光を用いた場合
研究内容
1回目
気温18.3℃
2回目
気温19.5℃
3回目
気温18.7℃
時間(秒)
CO2
酸素
CO2
酸素
CO2
酸素
0
22.1
22.0
22.6
23.1
20.3
20.3
30
22.6
22.6
24.0
24.3
23.0
22.0
60
22.8
22.8
25.0
25.0
22.7
22.5
90
22.9
22.7
25.8
25.4
23.2
22.8
120
23.7
23.4
26.3
25.0
23.5
23.0
150
24.4
23.8
26.8
26.2
23.7
23.1
180
24.9
23.9
27.0
26.3
23.9
23.2
210
25.6
23.8
27.2
26.5
24.2
23.4
240
26.2
23.7
27.3
26.4
24.4
23.5
270
26.5
23.4
27.4
26.4
24.4
23.5
300
27.4
26.5
24.3
23.4
330
360
27.6
27.5
26.5
26.4
24.3
24.4
23.4
23.5
研究内容
熱源に白熱電球を用いた場合
モーター
研究内容
1回目
気温27.3℃
時間(秒)
CO2
酸素
0
28.1
28.2
30
28.6
60
時間(秒)
CO2
酸素
28.8
330
33.8
33.5
30.3
30.4
360
33.9
33.6
90
30.9
31.1
390
34.1
33.8
120
31.5
31.7
420
34.2
33.9
150
31.9
32.1
450
34.3
34.0
180
32.3
32.4
480
34.4
34.1
210
32.7
32.8
510
34.5
34.1
240
33.0
33.0
540
34.6
34.3
270
33.3
33.2
570
34.7
34.3
300
33.6
33.4
600
34.8
34.3
結果
熱源が太陽光の場合も,白熱電球の場合も,
二酸化炭素の温室効果を確認することができた。
→実験材料も実験器の作成も実験も簡単であるため,
比較的簡単に二酸化炭素の温室効果を確かめられる。
ポイント
準備を十分に行う(温度計・ペットボトルの選択等)。
測定開始時の条件をそろえる。
熱源を2つのペットボトルに同様に当てる。
考察
二酸化炭素の温室効果をイメージしやすいように・・・
モーター
考察
ところが・・・
イメージしやすいように工夫しすぎてしまい,生徒に
実験させるためには,実験器具が入手しにくいものが
多くなってしまった。
→赤外線ランプや地球モデルは手間がかかってしまう。
しかし,実験準備に時間をかけられないのが現状。
→リサイクルをこころがけるだけで簡単に入手できるような
ペットボトルなどを実験教材として用いることは意義がある。
また,リサイクルをこころがけることで,生徒たちはより一層
環境問題について考えるようになると思われる。
考察
紫
太陽光
可視光
赤
白熱電球
赤外線ランプ(~2500)
波長(nm)
0
180 300
380
100 200
二酸化炭素
770
1000
大エネルギー小
エネルギー E=hν=hc/λ 波長が短いほど大きくなる。
2000
2000
二酸化炭素
考察
地球温暖化の現状・・・
1940年–1980年の平均値に
対する1999年から2008年の
地表面の平均気温の変化
1960年–1990年の平均値に
対する2070年から2100年の
地表面の平均気温変化量の
予測
考察
論文への評価
環境問題は一見難しそうに感じるが,この論文の内容は
高校生でも十分に理解できるものである。
実験自体はぷち発明が活かされており,また,実験の準備の
段階を十二分に説明されており,論文を読み進めることで実際に
失敗することなく実験を行えるものと考えられる。
考察
論文から学べる知見
生徒に環境問題や科学技術を身近に感じてもらうことに
意味があり,実際に測定してもらいたい。
→立派な実験器も必要であるが,生徒自身が実験を行うことで
科学的に探究する能力と態度を育てることとなる。
→データの処理やグラフの作成を行い発表させることでクラスで
議論でき,精度を良くする方法やよりよい実験方法などの発見に
繋がる。
考察
論文を読んだ結果として将来やっていきたい授業
自然環境の調査から先端科学に繋げる。
温室効果の実験→環境問題,地球環境について考察
生徒たちに「地球にやさしいエネルギー源」について問いかける。
サボニウス型風力発電器・色素増感太陽電池
→今後期待される先端技術,実際に作成してもらい身近なもので
あることを実感してもらう。
まとめ
地球環境問題を児童・生徒に身近なものに感じてもらうため,
簡単に入手できるようなペットボトルなどを実験教材として用いる。
→地球環境問題を身近に考えることができるようになり,さらに
リサイクルをこころがけることで,生徒たちはより一層環境問題に
ついて考えるようになると思われる。
演示実験に関しては,児童・生徒がイメージしやすいよう,
様々な工夫を加えたものにしてもよいと考える。