3周期T型量子細線における 吸収の温度特性 - 秋山研究室

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June.,2006 Osaka
T型量子細線を用いた1次元励起子吸収の温度依存性測定
東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻
物性研究所 秋山研究室 修士課程2年
岡田高幸
Outline
研究の背景と目的
試料構造
吸収の温度依存性(点励起の方法)
透過測定の進捗状況
まとめと展望
研究の背景と動機
•
•
•
吸収スペクトルの絶対値を調べる方法に
は、点励起による導波路放出光を解析
する方法と透過測定法の2種類がある。
T型量子細線の吸収スペクトルは、 200K
以下および室温において得られているが、
その中間温度では得られていない。
同じサンプルを測定しても、点励起の方
法と透過測定の方法とでは得られる吸収
係数値が若干異なるがその理由は分
かっていない。
同じsingle wire sampleの吸収スペクトル
left : point excitation
right : waveguide-transmission measurement
Y.Takahashi, et al APL. 86 243101(2005)
Temperature dependence of absorption
(single wire, point excitement)
研究の目的
• 3周期T型量子細線を用いて中間温度での吸収スペクトルを
得ることにより、励起子吸収形状の温度変化(ピークの絶対
値、幅、対称性)を調べたい。
• 点励起の方法と透過測定法で得られる吸収係数値が若干
異なる原因を突き止め、真の値を得るために最適な実験方
法や解析方法を考案したい。
3周期量子細線の試料構造
点励起の方法
導波路放出光ス
ペクトル
140
Intensity(arb.unit)
120
intnsity I
100
80
60
40
20
0
1.475
Imax
1.48
1.485
1.49
1.495
1.5
1.505
1.51
photon energy(eV)
1.515
1.52
1.525
1.53
photonenergy(eV)
Hakki&Paoli
吸収ス
ペクトル
140
absorption(cm^-1)
Imin
120
100
80
60
40
20
0
1.475
1.48
1.485
1.49
1.495
1.5
1.505
1.51
photon energy(eV)
1.515
1.52
1.525
1.53
点励起の方法で求めた吸収の温度依存性
250Kまでの温度において吸収ス
ペクトルを求めたが、吸収ピーク
付近ではpeak-valley比が小さい
ため、正しい絶対値を見積もるこ
とができていない。
点励起の方法では、求められる
吸収係数値に上限があるのでは
ないか?
なるべく大きな吸収係数値まで
正しく求められるためにはどのよ
うな測定条件が適当か?
計算の必要性
点励起導波路放出光の計算モデル
検出側端面
Hakki&Paoli
計算結果の考察Ⅰ
~発光線幅、励起強度、自然放出と内部損失値の関係について~
仮定した
発光スペクトル(黄)
と吸収スペクトル
(緑)
導波路放出光計算
値(青)と、それから
得られた吸収係数
値(赤)
導波路放出光計算
値(青)とそれから
得られた吸収係数
値(赤)
発光ピークの半値幅が太いほ
ど、解析結果は正しい値をとる。
→発光の起源を電子正孔プラ
ズマにする(強励起にする)べき
である。
透明領域での内部損失の値(吸収
ピークから離れた波長領域)は、発
光強度が弱いほど真の値より大き
めに見積もってしまう。
自然放出光が導波路放出光に
混ざった場合、あたかも内部損
失が増えたかのように見える。
→実験データの解析によって得
られた内部損失値は信頼でき
ない。
計算結果の考察Ⅱ
~励起位置依存性について + single wireのシミュレーション~
遠
近
3wire
point exc.(500μm)
05 Oct.19
a051019003_5
8.6.04.1 #6E
WL 747nm(ch-900,1.659meV)
grating 1200(785nm)
T=5K,dt=1sec.
duty ratio 0.01
power 約20mW
x4x10 filter
step : 3
暗電流 = 100
160
140
PLpeak
wire
arm
stem+
stem
energy
1.580meV
1.608meV
1.620meV
1.634meV
近
120
近
近
absorption(cm^-1)
100
吸収ピーク値70以下で
のみ解析可能
α
500μm
80
60
40
20
0
1.55
1.56
1.57
1.58
1.59
1.6
1.61
photon energy(eV)
160
140
3wire
point exc.(0μm)
05 Oct.19
a051019003_1
8.6.04.1 #6E
WL 747nm(ch-900,1.659meV)
grating 1200(785nm)
T=5K,dt=1sec.
duty ratio 0.01
power 約20mW
x4x10 filter
step : 3
暗電流 = 100
遠
120
PLpeak
wire
arm
stem+
stem
energy
1.580meV
1.608meV
1.620meV
1.634meV
absorption(cm^-1)
100
α
0μm
80
60
40
遠
真中
吸収ピーク値50以下で
のみ解析可能
20
0
1.55
1.56
1.57
1.58
1.59
1.6
1.61
photon energy(eV)
•吸収ピーク値が大きい(~70)とき、検出側付近で励起しないと(計算機の限界、測定系の分解能、実験
ノイズ、自然放出光とは関係なく)フリンジ自体が存在しない。その理由は、(peak-valley比が存在しない
からではなく)吸収ピークか発光ピーク線幅が細いからであろう。
•さらに、たとえ吸収ピーク値が小さい領域であったとしても検出側付近で励起しない限り自然放出光が
混ざると真の値より大きく見積もられる。
→吸収の絶対値を調べるには、(実験手法として高度ではあるが)透過測定法を用いる方がよいだろう。
透過測定法のスキーム
I(λ)
I0(λ)
Step1 : Hakki&Paoliの方法でαを求める
Step2 : 透明領域において(1)式から結合効率ηを見積もる
Step3 : 求めたηが波長に依存しないと仮定して、吸収波長領域でのα値を見積もる
Takahashiの透過測定実験の追試
現在得られている
透過スペクトルと、
それを
Hakki&Paoliの方
法でのみ解析した
結果
Takahashiの透過
スペクトルと、
それから導いた吸
収スペクトル
•
•
•
3周期細線を調べる前に、single wireの透過測定の追試をしている。
サンプルのcavityによるFabry Perot fringeにランダムなノイズが混ざっているために解析で
きない。その理由を調べている段階である。
おおまかな解析により、内部損失値が4(Takahashiも4)、結合効率が0.5(Takahashiは0.24)、
励起子吸収ピーク値が50(Takahashiは80) と見積もることができた。これはTakahashiの実
験結果と一致していない。Stem偏光成分が混ざっていたからだと推測している。
まとめと展望
•
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•
•
3周期細線試料を用いることで、200K-室温領域での励起子吸収形状を点励
起の方法を用いて調べたが、吸収ピーク付近でフリンジを観測できなかった。
上の原因を調べるために点励起導波路放出光スペクトルとそのHakki&Paoli
解析結果をモデルから計算した。
透明領域における内部損失値の実験データ解析値は、その波長での発光の
強さと自然放出光の量により真の値からずれることが分かった。
より正しく吸収係数を見積もるには、強励起すること、励起位置を検出側に近
づけることが必要だと分かったが、それでも強い吸収ピークの付近ではフリン
ジが存在し得ないことが分かった。(実際Single wireの吸収のシミュレーション
を行った結果、点励起の方法では正しい吸収係数値を求められないことが分
かった。) → 透過測定を行うべきだと考えた。
現在、透過測定の実験を行っている。
点励起の方法の実験手法としての限界や最適な測定条件をより系統的に調べ、それを
実験にフィードバックしたい。
single wireの透過測定の追試が終わり次第、3wireの測定をしたい。
透過測定についても点励起と同様のモデルを作って計算したい。2つのモデル計算を同
じ発光や吸収スペクトルに適用することで、両者の方法の解析結果に対する影響を調べ
たい。