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第8章:惑星スケールの波動
中・高緯度帯の大規模運動についての方程式を記述しておく(対流圏,成層圏は問わない)。その式を応用して、簡単な
例、成層圏にとって重要な鉛直伝播の話し、全球Rossby 自由振動、TropopauseにTrapされた自由振動らしきものの理解
の方法、などを述べる。
8—1:準地衡風方程式について
いま中・高緯度を見るので sin
(1)
-Rossby modeのみを取り出すこと-

をある緯度のまわりに展開(赤道
beta 平面近似と同じやり方)。
2  sin   2  sin 
0
  sin  
 2 
   2  sin 
 

0

2  cos 
a
0
a
0
2  sin   f   y
これを普通以下のように表す (2)
第2項の大きさは1000kmのスケールでは 10(-11)x10(6)m=10(-5)で小さい?
惑星スケールの擾乱について、中・高緯度においては地衡風近似が観測的に成り立つ
から第0近似の式として
(3)
 fv
g
 
p

(
)

( z)
 x
0
(4)
fu
g
 
p

(
)

( z)
 y
0
これは定常の式である—> 時間発展的にはどうするか? ということで、次のorderまで進む。
中・高緯度の大規模な運動について鉛直移流の項については w が小さいとしてその項を落とす。すると第1次近似として
次の式になる。ここで時間微分、移流項およびβ - 項の u, v については地衡風とし、また βy は f に比べて小さいとす
る(例えば f は10ー4/ s 程度で y = 5000km とするとβy は 8 x 10ー5 程度で本当は小さくない、y のスケールによる)
(5)
 ug
t
(6)
 vg
t
 ug
 ug
 ug
x
 vg
x
 vg
 vg
 ug
y
 vg
 y
 fv 1   yv g  
p1

(
)
 x  0 (z)
 fu 1   yu g  
p1

(
)
 y  0 (z)
1の添え字 は第1次近似(地衡風からのずれ、この項があるから地衡風が少しずつ運動)の量。次に運動が水平的なの
でそれを表すものとして渦度の鉛直成分の方程式を導く。渦度の鉛直成分(地衡風成分のみ)は
(7)


 v
g
 x

 u
g
 y
(6)のx—微分から(5)のy—部分を引く。地衡風の水平発散はゼロ((3), (4) から)であることを考慮すれば、
(8)

t
 ug

x
 vg

 y
ここで渦度に地衡風近似を使えば( (3) , (4) )
(9)
 
 f(
 u1
x

 v1
y
)   vg  0
1 2 p
 ( )
f
0
第0近似では水平速度は地衡風なので非発散であった。1次のオーダーの u1 , v1 に対応した連続の式は
(10)



(  0 u 1) 
(  0 v 1) 
( w )  0
x
y
z 0 0
である。ここでw にゼロの添え字をつけた。それを考慮すると(8)の準(完全には地衡風の定常状態ではなく時間変化する
のでこの様な名前がついたのだろう)地衡風の渦度方程式は
(11)

 t
 ug

 x
 vg

 y
 f(
 w0
 z
ここで密度は H のスケール・ハイトで変化していると仮定してある。

w0
H
)   vg  0
次に準地衡風方程式での熱力学の方程式は以下のように書かれる。
2
  p
  p
  p
( (  ))  u g
(  )  vg
(  )  w 0 N (z)  0
t z 0
xz 0
yz 0
(12)
ここで温位の水平移流の速度の所に地衡風を用いた。(12)式が準地衡風近似の熱力学の方程式である。(11)と(12)を一
つにまとめると準地衡風近似におけるPotential Vorticity 方程式が得られる。このときすでに使った連続の式を用いると
以下の式が得られる。
(13)



1 2 p
f  0  p
(
 ug
 vg
)(    
( 2
(  ) ))   v g  0
t
x
y f
0
0  z N  z
0
(14)
2
2 p
p



f  0 
 p
(
 ug
 vg
)(   
( 2
(  ) ))  
0
 t
 x
 y
 x 0
0
0  z N  z
0
この様に、準地衡風近似の方程式は1つの変数のみの時間発展の式で表される。また(3)と(4)から流線関数を導入する。
(15)


v
g

 x
, u
g
 
 y
β はコリオリ項の南北微分からでたことを思い出すと(14)はさら
に
2
 0 
2
(16)
f 
q     f   y 
(
)
2
0  z
N  z
とすると(準地衡風近似でのポテンシャル・渦度)
(17)
(



 ug
 vg
)q  0
 t
 x
 y
流体粒子が右から左に保存的に変化すれば、上
部が上昇で温度の下降T<0 、下部が下降流で温
度上昇T>0:q 3項の温度勾配はdT/dz<0で減
少ー>その分、渦度が増えるであろう。
一つの(Rossby)モードの時間発展の式になる
この方程式は中・高緯度の対流圏で重要な役割をもっている傾圧不安定、いろいろな惑星波の問題に適用される。10
00kmくらいより大きいスケ−ルの運動にたいしての式である.
8−2:東西/南北の2次元渦度方程式の利用
ここでは、東西南北2次元面における渦度方程式の一つの応用例を述べておく。方程式は線形で鉛直成
分を無視すると、
ここで、定常状態を考えることで、渦度の時間変化項は落ちている。また前節の式から異なるのは、水平の拡散と線形的
な散逸が入っている。右辺 F は渦度の強制(非線形も含む)を示している。
今、右図のような渦度の強制Fを考える。青は正
の渦度を、オレンジは負の渦度の強制に対応して
いる。ー>
基本場としての東西風
このような渦度の強制を与えたとき、どんな圧力
場の偏差になるか、上の線形の方程式を解いて
みる。ー>計算結果としての圧力の偏差が下に
示されている。オレンジ色の部分は高圧の偏差
を、青は低圧偏差(渦度的には正の偏差)を示し
ている。
<ー 300hPaにおける、
高度場の偏差をしめ
す。この偏差は1979
から2003年の線形的
なトレンドを示しており、
シベリアや中国の偏
差場が計算結果に対
応
8−3:惑星波(Planetary wave)の鉛直伝播
第3章の図を思い出して欲しい。冬の成層圏では東西方向に一様ではない渦がみられ、
一方夏には東西方向にほとんど一様な風のみしかないことをみた。夏半球と冬半球の成
層圏平均東西風の緯度−高度断面図では、冬と夏では東西風の向きが異なる。すなわち
夏では東風、冬では西風である。この冬と夏の、東西方向に一様でない大規模擾乱の振
舞いの違いについては、CharneyとDrazinによってはじめて理論的に示された(JGR, 1961)。
この問題を考察してみよう。
話しはやはり線形の運動方程式である。基本流として”一定”の東西風のみが吹いていると仮定する。ここらは重力波の
話しと同じ。もし東西風が高さの関数であれば、解析的には特別の場合を除き解けない(高さの1次関数のときは合流型
の超幾何関数で表される)。一般的には東西風は高さ及び南北方向にも変化している。そのときには球面の効果をきちん
と考慮した準地衡風の方程式が必要であろう。この問題についてはMatusno(1970) を参照 −> あとで式および図を追
加する。
ということで、理解しやすいのでまず最も簡単な話しをする。一定の東西風が吹いているときの線形の準地衡風の方程式
は以下の様。またよくやるように簡単のため ここではN2は一定と仮定する。
(18)
2


f
(
 u0
) (   
 t
 x
2
0
 0 


( 2
))  
 0
 z N  z
 x
これまでたびたびおこなってきたように東西、南北に波の仮定をおこない、東西に位相速度 c で動くとし、また鉛直方向に
は密度の効果を考慮して以下の様に流線関数を仮定する。
(19)
 ( x , y , z, t )   ( z) exp ( i( kx  ly  kct )  z / 2 H)
この様に仮定すると鉛直の構造を決める方程式は以下の様になる。
(20)
2
d 
dz
2
 m 
2
 0
ここで
(21)
m
2

N
2
f
2
2
 
 2
 2
12 
2
N
2
 ( k  l )

m 
 (k
 l ) 2
u 0  c 2  u  c
 4 H 
f 

0
1

4H
2
である。m2 が正ならば鉛直に伝播が可能であることは重力波の場合と全く同じ話。m2 が
負ならば鉛直方向に指数関数の形になり伝播は不可能になる。

(21)をみてきづくことは k , l が大きいと負になることである。すなわち水平のスケールが
小さい(あまり小さくなると準−地衡風の近似が使えなくなるが、1000kmくらいの水平ス
ケールまではいいようである)と鉛直方向に伝播はしない。図には対流圏、中・高緯度の大
規模擾乱がのっている。一方前ページには成層圏の擾乱がのっている。2つの図を比較す
ると、水平スケールの違いに気がつく。対流圏の擾乱の方が明らかにスケールが小さい。
またこの話しは数千kmの擾乱が自励的に対流圏に生成することと矛盾しない。エネル
ギーが逃げたら不安定になりにくいであろうから。
定常惑星波の原因(または生成)の1つとしてすぐに考えられるのは山岳による強制であ
る。そのとき位相速度はゼロである(線型で時間∞のとき、また海陸の熱の違いの時も同
様)。このとき(21)は
(22)
m
2

N
f
2
2
 


 u
 (k
2
0
2 
 l )



惑星波
1
4H
重力波
2
この式から東風のときm2 は負となり鉛直に伝播しない。これが夏の成層圏において惑星波がない理由である。また上式
から西風があまり強くても伝わらない。この臨界の速度をRossby critical velocityと呼ぶ。式で表すと
(23)

U
c

k
2
 l
2

f
N
2
2
1
4H
2
ここで β = 1.6 x 10 -11 s-1 m-1 , Lx = 2π / k = 28000 km , Ly = 2 π / l =10000km , f = 10-4 s-1, N =
2x10-2 , H = 7 km と選ぶとUc = 28 ms-1 , となる。この数値はそれほど大きくない。これは南北のスケールを小さく選ん
だためである。例えば南北巾10000kmの南北に伝播しないモード(standing mode)ならばUcはもっと大きい。
これまでの議論は β-平面の一定の風の場合の議論である。定量的なきちんとした議論は球面上の準地衡風近似の方
程式が使われる(primitive方程式でも)。これについてはMatuno(1970)以来の多くの研究がある。
球面上で一様な東西風(南北と鉛直の関数とする)があるときの線形の準地衡風方程式は:
(

t


u
a cos   
1 q
) q '
v'  0
a 
2
2 2
1   ' 
f
cos 
f a  'z 
v' 
 ' q' 2 

( 2  ' )  
( 2 )z 
2
fa cos   
fa  cos  cos  f

N


1
2
 ( u cos  )  
a f
 2  cos   
  ( 2 uz )z

a
cos


  N
q
 ' : geopotenti al disturbanc e
定常な(c=0)惑星波動として(上式で時間微分をおとす)
' e
z /2H
Re  ( , z ) e
is 
のような形を仮定する(東西方向には波形、鉛直南北
の構造を決めたいので)。
N2が一定のときは以下の式になる、
f
2
a cos 
2
n
2
s

q
au
(
cos 
f

2
 ) 
s
2
a cos 
2
2

f
2
N
2
 zz  n
2
f
2
4N H
2
2
s
  0
計算に使われた東西風緯度-高度図
有効なβ効果
q

屈折率
n
2
0

q
au

2
f
2
4N H
2
n
2
s

s
2
a cos 
2
2
計算に使われた波に関しての下部境界(500mb)条件、下端
で対流圏の擾乱を強制する。
結果:波数1と2の鉛直、および南北伝播性、1の方が上
の方まで伝播している。
対応:
異なる
表現
左の結果に対応した波数1の惑星波動
のエネルギーフラックス、上方および赤
道方向に波が伝わっている。
ここで観測で得られた波数1と波数2の惑星波の振幅と位相(およびそのときの基本風)の緯度・高度断面図を示しておこ
う。計算結果のように鉛直および赤道の方に伝播している様子が見える。
図:定常planetary wave の構造。1966年の1月で左が波数1、右は波数2である。Hirota and Sato(1969)より。太い実
線が振幅で破線は位相を表す。細い実線は平均東西風で、亜熱帯jetと極夜jetの中(冬の成層圏)の惑星波動の伝播
の様子を示している。
平均東西風、左が南半球で右が北半球、上図が1月で下
図が7月、南半球の西風は強い。
波数1、上が波の振幅、下が波の位相。左7月(南半
球)、右が1月(北半球)、南半球の方が波の振幅は小
さい
振幅
西風
位相
1月
南半球
北半球
西風
7月
30mb以上は Jan. 1973-Dec. 1974, Jul. 1975-Jun.
1978 のNimbus 5, 6 衛星データ
波数2について
水平分布の計算例(Matsuno,1970, J. Atmos. Sci.)、
30kmでの高度分布(k=1-3まで足してある)、ア
リューシャン高気圧が見える。下は観測の圧力場。
違うときの(1979年1月
29日)の観測による高
度場:
上図に対応したErtelの
Potential Vorticityの図
(850K等温位面)
~
P   /
~
  f 
( u cos  ) 
a cos 

v
a cos 
  
1 p
g 
8−4:球面上の自由振動について(重力波とRossby波の2つのモードあり)
前節は惑星波動の強制問題(対流圏で強制した波が鉛直に伝播する問題)をあつかった。ここでは自由振動の話です。
地球全体を感じる自由振動ですから、地球の表面で鉛直流ゼロが自然な選択でしょうか?
 等価深さ(鉛直構造)が決まる
だから、もともとの高度座標での境界条件は
w* 
w* 
のように書かれるであろうか?
d
Geopotentialで書き換えると
時間の全微分
d
dt
dt
0
at
d
dt
z*
z* 
gz * 

0
0
d
 0
dt
は log-p 座標で線形的に(平均の風がないとして)
d
dt
であろうから、


t
 w


 w
  0
t
z
d 
がlog-pでの境界条件となる。等温静止大気では
dz

RT
 w
t
H
なので、上の式は
と書かれる。
一方、熱力学の式は log-p 座標では

t
だったので、2つの式から


z
を消すと、
w
(

z

RT
H
 0
2
) N w  0


(
)

RT

t z

 0
2
t
N
H
である。
等温大気のとき
N
2

gR
であるので、上の式を変形して、
cp H

t


t
となる。上式の時間微分を落とすと、

)
gR
c

t

z
(

t
p
/
 0
g
H

z
(
RT
RT
) c
1
p
H

R
0

についての境界条件としては、
c
 
p

 0
z
H
R

R

  0
z
cp H
最終的な形としては、
が Geopotential に関する自由振動にたいする下部境界条件である。
この境界条件から自由振動の鉛直方向の解は変数分離形
   (  , , t )  ( z )
として、上の境界条件の式に対応するものとして大気の中も
 ( z )  exp(
R
c pH
z)
のような形をもつ。これはあきらかに外部波である(鉛直には伝播しない)。鉛直方向の方程式は4章の赤道波の議論と
同様に
2
2
 
z
だから、計算すると、
(
となる、
ここでまた、
N
2

gR
を用いて、
cp H
2
1 

z
H
R
2
cp H
) 
R
cp H
1
 
R
1
H

gh
H cp H

N
 
 
N
2
gh
1
h
書き直すと、
h 
cp
cv
H  H  
RT
g
gh   RT
これが自由振動の等価深さである。浅水波としたときの速度
は音速に等しい。320m/sで等価深さとし
ての h はおおよそ10kmとなる(スケールハイト H はおおよそ7kmである)。
その時の変数分離した形で地球の回転を考慮した球面上の式を書くと,
u
t
v
t

t
 2  sin  v  
 2  sin  u  
 gh (
1
u
a cos   

a cos  

a

1

a cos   
(cos  v))  0
h は自由振動の時の等価深さである.
この式をいつものように(球だから経度をつかう)
exp( is   2   t )
のように分離すると,南北の構造を決めるLaplaceの潮汐方程式がでてくる。
これがもっとも基本的な長波に関する球面上の式である.
  sin として,

2
2
2
2
  (1   2 )  
1
 s (    )
s

( 2 a)
 2

 
 0
2
2
2
2
2
2



 
(



)





(



)
1


gh




水平構造の形を求めたいとき、この式を解くことになる。
s=1(東西波数1)のときの、等
価深さ h(横軸) と振動数との
関係の図。
図の(a), (b)はh>0のときで、
(c),(d)はh<0を示す。左図は東
に伝わる波で右図は西に伝わ
る波である。東に伝わる波は
Kelvin波とか慣性重力波と書
いてある。西に伝わる波は惑
星波とかRossby-重力波とか
慣性重力波と書いてある。
図(b)の○印のドット入りはあ
との例としてのっている自由
振動の5日waveに対応してい
る(惑星波のところ)。h=10km
に対応したところである。
南北に高次のRossby波に対
応しては、波の周期がゆっくり
になっている。Rossby波の分
散式で

c  
k
2
 l
2
南北波数が大きくなれば、
c は小さくなり、周期は
ゆっくりなるであろう。
振動数
等価深さ
8−5:実際の大気中でのRossby波の自由振動:
前節でみたように、自由振動は外部波の1つで、つるつる
の境界を満足する振動である.境界条件をきちんと考慮
すると、
 ( z )  exp(
R
c pH
z)
の形であるので、この部分は鉛直方向
には指数関数的に大きくなる。
Hirooka(1992):s=1, 周期=5日の成層圏 1mb での自由
Rossby波、西に伝播している。
Maddenにより解析された周期5日自由Rossby波、s=1で
赤道対称な基本モード(海面気圧高度場)、右は鉛直構
造。破線は理論的な鉛直構造、それよりゆっくり振幅が増
大している。
この5日waveが南極大陸で作られているという話しがあ
る。Cheong and Kimura(1995):500mbでは軸が南北に傾
いている(自由振動の解では南北に軸は傾かない)。
Higher モードについて
平均東西風のために(括弧内の
数値)、等温静止大気の計算とく
らべてすこしずれる。
データ解析で求められた、10day wave(自由振動)
の構造
東西波数1で南北に最初の基本的な3つのモー
ドの理論的な構造分布図、10日波=図の(1,2)
モードは反対称モードの最も簡単な南北構造を
もつ。
振幅の時間的な変化の様子
観測で求められた、16day wave(自由振動)、これは赤道
に関して対称モードである。Hirooka and Hirota, 1985, J.
Atmos. Sci. 冬半球の方にシグナルが見える。
線形計算
に用いら
れた基本
風
計算で求められた(Salby, 1981, J. Atmos. Sci.)16日波
の緯度-高度図、冬の極に大きな振幅をもっている。構
造はかなりいびつになっている。下でforcingを与えて応
答をみている。
8−6:準地衝風方程式での自由振動(?)の別例
前節では全球での惑星波動の自由振動の例とし
て自由Rossby波を示した。
ここではもうすこし水平スケールが小さくて、圏界
面にtrapされている自由振動らしき例をしめそう。
観測結果:Sato, Eito and Hirota, 1993: Mediumscale travelling waves in the extra-tropical upper
troposphere. J. Meteor. Soc. Japan, 71, 427436.ー>
構造から,Tropopauseにtrapされた自由振動モ−ド
らしい(成層が異なる2つの層の間にTrapか?).
水平スケ−ルが約2000km,位相速度が東に22m/
sの値をもち,Tropopauseで最大の南北風をもち、
その上下は振幅が小さくなるような構造をもってい
る(圏界面にtrapされている感じ).温度擾乱は静力
学平衡からTropopauseを挟んで、上下に反対の構
造をもっている。Height-field も v に対応して、圏界
面あたりで振幅は大きい。
平均東西風と圏界面が図の右側にのっている。
得られた波のパラメータ
これらの性質を簡単な式で定性的に示す.
線形の準地衝風方程式は
(
であった.今ブシネスクで
u 0   z  const
をもつとする.その時

t
 u0

x
2
)(   
  0 

( 2
))  
0
 0 z N z
x
f
2

−平面ではなくてf−平面とする(
(
となる.対流圏の安定性をしめす
2
10
N 2 −4/s2とする.

t
 u0

x
2
)(    f

2

=0).また、風はlinear-shearとして,
(
1 
z N
2
z
))  0
2
−4/s2とする,また成層圏は
N1
として、代表値を1x10
2
N
を
固有モ−ドとして,
2
(   f
2

(
1 
z N
2
z
2
 A exp(   2 z )
 1  B exp(   1 z )
の鉛直構造になる。ここで
 2  kN 2 / f
1  kN 1 / f
としてその値を4x
))  0
を満たす解を求める.z=0を圏界面として,簡単のため ∞ に深い対流圏を仮定する.
圏,2を成層圏を示すとすれば,上の式から

の形
2
N
の添え字に対応して1を対流
で,
k は東西波数として,いま南北の構造は考えないとする.
ここでの問題は、どうして
では答えられない.
k
が決まるかであるが,今の問題設定
これから k をあたえて固有値 c を求めてみる.
まず圏界面での圧力 p の連続の式から,A=B がもとまる.
これから,z=0で圧力擾乱は最大の振幅をもつ.
−> vが最大でもある(図参照).

温度偏差は  z に比例するので,tropopauseで逆位相にある.
観測されている構造はにている.
次に圏界面でのwの連続から,熱力学の式を用いて、z=0で
2
N1
(u 0 (0)  c )  1   
(u 0 (0 )  c)(   2 )   
2 
N2
これから波の位相速度 c は,
(u 0 ( 0 )  1   ) 
c 
1 
となる。
  3  10
N1
2
N22
N1
(u 0 (0 )  2   )
2
N22
2
3
const=30m/s,
とすると,c=25m/sとなり,それほど観
測結果と違わない.圏界面で 風速30m/s にしているので,伝播速度
はそれに比べ少し遅くなる.
中間規模擾乱の強さ(影)の全球分布(季
節ごと)、Yamamori and Sato, 2002,
Mon.Wea.Rev.
補足:localな自由振動の生成について
Rossby波のActivity保存測(Plumb, 1986による):
下のover bar は時間平均を意味する、準地衡風の
式の擾乱の2乗の式を変形して作ってある。
A
t
  F  S

A
2
q f 
MR
1 p cos 
v
1
a cos   
2
 Hq
ps

1

q'
a cos   
cos  u 

u' v '

p cos 
1
2


(q x , q y , 0)  v '  

ps
 Hq
0


1
2
( u'  v ' 
2
2
1
N
2
(
R
2
H
M Rx  q x u' v '  q y (v '   )
2
2
) T' )
f R 
p

p H z N
z
  u'
(
2
2
1 R
N
 u'v '
0
(T  T0 ))
2
H

u' T '

v ' T ' 
2

N H

0


1 R
F  uA  M R
M Ry  q x (  u' )  q y u' v '
2
自由振動の励起に上向きの鉛直flux(熱フラッ
クス)が対応しているようである
8−7:中緯度でのTropopauseの高さについて 1章で残していた話 準地衡風PVを使っての議論
前にpotential vorticityとして以下のような式を書いた。
  0 
q     f   y  
( 2
)
z
0  z N
f
2
2
基本場のPVとしては(また圧力座標で、しかも基本の風としては鉛直成分しかないとすると)、
Q  f  y  f
である。
(
1 
p   p
)
p
  
ここで(6章)、

2

基本のPVの南北勾配が0になるように、対流圏中緯度の擾乱が運動をすると仮定(線形不安定の必要条件であるQが符
号を変えることと関係している)。ー>不安定擾乱ができ、それが平均場をかき混ぜ、結果としては平衡として決まる?

y
または
Q    f
  f

2
2

1  
2
(
p  py
(
1 u
p  p
)  0
) 0
地表からtropopauseまでp(圧力)で積分すると、上の式から

f
2
( pT

p0 )
( pT

p0 )

( pT

p0 )


u
p
u f 2 1
p 

2
u
f


p 
 p
基本場についての温度風の式
f
u
p
から
( pT  p0 ) 
( pT  p0 ) 
ln 
  ln  
2
 
 
 y p
f  
  p y
f  

y
(
RT
p
)  

y
( )
( )
(
1
  p y 
)  
f


2
   p y
()
cv
ln p
を思い出し、いまp-座標だから、以下のようになる。
cp
( pT  p0 )  
または、

p 0  pT 

f 1
  p y
f


  p  y
( )
( )
<ー 圏界面の高度での pT が温位の南北微分に依存
ー>次ページの図参照
もうすこし変形しておく(Held, 1982):
高度zはz=Hln(p0/p)で表されるであろうから、上の式をつかって

f 1 

f 1 
p

(

)
( )
 T

  p y
  p y
  H ln( 1 
D  H ln( p 0 / p T )  H ln 
)
p
p


T
T




さらに変形して、圏界面までの大気の厚さDは
f
D  H ln( 1 
1 
 p y
p T
( )
f
)  H ln( 1 


 pT y
 pT
(T)
)
ここで、
S
p

RT
cp p

T
p
を思い出せば、
f
D 
Sp  
T

H ln( 1 
 p  T
だからDは
f
D  H ln( 1 
 
p T

1 z
p 
z
p T
T z
g 

p
(T)
)
Sp

1
(
g
g cp
f 1
f
 )

(T )
y
y
)  H ln( 1 
)
1
g
g
(
 )
H (
 )
g c p
cp
p 0  pT 
(T )


y
T

( )
   y を用いて中緯度Tropopauseの
前の式
高度を求めたものが図の中緯度領域の部分(点線)である。
Held, 1982, J. Atmos. Sci.
p
Q
y
GCMでの 。中緯度圏界面あたりは大きな値をもっている。上
のはなしはうまくないようである? Thuburn and Craig, 1997, J.
Atmos. Sci. 下層は小さい値?