「教師のための環境学ガイド」 横須賀総合高校

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Transcript 「教師のための環境学ガイド」 横須賀総合高校

教師のための環境学ガイド
環境教育に使える話題・使うべき話題
国際連合大学
安井 至
http://www.yasuienv.net/
電子ファイル(フルバージョン)をアップしてあります
1
国連大学の紹介








国連機関で、アジアに唯一本部を持つ。
1975年に設立。
学生、教授は居ない。
世界に研究・研修センター/プログラムを16ヶ所
途上国を対象に、最適な能力開発プログラムを実施
国連機関内でのシンクタンク機能
国連機関で、唯一、大学院教育も取り扱う
国連活動のための新しいアイディア


真に重要な問題の発掘、対処法など
個人的責任は、「環境と持続可能な開発プログラム」
のマネジメント
2
環境問題の認識
Environmental Issues
Better or Worsen? Compare now and 20-30 years ago
・身の回りの環境は20~30年前に比べて
よくなっているか 悪くなっているか
この問題の答えのみ、YesもNoもあり得るが、Yesで集計
以下の質問の正解はすべてYes
・大気汚染は Air Pollution
同上の質問
・水質汚濁は Water Pollution 同上の質問
・ダイオキシン汚染は Dioxin 同上の質問
健康問題の認識
Health Issues
・乳児死亡率は Infant Mortality 同上の質問
Stillbirth
・死産率は
同上の質問
・平均寿命は Life Expectancy 同上の質問
3
性別による違い(環境問題の認識)
Recognition of Environmental Issues
1.000
0.800
0.73
正答率
0.67
Male
0.600
0.400
0.200
0.64
0.48
0.50
0.31
0.39
Female
男性
女性
0.21
0.000
Q1
環境は
良くなっている
Q3
大気汚染は
よくなっている
Q4
水環境は
よくなっている
Q5
ダイオキシン汚染は
よくなっている
χ2検定(有意水準1%)でいずれの問も差あり
4
性別による違い(健康問題の認識)
Recognition of Health Issues, Almost Same.
1.000
0.82
0.800
正答率
0.73
0.600
0.400
0.52
0.52
Female
Male
0.50
0.47
0.200
男性
女性
0.000
Q6
乳児死亡率
Q7
死産率
Q8
平均寿命
χ2検定(有意水準1%)でQ6、Q7は差なし、Q8は差あり
5
年令による違い(環境問題)
Recognition on Environment Issues Dependence on Age
1
年令が高くなるにつれ正しい認識率が高くなる
0.8
正答率
0.6
Q1
環境は
良くなっている
Q3
大気汚染は
よくなっている
Q4
水環境は
よくなっている
Q5
ダイオキシン汚染は
よくなっている
0.4
0.2
0
15歳以下
16-25歳
26-35歳
36-45歳
46-55歳
56-65歳
66歳以上
χ2検定(有意水準1%)でいずれの問も差あり
6
年令による違い(健康問題)
Recognition on Health Issues Dependence on Age
1
年令が高くなるにつれ正しい認識率が高くなる
Life Exp.
0.8
Infant M.
0.6
正答率
Still Birth
0.4
Q6
乳児死亡率
Q7
死産率
Q8
平均寿命
0.2
0
15歳以下
16-25歳
26-35歳
36-45歳
46-55歳
56-65歳
66歳以上
χ2検定(有意水準1%)でいずれの問も差あり
7
職業による違い(環境問題)
Recognition
on Environment Issues Dependence on Profession
1
0.8
Q1
環境は
良くなっている
Q3
大気汚染は
よくなっている
Q4
水環境は
よくなっている
Q5
ダイオキシン汚染は
よくなっている
正答率
0.6
0.4
0.2
0
小
学
生
中
学
生
高
校
生
大
学
生
会
社
員
会
社
員
管
理
職
会
社
役
員
・
経
営
者
自
営
業
・
自
由
業
家
事
専
業
小
中
高
教
員
大
学
教
員
環
境
研
究
者
そ
の
他
全
平
均
Teachers!
χ2検定(有意水準1%)でいずれの問も差あり
8
職業による違い(健康問題)
Recognition
on Health Issues Dependence on Profession
1
0.8
正答率
0.6
0.4
Q6
乳児死亡率
Q7
死産率
Q8
平均寿命
0.2
0
小
学
生
中
学
生
高
校
生
大
学
生
会
社
員
会
社
員
管
理
職
会
社
役
員
・
経
営
者
自
営
業
・
自
由
業
家
事
専
業
小
中
高
教
員
大
学
教
員
環
境
研
究
者
そ
の
他
全
平
均
University Professors!!
χ2検定(有意水準1%)でいずれの問も差あり
9
「環境にやさしい」

毒性物質を使わない/出さない
廃棄物が少ない/出さない
地球環境を破壊しない/温暖化防止
地下資源を使いすぎない
生物資源も使いすぎない/生態系を守る

しかも、価値の高い経済活動




10
日本の環境問題の推移






1960年代:経済成長と公害の時代
1970年代:急速な環境規制の時代
1980年代:バブル経済と物量の時代
1990年代:地球環境と廃棄物の時代
2000年代:持続可能な社会の時代
2010年代:新しい価値の創生の時代
11
環境問題のトレンド
ローカルリスク(日本)
公害
ダイオキシン
環境ホルモン
BSE
.......
|
1970
|
1980
|
1990
グローバルリスク
温暖化
人口爆発
資源不足
食糧不足
鳥インフル
.......
|
2000
|
2010
|
2020
|
2030
12
実例として取り上げるべき問題(1)






(1)水俣型公害問題
(2)交通公害型問題
(3)POPs型問題
(4)日の出町型最終処分地問題
(5)豊島型不法投棄問題
(6)ダイオキシン問題・環境ホルモン問題
13
実例として取り上げるべき問題(2)








(7)リサイクル問題
(8)温暖化問題
(9)持続可能先進国型問題
(10)持続可能途上国型問題
(11)RoHS型問題
(12)CSR・EPR問題
(13)BSE型問題
(14)自然保護などの問題
14
前半
ローカルリスク
15
ダイオキシンとPOPS
日本における環境問題の
推移。ただし、ごみの最終
処分問題を除く。
大気汚染
環境ホルモン
オゾン層破壊
水質&海洋汚染
土壌&底質汚染
資源・エネルギーの消費
地球温暖化
1970
2000
2050
16
環境省発表
水質基準未達成地点の割合
真実:データの示すところによれ
ば、昭和46年当時に比較して、
格段に改善されていて、水道水
の品質についても同様。
17
「リスク低減」の理解
発
展
途
上
国
リ
ス
ク
危険残留
適
正
な
対
応
・
国
際
標
準
先
進
国
の
過
剰
な
対
策
別のリスク
が増大する
実質安全
対策の強化
絶対安全
18
対策を強化すれば良いとは限らない。

想定外のリスクが発生する
リスクのトレードオフと言う

想定外のリスクとして良くあるものが



エネルギーの過剰消費・二酸化炭素排出
コストの不適正負担による悪影響
19
リスクトレードフの例








ダイオキシンのリスクをさらに低減したい
現在、国の基準は1-4pg/kg/日以下
平均的には、1.33pg/kg/日
主たる原因は近海魚。
東京湾、瀬戸内海、大阪湾などを浚渫する?
エネルギー消費・二酸化炭素排出量莫大
費用も莫大。
教育レベルの低下、警察力低下、などが予測される。
20
母乳中のダイオキシンの濃度
21
益
永
先
生
の
研
究
三井化学が大反発、しかし部分的に認めた
22
PCB処理施設着工報道




04.24.2003
福岡版:毒性、発がん性が指摘され、死者
約300人を出したカネミ油症事件の表面
化(68年)を契機に、72年から製造、使用
が禁止された。
PCB=猛烈な急性毒性 という誤解
実際には、急性死者は出ていない。
急性毒性はかなり低い。

LD50=800~4000mg/kg
23
ユシチェンコ大統領候補の暗殺未遂?
平均的なダイオキシン摂取量だと、4万年分
それでも、メディアは「猛毒」という接頭語を使った。
さらに、「サリンの数倍」が復活した。
24
環境ホルモン問題
安全・安心に関わる環境問題?
25
「奪われし未来」から始まった

“Our Stolen Future”
by Theo Colborn, Dianne
Dumanoski, John Peterson Myers,は1996年初

に出版された。科学探偵物語という副題が
ついた環境警告本であるが、レイチェル・
カーソン著「沈黙の春」と同様、米国社会に
大きな影響を与えた。(1997年11月17日の個人
Web)
すなわち、環境ホルモンは「フィクション」と
して始まった。
26
フィクションから社会問題へ




フィクションでは、何も起きないのが日本社
会である。
そこで“SPEED’98”の果たした役割は大き
い。
なぜなら、国が「お墨付きの可能性」を表
明した。
SPEED’98以来、このリストにある物質がメ
ディアによって環境ホルモンと呼ばれるよ
うになった。
27
環境ホルモンとしてかなり“クロ”



PCB、ダイオキシン ただし、発生時
トリブチルスズ
ただし、貝類だけ
アルキルフェノール ただし、魚類だけ



ただし、本物の女性ホルモン代謝物の影響よ
り遥かに低い
フタル酸類 ただし、魚類だけ(効果弱)
ビスフェノールA
同上
28
環境ホルモンとしてほぼ“シロ”






ヒトに対して;
フタル酸エステルのすべて
アルキルフェノールのすべて
ヒト以外も;
スチレンニ量体、三量体
ブチルベンゼン
29
6月(2002)の環境省の報道資料




環境ホルモンの恐れのある物質から、優
先順位の高い順に調査・研究を行った。
その結果、フタル酸エステルの大部分は、
通常の毒性物質として取り扱うことでよい。
継続して調査中のものも若干ある。
オクチルフェノールが、2番目の環境ホル
モンとして認定された。
30







朝日新聞:総合面
化学物質「4-オクチルフェノール」 環境ホルモンと確認 世界2例目
工業用の界面活性剤やプラスチックの可塑剤に含まれる化学物質「4-オクチルフェ
ノール」に、魚類をメス化する内分泌撹乱物質(環境ホルモン)の作用があることが環境
省の調査でわかった。同省が昨年、工業用洗剤の原料になるノニルフェノールが環境ホ
ルモンであることを世界ではじめて確認したのに続き、2番目となる。
14日に開かれた同省の検討会で報告した。メダカを水槽に入れて飼う実験では、1
リットルあたり94マイクログラムの濃度で、オス10匹のうち5匹の精巣から卵細胞が見
つかった。また、一定以上の濃度になると、メスの産卵数が少なくなり、卵の受精率が下
がることもわかった。ただ、魚類への影響は1リットルあたり0.992マイクログラム以下
ではなくなると考えられる。国内の河川の平均濃度は1リットルあたり0.03マイクログラ
ムで、影響は低いと見られるという。
同省は人への影響を調べるためラットを使った実験をしている。ダイオキシンなどに比
べ人体への蓄積性が低いことなどから、影響は低いと見ている。
4-オクチルフェノールは、ノニルフェノールとともに界面活性剤の原料となる。99年に
国内でノニルフェノールは1万9千トン、4-オクチルフェノールは1万トン使われたと推定
される。
日本石鹸洗剤工業会は、98年、日本石鹸洗剤組合などは99年から家庭用洗剤への
使用を自粛している。日本界面活性剤工業会は、昨年からクリーニングや自動車洗浄な
ど、廃水処理が不完全な汚泥が環境中に出ていく場合は使用を自粛するよう呼びかけ
(682字)
ている。
31
環境ホルモンとしてのリスク?

BPA(ビスフェノールA)






多動性症候群 ADHDの原因?
最大のヒトの摂取は缶コーヒーだった?
缶コーヒーのコーティング材質は変わった。
他の缶詰のコーティング?
過去10年間程度で、飲料以外の缶詰の生産量
は30%ほど減少。
現在、暴露量は、恐らくかなり下がったのでは
32
BPA、「ナゾの研究」と報道



朝日新聞11月29日2002年朝刊
広島市で行われた「内分泌攪乱化学物質問題に
関する国際シンポジウム」で、環境省研究班の
平原史樹・横浜市立大学教授と黒木良和・神奈
川県立こども医療センター所長が28日に発表し
た。
正常児を生んだ815人の妊娠中から出産まで
の血液と、尿道下裂男児を出産した30人の血液
を比較した。その結果、ビスAの濃度は、正常児
の母親で0.4ng/mlであったが、尿道下裂児
の母親の平均値は、その2倍であった。
33
生データ・周辺データなど





・対照母体血
0.40±0.29ng/ml n=1655
・臍帯血
1.37±2.29ng/ml n=398
・出産障害母体血
0.65±0.16ng/ml n=5
・尿道下裂児の母親 1.32±0.93ng/ml n=30
だだし、出産後半年から16年後の採血?
BPAの体内半減期は6時間ぐらい
北大の山田教授:1989年のBPAの血中濃度が5.6
2ng/mlだったものが、1998年には、0.99ng/ml
と低下
発表者自身もこの研究の弱点を認めていた。
しかし、なぜか報道資料が作られており、それに基づい
て新聞発表が行われた。
34
RoHS型問題


EUの毒性物質規制
重金属4種


臭素系難燃剤2種


Cd、Hg、Pb、Cr6+
PBDE、PBB
2006年7月、電子電気機器へ使用禁止
35
Pb:健康被害者は居るのか





鉛に限れば、過去最大の環境問題は、ガソ
リン中の四エチル鉛
米国では、総量で700万トンの鉛が大気に
放出されたとか
日本では、牛込柳町の鉛中毒事件
日本の土壌中の鉛汚染は、順調に低下中。
現在世界での鉛生産量500万トン。0.6%
がはんだ。3万トン程度。
36
被害者は出るか



ソニーPSOne摘発問題。
2001年12月:コントローラ塩ビケーブル
中のカドミウム使用が判明。オランダの基
準を超している。基準値は、製品重量の0.
01%。130万台が出荷停止に。
もし、RoHSを破れば、
ビジネスリスクは大きい。
37
Sonyの某幹部



RoHS規制は欧州の先進的規制である。
中国ですら同様のものを作ろうとしている
のに、日本の対応の遅れは情けない。
反論:
RoHSによって生じるリスクは、ビジネスリ
スクでしかない。ビジネスリスクの存在を理
由に規制を求めることは、筋違いである。
38
鉛で公園の土、砂汚染





2004年2月1日 朝日新聞1面
東大:吉永淳助教授
国環研:田中敦主任研究員
砂場:25.4ppm、表土:67.3ppm
150ppmを超す表土も
「すぐに危険なレベルではないが、身近な
場所で乳幼児が鉛汚染にさらされやすく
なっている」、吉永談。
39
鉛の血中濃度



子供の知能の発達などに悪影響があるとされ
ている。10μg/dLあたり、IQが7.4下がるとす
る論文がある。それに対する反論もあるようだ。
さらに、3μg/dL以下でも女児の性徴の発達
に影響が無いとは言えないとする発表もある。
血中濃度とガソリン中の四エチル鉛の濃度との
相関が非常に高い。ガソリン中の四エチル鉛を
ゼロにすると、血中濃度は、3.1μg/dLぐらい
になる。
米国EPAの発表によれば、
「5歳児以下の子どもの血中の鉛濃度平均値は、
1976年~1980年の15μg/dLから
1999年~2000年の2.2μg/dLへと
約85%も減少した」.
40
41
42
End Use of Lead in USA
http://minerals.usgs.gov/ds/2005/140/lead-use.pdf
43
44
BSEの全頭検査のナゾ
45
全頭検査
危険部位除去
BSE
リスク
BSE
リスク
食肉
牛:20ヶ月以上
牛:20ヶ月以下
食肉
もともと検知不能
BSE
リスク
46
吉川教授のBSE影響予測


BSE牛5頭が食肉として食べられた??
日本で発生するvCJD患者は、




5000人×(5頭/100万頭)×(1.2億人/5千万
人)×(90%/40%)=0.135名
英国で将来5000名のvCJD患者が出ると予測
している。
cf.英国では、100万頭を食べてしまった。
しかも、危険部位も積極的に食べた。
47
英国のBSE発生状況
http://www.cjd.ed.ac.uk/figures.htm
2006.6.
30
現在156名
48
演者の素人予測

英国のvCJD患者は、250名程度




5頭×(250人/100万頭)×(1.2億人/5千万
人)×(90%/40%)=0.007名
さらに、食生活(脳、脊髄、眼球など)の違いを考
慮して、0.001名以下か。
この数値は、危険部位除去の対策も取らないと
きの値!!
危険部位除去を開始して以後の牛肉を原因とす
るvCJD発生は考慮する必要が無いぐらい低い。
49
これでも納得できない人がいる




「英国では、手術に使ったメスは、使い捨てにする
ぐらい。異常プリオンの危険性には気を使ってい
る」、「極微量でも、異常プリオンは危険である」、
「最近、神経にも極微量とは言え、異常プリオンが
見つかった」、「牛は結局全部が危険である」。
いかなる食品でも、直接、血中に入れれば命に関
わる。消化器は、体の外部なのである。
いかに代謝されにくい異常プリオンとは言え、人
には多少の代謝機能がある。すなわち、微量の異
常プリオンは、分解されてしまう。
そもそも、100万頭ものBSE牛を食べた英国人
の150名程度しか発症しないのは、なぜなのか。
50
福岡伸一氏はメディア派新人


「もう牛を食べても安心か」、文春新書
論点





BSEは、未知の部分が多い。
未知の部分が多いということは、危険。
リスク科学は、「人災であるBSE」による死、と
「納得されたフグ毒」による死の質を区別不能
BSEは、誤った商業主義の結果である
「もう安心」とはとても言えない
51
メディア派の特徴とは何か


メディアは「安全」を報道できない。理由:インパクト
のあるニュースにならないから=商業主義
(1)リスクを量的に比較して見ることはしない、
=BSEのリスクは小さいかもしれないが重要
(2)安全・危険の二元論である、
=未知だから、今後とも、BSEは危険
(3)安全を確保するのは、行政の責務、
=だから、全頭検査は続けるべき
52
市民はなぜリスクを理解できないか
53
理由その1: 知らない=単純な思い込み

ミネラルウォータは安全


割り箸を使う方が清潔



真実:ミネラルウォータの基準は、水道水よりも、5倍
程度緩い
真実:防腐剤、防カビ剤が含まれている
真実:そもそも洗っていない
食事の前に手を洗うべき


真実:ヨーロッパなどでは、お手拭はでないし、パンも
手づかみ。テーブルにじか置き。それでも別にお腹を
壊すことはない。
真実:インフルエンザの予防には、手を洗うのが正解
54
水道水-ミネラルウォータ比較



水道水の方が基準が緩い項目 なし
ミネラルウォータの方が基準が緩い項目
ヒ素(0.05mg/リットル) 5倍
フッ素(2mg/リットル)
2.5倍
ホウ素(~5mg/リットル) 約5倍
亜鉛(5mg/リットル)
5倍
マンガン(2mg/リットル) 4倍
水道水の発ガンリスクはヒ素が突出
6×10^-5 ミネラルウォータは?
55
理由その2:原理原則を知らない

ビタミンにしてもミネラルにしても、生理活
性物質は、実は毒物。過剰摂取は危ない





ビタミンA
ビタミンD
亜鉛
銅
多目に摂取しても良いものは、もともと薬
効の無いもの=毒にも薬にもならない
56
化学物質の毒性 コア知識




物質が毒かどうかは、量が決める。
量を多く摂れば、すべての物質は天然食
品を含めて毒物である。
生物は、食物(=毒物)を摂取することを前
提として防御システムを備えている。
動物の中では、ヒトはもっとも精緻な防御
システムをもっている。
57
物質が毒かどうかは量が決める



通称:パラケルスス
本名:アウレオルス・フィリップス・テオフ
ラストス・ボンバストス・フォン・ホーヘン
ハイム(1493ー1541)
スイス人医師。錬金術師。後にバーゼ
ル大学教授。
58
理由その3:自分の体は繊細


自分はヒトである
ヒトは高級哺乳類だから繊細



真実:ヒトは、最高性能の自己防衛システムを
備えている
真実:だから、これほど蔓延ることができる
ただし、ある人々は、以前よりも繊細かもし
れない=乳児死亡率の推移
59
乳児死亡率、死産率推移
60
GDP vs. 平均寿命 1995年
61
WHO日常的なリスクによる損失余命比較 単位・年
低体重
鉄欠乏
VA欠乏
亜鉛欠乏
高血圧
コレステロール
体重オーバー
野菜果物不足
運動不足
危険な性交渉
避妊の欠落
たばこ
酒
ドラッグ
不衛生な水
大気汚染
煙の室内汚染
鉛暴露
気候変動
怪我(職業上)
発がん物質
SPM
ストレス
騒音
注射
幼児虐待
世界
20.73
4.22
4.25
4.35
9.07
5.71
3.78
3.83
2.59
12.57
0.69
7.45
5.34
0.79
8.04
1.05
5.74
0.46
0.81
1.16
0.22
0.24
0.00
0.00
1.50
0.28
日本+
0.01
0.05
0.00
0.00
5.94
3.01
1.92
1.87
1.78
0.23
0.00
6.15
1.61
0.49
0.03
0.54
0.00
0.05
0.00
0.23
0.23
0.06
0.00
0.00
0.00
0.16
北米
0.01
0.18
0.00
0.00
7.03
6.44
6.58
3.65
3.03
0.98
0.00
13.81
2.80
1.27
0.02
0.48
0.01
0.12
0.01
0.20
0.28
0.21
0.00
0.00
0.00
0.12
EU
0.00
0.09
0.00
0.00
8.86
6.97
5.71
2.53
2.95
0.46
0.00
11.43
3.01
0.97
0.02
0.28
0.00
0.13
0.00
0.23
0.35
0.17
0.00
0.00
0.00
0.07
62
日本人の平均余命推移
63
食による中毒統計 H14年


件数1850件 患者27629名
死者18名






サルモネラ菌
O-157
自然毒動物
自然毒植物
化学物質
2名
9名
6名(フグ)
1名(H14はキノコではない)
0名(ヒ素、酸敗油脂、、)
cf.米国:サルモネラで500名の死者?
64
後半
グローバルリスク
65
2000年からの環境問題


持続可能な社会を作る時代
特に重要な概念が




グローバルサステナビリティ
ローカルサステナビリティ
この両者を両立させることが重要な国
ローカルサステナビリティが重要な国
66
日本の国の状態
食糧(水も、元素も)
エネルギーも
米国のエタノール
燃料化は、食糧
危機を早める
グローバルサステナビリティが
実現されていない限り、存続
が危ない
67
Millennium Development Goals



ミレニアムサミット(2000年9月)において、
世界的な合意を得た開発達成目標。
貧困の撲滅、生活の改善。
2015年を達成時点として、1990年比で
各種目標数値が設定されている。
68
8種のゴール in MDG








1.貧困と飢餓の克服
2.初等教育の世界的実現
3.性の平等、女性の活力増大
4.幼児乳児死亡率の改善
5.妊婦の健康
6.HIV/エイズ、マラリアの克服
7.環境面での持続可能性の確保
8.開発のためのパートナーシップ
69
GDP vs. 平均寿命 1995年
70
GDP vs. 平均寿命 2001年
71
ボツワナ(アフリカ)
平均寿命
72
国連の人口予測
12000000
10000000
8000000
中位予測
上位予測
下位予測
6000000
4000000
2000000
2050
2040
2030
2020
2010
2000
1990
1980
1970
1960
1950
0
73
140000
120000
100000
Korea
Japan
Italy
Ukraine
Uganda
80000
60000
40000
20000
0
1950
1970
1990
2010
2030
2050
74
1600000
1400000
1200000
1000000
USA
India
China
800000
600000
400000
200000
0
1950
1960
1970
1980
1990
2000
2010
2020
2030
2040
2050
75
以下、各種問題について、カーブの傾向を見ながら、
未来への外挿を試みる。
温暖化問題
76
2005年 京都議定書の発効




日本の状況は極めて悪い
カナダと日本は達成不能だろう
2013年以降の枠組みをどうするのか
排出量取引による売買は、日本経済にな
んら良い結果をもたらさない
77
Temperature Increase
K)
(
78
Emission Scenario
Acceptable?
79
Total CO2 Emission(Global)
Now
JAPAN
1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080
80
国立環境研によるシナリオ
81
Total CO2 Emission(Global)
≒475ppm
Now
1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080
82
日本はどのように対応すべきか?個人的案





温暖化ガス発生削減の努力を最大限行う。
万一削減不足になれば、30%増の借金として背負う。
世界最高の省エネルギー・省資源技術を開発し、さら
なる国内排出削減で2013年以降に借金返済
同時に、世界へCDMなどで貢献。同時に途上国に気
候変動枠組みへの参加を要請。
排出量取引(ホットエア)を行うべきでない。


600億円/年ぐらいか???
環境税=国民へのメッセージとして必須である。
(原油価格の高騰による効果の方が大となる可能性はあるが)



全エネルギーを原油輸入量に換算し、1Lあたり1円課税す
ると、6000億円/年
Cf.ガソリン税: 600億L × 53.8円 = 3兆円
Cf.軽油取引税: 470億L × 32.1円 = 1兆円
83
世界全体としての対応
経済発展と二酸化炭素排出量
84
曲線で考える持続可能性
85
GDP 一人あたり vs. SOx 濃度
環境クズネッツ曲線
after Prof. SIMON KUZNETS
86
発展段階とデカップリング
物質/エネルギー
4
問題領域
二酸化炭素排出
量
的
因
子
3
破壊的生態系
利用:その1
2
廃棄物や
破壊型生態系利用
その2
自然災害による被害
環境汚染による被害
1
発展段階
87
Energy and CO2
88
Bad
Good
Costa Rica
89
Costa Rica
90
Thermohaline Circulation
海洋大循環モデル
91
Temperature Variations in the Past
Little Ice
Age
Younger Dryas
ヤンガードリアス期
10,000 years from Now
92
Oil Production and Resources Found
1980
Found
Production
産出量
発見量
93
エネルギー使用量の長期推移
94
(9)持続可能先進国型問題


ヨハネスブルグサミットWSSDでの指摘
持続可能でない生産・消費形態の変更




先進国が主導し、すべての国が持続可能な生
産・消費形態を促進しなければならない。
そのための10 年事業計画の策定を促進する。
途上国の持続可能な生産・消費を阻み、環境
に有害で貿易をゆがめる補助金の改革を促
進する。
環境コストの内部化や経済的手法を促進する。
95
2010年:新しい価値の創生
エコプレミアム発想
96
日本の環境のトレンド
日本モデル
環
境
負
荷
現在
価値
エネルギー消費、 CO2 排出量
1970
価
値
軸
目標
1991
最終処分量
環境汚染, 一般的な負荷
GDPのような経済的な指標
97
各種のプレミアム

ブランドプレミアム


超小型プレミアム


信頼できる製品作り・安心できる製品作り
地域プレミアム


寿命が長く、修理が利くために価値が高い
信頼プレミアム・安全プレミアム


使い心地に気を配った手作り製品で価値が高い
長寿命プレミアム


超小型にすることで価値が高い
使いここちプレミアム・手作りプレミアム


同じような製品でもメーカーが違うため価値が高い
地域特性を活かした製品作り
エコプレミアム(3Rプレミアムを含む)

製品の環境負荷が低いために価値が高い
98
New PriusのLCA

TOYOTA製のハイブリッド車
Engine
Power Splitter
Generator
Ni-H Battery
Inverter
Motor
Transmission for Hybrid
99
二酸化炭素放出量の比較
New Prius
Materials
Assemble
Gasoline
Maintenance
Waste
Gasoline
0
5
10
15
20
25
30
35
40
tons
Assumptions: 100,000km Driven in Tokyo
Fuel Consumption: 18km/L for Prius, 8km/L for Others
100
プリウスと燃料電池車の効率
101
製品のエコプレミアム化











実績:個人的なエコプレミアム商品認定
No.000:太陽電池
No.001:エコキュート(ヒートポンプ型給湯器)
No.002:プリウス(ハイブリッド車)
No.003:リアプロジェクションテレビ
No.004:電球型蛍光灯
No.005:Ni-H型充電池
No.???:ガスエンジン型コジェネ
No.???:農業共生型ゴルフ場
No.???:電気自動車カーシェアリング
No.???:再生可能エネルギー型住宅
102
地球共生型シナリオ
人
間
活
動
の
総
量
・
地
球
へ
の
イ
ン
パ
ク
ト
化
石
燃
料
・
原
化石燃料依存から核融合依存へ
子
力
地球の持続能力
300年必要
100年間で人口の半減は厳しい
1800
2000
2300
103
国連の人口予測
12000000
10000000
8000000
中位予測
上位予測
下位予測
6000000
4000000
2000000
2050
2040
2030
2020
2010
2000
1990
1980
1970
1960
1950
0
104
地球のエネルギーバランス
国際協力の本当の意味
緊急援助だけが援助ではない
インフラ整備だけが援助ではない
106
想像力テスト:アフリカの農家
この形態は持続可能か?




4人の子どもがいる夫婦は、2haの農地をもち、トウ
モロコシを栽培し、日干しレンガの小屋に住んでいる。
取り入れたトウモロコシは、すべて自家消費。
子ども達は、薪を拾い、近所の泉から飲み水を汲む
→ そのために子どもは多い方が生活は楽である。
地元市場で、トウモロコシは1トン150ドル。この年、
4トンの収穫があった。統計上、この家の稼ぎは、一
人当たり$100ということになる。
ジェフリー・サックス 「貧困の終焉」 を変形
107
この形態は持続可能か?






答えられないというのが正解ではあるが。。。。
当然のことながら、土壌は疲弊する。
来年は、1ヘクタールあたり2トンは取れないだろ
う。
化学肥料を買う金が有れば、維持できるかもし
れない。
雨が降らないかもしれないし、降りすぎて洪水に
なるかもしれない。
気候変動が起きれば、まず、持続不能。
いかにして、自立的な成長を可能にするか?
先進国に責任の大部分がある気候変動の影響をミニマムに。
108
課題:あのトウモロコシ農家の一人当たりの収入を
翌年までに増やす方法を考えなさい。

国際商品であるバニラの栽培に切り替えて、トウモ
ロコシはその売り上げで買う。


生産性を高める。例えば、窒素固定作物を植えて、
1ヘクタールあたり2.5トンの収量を得る。0.5ト
ンは市場で売って貯蓄し、家畜を買う。


しかし、バニラを港まで輸送する輸送手段が無い。
窒素固定作物を植える貯蓄がない。
オンコセルカ症を媒介するブユを絶滅できれば、こ
の家の耕作面積を拡大することができる。

ブユを絶滅させる方法も資金もない。
109
日本はODAを増やすべき





しかも、それぞれの家族が「持続的な改善」「自立的
な成長」を始められるような援助を。
過去の大規模ODAは、一部の外国政府の特権階級
を太らせた(日本企業も太った)。
最近の日本のODAはかなり変わった。
草の根ODAもやる体制に徐々になっている。
しかし、日本の政治家は、そして、財務省は、ODAは
もはや無用だと言う(選挙民やメディアのレベルに合
わせている??)。
110
実は、
ODAにはGDPの0.7%という約束あり

1970年、国連総会で議決




米国は、自国のみは、これに拘束されないと
主張している。
1992年、アジェンダ21の第33章13節
2002年、モンテレー(メキシコ)合意
2002年、ヨハネスブルグWSSDのPoI
約束はやはり守るべきである。
外務省のODA大綱にも、どこにも書かれていない。
111
ODAの実績(GDP比0.7%が目標)


米国
日本






0.15%
0.2%
2003年の実績は89億ドル(ネット)。2005年7月のG8グレンイー
グルズ・サミットで小泉総理が今後5年間でODA事業量について
100億ドルの積み増しを表明。アフリカ向けODAについても今後3
年間で倍増を表明。
ドイツ
イタリア
イギリス
カナダ
フランス
0.25%
0.1%
0.4%
0.25%
0.4%
◎ ベルギー、スウェーデン、デンマーク、ノルウェ-、
オランダなどの各国は、すでに0.7%を達成している。
112
アフリカ諸国のGDP








2000年のGDPと人口
ボツワナ 50億ドル 167万人 豊かな国
セネガル 40億ドル 953万人
ウガンダ 60億ドル 2325万人
日本の2004年、高額所得者 7.5万人
1000万円以上の所得税を払った人の所得税の
総額 = 約2兆円?(180億ドル)
ウガンダの全所得の10倍の所得??
高額所得者の平均所得=ウガンダ平均3000
人分
米国だと、上位400人の所得が690億ドル
113
140000
120000
100000
Korea
Japan
Italy
Ukraine
Uganda
80000
60000
40000
20000
0
1950
1970
1990
2010
2030
2050
114
2100年の日本


人口は何人になっているか?
現在







韓国
オランダ
スウェーデン
フィンランド
アイスランド
4600万人
1600万人
900万人
500万人
30万人
文化の維持が大変
翻訳本はまず出ない
115
最終結論
116
広義の環境問題の解決

技術的な方法論開発
人間の心の中の問題

やっかいな心の問題の現状




多分50%
多分50%
日本にもはびこる個人主義
米国を中心とするユニラテラル主義
一神教同士の近親憎悪
=イスラムのメンタリティーとキリスト教徒
117
発展段階とデカップリング
幸福度
物質/エネルギー
4
問題領域
二酸化炭素排出
量
的
因
子
3
破壊的生態系
利用:その1
2
廃棄物や
破壊型生態系利用
その2
自然災害による被害
環境汚染による被害
1
発展段階
118
経済行為と右肩下がり(デカップリング)
幸福度
21世紀型
環境経営
量
的
因
子
利益
売り上げ
利益再配分
売り上げ
ライフサイクル資源・エネルギー
20世紀型
環境経営
投入資源・エネルギー
製品重量
環境排出・無駄な費用
発展段階
119
中世小氷期
人類はエネルギー転換と産業革命を行った。
第二の革命
第一の革命
ヤンガードリアス寒冷期
人類は農耕文明による革命を行い生存した。
120
第三の革命





化石燃料文明からの離脱がその内容
人間活動を地球の持続能力の範囲内に
それには、やはり人口を減らす
総資源使用量を減らす
なんらかの価値の創造は継続
右肩下がりを良いと
考えるメンタリティー
20世紀までは、すべて
右肩上がりが良かった
121
第三の革命実現のための必須事項







第三の革命に向かうための人類の欲求は、
「社会貢献を行うことによる満足感」
「他人に感謝されることの満足感」
「他人に自慢できることを持つ満足感」
「未知の他人と交流する満足感」
いずれも共生の満足
そして、
「次の世代に残す知識・情報を作り出す満足感」
これが人類が生存する最大の意味なのでは?
122
各主体のポジション
FINAL GOAL
個人の位置
企業はビジネスリスク
で動き、迂回路を取る
可能性が高い
NPOの位置
行政の位置
優れた環境対応企業
一般社会の動き
環境対応の遅れた企業
123