「環境と持続可能な未来」技術士会(9月6日)

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Transcript 「環境と持続可能な未来」技術士会(9月6日)

環境と持続可能な未来
日本技術士会大会用を修正
国際連合大学
安井 至
http://www.yasuienv.net/
1
国連大学の紹介
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国連機関で、アジアに唯一本部を持つ。
1975年に設立。
学生、教授は居ない。
世界に研究・研修センター/プログラムを14ヶ所
途上国を対象に、最適な能力開発プログラムを実施
国連機関内でのシンクタンク機能
国連機関で、唯一、大学院教育も取り扱う
国連活動のための新しいアイディア
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
真に重要な問題の発掘、対処法など
個人的責任は、「環境と持続可能な開発プログラム」
のマネジメント
2
環境問題と持続可能な開発


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
環境問題は、問題解決型の例。その解のもつべき
本質は、
=リスクの削減である。
リスクは、適切な対策によって削減できる。
リスクの対象は、ヒトと生態系である。
要するに、命(健康)である。
持続可能な開発においても、やはり重要なものは、
命(健全なヒトと生態系)であり、その継続である。
経済力は、命との関係が非常に強い
3
日本の環境問題の推移
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1960年代:経済成長と公害の時代
1970年代:急速な環境規制の時代
1980年代:バブル経済と物量の時代
1990年代:地球環境と廃棄物の時代
2000年代:持続可能な社会の時代
2010年代:新しい価値の創生の時代
4
環境問題のトレンド
ローカルリスク(日本)
公害
ダイオキシン
環境ホルモン
BSE
.......
|
1970
|
1980
|
1990
グローバルリスク
温暖化
人口爆発
資源不足
食糧不足
鳥インフル
.......
|
2000
|
2010
|
2020
|
2030
5
リスクには、2種類



グローバルリスク
ローカルリスク
生態系リスクは、現時点では、リスクとして
把握するよりも、ヒトの活動の起きる結果、
例えば、生物多様性の減少として捉える以
外に方法が無さそう。
6
ローカルリスク
7
「ローカルリスク低減」の理解
発
展
途
上
国
リ
ス
ク
危険残留
適
正
な
対
応
・
国
際
標
準
先
進
国
の
過
剰
な
対
策
別のリスク
が増大する
これがしばしば
グローバルリスク
実質安全
対策の強化
絶対安全
8
ダイオキシンとPOPS
日本における環境問題の
推移。ただし、ごみの最終
処分問題を除く。
大気汚染
環境ホルモン
オゾン層破壊
水質&海洋汚染
土壌&底質汚染
資源・エネルギーの消費
地球温暖化
1970
2000
2050
9
環境省発表
水質基準未達成地点の割合
真実:データの示すところによれ
ば、昭和46年当時に比較して、
格段に改善されていて、水道水
の品質についても同様。
10
最近の環境規制の例:亜鉛
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
海域で10~20μg/Lが環境基準
その10倍が通常排出基準。となると、100
~200μg/L。
これは妥当か?
環境基準の対象は、ユスリカ、ウニなどの生
物。
ヒトは、亜鉛に強い。 Cf.水道 1mg/L。
しかも、最近、日本人は亜鉛不足。
最終的に、2mg/Lで決着したが。。。
11
グローバルリスク
12
2000年からの環境問題


持続可能な社会を作る時代
特に重要な概念が
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

グローバルサステナビリティ
ローカルサステナビリティ
この両者を両立させることが重要な国
ローカルサステナビリティが重要な国
13
日本の国の状態
食糧(水も、元素も)
エネルギーも
米国のエタノール
燃料化は、食糧
危機を早める
グローバルサステナビリティが
実現されていない限り、存続
が危ない
14
国連の人口予測
12000000
10000000
8000000
中位予測
上位予測
下位予測
6000000
4000000
2000000
2050
2040
2030
2020
2010
2000
1990
1980
1970
1960
1950
0
15
140000
120000
100000
Korea
Japan
Italy
Ukraine
Uganda
80000
60000
40000
20000
0
1950
1970
1990
2010
2030
2050
16
8種のゴール in MDG
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
1.貧困と飢餓の克服
2.初等教育の世界的実現
3.性の平等、女性の活力増大
4.幼児乳児死亡率の改善
5.妊婦の健康
6.HIV/エイズ、マラリアの克服
7.環境面での持続可能性の確保
8.開発のためのパートナーシップ
17
1600000
1400000
1200000
1000000
USA
India
China
800000
600000
400000
200000
0
1950
1960
1970
1980
1990
2000
2010
2020
2030
2040
2050
18
以下、各種問題について、カーブの傾向を見ながら、
未来への外挿を試みる。
温暖化問題
19
2005年 京都議定書の発効
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


日本の状況は極めて悪い
カナダと日本は達成不能だろう
2013年以降の枠組みをどうするのか
排出量取引による売買は、日本経済にな
んら良い結果をもたらさない
20
Emission Scenario
Acceptable?
21
Total CO2 Emission(Global)
Now
JAPAN
1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080
22
国立環境研によるシナリオ
23
Total CO2 Emission(Global)
≒475ppm
Now
1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080
24
日本はどのように対応すべきか?個人的案
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



温暖化ガス発生削減の努力を最大限行う。
万一削減不足になれば、30%増の借金として背負う。
世界最高の省エネルギー・省資源技術を開発し、さら
なる国内排出削減で2013年以降に借金返済
同時に、世界へCDMなどで貢献。同時に途上国に気
候変動枠組みへの参加を要請。
排出量取引(ホットエア)を行うべきでない。


600億円/年ぐらいか???
環境税=国民へのメッセージとして必須である。
(原油価格の高騰による効果の方が大となる可能性はあるが)



全エネルギーを原油輸入量に換算し、1Lあたり1円課税す
ると、6000億円/年
Cf.ガソリン税: 600億L × 53.8円 = 3兆円
Cf.軽油取引税: 470億L × 32.1円 = 1兆円
25
世界全体としての対応
経済発展と二酸化炭素排出量
26
曲線で考える持続可能性
27
GDP 一人あたり vs. SOx 濃度
環境クズネッツ曲線
after Prof. SIMON KUZNETS
28
発展段階とデカップリング
物質/エネルギー
4
問題領域
二酸化炭素排出
量
的
因
子
3
破壊的生態系
利用:その1
2
廃棄物や
破壊型生態系利用
その2
自然災害による被害
環境汚染による被害
1
発展段階
29
Energy and CO2
30
Costa Rica
31
Costa Rica
32
Oil Production and Resources Found
1980
Found
Production
産出量
発見量
33
エネルギー使用量の長期推移
34
米国の自動車



Big SUV such as Ford Explorer/F150
Gas Mileage < 5km/L, Tank Capacity 100L
Average Mileage Driven = 18,000km
もしもエタノールにしたら
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

30,000kg の米 / year を1台が食べる
昔から言われる 一人で一石(150kg)とすると
大型のSUVは、200人分の米を食べる。
35
地球共生型シナリオ
人
間
活
動
の
総
量
・
地
球
へ
の
イ
ン
パ
ク
ト
化
石
燃
料
・
原
子
力
化石燃料依存から核融合依存へ
地球の持続能力
300年必要
100年間で人口の半減は厳しい
1800
2000
2300
36
国連の人口予測
12000000
10000000
8000000
中位予測
上位予測
下位予測
6000000
4000000
2000000
2050
2040
2030
2020
2010
2000
1990
1980
1970
1960
1950
0
37
想像力テスト:アフリカの農家
この形態は持続可能か?




4人の子どもがいる夫婦は、2haの農地をもち、トウ
モロコシを栽培し、日干しレンガの小屋に住んでいる。
取り入れたトウモロコシは、すべて自家消費。
子ども達は、薪を拾い、近所の泉から飲み水を汲む
→ そのために子どもは多い方が生活は楽である。
地元市場で、トウモロコシは1トン150ドル。この年、
4トンの収穫があった。統計上、この家の稼ぎは、一
人当たり$100ということになる。
ジェフリー・サックス 「貧困の終焉」 を変形
38
この形態は持続可能か?






答えられないというのが正解ではあるが。。。。
当然のことながら、土壌は疲弊する。
来年は、1ヘクタールあたり2トンは取れないだろ
う。
化学肥料を買う金が有れば、維持できるかもし
れない。
雨が降らないかもしれないし、降りすぎて洪水に
なるかもしれない。
気候変動が起きれば、まず、持続不能。
いかにして、自立的な成長を可能にするか?
先進国に責任の大部分がある気候変動の影響をミニマムに。
39
課題:あのトウモロコシ農家の一人当たりの収入を
翌年までに増やす方法を考えなさい。

国際商品であるバニラの栽培に切り替えて、トウモ
ロコシはその売り上げで買う。


生産性を高める。例えば、窒素固定作物を植えて、
1ヘクタールあたり2.5トンの収量を得る。0.5ト
ンは市場で売って貯蓄し、家畜を買う。


しかし、バニラを港まで輸送する輸送手段が無い。
窒素固定作物を植える貯蓄がない。
オンコセルカ症を媒介するブユを絶滅できれば、こ
の家の耕作面積を拡大することができる。

ブユを絶滅させる方法も資金もない。
40
日本はODAを増やすべき





しかも、それぞれの家族が「持続的な改善」「自立的
な成長」を始められるような援助を。
過去の大規模ODAは、一部の外国政府の特権階級
を太らせた(日本企業も太った)。
最近の日本のODAはかなり変わった。
草の根ODAもやる体制に徐々になっている。
しかし、日本の政治家は、そして、財務省は、ODAは
もはや無用だと言う(選挙民やメディアのレベルに合
わせている??)。
41
実は、
ODAにはGDPの0.7%という約束あり

1970年、国連総会で議決




米国は、自国のみは、これに拘束されないと
主張している。
1992年、アジェンダ21の第33章13節
2002年、モンテレー(メキシコ)合意
2002年、ヨハネスブルグWSSDのPoI
約束はやはり守るべきである。
外務省のODA大綱にも、どこにも書かれていない。
42
ODAの実績(GDP比0.7%が目標)


米国
日本
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




0.15%
0.2%
2003年の実績は89億ドル(ネット)。2005年7月のG8グレンイー
グルズ・サミットで小泉総理が今後5年間でODA事業量について
100億ドルの積み増しを表明。アフリカ向けODAについても今後3
年間で倍増を表明。
ドイツ
イタリア
イギリス
カナダ
フランス
0.25%
0.1%
0.4%
0.25%
0.4%
◎ ベルギー、スウェーデン、デンマーク、ノルウェ-、
オランダなどの各国は、すでに0.7%を達成している。
43
アフリカ諸国のGDP








2000年のGDPと人口
ボツワナ 50億ドル 167万人 豊かな国
セネガル 40億ドル 953万人
ウガンダ 60億ドル 2325万人
日本の2004年、高額所得者 7.5万人
1000万円以上の所得税を払った人の所得税の
総額 = 約2兆円?(180億ドル)
ウガンダの全所得の10倍の所得??
高額所得者の平均所得=ウガンダ平均3000
人分
米国だと、上位400人の所得が690億ドル
44
2100年の日本


人口は何人になっているか?
現在







韓国
オランダ
スウェーデン
フィンランド
アイスランド
4600万人
1600万人
900万人
500万人
30万人
文化の維持が大変
翻訳本はまず出ない
45
最終結論
46
広義の環境問題の解決

技術的な方法論開発
人間の心の中の問題

やっかいな心の問題の現状




多分50%
多分50%
日本にもはびこる個人主義
米国を中心とするユニラテラル主義
一神教同士の近親憎悪
=イスラムのメンタリティーとキリスト教徒
47
発展段階とデカップリング
幸福度
物質/エネルギー
4
問題領域
二酸化炭素排出
量
的
因
子
3
破壊的生態系
利用:その1
2
廃棄物や
破壊型生態系利用
その2
自然災害による被害
環境汚染による被害
1
発展段階
48
経済行為と右肩下がり(デカップリング)
幸福度
21世紀型
環境経営
量
的
因
子
利益
売り上げ
利益再配分
売り上げ
ライフサイクル資源・エネルギー
20世紀型
環境経営
投入資源・エネルギー
製品重量
環境排出・無駄な費用
発展段階
49
中世小氷期
人類はエネルギー転換と産業革命を行った。
第二の革命
第一の革命
ヤンガードリアス寒冷期
人類は農耕文明による革命を行い生存した。
50
第三の革命





化石燃料文明からの離脱がその内容
人間活動を地球の持続能力の範囲内に
それには、やはり人口を減らす
総資源使用量を減らす
なんらかの価値の創造は継続
右肩下がりを良いと
考えるメンタリティー
20世紀までは、すべて
右肩上がりが良かった
51
第三の革命実現のための必須事項







第三の革命に向かうための人類の欲求は、
「社会貢献を行うことによる満足感」
「他人に感謝されることの満足感」
「他人に自慢できることを持つ満足感」
「未知の他人と交流する満足感」
いずれも共生の満足
そして、
「次の世代に残す知識・情報を作り出す満足感」
これが人類が生存する最大の意味なのでは?
52