歯周病専門医に対する喫煙に関する質問票調査

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Transcript 歯周病専門医に対する喫煙に関する質問票調査

歯周病専門医に対する
喫煙に関する質問票調査
非喫煙者の口腔内
喫煙者の口腔内
大森みさき1,稲垣幸司2,両角俊哉3,沼部幸博4 ,
横田誠5 ,佐藤聡6
日本歯周病学会禁煙推進委員会
日本歯科大学新潟病院総合診療科1,愛知学院大学短期
大学部歯科衛生学科2, 新潟大学大学院医歯学総合研
究科 口腔生命科学専攻 摂食環境制御学講座 歯周診
断・再建学分野3, 日本歯科大学生命歯学部歯周病学講
座4, 九州歯科大学口腔機能科学専攻口腔治療学講座
歯周病制御再建学分野5 ,日本歯科大学新潟生命歯学
部歯周病学講座6
目的
世界保健機関(WHO)では喫煙を「病気の中で予
防できる最大かつ単一のもの」と定義しており喫煙
対策は医療者としての今後の使命である。特定非
営利活動法人日本歯周病学会は第46回春季学術
大会(2004年5月21日)において禁煙宣言を採択、
その活動方針の1つに「本学会員は非喫煙者であ
ることを目指す」との努力目標を掲げた。さらに禁
煙推進委員会を中心とした対策および推進のため
の方略を検討、会員の現在の喫煙状況ならびに喫
煙に対する考えを把握する必要性を掲げた。
本研究はこの活動の一環として歯周病専門医
の喫煙に関する内容を把握することにある。
対象と方法
2007年10月時の歯周病学会専門医816名
(男性686名、女性130名)を対象とした。対
象者に対して事前に作成し歯周病学会常任
理事会で承認を得た質問票を平成2007年11
月末に郵送し、12月末までに無記名で回答
の上、同封の封筒による返送を求めた。
結果
• 返送率 53.3% (816名中435名)
• 性別 男性 357名 女性 71名
記載なし 7名
• 所属 大学・大学院・短大
121名
附属病院・関連病院
26名
開業医
268名
その他
13名
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69
64
59
54
49
44
39
34
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70
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65
-
60
-
55
-
50
-
45
-
40
-
35
-
30
-
29
人数
25
-
対象者の年齢別の人数分布
120
100
80
60
40
20
0
年齢
喫煙歴別の人数
男性
女性
記載なし
全体
58 (13)
5 (1)
1 (0)
64 (15)
前喫煙者
非喫煙者
131 (30)
163 (37)
6 (1)
59 (14)
3 (1)
3 (1)
140 (32)
225 (52)
記載なし
5 (1)
1 (0)
-
6 (1)
357 (82)
71 (16)
7 (2)
435 (100)
喫煙者
合計
( )内は%
5年後の喫煙状況についての予測
ほぼ確実に毎日
おそらく吸って
おそらく吸って
吸っていること
吸っている
いる
いない
はあり得ない
計
喫煙者
2
23
37
1
63
前喫煙者
0
0
28
97
125
非喫煙者
2
1
17
196
216
全体
4
24
82
294
404
記載なし31名
χ2検定: P<0.05
勤務先の喫煙環境
敷地内全
面禁煙
屋内禁煙、 屋内に喫煙 特に制限
喫煙は屋外
場所あり
その他
計
なし
喫煙者
20
26
15
0
2
63
前喫煙者
55
60
16
0
7
138
非喫煙者
114
80
25
1
4
224
全体
189
166
56
1
13
425
記載なし10名
χ2検定:P<0.05
患者の喫煙についてどう考えるか
疾患を持って 疾患によって 患者の自由に わからない
いるので吸う
は吸っても
ゆだねる
べきではない
よい
べきである
計
喫煙者
21
9
29
5
64
前喫煙者
86
10
31
10
137
非喫煙者
140
14
58
12
224
全体
247
33
118
27
425
記載なし10名
χ2検定:P<0.05
歯科医師という立場上タバコを吸う
べきではないと思うか
はい
いいえ
わからない
35 (8)
18 (4)
11 (3)
64 (15)
元喫煙者 117 (27)
7 (2)
16 (4)
140 (32)
非喫煙者 196 (45)
18 (4)
11 (3)
225 (52)
43 (10)
38 (9)
429 (99)
喫煙者
全体
348 (80)
記載なし6名
χ2検定:P<0.01
( )内は%
計
歯科においてもニコチン依存管理
料が適用されるべきと思うか
喫煙者
前喫煙者
そう思う
やや
あまり
思わない
計
17 (4)
28 (6)
15 (3)
3 (1)
63 (14)
79 (18)
39 (9)
16 (4)
1 (0)
135 (31)
61 (14)
36 (8)
6 (1)
224 (51)
128 (29)
67 (15)
10 (2)
422 (97)
非喫煙者 121 (28)
全体
217 (50)
記載なし13名
χ2検定:P<0.01
( )内は%
歯科では歯や歯肉の色の変化などを
示すことによって患者への禁煙指導を
行いやすいと思うか
そう思う
どちらかといえば
喫煙者
19
23
19
3
64
前喫煙者
65
45
20
5
135
非喫煙者
94
78
47
4
223
178
146
86
12
422
全体
記載なし13名
χ2検定:not significant
どちらとも
そう思わない
計
歯科では歯周基本治療やSPT治療
来院時に継続した禁煙指導を行いや
すいと思うか
そう思う どちらかといえば
どちらとも
そう思わない
計
喫煙者
10
23
26
5
64
前喫煙者
67
36
31
2
136
非喫煙者
86
81
44
12
223
163
140
101
19
423
全体
記載なし12名
χ2検定:P<0.01
歯周病専門医の資格要件に「タバコを
吸わないこと」を制度として設けること
についてどう考えるか
すぐに
喫煙者
将来
設けるべきでない
わからない
計
3
16
23
20
62
前喫煙者
59
43
9
24
135
非喫煙者
100
76
15
29
220
全体
162
135
47
73
417
記載なし18名
χ2検定:P<0.01
患者の喫煙状況の把握
(臨床医431名のみ回答)
•
•
•
•
•
(
全員あるいはほぼ全員
半数くらい
一部のみ
把握していない
記載なし
)内は%
260名 (60)
88名 (20)
67名 (16)
13名 (3)
3名 (1)
患者の喫煙状況の把握時期
(複数回答)
•
•
•
•
•
初診時
病状に応じて
再評価の前後
確認していない
記載なし
290名
108名
21名
23名
6名
重度歯周病患者に喫煙者が多いと思うか
(臨床医431名のみ回答)
そう思う
たぶん
変わらない
不明
わからない
計
喫煙者
11
23
21
3
5
63
前喫煙者
52
63
10
5
5
135
非喫煙者
76
103
26
11
9
225
139
189
57
19
19
423
全体
記載なし8名
χ2検定:P<0.01
喫煙する患者は歯周病治療で治りが悪い
と多いと思うか(臨床医431名のみ回答)
そう思う
たぶん
変わらない
不明
わからない
計
喫煙者
23
21
11
4
3
62
前喫煙者
82
40
6
3
5
136
非喫煙者
134
76
5
4
3
222
全体
239
137
22
11
11
420
記載なし11名
χ2検定:P<0.01
禁煙支援を行っているか
(臨床医431名のみ回答)
行っている
喫煙者
必要な場合
まだ行っていない
行うつもりなし
計
6
26
13
17
62
前喫煙者
20
78
31
7
136
非喫煙者
35
125
51
10
221
全体
61
229
95
34
419
記載なし12名
χ2検定:P<0.01
禁煙支援を行わない理由(多い順)
時間がない、患者がこばむ、保険点数にならない、方法がわからない
まとめ
日本歯周病学会の禁煙推進委員会では、先に
評議員を対象とした同様の「喫煙状況と喫煙の
影響についての質問票調査」を行いその状況に
ついて報告している(日歯周誌48:50-57.2006)。
今回は、歯周病のリスク因子を中心とした「糖尿
病と喫煙に関する質問票調査」を作成し、歯周病
専門医を対象にその内容に関する意識調査を
行った。
その結果、喫煙に関する質問項目に関して以下
の内容が明らかとなった。
• 歯周病専門医の喫煙に関する認識は評議員の
調査時点と比較して高くなっていると考えられた。
• 歯周病専門医の資格要件に喫煙しないことをす
ぐに制度化することに賛成の意見が評議員の調
査時より増加していた。
• 歯周病専門医は患者の喫煙状況を十分に把握
し、口腔内に喫煙の影響が現れていることも認
識していたが、禁煙支援には結びついていな
かった。
• 保険導入により禁煙支援を行う歯科医師が増加
すると考えられた。