ノロウイルスとは?

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Transcript ノロウイルスとは?

福祉施設等の調理師のための衛生講習会
ノロウイルスに対する警戒期突入
鹿児島大学農学部獣医公衆衛生学 教授 岡本嘉六
ノロウイルスとは?
食中毒事故の発生状況
ノロウイルス食中毒対策
安全性確保の原則
清潔
迅速
温度管理
+
ノロウイルス対策
● 食中毒発生原因についての正しい理解
● 衛生的取扱い・行動の習慣づけ
● 点検(点検票、反省会・・・・)
ノロウイルス
カリシウイルス科
GenogroupⅠ(GⅠ)
15遺伝子型(genotype)
GⅡ、遺伝子型4(GⅡ/4)が92%
GenogroupⅡ(GⅡ)
18遺伝子型(genotype)
1968年: 米国オハイオ州ノーウォークの小学校で発生した集団胃腸炎から検出
旧名: ノーウォーク様ウイルス(Norwalk-like viruses)、小型球形ウイルス
( SRSV )、音更(おとふけ)因子、チバウイルスなど
2002年: 国際ウイルス命名委員会によって正式名称が決定
培養細胞や実験動物への感染が起きず、ヒトが唯一の感受性動物
● ウイルスは人の腸管(主に空腸)上皮細胞で増殖し、便や吐物に排出される
● それらに汚染された器物、飲食物が感染源となる
● 患者の便や吐物が河川から海に流れ込み、二枚貝に蓄積し汚染させる
● ウイルスの外界での生残性が低温で高いため、冬場に流行
平成18年 病因物質別食中毒発生状況 (Link)
事故
原因物質
患者
%
人数
%
39,026
100
6
100
52
9,666
25
2
33
504
34
27,696
71
0
0
化学物質
15
1
172
0
0
0
自然毒
138
9
511
1
4
67
その他
7
0
23
0
0
0
不明
53
4
958
2
0
0
件数
%
総数
1,491
100
細菌
774
ウイルス
人数
死者
事故数では細菌、患者数ではウイルス、死者数では自然毒が最多
農薬や添加物などの化学物質による健康障害は極めてまれ
ウイルスによる食中毒発生状況 (Link)
事故
年
件数
患者
死者
%
人数
%
人数
%
2006
504
34
27,696
71
0
0
2005
275
18
8,728
32
0
0
2004
277
17
12,537
44
0
0
2003
282
18
10,702
37
0
0
2002
269
15
7,983
29
0
0
2001
269
14
7,348
29
0
0
2000
247
11
8,117
19
0
0
1999
116
5
5,217
16
0
0
1998
123
4
5,213
12
0
0
事故数と患者数は、増加傾向にある
2006年に病院給食で発生した食中毒事故の内容: 15件、598名
発生月日
発生場所
原因食品
摂食者数 患者数
ノロウイルス
500
214
ウェルシュ菌
ウェルシュ菌
118
ノロウイルス
104
ノロウイルス
424
ウェルシュ菌
193
セレウス菌
99
ノロウイルス
93
サルモネラ属菌 300
海藻サラダ
ノロウイルス
422
不明(病院患者給食)
病院厨房から提供された食事
ノロウイルス
246
ノロウイルス
100
不明(給食)
74
当該病院内給食施設で調理された ノロウイルス
経管流動食
12月10日
ノロウイルス
330
長崎県 不明(病院給食9日朝食)
12月15日
高知県 不明(12月13日から12月15日まで ノロウイルス
不明
に当該施設にて調理、提供されたミ
夏場は7件
ノロウイルス10件
キサー食等)
1月 6日
4月15日
4月15日
7月 8日
8月30日
8月31日
8月31日
9月 6日
9月12日
9月14日
11月11日
11月22日
11月28日
山梨県
神奈川県
富山県
神奈川県
東京都
東京都
和歌山県
沖縄県
愛知県
東京都
北海道
東京都
北海道
不明(病院給食)
海老ボールのスープ煮
白菜とアサリの炒め煮(推定)
不明(7月7日昼食)
不明(病院給食)
スパゲティサラダ
卯の花煮
病因物質
91
96
25
36
45
9
22
21
21
49
37
25
37
70
14
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
週別SRSV(ノロウイルス、サポウイルス)検出報告数
病原微生物検出情報: 2007年10月12日 作成
2006/07
2004/05
年々増加!
2005/06
2003/04
9
10
11
12
1
2
3
4
5
6
7
2006/2007流行は、例年より早く始まり、年末にピークを迎えた。
2004/2005を除いて、流行の前倒し傾向がみられる
8
以前と比べて、
genogroupⅡの割
合が高くなっている。
国立感染症研究所
感染症情報センター
生物は、今も、進化の途上にある!
2006/2007流行で分離さ
れたウイルス の構造蛋白
領域の遺伝子解析から、
GⅡ/4 は3 つのクラスター
に大別され、そのうち2 つ
は、ヨーロッパ2006a及び
ヨーロッパ2006bと呼ばれ
る新型タイプであった。
「人→人伝播」が「食品
媒介」よりも多い。行政
上、食中毒統計に加え
られているが、伝染病
の性格を併せ持つ。
行政上の取扱い
食中毒
食品衛生法
保健所
厚生労働省
感染症
感染症法
病院
感染性胃腸炎の過去5年間の定点からの報告数等
年度
2001
2002
2003
2004
定点報告数
874,241
889,927
906,803
952,681
941,922 1,144,923
定点当たり報告数
289.58
293.12
298.19
315.56
307.32
死亡数
1,242
1,228
1,398
1,432
1,732
2005
2006
380.17
ノロウイルスは、冬季の「感染性胃腸炎」の原因となるウイルスですが、感染性胃腸炎は、多種多様の
原因によるものを含む症候群であり、主な病原体は、細菌、ウイルス、寄生虫が原因の病原体となりえま
す。原因となる病原体のうち、ウイルスは、ロタウイルス、腸管アデノウイルス、そしてノロウイルスがある
ため、ノロウイルスの感染者は、「感染性胃腸炎」の一部として報告されています。
報告数は「感染症発生動向調査事業」に基づく全国約3,000の小児科医療機関からの報告によるもの
で、すべての患者数を把握するものではない。
一方、死亡数は厚生労働省統計情報部「人口動態統計」によるもので、死亡数は定点報告数の内数で
ないことに留意が必要。(例えば、平成17年で、死亡数1,732人÷定点報告数941,922のような死亡率の
計算はできないことに注意)
ノロウイルスに関するQ&A (Link)
「ノロウイルスによる食中毒・感染症の予防対策」 (Link)
食品安全委員会ウイルス専門調査会専門委員 西尾 治 (平成19年3月)
• イスラエル高齢者施設
2%
• アメリカ健康者
0.001%
• 日本 食中毒患者
0/56,969人
• 日本 高齢者施設
0.2%(12/5,371人)?
高齢者の集団発生事例から、
死亡者が報告されています
が、高齢者の死亡率は非常
に低く、わが国においては、
0.2%、最も高いイスラエル
の高齢者施設では2%程度
です。わが国の高齢者施設
以外の食中毒事例では、死
亡者は認められていません。
愛知県 食品衛生講習会
「生鮮魚介類によるウイルス性食
中毒について」 平成18年3月
国立感染症研究所 感染症情報セ
ンター第六室長 西尾治先生
一般健康成人の死亡例はない!
吐物処理や介護に際して、必要以上にビビらない
ノロウイルスの感染経路 (Link)
国立感染症研究所 感染症情報センター( 2007年2月16日)
接触感染: 便や吐物に接触した手を介する感染
食品媒介感染: 汚染食品(二枚貝、調理過程での二次汚染)
飛沫感染: 吐物や下痢便の処理や、勢いよく嘔吐した人のごく近くに居た際に、
嘔吐行為あるいは嘔吐物から舞い上がる「飛沫」を間近で吸入し、経食道的に嚥
下して消化管へ至る
空気感染: 吐物や下痢便の処理が適切に行なわれなかったために残存したウイ
ルスを含む小粒子が、掃除などの物理的刺激により空気中に舞い上がり、それを
間近とは限らない場所で吸入し、経食道的に嚥下して消化管へ至る(稀)
Mホテルにおけるノロウイルスによる集団胃腸炎の発生について (Link)
2006年12月5日 ホテル利用客の複数グループが嘔吐・下痢等の症状
宴会食、厨房の調理員は陰性。 発症者全員の共通食がない(ホテルで調理した
食事を食べていない利用客)。 12月2日にホテルの利用客の一人が、発症者が
集中している3階と25階の両フロアで絨毯の上に嘔吐。 25階の嘔吐場所は絨毯
の狭い通路上で、天井も低く、比較的換気が悪い。 嘔吐物の処理は洗剤のみで、
消毒不十分。 かなりのノロウイルスが絨毯に付着し、乾燥後に空中にノロウイル
スが飛散した可能性がある。
吐物処理には、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒!
次亜塩素酸ナトリウムの希釈液の作り方
購入した原液の濃度
1%の場合
6%の場合
12%の場合
0.02% (200ppm)
50倍
300倍
600倍
水3ℓに入れる原液量
60ml
10ml
5ml
0.1% (1000ppm)
10倍
60倍
120倍
水3ℓに入れる原液量
330ml
50ml
25ml
次亜塩素酸ナトリウムは時間とともに効果が減る。冷暗所に保管して早めに使う。
NaCℓO
殺菌効果: 発生期の酸素によ
る酸化。鉄等の金属、有機物な
ど、環境中には被酸化物が無限
にある。
Cℓ2 + H2O
HCℓ + HOCℓ
HOCℓ
H+ + OCℓ-
OCℓ-
(O) +
Cℓ-
ノロウイルス食中毒対策について(提言) Link
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会食中毒部会( 2007年10月12日)
(1)ノロウイルスの特徴
ノロウイルスの病原性、疫学、感染経路等について解説。
(2)発生及び拡大防止対策
二枚貝のノロウイルス汚染を防止するための下水等環境汚染対策、調理施設等
における洗浄・消毒等の衛生対策、調理従事者等の感染予防対策、調理時等に
おけるウイルスの汚染防止対策、ノロウイルス感染の拡大防止対策、平時からの
危機管理体制の整備及び普及啓発・衛生教育の実施について記載。
(3)食中毒・感染症調査の適切な実施
標記調査を行うに当たり留意すべき事項、食中毒と判断する際の根拠の明確化
の必要性について記載。
(4)発生状況の迅速な把握
ノロウイルス感染症及び食中毒疑い例の発生を迅速に把握するため、国、都道
府県等、調理施設や介護施設等が実施すべき対策について記載。
(5)調査研究
ノロウイルスに関する調査研究の推進について記載。
1 ノロウイルスの特徴
感染量: 10~100 個(現在の検出感度を下回る)。原因食のウイルス量は、38.8
~13,000 /g
潜伏期間: 1~2 日
症状: 嘔気、嘔吐、下痢が主。 腹痛、頭痛、発熱、悪寒、筋痛、咽頭痛、倦怠感
等を伴うこともある。
病状: 一般健康成人では、特別な治療を必要とせずに軽快する。 乳幼児や高
齢者及びその他体力の弱っている者では下痢による脱水や嘔吐物による窒息に
注意。
ウイルス排出期間: 症状が消失した後も一週間ほど(長いときには1 ヶ月程度)
患者の便中に排出。 2 次感染に注意が必要である。
疫学: 平成18 年は、事件数499 件、患者数27,616 名。 患者数が500 名以上
の事例は、6 件(5,118 名)であり、すべての事例においてノロウイルスに感染した
調理従事者等が汚染源と推察。
平成17 年11 月~平成18 年12 月の間における散発及び集団発生55 事例につ
いて、調理従事者等2,376 名の糞便を調べたところ、449 名(19%)が陽性。無症
状者も発症者と同レベルのウイルス量を排出しうる。
2 発生及び拡大防止対策
施設内のトイレ: 定時的清掃、次亜塩素酸ナトリウム等による消毒。
調理従事者には利用者とは別の専用トイレを設ける。
ノロウイルスの不活化法: 85℃・1 分間以上の加熱、次亜塩素酸ナトリウム
冷蔵庫の取手、調理施設内の排水溝、トイレのドアノブ: 調理施設
の清掃・消毒、特に手指の触れる場所及び調理器具の洗浄・消毒を
徹底。
調理従事者等: 自らが施設や食品の汚染の原因とならない(トイレ
及び風呂等における衛生的な生活環境の確保、流行期には十分に
加熱された食品を摂取する、徹底した手洗いの励行)
トイレ後: 流水・石けんによる手洗い(1 回では不十分な可能性があるので2 回以
上)が不可欠。使い捨てペーパータオルを使用し、タオル等の共用はしない。
施設管理者: 調理従事者等の健康状態の把握を組織的・継続的に
行い、調理従事者等の感染及び調理従事者等からの施設汚染の防
止に努める。
下痢又は嘔吐等の症状がある調理従事者等: 直ちに医療機関を
受診する。感染性疾患と診断された調理従事者は、調理等への従
事を控えるとともに、下痢又は嘔吐等の症状がなくなっても、ウイル
スが一定期間排出される可能性を考慮し、食品に直接触れる調理
作業を1 ヶ月程度控える。
感染者の嘔吐物と糞便: 調理施設及び関係施設(飲食店の客席、旅館及びホテ
ルの宴会場、ロビー、通路など)において嘔吐した場合には、次亜塩素酸ナトリウ
ムを用いて迅速かつ適切に嘔吐物の処理を行う。
食中毒発生時の調理従事者等の食事: 原因究明を確実に行うた
め、当該施設で調理され、顧客に提供されたものと同じ食品を喫食
しない。
危機管理体制の整備: 高齢者や乳幼児が利用する社会福祉施設、保育所等に
おいては、平常時から施設長をトップとする危機管理体制と組織対応を整える。
普及啓発および衛生教育: 事業者は、ノロウイルスに関する正しい知識を習得し、
従業員への衛生教育に努める。
調理従事者を介したノロウイルス食中毒の情報に関する検討報告書
東京都ノロウイルス食中毒専門委員会(平成19 年3 月15 日)
調
理
施
設
Link
内
従事者管理
原材料管理
点検
記録
点検
記録
点検
記録
点検
記録
・個人衛生
(家族からの感染対策)
・トイレ等の施設衛生
・手洗い
・設備・器具
・温度管理(加熱)
・汚染された食材
・食材間の接触
・食材の包装等の汚染
・食器・容器等の汚染
・配膳台などの汚染
調理工程管理
配膳・提供・返却管理
その他の感染リスク: 調理施設内へ施設関係者の出入り、汚染されたトレーやコップなど
器具等の出入りなど
○ 食材から加工などの調理作業だけでなく、配膳や施設内の関係者の出入りなど、すべて
の工程におけるノロウイルスの汚染リスクを洗い出して対応を図る。(調理従事者、調理施
設に立ち入る関係者、施設利用者など)
○ 工程ごとに管理項目を設定し管理状況を記録するなど適切なリスク管理を実施していく。
食品の調理における作業工程と管理項目(例)
調理作業工程で注意すべき作業のポイント
食品の種類分類
調理作業工程で注意すべき作業のポイント
①加熱工程がな
く提供される食
品
○すべての工程で手袋を使用することが必要
○手袋の破片等の異物混入に注意(カラー手袋の
使用)
②加熱後すぐ提
供される食品
加熱条件(二枚貝85℃ 1 分、その他75℃1分)の
遵守、①の食品との接触注意
③加熱調理後
に冷却し再加工
する等の複雑な
工程の調理食
品
加熱までの取扱は②に同じであり、加熱後の取扱
は①に同じである。このため、①,②の注意事項を
参考に対策を構築する。食品の混和・盛り付け時
には、複数の従事者が容器・食材に接触し汚染す
る可能性に注意が必要。
施設・器具等からの汚染防止
施設・器具等
注意すべき作業のポイント
食器・器具
○ 加熱が可能な食器等の85℃1 分間の加熱
○ 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度200ppm)への浸
漬又は清拭による消毒と清水での薬剤の除去
配膳台・容器
○ 調理施設内に搬入される、運搬器具・容器などの汚染リスク
の低減
○ 前室などの処理場を設置し、調理施設に直接搬入を行わな
い。次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度200ppm)への
浸漬又は清拭による消毒と清水での薬剤の除去
蛇口・シンク・
カラン・施設の
床・壁等
○ 蛇口・シンク・カラン等の汚染が危惧される部位を次亜塩素
酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度100ppm)で消毒
○ 調理作業終了後の洗浄の徹底
○ 体調不良者がいた場合、作業を中断し、洗浄消毒実施
トイレ・トイレの
ドアノブ等
○ 定期的な洗浄・次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度
100ppm)での消毒
○ 清掃用具の消毒
関係者等の協力と感染防止
施設・器具等
注意すべき作業のポイント
施設関係者等の体
調把握
○ 納品事業者、来客、入所者、患者、他の調理以外の作
業従事者などの体調不良者の把握
○ 調理従事者以外の関係者が、調理施設内を素手で触ら
ないように注意喚起する
施設内の感染症発
生状況の把握
○ 病棟・介護施設・学校の教室などにおける感染性胃腸炎
の流行状況の把握と調理従事者への注意喚起
組織内での情報共
有
○ 調理従事部門と施設管理部門による定期的な連絡会の
開催など、感染予防に向けた情報の共有化
施設内清掃(調理施
設・従業員トイレ)
○ 清掃従事者の健康状況の把握
○ 洗浄及び消毒の徹底
調理部門以外の関
係者の教育
○ 調理部門以外の関係者が調理施設内の汚染リスクとな
る場合があることの理解
○ トイレなどの衛生的な使用・管理
調理従事者の健康管理
項目
ポイント
日常の健康
管理
○ 家族等からのノロウイルス感染を防ぐため、同居家族の健康管理の徹底
○ 家庭内での手洗い、洗浄・消毒、適切な吐物処理
○ 流行期(11 月から3 月)に、生あるいは不十分な加熱の二枚貝など、汚
染のリスクのある食品の喫食に注意
○ 間食など調理施設以外で調理した食品を従業員同士で喫食することを避
ける
調理に従事す
る際の健康
チェック
○ 体調のチェックを始業時に義務付け、組織的に対応
○ 調理従事者全員で体調管理を実施
○ 流行期に感染の有無の確認検査の実施
○ 感染者の復帰時の確認検査の実施
体調不良者
の処遇
○ 感染が疑われる調理従事者は、配送や調理施設外の
清掃作業など、食品の調理作業以外の業務への従事を検討
調理作業へ
の復帰
○ 症状がなくなってから2 週間程度は、ノロウイルスを排出する場合があり、
調理作業への復帰は慎重に行うほか、手洗い・消毒を徹底する
○ 感染者の復帰時の確認検査の実施
○ CDC(米国疾病管理センター)では、発症後、症状がなくなってから3 日間
は調理作業を行わないとしている。
効果的な手洗いのタイミング
手洗いのタイミング
注意すべきポイント
始業時及び調理施
設に入るとき
○ 手指にノロウイルスが付着している可能性が高いと考
え、流水と石けんによる「手もみ洗い」を実施
トイレの用便後
○ 手洗いののちにヨード系消毒剤など消毒効果の高い薬
剤の使用によりリスクを低減
・ノロウイルスが手指を汚染する可能性が最も高い。
・感染者がトイレを利用した場合、設備内汚染の可能性
調理施設内で食材
を素手で触ったと
き、調理作業を変
更したとき
○ 手指の汚染リスク低減のため、入念な手洗いの実施
・二枚貝等ノロウイルスに汚染している可能性のある食材
・複数の調理従事者がいた場合、汚染リスクが高くなる
体調不良の調理従
事者がいたとき
○ 一時作業を中断し、設備等の洗浄消毒
○ 施設内の水栓や調理器具などがノロウイルスに汚染し
ている可能性があるため、調理従事者全員で手洗いを実施
効果的な手洗い実施のための方策
確認内容
ポイント
洗い残しや手洗い
の不徹底の防止
○ タイマー(1分計、30 秒計)を手洗い場に設置し、手洗い時間
の目安を設ける
○ 洗い残しやすい部位に関する情報をわかりやすく掲示
視覚的な確認法
○ 手洗いの視覚的な確認講習の実施
・ 蛍光染料と専用器具
・ 手指のATP 量の測定
・ 手形培地を用いた大腸菌群等の確認
従業員同士の確認
○ 手洗いの確認を複数の人で確認するなど、組織全体で手洗い
の徹底を行なう。
○ 髪をさわるなどの個人の癖を把握
調理従事者に対す
るノロウイルスの汚
染リスクの周知
○ 過去のノロウイルス食中毒の事例をもとに、調理工程やその
他の作業における汚染リスクを理解
○ ノロウイルスが少量で感染することの理解
効果的な手洗いに
ついての教育
○ 洗い残しやすい部位に関する情報の確認
○ 石けんと流水による「手もみ洗い」の効果の徹底
○ 消毒剤の効力と使用方法についての理解
汚れが残りやすいところ: • 指先や爪の間、• 指の間、• 親指の周り、• 手首、• 手のしわ
指の間を洗う
親指と手のひらをねじり洗いする
手首も忘れずに洗う
社会福祉施設等におけるノロウイルス対応標準マニュアル(第3版)
東京都福祉保健局 (平成18年1月)
おう吐物処理のマニュアル
(Link)
○○ホーム(例)
用意する物品:使い捨て手袋、マスク、ガウン、エプロン、ペーパータオル、ビ
ニール袋、0.1%次亜塩素酸ナトリウム、専用バケツ
汚染場所に関係者以外の人が近づかないよう注意し、窓を開ける。
使い捨ての手袋とマスク、エプロンを着用
おう吐物はペーパータオルで外側から内側に向けて、拭き取り面を折り込み
ながら静かに拭い取る。
使用したペーパータオルはすぐにビニール袋に入れ、封をして処分する
(ビニール袋に0.1%次亜塩素酸ナトリウムを入れて消毒)。
おう吐物が付着していた床等は周囲を含めて0.1%次亜塩素酸ナトリウムを
染み込ませたペーパータオルで浸すように拭く。使用したペーパータオルはビ
ニール袋に入れ、封をして上記と同じように処分する。
手袋をはずしてビニール袋に入れ、封をして上記と同じように処分する。手を
洗い、窓を閉める。
嘔吐物を処理した後48 時間は感染の有無に注意する。 嘔吐物の処理時とその後
は、大きく窓を開けるなどして換気し、換気設備がある場合には必ず運転する。
平常時の健康管理と感染予防策
職員の健康状態の把握
職員が施設外で感染症に感染する機会は、施設の入所者よりも多く、施設内へ感染症を
持ち込む原因の一つと考えられる。また利用者から職員へ、職員から利用者へと感染を
拡げる例が多く見られる。職員の健康状態を把握しておくことは、施設内における感染症
の発生予防にとても有効である。職員の健康診断の実施については、労働安全衛生法に
基づく検診だけで感染症を発見することは困難です。日々の朝礼や申し送りの機会に職
員の体調も確認してください。
区域管理
該当する場所
清潔
区域
汚染
区域
各区域での注意事項
調理室・調乳室、給
湯室
1.部屋に入る時には、石けんと流水で手を十分に洗う。
2.清潔な服装で作業をする。
3.汚れている物は、持ち込まない。
4.清潔区域にある物は、区域外に持ち出さない。
トイレ、手洗い場、
汚物処理室、ゴミ置
き場、洗濯室、ペット
飼育場
1.衣服が汚れる場合は、作業用のエプロン等をつける。
2.汚物、おう吐物の処理は手袋をつける。
3.作業終了後、ドアノブ等、手で触ったところは洗う。
4.作業終了後、必ず石けんと流水で手洗いを十分に行う。
5.清潔な物は持ち込まない。(手拭、テーブル拭き等)
6.汚染区域にある物は、区域外に持ち出さない。
施設の清潔・消毒
日常の清掃と定期的消毒
消毒箇所: 蛇口、ドアノブ、手すり等多数の人が触れる箇所。
● 0.02%次亜塩素酸ナトリウムに浸した布などで拭く。10 分後に水拭きする。
● 消毒箇所が85℃で1分以上になるように熱水、スチームクリーナー、スチーム
アイロン等を使用。ただし、材質の耐熱性を確認。
器具・機材の消毒
木製 プラスチック製
金属製
石けん液の中でよく洗う
石けん液を浸した布等でこすり洗いをする
水洗い
0.02%次亜塩素酸ナトリウムに漬
け込む又は浸すように拭く
10 分後に水洗い、乾燥
85℃以上のお湯に1 分以上浸ける
乾燥
二枚貝の加熱調理
カキ、アサリ、シジミなどの二枚貝
貝の中心部が85℃で1 分以上になるように加熱調理
【目安】
カキでは、85℃1分以上の加熱で内部が完全に固まる。
冷蔵のカキを使ったカキフライでは、180℃で2分間揚げると85℃で1分以上の
条件を満たすことができる。 連続して揚げるときや一度に大量に揚げるときは油
温の低下に注意が必要。
冷凍カキは条件が異なるので、調理時に中心温度を測定して、85℃で1分以
上になる加熱方法を確認することが必要。
【ポイント】
「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、食中毒全般を防止するため食品は
中心部が75℃で1分以上になるように加熱することになっている。 しかし、二枚
貝はノロウイルスの汚染率が高いので、ノロウイルスを確実に失活(殺菌)させる
ために中心部が85℃で1分以上になるよう加熱する。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎
東京都 (Link)
報道発表
17年3月3日
食中毒の発生について~介護老人保健施設でノロウイルスに
よる食中毒の発生~
17年2月25日
食中毒の発生について~保育園でノロウイルスによる食中毒
発生~
17年2月15日
食中毒の発生について~有料老人ホームでノロウイルスによる
食中毒発生~
17年1月16日
高齢者施設でノロウイルス感染の入所者が死亡
17年1月13日
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17年1月12日
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17年1月11日
感染性胃腸炎に注意!~ノロウイルスが原因とされる感染性
胃腸炎が多発~