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これは何でしょう?
CDCガイドラインのマークです
CDCガイドラインの基本構造
標準
接触
飛沫
空気
CDCガイドラインの基本構造
SP
CP
DP
AP
今日の講演
1. 簡単な歴史
2. 6つの改訂理由
3. まとめ
2001.9.11 同時多発テロ
2001.9.27 炭疽菌テロ
2003 SHEAガイドライン
2004.6 隔離予防策ドラフト
今日の話で大切な4つのガイドライン
2003年
103頁
76頁
4倍のボリューム!
194頁
新ガイドライン:6つの改訂理由
1. 医療の場のシフト
2. さまざまな病原体の出現
3. 標準予防策システムの継続、咳エチケット等
の追加
4. 防護環境に関する情報の蓄積
5. 医療安全と感染対策の関連性
6. 多剤耐性菌(MDRO)の増加
理由1 医療の場のシフト
• 初期急性期病院から他の医療現場(在宅医療、外来医療、
独立した専門医療現場、長期ケアなど)への医療提供の場
の移り変わりが、感染制御の一般的原則を用いて全ての医
療現場に適用できる勧告、かつ現場固有の必要性に応じて
修正できる勧告の必要性をもたらした。
• 更に、感染性微生物に曝露したり感染が成立した地理学的
場所を確定することの困難さを反映して、「院内感染」という
用語は「医療関連感染(HAI: healthcare associated
infection)」に取って代わられることになった。
医療提供の場のシフト
過去10年間で米国の医療提供の場は、
急性期病院から外来や社会をベースと
した様々な現場(在宅を含む)にシフトし
てきた。
原因:
医療コスト削減のため、入院期間の短縮(早期退院)
を図る
1.医療提供の場のシフト
急性期病院
Acute care hospital
長期療養型施設
Long-term care facility(LTCF)
クリニック Ambulatory care
在宅医療 Home care
長期療養型施設とは
long-term care facilities (LTCF)
有料老人ホーム
特別養護老人ホーム
療養型病院
ケアハウス
一般医(physician)受診率~病院・診療所別
7.6%
2.7%
CDC, National Ambulatory Medical Care Survey: 2000 Summary
外来におけるアウトブレイク事例
• 血液病原体(HBV,HCV,HIV)の集団感染事
例の全症例において、伝播は安全な注射手
技や無菌テクニックなどの基本的な感染制御
の原則を遵守していないことに関連していた。
• 外来での結核菌と麻疹の空気感染が報告さ
れており、救急外来で発生することが最も多
い
医療環境とCDCガイドライン
急性期病院
Acute care hospital
長期療養型病院
Long-term care facility(LTCF)
SP
SP
クリニック Ambulatory care
在宅医療 Home care
院内感染から医療関連感染へ
Guideline for Isolation
Precautions in Hospital(1996)
Guideline for Isolation
Precautions: Preventing
Transmission of Infectious Agents
in Healthcare Settings 2007
院内感染から医療関連感染へ
Nosocomial (Hospital) Infection
Healthcare-associated Infection
(HAI)
理由2 様々な病原体の出現
• 新しい病原体(SARS-CoV、ヒトのトリインフルエン
ザなど)の発生、
• 進化する既知の病原体(クロストリジウム・ディフィシ
レ、ノロウイルス、市中獲得MRSA)への継続する懸
念、
• 生物兵器による攻撃の脅威への増大する憂慮、
は、従来の隔離ガイドラインよりも更に広い範囲の問
題に言及しなければならない必要性をもたらした。
ガイドラインに新たに記載された主な病原体
疾患
感染経路
予防策
Clostridium difficile
接触
CP
多剤耐性菌
(MDRO)
接触
CP
サル痘
接触
CP, AP
プリオン
血液,経口
SP
SARS
接触、飛沫、空気
CP,DP,AP
ノロウイルス
接触、飛沫、空気
CP,DP,AP
新病原体とガイドライン
SP
CP
SARS
鳥インフルエンザ
ノロウイルス
DP
AP
SARS
SARS
鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザ
ノロウイルス
ノロウイルス
バイオテロ病原体(カテゴリーA)
疾患
感染経路
予防策
炭疽
接触、空気
SP,CP
ボツリヌス中毒
飛沫
SP
エボラ出血熱
接触、飛沫、空気?
CP,DP,AP
ペスト
飛沫
SP,DP
天然痘
飛沫、接触
CP,DP,AP
野兎病
飛沫、空気、経口
SP
バイオテロ病原体(カテゴリーA)
疾患
感染経路
予防策
炭疽
接触、空気
SP,CP
ボツリヌス中毒
飛沫
SP
エボラ出血熱
接触、飛沫、空気?
CP,DP,AP
ペスト
飛沫
SP,DP
天然痘
飛沫、接触
CP,DP,AP
野兎病
飛沫、空気、経口
SP
AP
空気感染の新分類
aerosol transmission
1. 絶対的 obligate
自然状態で、飛沫核の吸入によってのみ発症(結核)
small particle aerosols
2. 優先的 preferential
ふつうは複数の経路で感染するが、飛沫核が主な経路であ
る(水痘、麻疹)
3. 日和見的 opportunistic
ふつうは他の経路で感染するが、特殊な環境では飛沫核で感染する
(天然痘、SARS、インフルエンザ、ノロウイルス)
Roy CJ, Milton DK. N Engl J Med 2004
バイオテロ病原体(カテゴリーA)
• これらは環境に容易に拡散してヒトからヒトに
伝播する
• 高い死亡率を呈して公共の健康に大きな影
響を与える可能性がある
• 公共のパニックや社会的崩壊を引き起こすか
もしれない
• 公共の健康の備えに特別な活動を必要とす
る
バイオテロ対策法
1)曝露または感染した人を同定する
2)患者、医療従事者、面会者の間での伝播を防ぐ
3)多数の人々に治療、化学予防、ワクチンを提供する
4)環境を守る (これには十分な数のAIIRを確保するか、
使用可能なAIIRの数が不十分なときには患者のコ
ホートするための区域を指定する兵站学的な側面も
含んでいる)
5)適切な個人防護具の十分量を供給する
6)感染しているかもしれない患者をケアするのに適切
なスタッフを確認する (天然痘の患者をケアするた
めにワクチン接種された医療従事者など)。
バイオテロ対策=パンデミック対策
感染爆発
バイオテロ対策は、
パンデミック(新型インフルエンザ、
SARS)対策につながる
炭疽菌テロ訓練
鳥インフルエンザ訓練
理由3a 標準予防策システムの維持、
追加事項
• 1996年のガイドラインで初めて推奨された標
準予防策の成功経験は、全ての医療現場に
おける感染性微生物の伝播を予防するため
の基本として、このアプローチを再度肯定する
こととなった。
ドラフトでは
“拡大予防策”への変更理由
• 感染経路別予防策Transmission-based
Precautionsという用語は、拡大予防策Expanded
Precautionsに変更された。「標準予防策は感染
経路別アプローチtransmission-based approach
である」という矛盾をなくすために。
• 拡大予防策Expanded Precautionsという用語は、
伝播経路(接触、飛沫、空気)が標準予防策に
よって完全に遮断されないときに、伝播を防止
する追加的方法の必要性から、採用された。
DRAFT: Guideline for Isolation Precautions 2004
しかし、結局は変更されなかった
理由3b 標準予防策・感染経路別
予防策の維持、追加事項
• 標準予防策の勧告に新しく追加されたのは、
呼吸器衛生/咳エチケットおよび安全な注射
手技(脊柱管穿刺(例.脊髄造影、硬膜外麻酔)
などの特定のハイリスクな時間のかかる手技
を実施するときにはマスクを使用するなど)で
ある。
SP
標準予防策への追加事項
標準予防策への追加事項
SP
CP
DP
+咳エチケット
+安全な注射手技
+おもちゃ対策
+腰椎穿刺対策
AP
環境表面に触れない
•
医療ケアを提供している間は、清潔な手が
環境表面によって汚染することと、汚染した
手から環境表面に病原体が伝播することを
防ぐために、患者の近傍の表面に手を不必
要に触れないようにする
芽胞菌に対する手洗い
• 芽胞(クロストリジウム・ディフィシレや炭疽菌
など)に接触した可能性があるならば、非抗菌
性石鹸と水、または抗菌性石鹸と水にて手洗
いする。
• アルコール、クロルヘキシジン、ヨードホール、
他の殺菌薬は芽胞への活性が乏しいため、
そのような環境下では、手を洗ってすすぎ落
とす物理的作用が推奨される
SP
口、鼻、目の防御
飛沫が発生する手技(気管支鏡、気管吸
引など)を実施する場合(結核、SARS
患者は除く)、フェイスシールド、あるい
はマスク+ゴーグルを使用する
飛沫が発生する手技:気管吸引
台湾におけるSARSの流行2003
病院洗濯場の職員、42歳
4月12日発熱、下痢
4月16症状悪化 感染性腸炎と診断
され、抗生剤投与で解熱
4月18日息切れ 肺炎で入院
4月22日SARS-CoV陽性
4月29日死亡
*6日間で、1000人の患者・面会者
930人の職員が曝露
483人発症
60人死亡
咳エチケット
• 呼吸器衛生/咳エチケットの勧告の必要性は、
SARSコロナウイルス(SARS-CoV)の伝播に
関与したと考えられる呼吸器症状のある患者、
面会者、医療従事者に単純な感染源コント
ロールを実施しなかったSARSの集団感染の
期間での観察から生まれた。推奨される手技
は強い根拠を持っている。
咳エチケット
• 咳やくしゃみのときは口や鼻を手で覆う、できればティッシュを
使用し、適切に廃棄する、手に付いたら手を洗う
• 職員に対し、咳エチケットの教育をする。 とくにかぜの季節
には。
・ 受付や待合室で、咳エチケットを実行する
・ 玄関、エレベーター、カフェテリアに咳エチケットのポスター
を貼る
• ティッシュ、ゴミ箱、手洗い器、アルコール製剤を備え付けて
おく
• 風邪の季節には、咳をする患者にマスクを与え、待合室では
他の患者から1M離す
咳エチケット体制
ポスター
マスクの提供
咳のある人は
別に
手洗い・ゴミ
箱など
厚労省版
東北厚生局版
福岡記念病院版
鳥インフルエンザ流行時における
マスク着用の3原則
• 流行時にはサージカルマスクやN95マスクに頼るの
ではなく、人混みや濃厚接触を避ける。
• サージカルマスクは人混みに入るときに着用する。
他の人の咳から自分の鼻や口を守るとともに、他の
人に自分の咳が行かないようにするため。人混みに
いる時間はできるだけ少なくする。
• N95マスクは感染者との濃厚接触が避けられない
人が着用する。感染した家族をケアする人も含む。
CDC、2007
クリニックでのHCV感染
Private Physician’s office
ニューヨーク市、2001年
• 2001年3月、ニューヨークの開業医から、内視鏡後に7人の
HCV感染が起きたと、市の衛生局へ報告あり。
• 市の調査により9日間の間に、68人の内視鏡検査が行われ、そ
のうち12人がHCVに感染していたことがわかった。
• 12人の検査の3日前に一人の慢性HCV感染者が検査を受けて
いた。
• 開業(2000年1月)以来の検査患者を調査したところ、さらに7人
のHCV感染が見つかった。
• 調査により、内視鏡検査や生検手技には問題がなかった。
• しかし、共用された麻酔薬バイアルの汚染が原因になっていた
ことが判明した。
MMWR,2003.9.26
安全な注射手技
Safe Injection Practices
• 外来でB型肝炎やC型肝炎ウイルスの集団感
染が継続的に発生していることは、標準予防
策の一部として安全な注射手技の勧告を再
度繰り返すことの必要性を示した。
注射針、注射器、バイアルを共用しないこと
安全な注射手技
Safe Injection Practices
バイアルを共有しない=プレフィルドシリンジ
腰椎麻酔後のS.salivarius髄膜炎2例
(フランス・パリ)
• 2001年、膝関節鏡検査を受けた患者(9月)と半月
板手術を受けた患者(12月)が、Streptococcus
salivariusによる髄膜炎を発症した。
• 調査で、二人の患者は同じ麻酔科医から術前の腰
椎麻酔を受けていることがわかった。
• 麻酔科医は50歳、慢性気管支炎をもっていた。
• 麻酔するときに、マスクを正しく着用していなかった。
(鼻と口がしっかりと覆われてなかった)
安全な注射手技
Safe Injection Practices
サージカルマスクを着用すること
小児腫瘍病棟で多剤耐性緑膿菌のアウトブレ
イクが風呂場のおもちゃによって起きた
オーストラリア・メルボルンの王立
小児病院の小児腫瘍病棟で8人
の多剤耐性緑膿菌感染症が発生
した。環境調査より、風呂場のおも
ちゃから同じ遺伝子型の緑膿菌が
検出された。
Buttery JP, Pediatr Infect Dis J 1998
おもちゃ対策
テ
デ
ィ
ー
ベ
ア
×
毛皮のぬいぐるみ
容易に洗浄消毒できるもの
CP
接触予防策への追加事項
CP
環境に素手で触れない
• 手袋
患者の健常皮膚 または患者の直近の表面
や物(医療器具、ベッドレールなど) に触れる
ときには常に手袋を装着する。
CP
患者配置
patient placement
• 急性期病院では、個室に隔離する
• 個室が少ないときは:
– 伝播を促進する患者(排膿や失禁など)を優先する
– 同じ病原体の場合は集団隔離する
– 同じ病原体ではない患者がいる場合:
(a)免疫不全者とは同室にしない。
(b)ベッドを1m離す。 カーテン隔離する。
(c)患者のケアごとにPPEを変え、手洗いをする
• 長期療養型施設では、ケースバイケースで個
室隔離を検討する
• 診療所では、すぐに診察室に入れる
DP
飛沫予防策への追加事項
DP
患者配置
patient placement
• 急性期病院では、個室に隔離する
• 個室がないときは、咳や痰の多い患者を優先
する(あとは、コホーティング、カーテン隔離な
ど接触予防策と同じ)
• 長期療養型施設では、ケースバイケースで個
室隔離を検討する
• 診療所では、すぐに診察室に入れる。 患者
に咳エチケットに従うよう指導する。
DP
患者移送
Patient transport
• 急性期病院では、移送を制限する。
• どうしても必要なときは、マスクを着用させ、
咳エチケットに従う。患者を移送する人にマス
クは必要ではない
DP
飛沫の飛ぶ距離
• 新興病原体や強毒性病原体の可能性のある
ときは、飛沫の飛ぶ距離は2~3mを想定し
ておく
• 天然痘、SARS、鳥インフルエンザなど
AP
空気予防策への追加事項
AP
患者配置
patient placement
• 急性期病院・療養型施設では、空気感染隔離
室(AIIR)に入れる。
– 少なくとも1時間に6回から12回の換気を行う。
– 院外排気、できないときはHEPAフィルターを通して戻す。
– 毎日、スモークチューブなどで陰圧をチェックする。
– 入退室時以外はドアを閉めておく。
• AIIRがないときは、AIIRのある施設に転送する
スモークチューブ
AP
患者配置
patient placement
• 大量の患者が発生したとき:
(a)代用個室の安全性について専門家に相談する
(b)同じ病原体が考えられるときは集団隔離する
(c)換気扇を使って陰圧を作り出す
• 診療所では:トリアージシステムを作る。すぐにAIIRに
入れる。 AIIRがないときは患者にサージカルマスク
を着用させ、診察室に入れる。患者が去った後は、1
時間ほど部屋を空け、空気を入れ替える
代用隔離個室の作り方
alternative room
1. 換気扇で院外排気する
2. スモークチューブで陰圧を確認
職員の就業制限
• 感受性のある職員が病室に入ることを制限する
AP
PPEの使用
• 部屋に入るときはN95マスクを着用する。
• 麻疹や水痘に免疫のある職員が、麻疹、水痘、播種
性帯状疱疹患者のケアをするとき、PPEの使用につ
いての勧告はない。
患者の移送
• 急性期病院では、移送を制限する。どうしても必要な
ときは、サージカルマスクを着用させ、咳エチケットに
従う。皮膚病変・排膿病変はカバーする
理由4 防護環境
• 最も厳しい免疫不全患者(同種造血幹細胞移
植患者)における生命を脅かすような真菌感
染症の危険性は環境制御によって減少する
というエビデンスの蓄積が防護環境(PE:
Protective Environment)の構成要素につい
ての最新情報をもたらした。
PEの位置付け
SP
CP
DP
AP +PE
*PE=アスペルギルス対策、逆空気予防策
防護環境(PE)
~AIIRとの比較
2007
空気感染隔離室(AIIR)
– 少なくとも1時間に6回から12回の換気を行う。
– 院外排気、できないときはHEPAフィルターを通して
戻す。
– 毎日、スモークチューブなどで陰圧をチェックする。
– 入退室時以外はドアを閉めておく。
AIIRとPE
アスペルギルス
結核菌
結核菌患者
AIIR
同種造血幹細胞移植患者
PE
工事現場
AIIR
院内に戻すときは
院外排気
HEPAフィルター
換気回数6~12回/hr
陰圧設定
結核患者
PE
換気回数6~12回/hr
吸入口に
HEPAフィルター
同種造血幹細胞移植患者
N95マスク
陽圧設定
工事現場
PE
病室や廊下にはカー
詰め物をして布を張っ
ペットを敷かない
たような家具や服飾
品を置かない
花(新鮮またはドラ
イ)や鉢植え植物
を置かない
理由5 医療安全と感染対策の関連性
医療機関の特徴(看護スタッフの水準や構成、安全文
化の確立など)は医療従事者が感染制御手技の推
奨を遵守することに影響している。
それ故、医療機関の特徴は感染性微生物の伝播予防
における重要な要因であり、管理部門を感染制御プ
ログラムの発展とサポートに巻き込むことが新しい
強調点および勧告になった。
管理者の責任(1)
• 医療機関の患者安全および職業安全のプロ
グラムの目標に感染性微生物の伝播の予防
を取り入れる
勧告から
平成19年4月施行 改正医療法
管理者の責任(2)
• 感染性微生物の伝播の予防を医療機関の優
先事項にする。
• 感染制御プログラムを維持するために、財政
的および人的財源を含んだ管理的サポートを
提供する
勧告から
管理者の責任(3)
• 感染制御に関連した労働衛生に必要な人的および
財政上の資源を提供する(医療従事者のワクチン接
種、曝露後の評価とケア、伝染性感染症に罹患して
いる医療従事者の評価と処置など。
• 医療が提供される全ての区域において、標準予防
策を一貫して遵守するのに必要な供給品および器
具(手指衛生製品や個人防護具を含む)を提供する。
勧告から
感染制御職員の
病院管理への参加
• 患者の入室先や感染経路別予防策の指定に関する
感染管理上の決定の権限を、感染制御職員に委任す
る。
• 施設の建築やデザインの決定、AIIR(空気感染隔離
室)および防護環境の収容能力や環境評価の決定に
感染制御職員を含める。
• 医療器具・補給品の選択と使用後評価およびHAI(医
療関連感染)の危険性に影響する可能性のある業務
変更に感染制御職員を参加させる。
勧告から
医療従事者への教育
• 医療従事者の教育と訓練は、標準予防策と
感染経路別予防策の方針と処置が理解され
て実施されることを確保するために、不可欠
なものである。
• 医療施設では、標準予防策および感染経路
別予防策の教育と訓練がオリエンテーション
のときに提供されるのが通常であり、能力を
維持するために必要に応じて繰り返される。
患者、家族、面会者への教育
患者、家族、面会者は医療現場での感染症の
伝播予防のパートナーとなりうる。
標準予防策(特に手指衛生、呼吸器衛生/咳エ
チケット等)についての情報は、入院時の患
者用パンフレットに組み込んで良い。
感染経路別予防策についての追加情報は、そ
れが始まるときに提供されるのが最も良い。
病院建築と感染対策
“施設の建築やデザインの決定、AIIR(空気感
染隔離室)およびPE(防護環境)の決定など
に感染制御職員を含める”
つい“あの人”を思い出してしまう
ナイチンゲールの院内感染対策
前
後
病院がそなえておくべき第一の必要
条件は、 病院は病人に害を与えな
いことである
「病院覚え書」より
看護の第一の原則は、
患者が呼吸する空気を外気と同じく
清浄に保つことである
「看護覚え書」より
ある一つの病棟・病室の空気が、別の病棟・病室へと流
れていってはならず、できるだけ速やかに外気へと逃れ
出るべきで、と同時にそこへは外からの正常な空気が供
給されるべきである
「病院覚え書」
清潔ー清浄な空気と水、周囲をとりまく清潔な環境と雰囲
気一これらこそ、 「感染」に対する確かな安全装置である。
「看護婦の訓練と病人の看護」
ナイチンゲールが提案した病棟の設計図~「病院覚え書」
平
面
図
断
面
図
吸
入
口
ナイチンゲールは、
感染対策の目を
持った病院設計者
だった!
これからはこんな
人が必要になる!
理由6 多剤耐性菌(MDRO)の増加
すべての医療現場における多剤耐性菌
(MDRO: multidrug-resistant organism)によ
るHAIの継続的な増加、および
MDROの伝播予防に関する知識量の増大は、
様々なタイプの医療現場における、より的確な
勧告の必要性をもたらした。
SHEAの耐性菌対策(2003年)
急性期病院
MRSA
VRE
SHEA=米国医療感染学会
CDCガイドライン
SHEAガイドライン
急性期病院
MRSA
VRE
長期療養型施設
クリニック
ESBL
MDRP
在宅医療
MRDO対策
VS
CDC多剤耐性菌
対策ガイドライン
の構造
一般的対策
耐性菌が減らないときは
強化策
7つのカテゴリー
CDC多剤耐性菌対策ガイドラインの構造
カテゴリー
第1段階(一般的対策)
管理者の役割
**
教育
**
抗菌薬適正使用 感受性情報のフィードバック
サベイランス
**
感染対策
環境対策
除菌療法
SP+CP
**
なし
第2段階(強化策)
**
**
抗菌薬コントロール
積極的監視培養
(ASC)
新規入院中止
病棟閉鎖
除菌療法
保菌圧
colonization pressure
• 保菌または感染の患者数が増えることによる
伝播の可能性の増大
保菌率5%
伝播は少ない
保菌率50%
伝播は多い
保菌圧は伝播を促進する
“VRE伝播における保菌圧の役割”
VRE保菌率が50%を超えると、
手洗い・手袋は効果がない
弱
伝
播
力
弱
保菌圧
強
強
弱
選択圧
強
Bonten MJ, Arch Intern Med 1998
Cloud baby & Cloud adult
• MRSAなどを咽頭に保菌している小児/大人
が、ウイルス性上気道感染にかかったとき、
咳やくしゃみなどでMRSAなどを周囲4フィー
トに飛散させること
• 菌の雲cloud of bacteriaに覆われている
• “悪い保菌者” “危険な保菌者”
• MRSA飛沫・空気感染?
Einchenwald 1960
選択圧
selective pressure
• 抗菌薬使用によって作り出される
MRSA少ない
特養老人ホーム
療養型病院
抗菌薬使用少ない
選択圧低い
MRSA多い
急性期病院
抗菌薬使用多い
選択圧が耐性菌を生む
選択圧高い
多剤耐性菌対策の2段階戦略
標準予防策+接触予防策
①第1段階の一般的対策によっても、
耐性菌が減らないとき
②新規の耐性菌が出現・流行したとき
積極的監視培養(ASC)
除菌療法
新規入院の中止
病棟閉鎖
保菌圧対策
多剤耐性菌対策の2段階戦略
臨床医に感受性情報を流し、
抗菌薬の適正使用を支援する
①第1段階の一般的対策によっても、
耐性菌が減らないとき
②新規の耐性菌が出現・流行したとき
耐性菌に関連した抗菌薬の使用をコント
ロールする
選択圧対策
MDRO対策:まとめ
• 一般的対策→強化策という2段階戦略をとる
• これからの耐性菌対策は「保菌圧対策・選択
圧対策」という視点が必要である
• とくに、選択圧低下のために、抗菌薬の適正
使用、抗菌薬使用のコントロールが必要であ
る
Antibiotic Management
新発売!!
2520円
まとめ
1. 院内(病院)感染から医療関連感染へ
2. バイオテロ対策≒パンデミック対策
3. SPに咳エチケットが追加された。
咳エチケットと代用隔離個室はパンデミック対
策に重要
4. PEは逆APである
5. CDCガイドラインはナイチンゲールの
世界に接近
6. これからの耐性菌対策は、
保菌圧・選択圧対策