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平成20年10月5日 STAS-Jワークショップ札幌
在宅ホスピス緩和ケアにおける
STAS-J利用の取り組み
(医)拓海会 大阪北ホームケアクリニック
白山 宏人
・様々な科(呼吸器、消化器、循環器)の医師
・担当医として関わるが、他の医師も定期診療
・訪問看護やケアマネ等は地域の事業所に依頼
→顔を知らないスタッフと看取りまでケアも
・約120名の在宅患者の診療
→うちがん患者約20名を常時診療
・年間約90名ほどの在宅での看取り
→うちがん患者は70名弱
院外や院内のスタッフと
いかに情報共有を行い
ケアの質を高めていくか
【院内での連携】
医師
(担当医)
看護師
医師
兵庫県
京都府
看護師
患者・家族
医師
豊中市・吹田市
大阪府
ヘルパー
在宅医療の専門診療所
新大阪に拠点
医師
看護師
【院外での連携】
ケア
マネジャー
訪問
入浴
大阪市
北部
院内スタッフ
との連携体制
看護師
患者・家族
奈良県
大阪府北部のベッドタウン(人口100万人)
診療エリア半径約10km(車で30分以内)
薬剤師
訪問看護
当院医師
地域スタッフ
との連携体制
STAS-Jの当院での利用目的
• 院内や地域で多職種が関わる際の物差し
→それぞれの立場や環境で話し合うツール
• 評価結果を元にそれぞれの視点で意見交換
→なぜ変化が無いか?
各職種の気づきを集める
• ホスピス緩和ケアの質向上ための記録
→患者・家族を支えるための振り返り
今回提示の患者状況
演者が平成17年1月~平成20年7月に死亡又は直前まで関った
がん患者154名(男性96名、女性58名)を対象。
看取り場所 在宅死:116名(男性:70名、女性:46名)
病院死: 38名(男性:26名、女性:12名)
平均診療期間:35.8日
(在宅死:40.4日 病院死:36.3日)
【検討内容】
・154名の依頼時の状況、看取り場所希望別での状況をSTAS-Jで評価。
・15日以上在宅診療を行った100名(在宅死75名、病院死25名)について、
開始時から死亡時までを下記の時期にSTAS-Jで評価し経過について検討。
1.診療開始時、2.診療開始後1週間前後、3.看取り直前又は再入院時
その他
7%
91日以上
8%
泌尿器系
5%
7日以内
19%
61~90日
13%
婦人科系
8%
消化器系
53%
呼吸器系
27%
当院依頼患者の診療期間
依頼患者の内訳
胃癌 :27%
大腸癌:28%
食道癌:8%
肝胆膵:37%
8~14日
15%
31~60日
14%
7名
15~30日
依頼時のSTAS-J結果(154名)
100%
80%
苦痛緩和
80%を占める
60%
苦痛緩和 :53%
緊急時対処:8%
医療処置 :13%
介護
:26%
40%
20%
0%
疼痛
STAS評価
が2以上
疼痛以外
患者不安
0
家族不安
1
患者病状理解 家族病状理解 患者と家族の関係
2
3
問題解決が不十分な状況での依頼が多い
4
介護意欲とSTAS-J評価(154名)
3
2.5
2
1.5
1
0.5
未定
病院死希望
患者と
家族の
関係
関
の
族
家
と
者
患
在宅死希望
係
解
家
族
病
状
理
状
病
患
者
族
家
家族
病状理解
理
解
安
家族不安 患者
病状理解
不
安
患者不安
不
患
者
以
疼痛以外
の症状
痛
疼痛
疼
疼
痛
外
0
STAS-Jの推移・症状評価結果
経過中についての評価は、15日以上診療を行った100名で評価を行った。
STAS-J疼痛評価
STAS-J疼痛以外の症状評価
P<0.001
2.5
2.5
P<0.005
2
2
1.5
1.5
1
1
0.5
0.5
0
0
開始前
開始後
終末期
在宅死 病院死
0:なし
1:時折または断続的な単一の痛みで患者が今以上の治療を必要としない。
2:中程度の痛み。時に調子の悪い日もある。日常生活動作に支障をきたす。
3:しばしばひどい痛みがある。痛みにより日常生活や集中力に著しく支障。
4:持続的な耐えられない激しい痛み。他のことを考えることができない。
開始前
開始後
終末期
在宅死 病院死
0:なし
1:時折または断続的な症状があるが、患者が今以上の治療を必要としない。
2:中程度の症状。時に調子の悪い日もある。日常生活動作に支障をきたす。
3:度々強い症状みがある。症状により日常生活や集中力に著しく支障。
4:持続的な耐えられない激しい症状。他のことを考えることができない。
STAS-Jの推移・不安評価結果
STAS-J家族の不安評価
STAS-J患者の不安評価
P<0.001
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
P<0.001
3
2.5
2
1.5
1
0.5
開始前
開始後
終末期
0
開始前
在宅死 病院死
0:なし
1:変化を気にしている。身体や行動に不安兆候はなし。集中力影響なし。
2:張り詰めた気持ちで過ごしている。身体や行動に不安兆候あり。
3:しばしば不安あり。身体や行動にその兆候あり。集中力に著しい支障。
4:持続的に不安や心配があり。他のことを考えることができない。
開始後
在宅死 病院死
終末期
0:なし
1:変化を気にしている。身体や行動に不安兆候はなし。集中力影響なし。
2:張り詰めた気持ちで過ごしている。身体や行動に不安兆候あり。
3:しばしば不安あり。身体や行動にその兆候あり。集中力に著しい支障。
4:持続的に不安や心配があり。他のことを考えることができない。
STAS-Jの推移・病状理解評価結果
STAS-J家族病状理解の評価
STAS-J患者病状理解の評価
2.5
P<0.001
2.5
2
2
1.5
1.5
1
1
0.5
0.5
0
0
開始前
開始後
終末期
在宅死 病院死
0:予後について十分に認識している。
1:予後を2倍まで長くまたは短く見積もっている。
2:回復することや長生きすることに自信が持てない。「近々死ぬかも」
3:非現実的に考えている。近い将来、元の生活に戻れると考える。
4:完全に回復すると期待している。
P<0.001
開始前
開始後
終末期
在宅死 病院死
0:予後について十分に認識している。
1:予後を2倍まで長くまたは短く見積もっている。
2:回復することや長生きすることに自信が持てない。「近々死ぬかも」
3:非現実的に考えている。近い将来、元の生活に戻れると考える。
4:完全に回復すると期待している。
STAS-Jの推移・医療者と家族及び
職種間のコミュニケーション評価結果
STAS-J患者・家族と医療者の関係
1.5
STAS-J職種間の関係
1.5
有意差無し
P<0.001
1
1
0.5
0.5
0
0
開始直後
終末期
在宅死 病院死
0:すべての情報他提供され、患者・家族が気兼ねなく尋ねる事ができている。
1:情報は提供されているが、充分理解はされていない。
2:要求に応じて情報提供はあるが、患者・家族はそれ以上の情報を希望。
3:言い逃れをしたり、実際の状況や質問を避けたりする。
4:質問への回答を避けたり、断る。正確な情報が与えられていない。
開始直後
終末期
在宅死 病院死
0:正確かつ詳細な情報がその日のうちに関係スタッフに伝わる。
1:主要スタッフ間では正確な情報伝達あるが、他とは遅れる。
2:小さな変更は伝達されない。主要スタッフ間でも重要な変更が1日遅れる。
3:重要な変更が数日から1週間遅れで伝達される。
4:情報伝達が1週間以上遅れるか、全くない。関係スタッフを知らない。
STAS-Jの推移 患者と家族の
コミュニケーション評価結果
STAS-J患者と家族の関係
P<0.001
2.5
2
1.5
1
0.5
0
開始前
開始後
在宅死
終末期
病院死
0:率直かつ誠実なコミュニケーションが、言語的・非言語的になされている。
1:時々、または家族の誰かと率直なコミュニケーションがなされている。
2:状況を認識しているが、その事について話し合いがなされていない。患者も家族も現状に満足していない。パートナー以外と話し合っていない。
3:状況認識が一致せずコミュニケーションがうまくいかないため、気を使いながら会話が行われている。
4:うわべだけのコミュニケーションがなされている。
ホスピスからの依頼時の状況
在宅死割合
在宅期間
診療回数
ホスピス (11名)
91%
44日
0.33回/日
急性期病院(143名)
74%
38日
0.44回/日
3
依頼時は既に問題点解決が図られ、良好な連携が取れた結果と結論
2,5
2
1,5
1
0,5
0
疼痛
疼痛以外
患者不安
家族不安
ホスピス
患者病状理解
急性期病院
家族病状理解
患者と家族の関係
大阪府吹田市での試み
アンケート結果(22名)
急性期病院
施設ホスピス
退
院
シ
ス
テ
ム
適切な医療情報の提供
適切な症状緩和
適切な時期での患者紹介
後方支援
自宅で看取れない、介護できない
患者に対する看取りの場の提供
専門チームとしての緩和医療
レスパイトケア
退院時の評価ツール
調剤薬局
訪問看護
ステーション
リハビリ
(一部抜粋)
・初めて知った:88%
・問題点がわかりやすい:88%
・連携に使いやすそう:62%
後
方
支
援
患者・家族
在宅療養
支援診療所
ケア
マネジャー
協働診療
ヘルパー
共通言語による連携強化
→在宅医と勉強会
在宅療養
支援診療所
訪問入浴
市民
行政
まとめ
• 在宅ホスピス緩和ケアの実施にあたって、問題点
解決の目安として有用であった
• 問題点の解決は自宅で最期まで過ごす要因になる
と考えられる
• 地域連携の目安としても有用と考えられる
• 決して数値の改善に執着するのではなく、
患者や家族の生活を支えるための一つの目安と
していきたい