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蓄積イオンビームのトラップからの引き出し 分子イオンを振動基底状態にそろえて衝突解離実験を 行う 課題 ・ 引き出したビームの量 → 衝突解離実験に十分な量か? ・ 引き出したビームの径 → 衝突解離実験に必要とされる径か? 静電型イオンビームトラップについての参考は T. Ota, M. Saito, A. Yokota, and Y. Haruyama Japanese Journal of Applied Physics, 45 (2006) 5263 イオントラップの概要 VM VM イオンの入射方向 Field free 入口 出口 250 VL L=500mm VL 1. 出口側電極をONにする - イオンは入口側に跳ね返る 2. 次に、入り口側電極をONにする - イオンはトラップ内を往復運動する 3. 出口側電極をOFFにする - トラップされたイオンが取り出される 静電型イオントラップの電極構造 Field free領域 500mm イオントラップの外観 500mm 400 l / sec TMP 蓄積イオンの寿命 蓄積されているイオン数の減少は、トラップ から逃れてくる中性粒子数に反映 NC (t ) ec v t t t I t dt N C t 一定時間 t の間に生じる中性粒子数 残留ガスの原子数密度 ec v I t p0 トラップ内の 残留ガス真 空度 1電子捕獲断面積 蓄積イオンの速度 時刻t における蓄積イオン数 蓄積イオン数が1/eになる時間(τ) を蓄積されているイオンの寿命と してトラップ性能を評価 反射電極:1870 V レンズ電圧:1130 V イオン種:1.2keV-Ar+ イオン引き出し実験セットアップ セットアップの外観 45°分析電磁石 MCP-PSD トラップ 90°デフレクタ MCP 実験パラメータ 分子解離実験に用いるHD+イオンを模擬 入射ビーム: 入射ビーム量: 1.2 keV Ar + ビーム 4 nA (DC)ビーム のパルス化 パルス幅 10 ms 繰り返し 20 Hz 蓄積(冷却)時間: 10 ms ~100 ms 反射電極電圧 1870 V(第1電極) レンズ電圧 1130 V トラップ真空度 5×10-9 Torr 結果1 蓄積イオンビームの取り出し 5 10 入射直後のイオン からの中性粒子 4 Intensity (arb. unit) 10 取り出された イオンビーム 蓄積中のイオン からの中性粒子 3 10 2 10 1 10 この瞬間 入口電圧ON この瞬間 出口電圧OFF 0 10 0 2 4 6 Time (ms) 8 10 12 デフレクタを動作させずに、トラップより出てくる粒子数すべてを出口正面のMCPで測定 20Hzの繰り返しパルスで引き出されるイオンビーム 4 Counts (arb. unit) Intensity 10 3 10 2 10 1 10 0 10 0 100 200 300 400 Time (ms) 500 600 700 結果 20 counts / 1 pulse × 20 pulse / s = 400 cps パルス周波数を100Hz近くまであげることが可能 → 2000cps 実験2 引き出しビームの径 600 :X軸に対する射影の積分値 デフレクターでエネルギー 分析後、MCP位置検出器 (MCP-PSD)で測定 :fitting 500 Counts 400 300 200 100 0 -6 -4 -2 0 2 4 6 X coordinate (mm) 600 :Y軸に対する射影の積分値 :fitting 500 Counts 400 300 200 100 0 -6 -4 -2 0 2 Y coordinate (mm) 4 6 図はビームの検出位置 毎の計数を、水平(X) 方向と鉛直(Y)方向に 射影した値を示す。径は 半値幅で約4 mm、 1/10幅で約7 mm であることがわかる。 まとめ 引き出しイオンビーム量を測定した パルス周波数を100Hz近くまであげることで 2000 cpsの蓄積イオンを1.2keV イオンビーム として取り出すことができる。これは、目的の 分子イオン解離実験が可能なビーム量である。 引き出しイオンビーム径を測定した 半値幅で約4 mm、1/10幅で約7 mmである。 課題 分子イオン解離実験の分解能に必要なビーム径は 最大で 1 mm ほどであり、ビーム量から考えると スリットでコリメートする方法は取れない。 デフレクタ下流に集束レンズの必要性 京都府立大学応用物理学研究室 研究内容のページに戻る