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金属アセチリド錯体の光および熱分解を用いた
金属ナノ粒子1次元配列の作成
分子科学研究所
西條純一,西信之
ナノ粒子の1次元配列
・ナノ構造の基本要素
・伝導・光学特性・エネルギー移動などへの興味
フォトニック結晶としての光伝達,非線形光学効果,
量子ドット,単電子トランジスタ,表面プラズモンを
介したエネルギー移動等
主な作成法
・ナノ粒子間の相互作用による自己集積
・基板等の1次元構造への集積
・通常行われる基板等の1次元構造への集積の模式図
基板のステップエッジなどへの集積
CNTなどのワイヤ上への集積
利点:粒径のそろった粒子の集合体が容易にできる
問題点
・欠陥・過剰集積が起きやすい
過剰集積
欠陥
逆側からの発想:
元から1次元であるナノワイヤの
ナノ粒子列への変換
分解(還元)
UV
Heat
etc.
金属錯体ナノワイヤ 金属ナノ粒子列
(還元性の配位子)
・元が1次元であるため,確実に1次元化
・過剰集積部分や粒子のいない欠陥部分は存在しない
原料である錯体に要求される特質
1. 金属イオンと,還元性を持つ配位子からなる
→ 金属ナノ粒子の析出のため
2. 異方的な結晶構造
→ ナノワイヤ化するため
3. できれば配位子は重合してほしい
→ ワイヤ形状を強固に保つ
1,3はまさに金属アセチリド錯体(M-C≡C-R)の特徴
異方性の強いアセチリド錯体は何かないか?
実証に最適な錯体:金属フェニルアセチリド
非常に異方的であると考えられている結晶構造
Ag-C≡C-Ph (左) and Cu-C≡C-Ph (右)
(粉末X線より推定されている結晶構造)
S. S. Y. Chui et al., Chem. Eur. J., 2005, 1739
作成直後のM-C≡C-Ph結晶
Ag-C≡C-Ph ナノロッド
100 nm × 1 m
Cu-C≡C-Ph ナノワイヤ
30 nm × 数 m
Ag-C≡C-Ph → 1次元配列の原料としては太く短いため,
再結晶によりナノワイヤ化を目指す
Ag-C≡C-Phナノロッドの再結晶
Ag-C≡C-Ph: 溶媒に不溶で,再結晶は出来ないといわれている
→ 可溶な錯体に変換・再重合することで再結晶
溶媒で希釈
再結晶によりナノワイヤを作ることの利点:
再結晶条件により結晶サイズ=ワイヤ径を変えることができる
再結晶後のAg-C≡C-Ph結晶
希釈溶媒:EtOH
平均ワイヤ径:39 nm
希釈溶媒:2ーPrOH
平均ワイヤ径:70 nm
・再結晶によりナノワイヤ化
・ワイヤ径は溶媒によりコントロール可能
再結晶溶媒とAg-C≡C-Phワイヤ径との関係
40
20
0
40
1-BuOH
94 ± 12 nm
2-PrOH
70 ± 13 nm
Counts of nanowires
20
0
80
60
CH3CN
40
53 ± 11 nm
20
0
60
40
EtOH
39 ± 11 nm
20
0
80
60
40
MeOH
32 ± 7.5 nm
20
0
20 30 40 50 60 70 80 90 100110120
Diameter / nm
・極性の高い溶媒ほど細い傾向
・30-100 nm程度の間で制御可
・Cu-C≡C-Phの場合
・四核錯体の溶解度が高く,液滴状の高濃度溶媒として分散後に
急速に析出するため,ボール状のナノロッド集合体として析出
→ 現時点では再結晶せずそのままナノワイヤとして使用
Ag-C≡C-Phナノワイヤの分解による
ナノ粒子1次元集合体の作成
・熱・光のいずれでもナノ粒子の1次元集合体を作成可能
・粒子径は紫外光照射時間である程度の制御が可能
さらに高温での加熱
・高温での加熱では分解後に有機物が融解するためナノ粒子
が拡散してしまうが,光照射と組み合わせることで粒子を1次元
配列として基板上に固定することが可能
Ag-C≡C-PhのUV照射による
UV-VISスペクトルの変化
Ag 220
Ag 200
200
100
3h
Ag 311
Ag 111
300
Intensity / counts
Absorbance (arb. unit)
3h
15 min
0 min
Ag-C≡C-PhのUV照射による
XRDパターンの変化
0h
200
400
600
Wavelength
800
0
30
40
50
60
2 / deg
析出しているのは確かに銀ナノ粒子
70
80
Ag-C≡C-PhのUV照射による電気伝導度の変化
Resistivity / cm
1010
109
108
UV off
7
10
106
0
50
100 150 200 250 300
t / min
・粒子の成長に伴い抵抗率は単調に減少
Cu-C≡C-Phナノワイヤの分解による
ナノ粒子1次元集合体の作成
・光による分解は非常に進みにくい
(光伝導性でエネルギーが分散されることによると思われる)
・長時間の加熱では,粒子同士が融合していく
(原子が銀より小さく軽いため動きやすいため)
Cu-C≡C-Phの加熱による電気伝導度の変化
Resistivity / cm
1011
1010
粒子の融合過程
109
粒子の析出過程
108
107
0
100
200
300
400
t / min
・Ag-C≡C-Phの場合と異なり,抵抗率は二段階で落ち込む
→ 粒子の析出と融合
ここまでのまとめ
・ナノワイヤの分解により,欠陥や過剰集積のない
1次元ナノ粒子集合体が作成可能なことを実証
・Ag-C≡C-Ph
ワイヤ径と粒子径を制御した1次元ナノ粒子列
UV/熱を組み合わせ,ナノ粒子列を基板上に固定
・Cu-C≡C-Ph
熱分解によりナノ粒子列を生成
ナノ粒子は1次元的に融合する傾向がある
・配位子が有機物: 置換基などで修飾した配位子を用いることで,
ワイヤーの形状を変えられるはず
・Ag-C≡C-Ph-tBu:さらに径の細いワイヤ(15-20 nm前後)
・Ag-C≡C-Ph-Me3:さらに径の太いワイヤ(100-500 nm 前後)
拡張:
配位子を変えることでの構造の制御
・Ag-C≡C-Ph-nBu:溶媒に可溶なワイヤ(径は30-80 nm前後)
Ag-C≡C-Ph-4-Me: 特異な形状
Ag-C≡C-Ph-Meの再結晶によるヘリカルリボン生成
EtOH
EtOH
1-BuOH
・EtOH,1-BuOHからの再結晶でらせん状にねじれたリボン
・らせんのピッチはリボン幅が広いほど長い
Ag-C≡C-Ph-Me:再結晶溶媒を変えるとナノワイヤに
1-PrOHから再結晶
UV/VIS
7
0.25
ナノワイヤ
ヘリカルリボン
0.2
0.15
0.1
0.05
0
200 300 400 500 600 700 800
 / nm
・ピーク位置は全く変わらない
Intensity / 1000 counts
Absorbance / arb. unit
0.35
0.3
XRD
ナノワイヤ
ヘリカルリボン
6
5
4
3
2
1
0
0
5 10 15 20 25 30 35 40
2 / deg
・ピーク位置は全く変わらない
・リボンは高角で顕著に弱く
光照射によるナノ粒子集合体への変換
UV 3h
2 m
らせん形状を保ったまま,ナノ粒子の集合体へ変換可能
まとめ
Ag-C≡C-Ph-Meは再結晶でヘリカルリボン状の構造に
・らせん構造を保ったままナノ粒子集合体へ変換可能
・再結晶溶媒によりワイヤ/ヘリカルリボンと外形が変化
・UV-VIS,XRDともワイヤ/リボンでほとんど変化はない
→ 局所的な構造はワイヤ/リボンとも同じ
何故ナノリボンがねじれるのか?
UV/VIS
7
0.25
ナノワイヤ
ヘリカルリボン
0.2
0.15
0.1
0.05
0
200 300 400 500 600 700 800
 / nm
Intensity / 1000 counts
Absorbance / arb. unit
0.35
0.3
XRD
ナノワイヤ
ヘリカルリボン
6
5
4
3
2
1
0
0
5 10 15 20 25 30 35 40
2 / deg
・リボンは高角で顕著に弱く
→ 多数の格子欠陥?
Ag-C≡C-Ph-Me構造モデル
(単純に配位子を置き換え)
methyl基の立体障害
CH-相互作用等
ねじる方向の力の存在
反転対称のない空間群(P21)とあいまって
歪みは協調的に1方向ねじれを引き起こそうとする
結晶中に欠陥が多いと,容易にねじれて
らせん構造をとるのでは?
Ag-C≡C-Ph-3-Me 1-PrOH
Ag-C≡C-Ph-3-Me
2-PrOH
Ag-C≡C-Ph-4-Et
1-BuOH
リボン幅とらせんのピッチとの関係
ハーフピッチ / μm
12
8
4
0
再結晶溶媒
1-BuOH
EtOH
0
0.5
1
リボン幅 / μm
1.5
・リボン幅の増加に伴い,ピッチも単調に増加