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集積回路
9.スケーリング則と低消費電力設計
松澤 昭
2004年 9月
2004年 9月
新大VLSI工学
1
集積回路
1. VLSIとは?
2.VLSIの設計から製造まで
3. MOSトランジスタとCMOS論理回路
4.メモリー回路
5. アナログCMOS回路
6. 回路・レイアウト設計
7. 論理設計とテスト
8. アナログ・デジタル混載集積回路
9. スケーリング則と低消費電力化設計
10.システムLSIとVLSIの今後
2004年 9月
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2
CMOS論理回路
CMOS論理回路は他の論理回路(たとえばECL)などと異なり、基本的
に定常電流が流れない。したがって基本的に低消費電力回路である。
高速動作のために定常電流を増やす必要がないので実質的には高速
化も可能である。
論理回路
IN
・動作
OUT
CMOSでの実現
VinがGNDの時はPMOSがON, NMOSがオフ。電流Idspが流れて負荷
容量CLを充電し、出力電圧は上昇する。出力電圧がVddまで達すると
PMOSのVds=0になり電流は遮断される。
VinがVddのNMOSがON, PMOSがオフ。電流Idsnが流れて負荷容量
CLを放電し、出力電圧は下降する。出力電圧がGNDまで達すると
NMOSのVds=0になり電流は遮断される。
Vdd
OUT
Vdd
Vin
Idsp
Vout
Vdd
IN
GND
Idsn
2004年 9月
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CL
GND
3
動作速度
どんなデバイスでも動作速度は論理電圧と駆動電流、容量の関係で決まる。
遅延時間を短縮するには
・容量を下げる
・論理しきい値電圧を下げる
・出力電流を増加させる
Vo
Io
CL
pd
C L V LT
Io
真性の微細化CMOSの場合は
C L Cg C ox LW
Io
Q ch WC
Vo
VLT
I o Q ch
t
Tpd
ox
(V dd V T )
V dd
Q ch v sat WC
ox
(V dd V T ) v sat
L
T pd
L
1
VT
2 v sat
1
V dd
VT/Vdd比を一定に取れればチャネル長Lに比例して遅延時間を短縮できる
2004年 9月
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4
消費電力
CMOS回路の消費電力
Vdd
P d fC L V dd I leak V dd
2
容量のスイッチング電力
CL
これは従来あまり大きくなかった
今後は影響が大きい
消費電力を下げる
・動作周波数を下げる
・容量を下げる
・電源電圧を下げる
CMOS回路の優れたところ
・定常電流が流れない
・駆動電流を上げて速度を上げても消費電力は増加しない
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5
LSI技術の黄金則:スケーリング則
スケーリング則はLSIの黄金則である
L
W
tox
Scaling
Device/Circuit parameter
Scaling Factor
Device dimensions L, W, Tox
1/S
Doping concentration
S~S1.5
Voltage
1/S
Field
1
Current
1/S
Gate Delay
1/S
Power dissipation/device
1/S3~ 1/S2
S
2
動作電圧も1/Sにする
微細化・低電圧化により、
・高密度化(低コスト)
・高速化
・低消費電力
が同時に達成される
R. H. Dennard, et al., IEEE, JSC, SC-9, p.256, 1974.
不純物濃度を上げるのは空乏層厚を下げるためである。
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6
スケーリング則の検証
・遅延時間
pd
・規格化消費電力=消費エネルギー
C L V ds
P d fC L V dd
2
I ds
T pd
T pd
E d C L V dd (消費エネルギー)
2
S
C L C gs
I ds
W
T ox
(V dd V T ) v sat
T ox
V dd
LW
L W
S S
Tox
S
1
W
S V dd
Tox
(1
S
S
2
S
E d C L V dd
2
VT
1
S
) v sat
S
V dd
S
V dd
C L V dd
1
3
S S
S
スケールファクターの3乗に反比例する。
しかし実際は配線容量があまり下がらないので
S2程度になる。
S
T pd
T pd
S
2004年 9月
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7
CMOS回路の速度と消費電力
• CMOS回路の速度と消費電力
–
–
–
–
–
2004年 9月
電源電圧・しきい値電圧と回路の速度
電源電圧制御
しきい値電圧とリーク電流
リーク電流対策回路
回路ブロックと消費電力
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8
CMOS回路の消費電力
Pd Pt f C V
2
dd
ローパワー化には各項の低減が必要
充放電電力の低減手法
要素
貫通電流
リーク電流
充放電電流
手法
トレードオフ要因
スイッチング確率
pt
グリッジ低減
設計の煩雑さ増大
ゲーティドクロック
開発TAT
動作周波数
f
回路の並列化
チップ面積の増大
微細化
メモリ空間の階層化
CL
負荷容量
CL
スイッチィング
時に発生
CMOS回路の電流成分
2004年 9月
トランジスタのサイジング
パストランジスタロジック
設計の煩雑さ増大
する場合あり
動作スピードは改善
ダイナミック回路
電源電圧
Vdd
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DC-DCコンバータ
2電源最適設計
動作スピードの劣化
9
トランジスタサイジング
配線容量などの負荷容量を駆動する場合は駆動用トランジスタの
ゲート幅が小さければ消費電力は小さいが遅延時間は長い。
逆にゲート幅が大きければ遅延時間は短いが消費電力は大きい。
バランスを考えると[負荷容量=ゲート容量]あたりが最適である。
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CMOS回路の遅延時間
T pd C
V dd
V dd
遅延時間の短縮:
α
VT
α=1.3~1.5
動作スピード
*MOSの飽和電流式
I dsat μ C ox
Td
Q
I
W
L
V dd
・負荷容量の低減
・電源電圧の増大
・しきい値電圧の低減
α
VT
CV dd
I dsat
遅延は負荷容量の充放電速度で決まる
Vdd
Td
P fCV
2
dd
消費電力の抑制
には電源電圧の
低減が効果的
GND
T pd C
V dd
V dd
VT
α
動作スピードは劣化
閾値電圧の近傍で
急激に遅延増大
電源電圧と同時に閾値電圧スケーリング必要
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等速度を与える電源電圧としきい値電圧
しきい値電圧を下げることで電源電圧を下げて消費電力を低減しながら速度を維持できる
最大動作周波数(任意)
A
0.15
A
0.3
(V dd=3.0V, VT=0.75V)
しきい値電圧(V)
0.45
0.6
同一速度
消費電力1/4
0.75
0.95
1.1
1.25
B
1.4
B
1.55
(V dd=1.5V, VT=0.1V )
電源電圧(V)
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電源電圧の制御
動作速度に応じて電源電圧を変化させればより低消費電力になる
*消費電力
遅延に応じて動作周波数も変えた場合
Pd
1
Td
CV dd V dd V dd V T
2
消費電力と動作スピードの関係
1.6
α
1.4
動作周波数も下がることで
Vddの2乗以上のローパワー効果
2
E Pd T d CV dd
処理に必要なエネルギー
処理時間に制約がなければ
Vdd下げるほど省エネルギー
P=f・c・3.3
2
P
Vt=0.5V
1
Vdd一定
0.8
周波数f変更
0.6
2
2
P=( 3 f)・c・2.5
T
Vt=0.25V
Vdd変更
0.4
Deadline
P
T
消費電力(a.u.)
*エネルギー
1.2
周波数f一定
Vdd、f
0.2
とも変更
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
動作スピード(a.u.)
2004年 9月
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1.2
1.4
13
リーク電流問題
I leak W 10
V T
S
VTを下げるとリーク電流は指数的に増大
リーク電流を考慮した消費電力
2
Pd fCV dd I 0W 10
V T
S
リーク電力が
支配的
V dd
リーク電力の急増
*サブスレショルド領域の電流 V
I ds I 0W 10
gs
V T
S
a.u.
Io:Vt=0Vのときのドレイン電流
s:Vgs-Ids特性の傾きの逆数
s=80~100mV
W:オフTrのトータルゲート幅
Ileak = Ids at Vgs=0V
低電圧での遅延抑制のための低Vt化で
リーク電力が指数関数的に増大
→ 電力が増え逆効果
適切な閾値電圧の設定が必要
2004年 9月
5.5
5
4.5
消
4
費
3.5
電
3
力
0.1
2.5
(
0.2
2
1.5
0.3
)
1
0.4
0.5
0
閾値電圧
0.5
4
3.23.6
(V)
2.8
2.4
0.6
1.6 2
1.2
0.8
電源電圧(V)充放電電力
*Vdd=3.3V、Vt=0.5Vが基準
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が支配的
14
微細化による遅延時間の増大
微細化によりかえって遅延時間が増大してきた
内部電源電圧 [V]
1V
1.2V
1.5V
2.5V
1.8V
5V
3V
100
高Vt
オフ電流一定
遅延時間 [相対値]
50
Vt 一定
10
中Vt
5
低Vt
Vt/VDD一定
0.1
Vtスケーリング
寄生効果で
遅延増加
0.2
0.3
0.5
1.0
プロセス世代[μm]
2004年 9月
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15
消費電力の危機
高速CPUの消費電力は100W (1V, 100A!!)を超えようとしている。
更にリーク電流が急激に上昇している。まさに消費電力の危機である。
Power consumption (W)
1000
100
Dynamic current
10
1
0.1
Leak current
0.01
0.001
‘60
‘70
‘80
‘90
2000
‘10
高速CPUの消費電力
2004年 9月
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16
リーク電流対策回路
今後の0.1um, 1V時代ではそのままでは使えない
VddB
H VT
LV T
VddA
制御回路
LV T
LV T
LV T
LV T
VssA
H VT
VssB
(a) MTCMOS
・スイッチで回路を遮断する
・スタンバイ回路が別に必要
・低電圧では使用しにくい
2004年 9月
VddA
VddA
LV T
LV T
VddB
VddB
VssA
VssA
VssB
VssB
LV T
(b) EVTCMOS
・スイッチとバックゲートの併用
・微細TRでは十分なバックゲートが困難
・低電圧では使用しにくい
・ゲートリークが遮断できない
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(c) VTCMOS
・バックゲート印加でVTを上げる
・微細TRでは効果が減少
・ゲートリークが遮断できない
17
回路ブロック毎の電力消費
どの回路が消費電力が大きいかはLSIの種類によって異なる。
低消費電力化設計はこの分析から始まる。
I/O
I/O
Memory
Clock
MPU1
Clock
Memory
Logic
I/O
MPU2
Logic
Clock
Clock
ASSP1
ASSP2
I/O
Memory
Logic
Memory
Logic
2004年 9月
新大VLSI工学
18
Power reduction: Example
Power dissipation can be reduced to 1/10
Clock circuit consumes power of 75% of total Pd in this LSI.
Power consumption (A.U)
F/F reduction
Gated CLK
100
80
60
Clock
75
1/2
30.5
40 Interconnect
20
0
2004年 9月
Volt. lowering
3.0V->1.5V
Cap. Lowering
(0.6)
18
7
Macro
13
6.5
1/5
8
3
1
2
1.7
3
0.35um
0.35um
0. 18um
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19
DRAM混載による低消費電力化
外付けDRAMはI/O部分で電力を消費する。(内蔵メモリーの100倍程度)
DRAM混載にするとこの部分の消費電力が大幅に削減できる。
高速信号はチップ外に出してはいけない!
DRAM
Separate
chips
DRAM on a
chip
DRAM - logic891mW
interface
Logic &
memory
VT
VT
Speech codec
16Mbit
DRAM
240mW
Host
I/F
Multiplexer
DRAM
I/F
Power
70% power reduction by DRAM embedding alone
Courtesy Toshiba, ISSCC 2000
2004年 9月
MPEG4 codec
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MPEG-4 Video
Cam
DisplayPreCodec
PLL
I/F I/F filter
VT
VT
20
低電力LSIアーキテクチャ
• 低電力LSIアーキテクチャ
–
–
–
–
2004年 9月
電力効率の良い高速処理LSIの設計シナリオ
演算器の改良
クロックゲーティング
電源電圧制御
新大VLSI工学
21
電力効率の良い高速処理LSIのシナリオ
クロック当たりの処理量を増やし、クロック周波数と電源電圧を下げるのが基本
2004年 9月
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22
マイクロプロセッサー
マイクロプロセッサーの処理では命令がメモリーから読み出されALUの論理機能を変える。
次にデータがメモリーから読み出され、ALUで論理処理されて、メモリーに返される。
特徴
課題
・ソフトを変えることで殆ど全ての論理処理が実現できる
・ハードは機能・用途にかかわらず共通である
・クロックに同期して動作し、基本的に1クロックで1処理行う
・メモリーからデータを読み出し、処理し、メモリーに返す
・処理速度を上げるにはクロック周波数を上げる必要がある
・データが負荷容量の大きなバスを通る
→動作周波数の割には処理量が少なく消費電力が大きい
2004年 9月
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23
パイプライン動作と並列動作による低消費電力化
クロックあたりの演算処理量を上げる方法
2004年 9月
新大VLSI工学
24
LSIアーキテクチャによる演算速度と消費電力差
LSIアーキテクチャにより消費電力/演算速度は3桁の違いがある!!
Clock frequency (MHz)
# of operations/clock
Operating speed (GOPS)
Pd (mW)
Pd (mW)
CPU
DSP
450
50
25
2
16
96
0.9
0.8
2.4
7000
110
12
7800
138
5
Operating speed (GOPS)
Dedicated LSI
Pd/GOPS: 3 orders
2004年 9月
新大VLSI工学
25
演算器の改良
・ベクトル演算ユニット:ある一定の長さの信号(ベクトル信号)に一連の処理を行う場合は
メモリからの信号を連続的に送り出して高速演算・低電力演算が可能になる。
・専用ALU:差分処理などの特定の演算が多い回路では通常のALUにこのような専用演算器を追加すると
高速・低電力演算が可能になる。
2004年 9月
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26
MPEG4 LSIの構成
DSPに各種ビデオコーディック専用回路を付加させた
VCE (Video Codec Engines)
ME
LM
VLC
LM
VLD
LM
DCT
IDCT
PAD
LM
PNR
Programmable DSP
Inst.
DSP Core
Mem
Data
Mem
CAD
LM
COMP
HIF
(Host I/F)
MIF (Memory I/F)
DRAM
(2Mb)
Main Sub Graph.
DRAM
(2Mb)
Filter
DRAM
(16Mb)
VPU(Video Processing Unit)
Video Input
2004年 9月
Video Output
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27
Performance for Core Decoding
画像Codecでは専用演算器を設けて演算処理速度を向上できる。
Decoding Performance : 5fps
HW Engine
Software
CAD
6.1%
PAD
26.5%
6.8%
COMP
63%
Texture
Decoding
Kcycles
0
5
WITH the Engines
Core@L1
Decoding
40
WITHOUT the Engines
24%
0
2004年 9月
20fps
Mcycles
100
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200
28
クロックゲーティングの効果
使用しない回路へのクロックを停止するとこで大幅な低電力化が可能
The Effect of Clock Gating
Clock Gating
40%
Non Clock Gating
100
0
300 [mW]
200
The Effect of Core Engines
WITH the Core Engines
37%
WITHOUT the Core Engines
100
0
DSP
2004年 9月
VCE
(Core)
300 [mW]
200
VCE
(not Core)
VPU
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MIF
DRAM
PAD
29
電源電圧制御
Vdd固定ではクロック周波数を下げたときに消費電力は比例でしか変化しないが
遅くても良い処理の場合はクロック周波数を下げるとともにVddも下げる。
こうすると大幅に消費電力が低減できる。
Energy consumption is
proportional to
the square of VDD.
VDD should be lowered
to the minimum level
which ensures
the real-time operation.
2004年 9月
Normalized energy
1.0
0.8
Variable Vdd
Fixed Vdd
0.6
0.4
0.2
0.0
0.0
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Long channel
(a=2)
Short channel
(a=1.3)
0.2
0.4
0.6
0.8
Normalized workload
1.0
30
電圧ホッピング
リアルタイム画像エンコードを電圧ホッピングにより電力1/10を達成
MPEG-4 video encoding
0.16
Normalized Power P/PFIX
0.14
0.12
0.10
RVH: 2 levels (f,f/2)
RVH : 3 levels (f,f/2,f/3)
RVH : 4 levels (f,f/2,f/3,f/4)
RVH : infinite levels
post-simulation analysis
0.08
0.06
0.04
VDD
0.02
0.00
0.0
SH-4
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
Transition Delay TTD (ms)
S.Lee and T.Sakurai, “Run-time Power Control Scheme Using Software Feedback Loop
for Low-Power Real-time Applications,”ASPDAC'00, A5.2, pp.381~pp.386, Jan. 2000.
S.Lee and T.Sakurai, “Run-time Voltage Hopping for Low-power Real-time Systems,”
DAC'00, June 2000.
2004年 9月
新大VLSI工学
VDD
Modified
Clock
SH-4
Clock
31
Vddによるリーク電流制御
電源電圧Vddを高くするとDIBL効果によりVTが下がりリーク電流が多くなる。
そこで、遅くても良い回路ブロックのVddを下げることによりリーク電流を下げることができる。
1
Normalized power
Source
Changing VDD alone
0.8
Surface
potential
0.6
VDS
0.4
PDYNAMIC
0.2
Super-linear
PLEAK (without DIBL)
PLEAK (with DIBL)
0
0
0.5
1
Normalized speed
2004年 9月
Drain
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s=0.1V/decade
VTH/VDD,MAX=0.15
32
今後のLSIの姿
今後のLSIはVdd, VT, クロック周波数fclkなど全てのパラメータを制御するようになるだろう。
LSI
Vdd制御
VT制御
(バックゲート)
LSIコア
fclk制御
2004年 9月
新大VLSI工学
33
配線設計
• 配線設計
–
–
–
–
–
2004年 9月
配線による信号遅延
配線スケーリング
リピーターバッファーの挿入
階層化設計
配線のパラメータと速度
新大VLSI工学
34
配線問題
配線は高速化・低消費電力化の大敵である。
また、微細デバイスを接続するには微細配線が必要である。
距離
配線
駆動デバイス
・配線によって生じること
・信号の遅延
・信号の減衰
・波形の変形
・電力の消費
・電磁波の輻射
2004年 9月
受信デバイス
高速化・低消費電力化
・配線抵抗を下げる
・誘電率を下げる
しかし、いずれも限界がある
短い配線で接続できるようにすることが重要
新大VLSI工学
35
配線遅延時間
配線遅延時間は配線の抵抗と容量の積に比例する
Length: X
Ro
Cin
Vs
Ru
Lu
Cu
Lu is negligible when L
T pd C u R u X
2
2004年 9月
R
2 . 2 r o C in R u XC in r o C u X
T pd RC 2 . 2r o C in
Wire delay
このような単位回路の分布定数回路
Gate delay
新大VLSI工学
R R uX
C C uX
桜井のワイアーロードモデル
T. Sakurai, IEEE, JSC, SC-18, No.4, p. 418, 1983.
36
配線容量
容量は寸法比で与えられるため、微細化で縮小することは困難である。
低誘電率化が低容量化に最も効果がある。
Wire
d w
h
H
配線ピッチを縮めると線間容量が増加
配線ピッチを緩めると対地容量が増加
→最適なピッチがある
→単に横方向を微細化しても容量は減らない
Other Metal or bulk
0 . 22
h
w
Ctot ox 2 . 80
1 . 15
H
H
0 . 22
h
h
w
0 . 03
0 . 07
0 . 83
H
H
H
1 . 34
d
H
容量値は寸法比で与えられ、絶対的な大きさに依存しない。
J. M. Rabaey, “Digital Integrated Circuits”, pp. 445
2004年 9月
新大VLSI工学
37
配線のスケーリング
配線のスケーリングは極めて困難である。
・ローカル配線:
RC遅延はスケーリングに対して一定
・グローバル配線: RC遅延はスケーリングに対してむしろ増加
更にチップサイズの増加がこれに拍車をかけている
Tdrc will increase at 2x or 3x for one generation
ローカル配線の容量は低下しているが、これは
配線長短縮の効果で、単位長さ当たりの容量は一定
P a ra m e te rs
S: Device scaling factor
Sc: Chip size scaling factor
L o ca l
G lo b a l
L
1 /S
Sc
W, d
1 /S
1 /S
H, h
1 /S
1 /S
R
S
S 2S c
C
1 /S
Sc
1
(S S c ) 2
L
d
R
C
w
h
H
T d (= R C )
2004年 9月
新大VLSI工学
38
ゲート遅延と配線遅延
ゲート遅延は減少しているが配線遅延は増加している。
500
Delay time (ps)
Interconnection delay
100
Gate delay
50
0.2
0.4
0.6
Design Rule (um)
2004年 9月
新大VLSI工学
0.8
1
T. Mogami
“LP & HS LSI Circuit & Technology”
pp. 547-560, Realize Inc. 1998.
39
リーピーターバッファーの挿入
配線長の2乗に比例して遅延時間が増大するので、バッファーを入れて
配線長を短くすると、ゲート遅延が増加しても全体の遅延時間を短縮できる
ro
RuX
Tpd1
CuX
ro
2
X
2
T pd 2 R u C u
Cin
RuX/n
CuX/n
T pd 1 R u C u X
Tpd2
ro RuX/n
n
Cin
CuX/n
T pd 2
T pd 1
リピータバッファの挿入
2
min
n
x
2 . 2nr o C in
R uC u
2 . 2r o C in
2 . 2r o C in
R uC uX
2 . 2r o C in
2
2
Gate delay
Wire dely
最適数での遅延時間比
n(バッファー数)
2004年 9月
新大VLSI工学
40
Technology roadmap
グローバル配線遅延はたとえ、リピータバッファを入れても微細化とともに増大する。
Insertion of repeater
ITRS 2001 Edition, pp. 261.
Global
Global w/ repeater
T pdl R u C u X
2
Repeater
buffer
Local
Gate
RC
T pdr T gate
RC
2
T pdr T pdl
2004年 9月
新大VLSI工学
41
配線の高速化と消費電力
リピーターバッファーを増やして配線遅延を減少させることで高速化を図ろうとすると消費電力
が急増する。限度を超えた高速化は消費電力の大敵である。
Normalized power
1
0.9
0.8
Super-linear
0.7
0.9
0.95
1
Normalized speed
(by changing the number & size of repeaters)
2004年 9月
新大VLSI工学
42
配線長分布
短い配線は多く、長い配線は少ない。
階層的な多層配線技術の導入
Interconnect Density Function
106
105
Theoretical Curve
104
103
L = (142,742)1/2 = 377 [gate pitch]
Actual Data
102
101
Lower layer: high density (Hi RC)
Upper layer: low density (Lo RC)
Chip length L
Number of gate N=142,742
p = 0.8
k = 5.0
100
10-1
1
10
100
1000
Interconnect Length [Unit in Gate Pitch]
Davis, De, and Meindl, IEEE ED-45(3) 580 (1998)
2004年 9月
新大VLSI工学
43
LSIのレイアウトと配線構造
LSIでは回路が階層化されており、これに伴って使用する配線も異なる。
ローカル配線: セル内のトランジスタノードの接続。 高密度、短い配線長
グローバル配線: マクロブロック間の接続。 低密度 低抵抗 長い配線長
LSI
Global
マクロブロック
Intermediate
ゲート
(スタセル)
ブロック
2004年 9月
Semi-global
新大VLSI工学
44
階層配線
Current LSI technology uses hierarchical interconnection structure.
Global interconnection uses thicker and wider metals.
2x to 3x
ITRS 2001 Edition, pp. 262.
2004年 9月
新大VLSI工学
45
現在のSoC用多層配線
Current LSI uses hierarchical Cu interconnection technology,
however the parameter ratio between Global and local is small.
Ratio: 2x
2004年 9月
新大VLSI工学
46
配線の検討
Local
Global
Above chip
Module
PWB
C (fF/mm)
349
254
90
163
113
Rsq(Ohm/mm)
455
227
100
0.01
0.005
RC (ps/mm)
159
57.7
9.02
0.0016
0.00057
L (nH/mm)
----
----
----
1.05
0.47
W (um)
0.22
0.44
1
60
100
h (um)
0.34
0.34
1
60
35
d (um)
0.20
0.40
1
60
100
H (um)
0.79
0.79
3.02
3000
180
2004年 9月
新大VLSI工学
47
Maximum operating frequency (Hz)
配線の種類による動作周波数限界
100G
Module
(1Clock)
Local
(1/4 clock)
Module
(1/4 Clock)
10G
LC
barrier
Delay condition
1G
PWB
Local
100M
Attenuation
condition
Global
Above chip
10M
0.1
1
10
100
Wire length (mm)
2004年 9月
新大VLSI工学
48
Maximum operating frequency (Hz)
リピーターバッファの効果
100G
Above chip
10G
2
Global
4
Buffer inserted
(tpd=20ps)
4
5
1G
9
9
11
Local
14
100M
Non-inserted
15
10M
0.1
1
10
100
Wire length (mm)
2004年 9月
新大VLSI工学
49
参考文献
[References]
[1] K. Ueda, T. Sugimura, et. al., "A 16-bit Digital Signal Processor with Specially Arranged MultiplyAccumulator for Low Power Consumption," IEICE Transaction, Vol. E78-C, No.12, pp.1709-1716, 1995.
[2] K. Honma and O. Kato, "Trends of research and development in Europe and America, " Journal of The
IEICE, Vol.78, no.2, pp.173-178, 1995.
[3] H. Kabuo, M. Okamoto, et. al., "An 80 MOPS-Peak High-Speed and Low-Power-Consumption 16-bit
Digital Signal Processor, " IEEE JSSC, Vol. 31, No. 4, pp.494-503, 1996.
[4] A. P. Chandrakasan, S. Sheng, et. al., "Low-power CMOS digital design," IEEE JSSC, Vol. 27, No. 4,
pp.473-484, 1992.
[5] I. Verbauwhede and M. Touriguian, "Low Power DSP Engine for Wireless Communications," Journal of
VLSI Signal Processing 18, pp.177-186, 1998.
[6] N. Nakajima, H. Shibata, et al., "Baseband System LSI for Cellular Mobile Telephone, "
Matsushita Technical Journal, pp.46-52, 1999.
[7] M. Okamoto K. Stone, et. al., "A High Performance DSP Architecture for Next Generation Mobile Phone
Systems," IEEE DSP Workshop,1998.
[8] T. Ishikawa, H. Suzuki, et al., "W-CDMA hardware-related issues, " IEEE ICCT,1998.
[9] S. Kurohmaru, M. Matsuo, et. al., "A MPEG4 Programmable Codec DSP with an Embedded Pre/Postprocessing Engine, " IEEE CICC,1999.
2004年 9月
新大VLSI工学
50
参考文献
• J.M. Rabaey and M . Pedram, “Low Power Design Methodologies,”
Kuluwer.
• K. Roy and S.C. Prasad, “Low-Power CMOS VLSI Circuit Design,”
Wiley-interscience.
• 「低電力LSIの技術白書」日経BP
• 桜井貴康監修 「低消費電力、高速LSI技術」 リアライズ社
• T. Hashimoto, et al., “A 90mW MPEG4 Video Codec LSI with the
Capability for Core Profile,” ISSCC 2001, 9.1.
2004年 9月
新大VLSI工学
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