中小企業の場合

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平成20年度中小企業関係税制改正
参考資料
平成19年10月18日
【目
次】
Ⅰ.中小企業の現状と課題
Ⅱ.中小企業の事業承継円滑化に向けた具体的な施策展開
ⅰ.非上場株式等に係る事業承継税制の抜本的拡充(税制改正要望)
ⅱ.後継者問題等への対応(予算要求・財投要望)
14
17
Ⅲ.中小企業の生産性向上・成長の底上げ
1.中小企業を始めとするIT投資の促進
2.少額減価償却資産特例の延長
3.研究開発投資の促進
4.人材投資の促進
5.創業5年以内の中小企業者に対する欠損金の繰戻還付措置の延長
6.企業再生税制の特例措置を受ける私的整理の要件の緩和
21
26
27
31
34
35
中小企業の現状と課題
1.中小企業の位置づけ
中小企業は、我が国434万企業のうち99.7%を占める。
従業者数・付加価値額(製造業)においてもそれぞれ7割以上、5割以上を占める。
企業数(433.8万社)
大企業
約1.2万社
0.3%
中小企業
約432.6万社
99.7%
従業者数
(3,955万人)
製造業付加価値額
(102兆円)
大企業
約1,147万人
29%
中小企業
約2,809万人
71%
大企業
約44兆円
43%
中小企業
約58兆円
57%
中小企業の定義/製造業:資本金3億円以下又は従業者数300人以下
卸売業:資本金1億円以下又は従業者数100人以下
小売業:資本金5千万円以下又は従業者数50人以下
サービス業:資本金5千万円以下又は従業者数100人以下
経済産業省 2004「工業統計表」
総務省 2004「事業所・企業統計調査」再編加工
2
2.中小企業の回復の遅れ
○大企業と比較して、中小企業は景況感、利益率でともに回復に遅れが見られる。
資本金規模別売上高経常利益率
日銀短観における中小企業業況判断DI(前期比季節調整値)
1千万円未満
1億円未満
1億円以上
5%
30
大企業
22
20
中小企業
製造業
6
全産業
▲2
10
0
▲ 10
4%
3%
非製造業
▲7
▲ 20
2%
▲ 30
1%
▲ 40
▲ 50
0%
▲ 60
▲ 70
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
(年期)
-1%
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
(年度)
3
3.中小企業の生産性向上の必要性
○諸外国と比較して、我が国の労働生産性は低い。特に中小企業の生産性向上が課題。
中小企業の労働生産性の推移
1975年=100
労働生産性水準の国際比較(2005年)
240
米国
100
労働生産性水準の国際比較(2005年)
220
100
米国
ユーロ圏
87
180
87
ユーロ圏
英国
83
160
140
83
英国
200
120
(注)米国=100とする。
(注)米国=100とする。
(資料)財務省「法人企業統計年報」
(出所)07年4月6日 内閣府経済財政諮問会議提出資料
(出所)07年4月6日
内閣府経済財政諮問会議提出資料
(備考)労働生産性=付加価値額/従業員数(中小企業:資本金1億円未満)
2005年
2003年
2001年
1999年
1997年
1995年
1993年
1991年
1989年
1987年
1985年
1983年
1981年
71
1979年
71
日本
日本
100
1977年
75
OECD平均
1975年
75
OECD平均
4
4.中小企業の軽減税率について
道府県民税・市町村民税均等割
中小企業に対する法人税(国税)の軽減税率の推移
道府県民税
均等割
(年額)
資本金
適用事業年度
軽減税率
(%)
軽減税率が適用される
所得区分
基本税率
(%)
S41.1以降開始
28
年300万円以下
35
S45.5以降終了
〃
〃
36.75
S49.5〃
〃
年600万円以下
40
S50.5〃
〃
年700万円以下
〃
S56.4〃
30
年800万円以下
42
S59.4〃
31
〃
43.3
S62.4〃
30
〃
42
H1.4以降開始
29
〃
40
H2.4〃
28
〃
37.5
H10.4〃
25
〃
34.5
H11.4〃
22
〃
30
市町村民税均等割(年額)
同一市町村内の従業員数
50人以下
50人超
1千万円以下
2万円
5万円
12万円
1千万円超1億円以下
5万円
13万円
15万円
1億円超10億円以下
13万円
16万円
40万円
10億円超50億円以下
54万円
41万円
175万円
50億円超
80万円
41万円
300万円
中小企業に課される法人事業税
・付加価値割及び資本割は課されない
・所得割:年所得400万円以下
5.0%
年所得4~800万円以下 7.3%
年所得800万円超
9.6%
(注)軽減税率の資本金要件:1億円以下
(参考)資本金1億円超の一般法人
・付加価値割:付加価値額の0.48%
・資本割:資本等の金額の0.2%
・所得割:年所得400万円以下
3.8%
年所得4~800万円以下 5.5%
年所得800万円超
7.2%
(出所)日本の税制、産業税制ハンドブック
5
5.特殊支配同族会社の役員給与の損金算入制限措置の見直し
平成18年度税制改正において、個人で事業を行っている者の節税目的の法人設立を抑制する
観点から、実質一人会社(特殊支配同族会社)の役員給与について、損金算入制限措置が導入さ
れた。中小零細企業への配慮から適用除外措置も設けられたが、中小企業の活性化の観点から、
適用除外基準を大幅に引き上げ、従前の2倍の1,600万円にする等の見直しを行った。
平成19年度税制改正の概要
<対象法人>
同族関係者(同一内容の議決権行使に同意している者を含
む)1グループで株式等90%以上を保有、かつ、常務に従
事する役員のうち同族関係者が過半数
<損金算入制限措置の概要>
実質一人会社(特殊支配同族会社)
法人段階
<損金算入制限措置>
<適用除外>
①基準所得(課税所得+オーナー役員給与)800万円以下
①基準所得(課税所得+オーナー役員給与)
1,600万円以下(平成19年度から)
②基準所得(課税所得+オーナー役員給与)が3,000万円
以下、かつ、オーナー役員給与が基準所得の1/2以下
オーナー段階
個人事業
経費
オーナー役員(業務主宰役員)給与につき、個人段階で利用
可能な給与所得控除相当分だけ法人段階で損金不算入
「業務主宰役員」「常務に従事する役員」の定義、持
株等による判定における 「同一内容の議決権行使
に同意している者」について国税庁通達等で明確化
個人事業者
益
金
オ
ー
ナ
役ー
員へ
給の
与
法
人
所
得
経費
給与所得控除
損
金
給
与
所
得
課
税
所
得
課
税
所
得
イコール
フッティング
=
(平成18年度税制改正)
「経費の二重控除」=給与
所得控除相当部分の損金
算入を法人段階で制限
事
業
所
得
課
税
所
得
6.中小企業者の税収に占める役割について(平成17年度分)
資本金階級別の法人税額(平成17年分)
欠損法人(67.1%)
法人数
(258.1万社)
利益計上法人(32.9%)
資本金1億円以上
2.0万社
0.8%(2.3%)
資本金1億円未満
82.9万社
32.1%(97.6%)
173.1万社
資本金100億円以上
763社
0.03%(0.1%)
法人税額
(10.8兆円)
資本金1億円未満
3.6兆円
33.3%
資本金1億円以上
3.4兆円
31.8%
資本金100億円以上
3.8兆円
34.8%
資本金1億円以上:66.6%
※平成17年2月1日から平成18年1月31日までの間に終了した事業年度についての計数であり、
「税務統計から見た法人企業の実態(平成17年分)」(国税庁)による。
※国税庁統計が調査対象法人について、資本金階級別・業種別等に一定の抽出率で標本法人を抽出し、
税務署に提出された対象事業年度分の法人税の確定申告書等に基づいて調査したもの
所得税収に占める事業者の役割
税収
(単位:億円)
営業等所得者
申告分
農業所得者
その他所得者
源泉分
割合
5,218
3.3%
200
0.1%
21,315
13.6%
129,558
82.9%
156,291
(出所)「税務統計から見た申告所得税の実態(平成17年分)」(国税庁)による。
7
7.欠損法人割合の推移
(出所)政府税調資料
8
8.企業数・開廃業率の推移
○開業率が廃業率を下回る状況が続いており、企業数の減少には歯止めがかかっていない。
①企業数の推移
②開廃業率の推移
(万)
560
全企業数
540
( %)
うち中小企業数(1981年以降のみ)
528.0
525.8
7 .0
開業率
6 .1
535.1 532.7
5 .9
523.4
520
6 .0
5 .9
5 .6
520.4
510.3 507.3
5 .0
4 .5
4 .3
495.9
500
廃業率
3 .8
485.1 483.7
4 .0
4 .0
3 .8
3 .6
480
470.3 469.0
463.0
3 .5
3 .2
4 .0
3 .1
3 .5
3 .0
460
2 .7
433.8 432.6
440
2 .0
420
1 .0
400
0 .0
75
78
81
資料:総務省「事業所・企業統計調査」再編加工
86
91
96
99
01
04 (年)
7 5 ~7 8
7 8 ~8 1
8 1 ~8 6
8 6 ~9 1
9 1 ~9 6
資料:総務省「事業所・企業統計調査」
(注)1.1991年までは「事業所統計調査」、1994年は「事業所名簿整備調査」として行われた。
2.図①における中小企業の範囲は以下の通り
・1996年以前は常用雇用者300人以下(卸売業は100人以下、小売業、飲食店、サービス業は50人以下)、又は資本金1億円以下(卸売業は
3,000万円以下、小売業、飲食店、サービス業は1,000万円以下)
・1999年以降は常用雇用者300人以下(卸売業、サービス業は100人以下、小売業、飲食店は50人以下)、又は資本金3億円以下(卸売業は1
億円以下、小売業、飲食店、サービス業は5,000万円以下)の企業を中小企業とする。
9 6 ~9 9
9 9 ~0 1
0 1 ~0 4
( 年)
9
9.日本及び欧米主要国の開廃業率
○我が国と異なり、開業率・廃業率がともに10%以上の高水準で推移し、かつ開業率が廃業率を上
回る傾向にある。
日本
アメリカ
イギリス
フランス
ドイツ
[単位:件]
167,681
579,756
175,888
273,084
443,600
開業率(A)
3.5%
10.5%
10.9%
11.6%
15.7%
年間退出企業数
[単位:件]
289,731
553,620
166,132
248,250
廃業率(B)
6.1%
10.0%
10.3%
n.a.
(A)-(B)
▲2.6%
+0.5%
+0.6%
n.a.
データ採取年
2001年~2004年の平均
年間参入企業数
(出典)
中小企業庁「中小企業白書
(2006年版)」
1997年~2002年の平均 1995年~1999年の平均
(財)中小企業総合研究
機構訳編「アメリカ中小企
業白書2005」
(データを再編加工)
352,200
(
※
)
1995~2000年の平均
(退出は1990~98の概
算)
12.6%
+3.1%
1997~2000年の平均
(財)中小企業総合研究機構訳編「ヨーロッパ中小企業白書2002」
※フランスのデータ元である、全国統計経済研究所(INSEE)では、退出の申告が強制
化されていないことから、企業廃業についての正確な数値は不在。退出数についての
み、別の調査(90‐98)のデータを踏まえて補正算出。
日本・アメリカの開業率・廃業率は、所定の期間内に参入・退出した企業数(年平均値)を、期首(日本:2001年、アメリカ:1997年)の企業数で除して算出。
また、イギリス・フランス・ドイツの開業率・廃業率は、各年ごとに、参入企業数、退出企業数を前年度末の企業数で除し、当該数値の平均値として算出。
10
10.中小企業経営者の高齢化と承継方法の変化
○近年、中小企業経営者の高齢化が進展する中、特に親族内における後継者の確保はますま
す困難に。
○2006年版中小企業白書によれば、年間29万社の廃業のうち、後継者不在を第一の理由とす
る廃業が約7万社、雇用の喪失は毎年20万~35万人に上ると推定。
先代経営者との関係の変化
資本金規模別の代表者の平均年齢の推移
(単位:歳)
65
64 63.00
63
62
61
60
59
58
57
56
55
54 5 2 .5 8
53
52.08
52
51
50
子息・子女
(承継時期)
63.00
5 8 .5 0
その他の親族
親族以外
79.7
20年以上前
13.9
60.6
10年~19年前
24.3
6.4
15.1
57.33
48.6
5年~9年前
全社長平均
1,000万円未満
10億円以上
82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04
(出所)「社長交代率調査」(帝国データバンク)、中小企業白書
0年~4年前
20.2
41.6
0%
10%
20%
31.2
20.4
30%
40%
50%
38
60%
資料:(株)東京商工リサーチ「後継者教育に関する実態調査」(2003年)
70%
80%
90%
100%
(%)
11
11.中小企業経営者の事業承継の準備状況
○事業承継の重要性にも関わらず、中小企業経営者の事前準備は進んでいない。
①後継者を「既に決めている」割合は43%。
②事業承継について「誰かに相談している」割合は44%。
③事業承継の準備について、「何もしていない」「準備が不十分」が合計80%(図1)。
④事業承継後の後継者に、先代経営者が承継のために行った取組を聞いたところ、「特別なこと
はしなかった」が33%で最大(図2)。
図1:現経営者の事業承継の準備状況
図2:承継のための先代経営者の取組内容
12
12.親族外承継(M&A等)における課題
○近年、親族内で事業承継を行う割合は6割にまで低下してきており、従業員等への承継やM
&Aといった親族外承継の比率が急速に高まっている。
○しかし、中小企業経営者のM&Aへの抵抗感が依然強い(「抵抗感あり」が全体の47%)こと
や、親族外承継を行う者への資金支援が不十分であること等、様々な課題が存在。
事業売却に対する抵抗感(従業員規模別)
事業承継において役に立つ施策
事業承継税制の抜本的な改革
25.3%
32.1%
取引相場のない株式評価の改善
相続税における物納手続きの改善
8.7%
留保金課税の全廃
16.2%
6.1%
相続紛争の防止に資する法整備・
施策拡充
30.8%
事業承継時に活用できる金融支援の拡充
その他
3.2%
25.9%
無回答
0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
30.0%
35.0%
回答数:966社
(出所)大阪商工会議所「事業承継に関する調査報告書」(平
成18年3月)
13
Ⅰ.中小企業の事業承継円滑化に向けた具体的な施策展開
ⅰ.非上場株式等に係る事業承継税制の抜本的拡充(税制改正要望)
1.非上場株式等の事業用資産の相続税の減免措置
(1)対象
○中小同族企業の非上場株式等を対象とする。
○欧州主要国の事業承継税制と同様、事業に無関係な財産管理会社及び投資目的会社の株式等は対象外
とする。
(2)スキーム
○経済産業大臣の承認を受けた事業承継計画に即して計画的な事業承継を行った者については、一定の事業
継続等を要件に、相続税の軽減措置を適用する。
○具体的には、現行の事業用宅地で実現している80%の相続税の軽減措置を前提に、非上場株式等に係る相
続税の80%以上の軽減措置の導入を図る。
(3)事業継続要件
○今般の措置の目的が事業の継続・発展を通じた雇用の確保及び経済活性化の実現であることから、相続税
の軽減措置の適用に当たっては、事業承継者に対して、一定の事業継続要件を設定することとする。
◇フランス及びドイツの事業承継税制同様、相続後一定期間、事業承継者に対して、相続した株式保有
及び経営従事(例:代表者であること)の継続を求める。
◇相続後一定期間、雇用を確保することを求める。
○事業承継者は、相続後一定期間、経済産業大臣に対して、毎年、事業継続の状況について報告を義務づける。
○事業継続要件を満たさなかった事業承継者は、軽減された相続税を納税する。
14
(参考)諸外国の事業承継税制
欧米諸国では、1990年代から近年にかけて、事業承継税制が抜本的に強化されてきている。これらの政策の
背景には、成長維持、特に雇用の確保を事業承継という既存事業の継続に担わせようとする共通の政策意図が
ある。特に雇用の確保は重視されており、例えば、ドイツで国会に提出されている制度は、事業継続を雇用者数等
をベースに判断することとされている。
事業用資産の相続税減額割合
承継者の要件
フランス
一律75%軽減
(事業承継前要件)
相続2年前からの継続保有
(事業継続要件)
①相続後6年間の継続保有
②相続後5年以上の事業継続
ドイツ
一律35%軽減(22.5万ユーロ控除後)
(注)10年間の事業継続で100%減を行う措置を盛り込んだ法案を国会に提出中。
(事業承継前要件)
なし
(事業継続要件)
相続後5年間の継続保有
イギリス
①非上場会社株式や個人事業主の事業用土地:100%軽減
②会社が事業に用いている個人所有の土地・建物・機械設備:50%軽減
(注)贈与者が生前贈与後7年以上生存した場合には贈与税が免除される制度が
存在。このため、税体系全体に占める相続税のウェイトが小さい(国税税収の
0.9%、日本は3%)。
(事業承継前要件)
相続2年前からの継続保有
(事業継続要件)
継続保有・事業継続ともになし
アメリカ
一律130万ドルまで非課税
※資産税本体の基礎控除の引き上げにより、2004年以降実質減税効果なし
(2007年時点の基礎控除200万ドル)。
(注)2010年に向けて相続税(連邦資産税)を段階的に廃止。但し、サンセット条項
により、新たな措置が講じられなければ、2011年度以降は相続税が復活。
(事業承継前要件)
相続前8年間のうち、5年以上の事業従事
(事業継続要件)
相続後10年間のうち、連続8年中の5年以上の事業従事
日本
①特定事業用宅地:80%軽減
②他の事業用宅地:50%軽減
③非上場会社株式:10%軽減
(参考)農地:「課税評価額-農業投資価格」部分につき納税猶予、要件充足で免
除。
(事業承継前要件)
なし
(事業継続要件)
①特定事業用宅地:相続税申告期限までの事業継続
②他の事業用宅地:なし
③非上場会社株式:相続税申告期限までの継続保有かつ役員就任
(参考)農地:20年間の農業経営継続(都市部は死亡まで)
15
2.非上場株式の評価
(1)非上場株式の評価の見直し
事業承継税制の抜本改革に併せ、営業権を始めとする非上場株式の評価の見直しについても、事情の変更等を踏まえた所要
※ 営業権は、非上場株式を純資産価額方式により評価する場合、
の見直しを行う。
総資産価額算出の際、計上され得ることとなる。
〔(総資産価額)-(負債合計額)-(純資産価額の時価と簿価の差額)×42%〕
(2)営業権の見直しの方向性
商法や法人税法における営業権の取扱いを踏まえつつ、基準年利率や持続期間等について適切な見直しを行う。
(3)営業権の概要
営業権とは、当該企業の長年にわたる伝統と社会的信用、立地条件、特殊の製造技術及び特殊の取引関係の
存在ならびにそれらの独占性等を総合した、他の企業を上回る企業収益を有する事実関係である。
財産評価基本通達における営業権の評価は、原則、課税時期におけるその企業に対する投下資本価額が
稼得する正常利回りを超える収益(超過収益)を基に、複利年金換算で還元する方法により評価される。
営 方何
業
れ
権
の か
評 低
価
額 い
原則、課税時期前年の所得金額
〔
算
出
要
素
〕
超過企業収益力
平均利益金額
課税所得の過去3カ年の平均
総資産価額
相続税評価額
基準年利率
‘07.8.10時点で、2.0%
複利年金現価率
2%,10年の場合、8.983
投下資本による働きの部分を控除
平 均
利 益
金 額
× -
×0.5 -
企業者
報酬額
-
総資産
価 額
基 準
年利率
×
×
営業権の持続年数(原則10年)
に応ずる基準年利率による
複利年金現価率
(参考3)企業者報酬額表
(参考1)基準年利率の推移(営業権に適用のあるもの)
H10まで
H11から
8%
H14から
4.5%
3%
(参考2)営業権の償却年数
法人税法
会社法
5年
企業会計
5年
平均利益金額区分
平均利益金額区分
企業者報酬額
企業者報酬額
H16から
万円以上
万円未満
万円
万円以上
万円未満
万円
月毎設定
200
300
90
1,500
2,000
400
300
400
125
2,000
3,000
550
400
500
160
3,000
5,000
700
500
700
200
5,000
7,000
850
700
1,000
250
7,000
10,000
1,000
1,000
1,500
300
10,000
20年以内
平均利益金額の10%
16
ⅱ.後継者問題等への対応(予算要求・財投要望)
後継者問題等に関する諸課題に早急に対応すべく、事業承継支援センターの設立、研修・セミナー
事業の抜本強化等の予算要求を行うとともに、事業承継に際しての資金ニーズに対応する制度融
資の創設を図る。
1.中小企業等向け研修・
セミナーに関する支援
2.専門家による相談に対する支援
3.廃業と開業のマッチング・
M&A支援事業等に対する支援等
4.経営指導員等の研修に関する支援
5.小規模零細企業・商店街支援
「事業承継支援センター設立支援」【新規:20億円】
あらゆる事業承継のニーズに対応したワンストップサービスを行う「事業承継支援
センター」を設置する。具体的には、長野事業承継支援センターをモデルケースと
した開廃業マッチング支援を始め、常設のセンターにおける相談窓口の設置、専門
家の派遣、企業と後継者の交流会、後継者育成セミナー等を実施する。
(約2,000万円×100カ所)
「事業承継円滑化のための研修・セミナーに対する支援の抜本強化」
【既存:2億円→6億円】
中小企業経営者の事業承継を広範かつ高度にサポートとする「事業承継ネットワー
ク」の強化を図るとともに、経営者、実務家そして経営指導員等に対する研修・セミ
ナーを抜本的に拡充する。
「少子高齢化等対応中小商業活性化支援事業」
(ソフト事業約6億円の内数)
・空き店舗活用等に係る 店舗改造経費を補助対象経費に追加
事業承継資金融資制度の抜本拡充(中小公庫、国民公庫、日本政策金融公庫)
6.事業承継融資の創設等の金融支援
事業の継続・発展に向けた経営権安定化のために、株式取得など様々な事業承継
のニーズ係る融資制度の創設等。
17
遺留分等の相続法上の問題に対する対応(新規立法)
対応の方向性①
1.「事業承継契約(仮称)スキーム」の創設
(1)問題の所在
現経営者(被相続人)の生前に、財産分配について全ての推定相続人の合意が得られる場合で
も、合意の内容を明確化し、遺留分放棄等の必要な措置を講じておかなければ、相続開始後に紛
争が生じる恐れがある。
しかし、遺留分放棄の制度については、遺留分放棄者が個別に家庭裁判所に申立てを行い、許
可を得ることが必要であること等、円滑・迅速な事業承継に支障が生じ得る点が存在する。(実
際には同許可審判の申立件数は年間千件程度)
(2)検討の内容
現行の遺留分放棄制度を前提としつつ、現経営者(被相続人)の生前に、事業承継に関する当
事者(全遺留分権利者含む)間の合意に基づき、経営者から後継者への自社株式等の円滑な生前
贈与と、相続開始後の遺留分に係る紛争を防止するための手当てを包含する「事業承継契約(仮
称)スキーム」を創設する新規立法措置を検討。具体的には、以下の方向での検討を実施。
①手続面につき、最終的な裁判所の関与を前提としつつ、契約締結段階で公証人が関与す
ること等により、現行の遺留分放棄手続と比して簡素なものとする。
②効果面につき、契約によって贈与された財産を、全遺留分権利者の遺留分算定基礎財産
及び減殺請求の対象から除外する。
後継者への円滑な自社の株式・持分等の集中を行うとともに、相続開始後の紛争を防
止し、計画的な事業承継対策を促進
18
対応の方向性②
2.遺留分算定基礎財産に算入する生前贈与された株式の価額を贈与時の評価額で固定でき
る制度の創設
(1)問題の所在
遺留分の算定に際して加算される贈与財産の評価の基準時は、相続開始時であるとされており、
後継者に生前贈与された株式・持分の価値が、後継者の貢献等により上昇した場合であっても、後
継者の貢献は考慮されない。このことにより、後継者が努力して企業価値、すなわち株式・持分の
価値を上昇させればさせるほど、後継者以外の者の遺留分を増加させることとなるという極めて不
合理な事態を生じさせ、かえって相続人間の公平を害する結果となる。
(なお、アンケート結果によれば、中小企業経営者から後継者へ生前贈与された株式の価値が相
続開始時までに上昇するケースが約5割(2倍以上に上昇するケースが約2割)存在し、うち約
6割が後継者の貢献によるもの。)
(2)検討の内容
遺留分算定の基礎財産を算出する際に、後継者の貢献を反映させるため、一定の要件を満たす場
合には、生前贈与された自社株式の評価額を贈与時のものとすることを許容する。
(以下のような場合、遺留分の対象となる贈与は10億円→1億円に)
15年前
贈与時の株式価値
(1億円)
後継者の貢献で株式価値上昇
現在
(相続発生)
生前贈与後の後継者の貢献を正当に評価し、計画的な承継を促進
相続開始時
の株式価値
(10億円)
19
(参考)各国の遺留分関係規定について
日本
フランス
民法(1028条~1044条)
フランス民法典
●ボン基本法(14条1項、6条1項)
●ドイツ民法典(BGB)
法定相続分の1/2
(直系尊属のみが遺留分権利者の
場合は1/3)
子供が3人以上・・・3/4
子供が2人
・・・2/3
子供が1人
・・・1/2
※直系卑属の数等によって変動
法定相続分の1/2
根拠法
遺留分割合
ドイツ
●評価時点は相続開始時(904条) 評価時点は原則相続開始時だが、一 ●消費物は贈与時評価。その他のも
●共同相続人への生前贈与は、特 定の場合には贈与時評価も可能
のは原則相続開始時評価だが、贈
別受益に該当すれば何年前のもの
与時の価格の方が低い場合、その
であっても遺留分請求の対象(1044
価格だけが算入される(BGB2325-2)
●贈与については、贈与後10年で
生前贈与財産 条及び判例解釈)
遺留分対象から除外(配偶者への生
への遺留分請求
前贈与は除く)(BGB2325-3)
相続発生前の
遺留分放棄
可能(1043条)
(遺留分権利者が、家庭裁判所にお
いて許可を受けることが必要)
※平成17年の実績は1,052件
規定無し
(なお、被相続人の生前に推定相続
生前の相続契約 人間で行われた遺産分割について
は、無効とした裁判例有り)
可能
可能
(相続人全員が、異なる2名以上の公 (裁判所の関与又は公正証書で行う
証人の前で合意することが必要)
ことが必要)(BGB2348)
※今般の仏民法改正で制度新設
有効
有効
(被相続人の生前に、被相続人と全推
定相続人との間で財産分配を行う「贈
与分割」の制度が普及)
●なお、我が国と法体系が異なるアメリカやイギリスには、遺留分制度が存在しないが、以下の制度等により、被相続人の遺言等によ
る財産処分権を一定程度制限している。
アメリカ・・・統一検認法典(UPC)や各州法により、配偶者や子などの家族に一定の財産についての特別の保護措置を認める。
イギリス・・・十分な財産分配がなされなかった相続人は、裁判所に対して、生活保障のための保護処分の申立てを行うことができる。
20
Ⅱ.中小企業の生産性向上・成長の底上げ
1.中小企業を始めとするIT投資の促進
(中小企業投資促進税制、情報基盤強化税制の延長・拡充)
(法人税、所得税)
中小企業を始めとする日本経済の生産性向上・成長の底上げに不可欠なIT投資の加速を図る観
点から、中小企業投資促進税制及び情報基盤強化税制につき、延長・拡充を図る。
1.現行制度
中小企業投資促進税制
(減収額:約2,300億円)
中小企業のIT・ソフトウェア等への投資に対する
特別償却30%又は税額控除7%を選択適用。
【対象投資の内容】
①全ての機械・装置
②器具・備品(電子計算機、デジタル複合機)
③一定のソフトウェア 等
(注1)税額控除は資本金3,000万円以下の中小企業者のみ選択可能。
(注2)リース投資も税額控除の対象。
(注3)法人税額の20%相当額を限度。控除限度超過額については1年間の繰越可能。
2.改正意見
情報基盤強化税制
(減収額:約1,070億円)
情報セキュリティ強化のための投資に対する
特別償却35%又は税額控除7%を選択適用。
【対象投資の内容】
①OS※及びこれと同時に設置されるサーバー
②データベース管理ソフトウェア※及びこれと同時に
設置されるアプリケーションソフトウェア
③ファイアーウォール※
(①または②と同時に取得されるものに限る)
※ISO/IEC 15408に基づいて評価・認証されたもの。
(注1)取得要件:年間投資額が1億円以上
(資本金1億円以下:300万円以上、資本金1億円超10億円以下:3,000万円以上)
(注2)資本金1億円以下の法人については、リース投資も税額控除の対象。
(注3)法人税額の20%相当額を限度。控除限度超過額については1年間の繰越可能。
①中小企業投資促進税制、情報基盤強化税制の延長
②部門間・企業間で分断されている情報システムを連携する投資への支援の拡充
③中小企業のIT投資に対する支援の拡充 (対象となるソフトウェアの拡充等)
④中小企業の生産性向上に有効なITのサービス化 (SaaS・ASP(※)) を支援対象に追加
(※)SaaS(Software as a Service)、ASP(Application Service Provider)・・・インターネット経由で情報処理を行うサービス
21
日本の全資本に占めるIT資本
の割合は米国の約6割程度
特に中小企業のIT投資は低調
資本金100億円~
1~5億円
~1億円
(出所) 日本:JIP2006データベース、
米国:BEA(Bureau of Economic Analysis)
中小企業は
ほぼ横ばい
(出所)経済産業省「情報処理実態調査(平成18年9月)」
中小企業を始めとするIT投資の促進と支援策
受発注から納入にわたる一貫した情報の流れを構築
情報処理受注会社
(SaaS・ASP)
顧客管理等
インターネットを通じて情報処理を外注
⇒ 専門知識なしに低コストで安心な情報シス
テム導入を実現
成長力の底上げ、生産性向上
中小企業
仕入れ先
本社機能
連携
店舗・工場機能
連携
納入先
支
援
支
援
インターネットによる
情報処理サービスに対する
税制上の支援(税額控除等)
(情報基盤強化税制の拡充)
サービス提供側への
予算上の支援措置
全てのソフトウェアを支援対象に(税額控除等)
(中小企業投資促進税制等)
連携により受発注から納入までの各工程の進捗状況を「見える化」
⇒ 業務の「効率化」や顧客層拡大による「売上拡大」を実現
(納期短縮(7日→3日)、販路拡大(年間120社増)、
在庫圧縮(30日→1日)等の実現例あり)
支
援
連携を可能とするソフトウェアの導入に対する税制上の支援
(税額控除等)(情報基盤強化税制の拡充)
22
(参考1)部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウェアへの
投資を支援対象に追加
IT利活用ステージが高い企業ほど、TFP成長率は高いが、
【部門内最適】
部分的な情報システ
【部門内最適】
ムの導入
(ステージ1,2)
(第1、2段階)
【企業・産業横断的最適】
【組織全体最適】
(第4段階)
(第3段階)
企業A
部門内・企業内
第3、第4段階の企業の割合は米国に比べて少ない状況
取引先等も含めて情報シス
テムを統一的に連携
【組織間最適(ステージ4)】
企業内の情報システ
【全体最適(ステージ3)】
ムを統一的に連携
企業A
企業B
企業C
情
報
の
シ
導
ス
入
テ
ム
分断
DB
DB
標準
物流管理
生産管理
標準
連携ソフトウェア
(ESB等)
標準
連携ソフトウェア
(ESB等)
標準
連携ソフトウェア
(ESB等)
情
部
報
門
シ
内
ス
で
テ
活
ム
用
を
企
業「 情
部
内 報
門
で シ
を
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超
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を ・情
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え客シ
て等ス
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最係ム
適者 を
にも
活含
用め
第四段階
企業・産業横断的最適化群
第三段階
組織全体最適化企業群
第二段階
部門内最適化企業群
第一段階
情報システムの導入
標準
連携ソフトウェア
(ESB等)
第4段階
5%
3%
第3段階
第2段階
第1段階
全要素生産性(TFP)の成長率
部門間・企業間で分断されている既存の情報
システムを連携するソフトウェアへの投資を促進
(出所)産業構造審議会情報経済分科会報告書「情報経済社会の課題と展望
(平成18年7月)」
鉄鋼部品A社(従業員85名)の先進事例
~先進事例を財務上余裕のない中小企業一般まで拡大するには税制上の措置が重要~
日米のIT活用状況
「部門」の「壁」を超えられない日本企業
部門内最適
情報システム導入
企業・産業
横断的最適
組織全体最適
(出所)平成19年8月6日内閣府経済財政諮問会議提出資料
【現在の会社概要】
売上高:32億円
(18年度)
従業員:85名
【事業概要】
建築用金物及びボト
ルの製造・加工
【経営課題】
多品種・短納期化とい
うマーケット状況の変
化への対応による売
上・利益率向上
【IT投資の内容】 (投資額1億3500万円(05~06年))
【企業内の情報システムの統一的連携】
○ICタグを活用し受注から製造、出荷までの進捗状況をリアルタ
イムに「見える化」
○販売管理・生産管理等の基幹業務を統合・日次化
【更に、取引先等も含めた情報システムの統一的連携】
○SaaS・ASP型のインターネットEDI活用による受発注自動化、
顧客ベース拡大(計画)
【投資の効果】
○IT投資の進展などにより売上・労働生産性が向上
(+38.7%(05~06年))
○ICタグによる「見える化」によって無駄な工数を大幅削減
○蓄積データの瞬時処理により月次決算4日で作成可能に
○従業員を増やさず売上向上
23
(参考2)中小企業のIT投資に対する支援拡充(対象となるソフトウェアの拡充等)
我が国の労働生産性は国際的に見て低く、中小企業の生産性は近年低迷している。
また、平成19年8月中央最低賃金審議会において、平成19年度の最低賃金引き上げの目安として、全国平均14円の引き上
げ額が提示されたところ、最低賃金引き上げの影響に対処するためにも、中小企業の生産性向上に取り組む必要がある。
平成19年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)(抄)
平成19年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)(抄)
「政府において、小規模企業も含めた中小企業全体の労働生産性の向上に
「政府において、小規模企業も含めた中小企業全体の労働生産性の向上に
向け、「中小企業生産性向上プロジェクト」の施策の具体的な実施に全力を
向け、「中小企業生産性向上プロジェクト」の施策の具体的な実施に全力を
あげて早急に取り組むことを要望する。」
あげて早急に取り組むことを要望する。」
「中小企業生産性向上プロジェクト」(抄)
Ⅱ 平成20年度の実施方針
2.IT化・省エネ・機械化・経営改善
(2)IT化推進による生産性向上
(4)設備投資、人材投資等のための金融・税制措置
中小企業投資促進税制、情報基盤強化税制における対象ソフトウェア(資本金1億円以下の中小企業の場合)
・サーバー用OS
・データベース管理ソフトウェア及びこれを利用するアプリケーションソ
フトウェア
・ファイアウォールソフトウェア
300万円
(年間投資額
の合計額)
中
小
企
業
投
資
促
進
税
制
無
ISO認証
有
情
報
基
盤
強
化
税
制
空白
中
小
企
業
投
資
促
進
税
制
情
報
基
盤
強
化
税
制
70万円
18年4月1日~
20年4月1日~ (改正案)
(注)中小企業投資促進税制の税額控除は資本金3,000万円以下の企業のみ対象
24
(参考3)中小企業の生産性向上に有効なITのサービス化(SaaS、ASP)を支援対象に追加
中小・零細企業が顧客データ管理などの情報システム一式を全て自ら導入し、維持・更新まで自前で行うことは困難な場合
が多い。
アメリカでは、中小・零細企業を中心に、インターネット経由で情報処理を行うサービス(SaaS・ASP)が急成長中。
日本においても、中小・零細企業のIT化・生産性向上を加速するため、こうしたサービスを後押ししていくことが極めて重要。
(注)現行情報基盤強化税制では、中小企業については、リースに係る費用の一定比率も税額控除の対象となっている。
中小企業の生産性向上に有効なSaaS・ASP形態でのサービス提供が近年注目される
ASP/SaaS
従来システム
A社
A社
B社
B社
A社ユーザ
B社ユーザ
B社
B社
社内システム
社内システム
アプリケーションソフト
顧客
管理
A社
A社
人事
管理
財務
管理
アプリケーションソフト
人事
管理
財務
管理
Internet
情報処理サービス
そのものを購入
各社個別にシステム構築
顧客
管理
人事
管理
財務
管理
ASP/SaaSサービスベンダー
25
2.少額減価償却資産特例の延長
(法人税、所得税)
小規模企業を中心にパソコン等の生産性向上に寄与する投資の促進に効果を有し、中小企業
の事務負担の軽減に資する少額減価償却資産特例の適用期限の延長(2年間)を図る。
1.現行制度
(減収額:約460億円)
資本金1億円以下の中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、全額損金算入(即時
償却)を認める(本則は10万円未満)。
中
小
企
業
者
等
の
み
そ
の
他
小規模企業に積極的に活用されている。
取得価額
償却方法
30万円未満
全額損金算入
合計で300万円
まで
資本金1,000万円超
56,481社
(32%)
(即時償却)
20万円未満
3年間で均等償却
(残存価額なし)
10万円未満
調査企業約140万社のうち、
174,743社が利用
(全中小企業の1割以上に該当)
全額損金算入
(即時償却)
資本金1,000万円以下
118,262社
(68%)
2.改正意見
(出所) 「平成18年中小企業実態基本調査」(中小企業庁)
(備考) 法人企業のみ。
意欲のある中小企業の設備投資や事業の効率化等を促進するため、中小企業者等の少額減価償却資
産特例の適用期限を2年間延長
26
3.研究開発投資の促進(研究開発促進税制等の拡充等)
(法人税、所得税、法人住民税)
中小企業を始めとした研究開発投資の加速を図り、イノベーションの加速による成長力・競争力の
強化を促進すべく、中小企業技術基盤強化税制を含めた研究開発促進税制等の拡充等を図る。
1.現行制度
中小企業の場合
総額型
(恒久的措置)
税
額
控
除 増加型
率 (平成20年3月
末に期限到来)
産学官連携
中小企業
その他
12%
8~10%
適用控除割合
増
加
額
(売上高試験研究費比率
に応じる)
比
較
試
験
研
究
費
(減収額:約5,800億円)
5%
5%
(減収額:約200億円)
12%
12%
控除限度額
当期法人税額の20%
超過繰越額
翌期への繰越可能(1年間)
(「翌年度の試験研究費>当該年度の試験研究費」
を満たすことが条件)
2.改正意見
上限
前3事業年度
の平均
試
験
研
究
費
法
人
税
額
×5%
増加型
上限
×12%
総額型
控除 < 20%
額
当年度
増加型の比較対象は、直近3事業年度の平均。また、直近2事業年度よりも
当年の試験研究費が多いことが条件。
①試験研究費の増加額に係る税額控除制度の延長
②現行法人税額の20%となっている税額控除の上限の引上げ
③繰越税額控除限度超過額にかかる繰越可能期間の延長
27
3年間の減税措置によるGDPへの効果
研究開発促進税制(減税額 約1.6兆円)
税制により押し上げられた研究開発投資の推計(H17~19)
3年間合計 約1.9兆円
我が国の民間研究開発費の推移
15
(
兆
円
)14
税制抜本拡充
14
(推計)
13.4(推計)
13
12.7
12
11.6
※
11
実質GDP押上げ効果の推計(H17~19)
3年間合計 約2.8兆円(減税額の約1.7倍)
10
平成
(10年間では約7.3兆円の押上げ)
(出所)三菱UFJリサーチアンドコンサルティング㈱試算
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
年
(出所)総務省「科学技術研究調査報告」各年版。
平成12年から13年への増加は、調査方法の変更によるもの。
平成18年に関しては、サンプル企業の有価証券報告書を元に推
計、19年はアンケート調査(平成19年8月)の回答から推計。
28
「東アジア企業と比較して技術力が優れている」
と答えた我が国中小企業の割合は低下
控除限度額に達している企業の状況
65.5%
主要企業の約半数が、控除限度額(20%)を超えている。
(控除限度額がないと想定した場合の税額控除額は、
平均で法人税額の約30%)
43.0%
29.4%
研究開発費の多い約330社について、
会社四季報データから推計。
5年前
現在
5年後
従業員300人以下、部品・半製品、素形材の製造・加工を行う企業を対象に集計。
(出所)経済産業省「中小企業白書」2006年版
研究開発で技術力を維持する中小企業の例
約5倍
の差
機械製造業A社
金型製造業B社
独自技術による土壌地下水汚染調査
機とVOC(※)汚染地下水浄化システ
ムを開発。地盤改良機の製造では、
シェアトップクラス。VOC除去装置は、
VOCの除去率99.96%を誇る。
携帯電話、デジタルカメラなどの「非球
面ガラスレンズ」を成形するための超精
密ガラス金型を製作。各分野の精密ガ
ラス部品トップメーカーに対して金型を
供給。
限度額なしの税額控除額:21百万円
(研究開発費171百万円×12%)
現行制度の税額控除額:4百万円
(法人税額×20%)
(※)VOC・・・Volatile Organic Compounds=揮発性有機化合物
約4倍
の差
限度額なしの税額控除額:12百万円
(研究開発費98百万円×12%)
現行制度の税額控除額:3百万円
(法人税額×20%)
29
研究開発促進税制 各国比較(未定稿)
研究開発費用に対する税額控除額
日 総額の8~10%+増加額の5%
中 総額の15%相当
(150%損金算入、税率30%)
韓
上限
前3年との
比較
ハイテク企業は法人税
率優遇(15%)
増加額の40%
豪 総額の7.5%相当 +増加額の22.5%相当
仏 総額の10%
英
蘭
西
加
米
+増加額の40%
前2年
と比較
最近の動き等
税額の20%
○03年、抜本拡充、06年改正
なし
○08年1月、拡充。併せて外資の一律
優遇制度廃止、税率25%へ。
なし
○07年拡充
なし(2万豪㌦以上)
(総額は125%損金算入、増加額は175%損金算入。税率30%)
○06年、拡充(総額の控除率倍増等)
1600万ユーロ(約25億円) ○08年、再拡充を検討中
なし(£1万以上)
○08年、拡充
なし
○06年、拡充
税額の35%
○06年、改正
総額の20%
なし
○06年、拡充
総額の3~5% 又 基準超過額の20%
又 前3年の平均の半額を超えた額の12%
税額-2万5千㌦
の25%
○06年拡充
○制度強化を目指す法案が上程中
総額の8.4%相当
08年改正後。130%損
金算入、税率28%
総額の14%
総額の30%
+増加額の50%
(参考)ドイツは制度なし
(出典)OECD「Working party of National Experts on Science and Technology Indicators / R&D TAX INCENTIVE AND R&D STATISTICS: WHAT NEXT1」2007等
(出所)OECD「Working party of National Experts on Science and Technology Indicators / R&D TAX INCENTIVE AND R&D STATISTICS: WHAT NEXT1」2007等
30
4.人材投資の促進(人材投資促進税制の延長・拡充)
(法人税、所得税、法人住民税)
人口減少下においても、我が国経済・産業の競争力・成長力を強化するためには、人材投資に
よって一人ひとりの生産性を向上させることが重要。特に、最低賃金引き上げの影響が大きい
中小企業の人材育成を促進し、生産性を向上させることが極めて重要。
また、団塊世代の大量退職に備え、熟練技能等の次世代への着実な承継の支援が必要。
このため、人材投資促進税制の延長・拡充を図る。
1.現行制度
①中小企業(②との選択が可能)
中小企業については、教育訓練費が前2期の教育訓練費の平均額から増加した場合、教育訓練費の
総額に対し、増加率の1/2に相当する税額控除率(最大20%)を乗じた金額を税額控除。
②その他
教育訓練費が前2期の平均額から増加した場合、その増加額の25%に相当する金額を税額控除。
①中小企業(②と選択可)
増加率
前2期
平均額
総額×
増加率の1/2
(最大20%)
を税額控除
適用事業年度
の教育訓練費
2.改正意見
②その他
増加額
増加額の
25%を
税額控除
前2期
平均額
適用事業年度
の教育訓練費
①人材投資促進税制の延長
②厳しい経営実態から継続的に教育訓練費を増加できない中小企業について、
当該年度の教育訓練費の総額に対して税額控除を行う制度に拡充
③技能承継のための教育訓練費(定年後当該訓練に限定した雇用契約)を支援対象に追加
31
教育訓練費の水準は、企業全体では伸びているが、
特に中小企業は横ばいのまま。
我が国の教育訓練費は諸外国と比して圧倒的に低い水準。
労働費用に占める教育訓練費の割合
労働費用に占める教育訓練費の割合(%)
(%)
H17年度
税制創設
0.4
0.38
0.3
0.34
0.33
0.27
0.24
0.2
0.19
0.1
S60年
1985
全企業
0.36
0.2
従業員
30-99名の企業
S63年
1988
H3年
1991
0.18
H7年
1995
0.29
0.28
0.17
0.18
0.18
H10年
1998
H14年
2002
H18年
2006
日本
(2006)
イギリス
(2004)
ドイツ
(2004)
フランス
(2004)
0.33
1.82
0.45
1.61
(出所)日本:厚生労働省「平成18年就労条件総合調査」、欧州各国:EUROSTAT “Labour
Costs Survey 2004”日本は企業規模計、EUは10人以上の全労働者。欧州各国は見習
の福利費を含む。
(出所)厚生労働省「就労条件総合調査」等
中小企業においては、毎年度着実に教育訓練投資を拡大
させることは困難。
人材投資促進税制の活用により、生産性向上に資する
教育訓練が増加。
税制を活用し増加させた教育訓練
中小企業の教育訓練費の増減傾向
70%
60%
管理職・管理職
候補養成研修
50%
営業・販売研修
40%
技能・技術研修
経理・財務研修
30%
20%
8.6%
14
新入社員研修
58.6%
人事・労務研修
20.0%
16.2%
10%
語学研修
IT・OA研修
0%
横ばい
11.1%
18
16.0%
26
6.2%
10
4.3%
7
9.9%
16
品質・安全研修
5.2%
増加傾向
16.7%
27
減少傾向
増減が定まらない
※平成15年から平成18年の企業ごとの教育訓練費データから、
各企業を費用の増減傾向ごとに4つの類型に分類したもの。
(出所)経済産業省アンケート調査
資格取得の
ための研修
無回答・その他
1.2%
2
7.4%
12
14.2%
23
4.3%
7
(出所)経済産業省アンケート調査
32
人材投資促進税制の国際比較
アメリカ
コネティカット州
韓国
台湾
会社における研究・開発及び人
材育成訓練費に適用する投資
額の免除法
ノースカロライナ州
Human Capital Investment Tax
Credit
Worker Training Tax Credit
研究及び人材開発費に対する
税額控除
概要
従業員向け教育訓練費用等の
5%を税額控除
教育訓練期間中の従業員給与
を税額控除(控除額は$500又
は$1000/人)
研究・人材開発費が過去4年間
の平均額を上回った場合、超過
額の40%(中小企業は50%)
を税額控除(中小企業は総額の
15%の税額控除と選択制)
教育訓練費が過去2年間の平
均額を上回った場合は、超過額
の50%と平均額の30%の和を
税額控除。上回らない場合は、
総額の30%を税額控除。
対象とな
る費用
①職業訓練費用
②従業員向け教育費用(高校
就学費用等)
③高等教育機関が従業員向け
実施する教育訓練参加費用
④技術向上のために高等教育
機関に対して行う寄付
⑤従業員の子供のための保育
施設建設費用
⑥従業員向けの保育助成金
教育訓練期間中の従業員給与
職業訓練機関、大学等への委
託教育訓練費
情報通信、省エネルギー、リサ
イクル等の技術に関する以下
の教育訓練費が対象となる。
①教師の授業料・交通費
②受講者が払う授業料、教材費、
交通費、食費
③技能検定試験手数料
④教育訓練施設の賃借料、建
設・修理費 など
繰越
5年間
5年間
制度名
控除総
額
98年:$150万 99年:$287万
00年:$254万
99年:$37万 00年:$49万
01年:$174万 02年:$260万
03年:$173万 04年:$141万
05年:$135万 06年:$268万
-
04年:9444億ウォン
05年:9689億ウォン
(研究費に係る控除額を含む)
4年間
-
33
5.創業5年以内の中小企業者に対する欠損金の繰戻還付措置の延長(法人税、法人住民税、事業税)
中小・ベンチャー企業に対しては資金繰り難を緩和する措置が必要。仮に繰戻還付制度が平成
20年度以降も適用停止される場合には、少なくとも事業基盤が脆弱な創業間もない中小・ベン
チャー企業について、欠損金の繰戻還付措置の延長(2年間)を図る。
欠損金の繰戻還付措置の仕組み
1.現行制度
前事業年度
・ 欠損金の繰越期間は7年間。
当事業年度
【単位:万円】
翌事業年度
<所得金額>
<所得金額>
・ 繰戻還付は平成4年度から適用停止中(~平成19
年度)であるが、創業5年以内の中小企業については、
1年間の繰戻還付措置が適用。
800
還付
(法人税額
=176)
(176)
400
600
(200)
2.改正意見
800
仮に繰戻還付制度が平成20年度以降も適用停止さ
れる場合には、創業5年以内の中小企業者に対する欠
損金の繰戻還付措置の適用期限を2年間延長
繰戻し
今回の要望
200
<欠損金額>
欠損金の繰越の
対象
1000の欠損
が発生
34
6.企業再生税制の特例措置を受ける私的整理の要件の緩和 (法人税)
未だ十分に進んでいない中小企業の再生を促すとともに、再生案件の小規模化傾向に対応す
るため、我が国の中小企業の約4割の先に信用保証を行う信用保証協会についても、政府関係
金融機関と同様に、資産の評価損及び評価益の計上並びに期限切れ欠損金の優先控除の対象
となる民事再生に準ずる私的整理の対象とする。
1.現行制度
民事再生に準ずる私的整理について、①資産の評価損及び評価益の計上、②期限切れ欠損金の優先控除
(債務免除益等の額に達するまでの金額に限る。)を認める。
負
債
債
務
免
除
益
金
債
務
免
除
益
相殺
一定の要件を満たす
私的整理
その他の
私的整理
評価損
(注1)
期限切れ
欠損金(注2)
青色欠損金
①
課税
青色欠損金
翌期以降の課税
所得と相殺可能
(注1)評価益がある場合には、益金算入する必要がある。
(注2)所得との相殺期限(7年)が切れた欠損金。
<民事再生に準ずる私的整理の要件>
以下の①~③及び④又は⑤を満たすこと。
一般に公表された債務処理を行うための手続に
ついての準則に従って再生計画が策定されている
こと。
② 公正な価額による資産評定が行われ、その評価
に基づく実態貸借対照表が作成されていること。
③ 上記の実態貸借対照表に基づく債務超過の状況
等により債務免除額が定められていること。
④ 2以上の金融機関が債務免除することが定めら
れていること。
⑤ 政府関係金融機関又はRCCが債務免除するこ
とが定められていること。
2.改正意見
中小企業の再生をより一層促進するため、信用保証協会についても、政府関係金融機関や整理回収機構と
同様に、資産の評価損及び評価益の計上並びに期限切れ欠損金の優先控除の対象となる民事再生に準ずる
私的整理の対象とする。
35