基礎概念

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ISO9000関連規格の将来
出典:CQIのポジションペーパーVersion 7.1
CQI規格策定グループにより作成
Y.Yoneto
Feb.4,2012
基礎概念
基礎概念
ISO9000には12セクションがあ
り、エクセレントモデルを含めた品
質マネジメントシステム
の合理的な説明はある
1994年版の概念を更新させ、
品質マネジメントシステムの理解を
さらに深めるために。
”品質およびそのマネジメントのコンセプト”との表題
付けたセクションをISO9000に組み入れ、品質関連の概念と
原則、及びそれらの相違点と相互関連を明確に
すべき。
無意味な現行規格ISO9000の強化を狙う
組織の目的に関する概念
ISO9001及びISO9004
では組織目的の概念が
導入されているが、ISO9000
にはない。
目的を策定することはリーダーシップ
の要であるが、2009年版ISO9004から
削除された。ISO9000に再採用
されるべき
以下の文言を”品質およびそのマネジメントのコンセプト”に挿入すべし
組織は社会における特定の目的を充足するために成立され,その目的が組織の
行うすべての事柄を促進する。組織が長期に存続するには、目的は社会へ
向けて外向きにでなければならない。経済的成果のみで事業業績が評価されること
はもはやない。組織は、財務的成果に加えて、環境保護と社会面での成果にも配慮
しなければならない。すべての組織において、エコノミックスは組織とマネジャーが
行い得ることへの自制を促す。
利益または黒字は資源として重要であり、成功の尺度でもある。また、リスクを補填
することができるように十分でなくてはならない。しかし、利益が第一義的な目的
とされるときには、組織の成果に対する最終的な判断基準である社会への貢献に
向かうのではなく、マネジャーは財務的な収益を上げることに勢力を注ぐ結果に
なる。したがって、組織の目的は関係するすべての人々に明確にコミュニケートされ
なければならない。
外部環境の概念
組織は単独では存在し得ない。
国内外の政治的、経済的、社会
と技術的要因から形成される
環境下で事業を運営せざるを
得ない。よって、外部環境の理解
は持続的成功に不可欠である。
組織の外部環境とマネジメント
システムへの影響については
ISO9000で言及されていない。
以下の文言を”品質およびそのマネジメントのコンセプト”に挿入すべし。
組織は、外部環境により束縛されてはいるが、それに適応できるし、存続し
目的を達成するために適切な姿を追求することもできる。影響はゆっくり
かもしれないが、外部環境のすべてをコントロールすることはできない。
変化に単純に対応するしかないだろう。しかし、組織が生き残るにはその影響を
理解しなければならない。そうすることで、どの部分が有効に作用するのか、変化に
対してどのように対応するのかを選択できるようになる。
現在まさに大きな変化が進行しているのでは?
マネジメントシステムの概念
1994年に品質マネジメントシステムが導入
された。しかし、製品品質、環境、
セキュイリティ、健康・安全を含むすべてのビジ
ネスリスクへの展開は限定的である。
多くの組織はマネジメント規格に
対応するために別個のシステムを
作成して対応している。また、
統合も考慮しているところもある。
だから、ISO9000で間違った考えを
払拭する必要がある。また、品質に
影響するプロセスの細部を重視し
全体像を見失っている企業もある。
組織は、目的を持ち、複雑で、動的な存在であり、使命を有する。使命を
果たし期待された結果を産出するために一つのマネジメントシステムを
保持する。このマネジメントシステムは組織全体と組織が行うあらゆる
ことを包含している。組織の方針と目標を確立し、方針を実践し、
目標を達成するために必要となる部門構成、プロセスおよび資源によって
成り立っている。部分の相互関係はシステムの一部であり,システムは
個々のパーツに属しない属性を有している。
期待された結果を産出するための組織の能力は、使命、ビジョン、
価値と文化を戦略、方針、プロセスおよび資源と連携させる
リーダーシップの力に依存する。
(つづく)
マネジメントシステムの概念
能力を持続さている組織は:
a)外部環境に適応している。
b)変化と順応する能力を強化している。
c)個々の学習と同様に収集的に行っている。
d)より良き結果を達成するために学習結果を活用している。
組織の結果は意図しても意図しなくとも生むことができる。あり得る
インパクトを予測することは成果を管理する上で重要な要素となる。
組織の利害関係者のすべてに対しての期待される結果は、目的と
優先順位が期待された結果と一致しているならば達成される可能性
が高くなる。
上出来の結果は、計画された結果を一貫して産出するための組織の
能力に対するリスクを明確にし管理することによって決まる。
(つづく)
マネジメントシステムの概念
検討目的、ないしは外部認証のために、財務、品質、社会的責任、
環境、健康・安全などのような特定の目的の観点から
このシステムを試みるのは都合のよいものかもしれない。
そして結果としてはいろいろと異なった見方が生まれる
かもしれない。すなわち、財務マネジメントシステム、
品質マネジメントシステム、環境マネジメントシステム
などである。実務上、これらサブシステムは全体の
システムの部分であり、行動や特性に影響を及ぼし
得るが、独立して運用できるものではない。
効果的なコミュニケーションのために文書化は重要な
要素ではあるが、マネジメントシステムのすべての要素を
完全に文書化することは不可能である。システムの記述は
現実の最良のモデルか、あるいはある特定の見方であり、
しばしは間違っている。しかし、有用であることが多い。
利害関係者の重要性
1987年版ISO9000は購買者に
焦点が当てられているが、
利害関係者には対処できていない。
2000年版では、”stakeholder”が無くなり
悪意のある団体を含む“interested party”
になった。
ISO9004では組織に価値を
付加する個人およびその他の
存在として定義されている。
”Stakeholder”の概念を
ISO900に導入すべき。
組織の成功のために必要な組織や個人の支援を維持する必要がある。彼らこそが
組織の利害関係者であり、顧客、投資家、社員、取引先、社会などが含まれる。
組織がその使命を果たす方法に影響を与える上で明確な役割を持っている。
これらの利害関係者の期待に応えることは組織にとって重要な成功要因である。
社会や政治的影響のような一部のステークホルダーを制御したり選択することは
できない。しかし、その従業員、顧客、サプライヤーを誰にするかや、どのような
処遇をするかについては選択することができる。
(つづく)
利害関係者の重要性
すべての利害関係者の中では、顧客だけが商品やサービスに対して要求を
つきつける。他の利害関係者のニーズは、要求を満たすために組織の戦略に
制約を与えることがあるが、ある特定の戦略が採用されるような時にのみ
そのような事象が生じる。顧客がなければ収入がない。収入なしでは
提供するビジネスやコミュニティもなくなる。したがって、顧客は最も重要な
ステークホルダーだが、彼らの要求を満たすには他の利害関係者の
正当なニーズと期待を満たすような方法で組織は事業を運営する義務を負うことにな
る。とはいえ、どの顧客と事業を展開させるかについては選択できる。
したがって、利害関係者のマネジメントは、組織の目的を明確にする上で
重要な要因の一つとなる。
クオリティの重要性
1987年版にはクオリティに
関してよりも品質システム
に重点を置いていた。
1994年版では多くの記述がある。
マネジメントシステムに重点が置かれ
「クオリティ」について見過ごしている
ことが多い。トップ経営者が”小さなQ”
に関心を持っていることが多い。
ステークホルダーの期待が満たされる度合いは、商品やサービス、配当金、
情報と労働条件を含む、組織の意図するアウトプットの質の関数で表される。
そのため品質とは必要度と達成度の間で生じるギャップを表現する用語である。
比較的質の高いアウトプットは彼らの期待を満足させられる可能性が高い。
それに反し、相対的に質の低いアウトプットは利害関係者からの不満を生み、支持が
受けられないことにつながる可能性がある。
(つづく)
クオリティの重要性
クオリティ(品質)はいくつかの方法で読み取れる:
a)重要性に関係なくギャップが欠陥の度合いである場合には、欠陥のないこと
b)不適合の重要性に関係なくギャップが適合の度合いである場合には、
顧客要求への適合性
c)条件として取り決められた要求に関係なくギャップが満足度の度合い
である場合には、ステークホルダーのニーズと期待を満たすこと。
このような認識は”小さなq” と”大きな Q”という概念を生み出した。
”少さなq ”とは適合性を追求することであり、”大きな Q”とは顧客だけでなく
すべてのステークホルダーを満たすために努力することである。
(中略)しかしながら、仕様と手順への適合性はアウトプットの品質を判断
するための公平な基準となる。
(つづく)
クオリティの重要性
品質に対して注目しなければならない三つの主要な理由がある。
a)顧客ニーズをより多く充たしサービス面での失敗も少ないとの
評判の高い製品との競い合いに負けてマーケットシェアーを消失を避ける。
b)技術的な進歩が進む社会に生きることは、そのような社会の実現を可能にさせる
製品とサービスを生み続けなければならない。このような製品とサービスの
生き残りには品質を製品に作り込むこと以外にはない。
c)やり直し、スクラップ、単純なエラーによる待ち時間や予定外のダウンタイム、
顧客の苦情にやらねばならないことをしないなどの慢性的な品質関連の
ムダによって生じる過剰なコストが絶えないという意識や風土の蔓延を防ぐ。
(つづく)
クオリティの重要性
ことさように、クオリティはいかなる組織にあっても最優先事項でなければ
ならない。利益優先を掲げた企業では、製品やサービスの質の悪さと価格競争の
結果、市場での地位を失って行くことが認められている。クオリティが最優先された場合
には、境界と言うものが無くなる。すべての製品には、納品とかアフターサービスという
ようなサービスが付随している。また、サービスでも製品が
伴っている。たとえば、情報とか材料である。クオリティ優先を製品に求め、サービスに
は異なったアプローチを追求することは正当ではない。たとえば、
電力供給の面ではクオリティを最優先し発電に関してははそうではない、自動車の供給
には品質第一を掲げて、その納品やサービス面ではそうしないなどがその事例であ
る。
顧客第一は、クオリティ最優先とは同一ではないことを認識すべきである。なぜならば、
組織はアウトプットのクオリティをコントロールすることはできても
顧客を管理することはできないからである。顧客は、往々にして短期的な考えを
しがちで、自分が何を必要としているのかを知らない、そして、自分たちの要求
が利害関係者にどのような影響を与えるかについて関心を持たない。
組織の製品とサービスのクオリティは、特定の顧客を満足させることだけでなく
持続可能な市場を獲得するための組織の固有の能力で判定される。
クオリティマネジメントの概念
ISO9000:1987は、品質保証に関して詳細に対
処し、1994年版では品質に関する多くの事項
が取り上げられたが基本的な概念には言及し
ていない。2000年版もクオリティと品質管理に
関連する概念は不足している。特に、クオリティ
マネジメントの主題が欠けている。
ISO9000:2005では、
クオリティマネジメント、
品質計画、品質管理、品質
保証の第一義的な機能に
関する定義がなされていない。
クオリティマネジメントの目的
組織がミッション(目的)を実現し、戦略的目標を達成するためには
マネージされねばならず、効果的に実現されるには組織内のすべての仕事は
これらの目標に向けてベクトルを合わさなければならない。
(つづく)
クオリティマネジメントの概念
組織の戦略的目標の根源は、ミッションに関わりを持つ利害関係者のニーズを理
解し、優先順位付けを行うことでなければならない。したがって、倫理を含め財務
的、社会的、環境にやさしい実績をも含め、マーケッティング、変革、人的、財務的
及び物理的な資源に関する目標も含まれる。これらの目標の全体に亘って、利害
関係者の期待を満足させるクオリティのアウトプットを提供することに集約されて
なくてはならない。しかも、どのような市場、製品と関連する資源を選ぼうとも経済
面を無視することなく実用的である必要がある。したがって、クオリティマネジメント
の目的は、必要とされるアウトプットを組織が顧客に提供でき、利害関係者に望ま
れるようなアウトプットを産出する手段や方法を管理できる能力を組織に持たせる
ことである。
(つづく)
事業経営そのもの
クオリティマネジメントの概念
最優先事項としてのクオリティ
クオリティを最優先事項として定めた企業は、製品とサービスの品質面で
素晴らしい向上が見られたことは明白である。その結果として、組織の安全性
と信頼性が向上した。そして、時間の経過と共に生産性と価格競争力が大幅に
増加し、利益と市場シェアの増加につながる結果を生んでいる。したがって、
クオリティマネジメントはすべての組織には戦略的に重要なのだ。高い
クオリティの製品とサービスを低コストと高い生産性を求め、社会に貢献し、
エコロギーであり、その結果として持続可能な成功を収めることを目指している
組織にそうである。結論的には、組織は戦略的なクオリティの目標を
定め、それらが利害関係者のニーズと期待に由来しており、その目標を達成する
ための戦略とその構成を策定し、展開する必要がある。
品質計画作成(Quality Planning)の概念
クオリティが最優先事項と定めた組織が次に行わねばならないのは、達成目標
の策定と目標を達成するための(中長期的な)計画作成である。これが進化して
今日の品質計画(Quality Plan)の概念となっている。(品質計画は)顧客のニーズを理解
し、製品の機能を生み出すプロセスを開発し検証できるプロセスに努力を払うことを意味す
る。
(つづく)
Quality Planning とQuality Planとは異なると後で説明されている。
クオリティマネジメントの概念
品質管理の概念
すべての性質ではバラツキは固有のものであり避けられない。あるバラツキは
予測不可能であり、もし検出されないで放置されると不愉快な結果を招く。
その他のバラツキは無規則であり予測可能である。バラツキという変動要因は
組織の業績に不利益となるので、品質管理の概念が進化し、許容される水準内
での変動を防止するために性能の水準を設け、望まないバラツキを検知し
取り除くようになった。もしも性能が予測できるようになれば、組織は
計画どうり実行できる自信を持って将来を設計できる。
バラツキの検知と除去は以下により影響を受ける:
a)アウトプットの産出以前。製品とプロセスの設計を通じて特定の形態の
バラツキを除去する潜在的問題予測技術を活用した場合。
b)アウトプットの生産過程で。次工程に引き継がれるバラツキを検知し除去
する。
c)アウトトプトが生産された後。アウトプットが出荷される前に問題を修正
する。
(つづく)
クオリティマネジメントの概念
バラツキは次のような四つのタイプのコストが発生する:
a)性能面での変動はあり得ないとしてアウトプットを生産するコスト。
b)バラツキが発生する前に検知し除去する追加的なコスト(予防コスト)。
c)発生時もしくは発生後にバラツキを検知し除去する追加的なコスト(評価
コスト)。
d)顧客に出荷する前にバラツキを検知し除去することに失敗した追加的
コスト(失敗コスト)
クオリティマネジメントの一つの目的は、上のようなコストを最適化すること
である。なぜならば、品質を管理するために使われる資源は品質の向上、
利益性の増加、競争力の強化に利することになるからである。
(つづく)
クオリティマネジメントの概念
品質改善の概念
組織は単に業績の基準を維持するだけでなく、目標を達成する
ためにより良き手段を求めることが必要である。さらには、前例のない
レベルの業績に基準を置くことも必要になる。なぜなら、組織の運用環境には新しい
脅威や参入機会が現れるからである。品質改善の概念は、品質をより
効果的に管理し、資源を活用を効率的に行い、組織の利害関係者の求めに応じて連
携を深めるために進化を続けてきた。
改善が実施されたならば、変数の間での揺らぎが無くなるまでは各変数の成果は
個々に改善される。すると、認識できていた組み合わせの独立変数は、相互に依存
する変数の回答困難な組み合わせに変身する。一つの変数を改善することは他の変
数の犠牲の上で行われるだけになることがある。
是正処置は改善ではない、品質管理の一部であり、もともとあるべき所のできばえに
単純に戻すことである。
品質改善は品質計画作成(quality planning)とは異なる。品質計画では、慢性的な
問題に対して品質改善活動を実践し、利害関係者に目を向けた目的を満たすための
計画を作成することである。
品質管理改善活動のこと
クオリティマネジメントの概念
品質保証の概念
顧客が自信を持って購入することを可能にするためには、顧客は特定の組織からの
特定の製品に対して信頼感を持つ必要がある。この信頼というものは、製品とサービスの
質を管理・制御することができる能力に対しての信望を組織が培い高めることでのみ得ら
れる。必要なときには、その能力を他に知らしめることができるように準備をしなくてはなら
ない。
さらに加えて、トップ経営者は、不注意によって引き起こされる品質水準の悪化に対するセ
ーフガードを備える必要がある。要員や組織の再編、さらには計画変更や末端での取り組
みでの予期しない結果によって品質水準の劣化を招くことがある。
トップ経営者がマネジメントシステムの整合性に自信を持ち、顧客が組織の製品を信頼す
るためには、製品性能の度合いを失敗の重要性に比例した検証を独立させて行うことが求
められる。
品質保証の概念は、必要とあらば、信頼性の確立に求められる証拠を関係者に対して提
出することにまで進化してきている。証拠には、品質が効果的に管理され組織のすべての
レベルで要求されてる水準を維持していることが含まれる。
(つづく)
クオリティマネジメントの概念
保証の提供を支援する四つのコンセプトがある:
a)公式に記述されるか公示されマニフェストと称される状況;
b)本人によって仮定された”assumed 状況”と称される状況;
(正式に記述された内容と人々によってどのように解釈されるか
との間で一貫していないこともある)
c)体系的な探査と解析によって明らかにしたような状況で、現存する状況と
称される。(完全に知らされる)
d)実存する分野で実際の特性と一致しなければならない状況で、必須状況
と称される。
理想的なのは、マニフェスト、仮定された、現存する、必須の状況がお互いに
可能なかぎり近づいている状況である。
何が言いたいのか理解できない
人々、プロセス、資源の効果的運用によるクオ
リティの達成
2000年版では品質マネジメントシステムア
プローチ、品質方針、品質目標およびトップ
経営者の責任が採用された。
にもかかわらず、2000年版
ISO9000では1994年版にあった
多くの項目が削除された。よって、
以下の事項を追加すべき。
クオリティの依存性
望ましいレベルのクオリティは、組織が能力を持っている人々、確実に
作り上げられる能力のあるプロセス、そして適切な資源を管理運用することに
よって達成できる。
クオリティは製品とサービスを調べて分かるものではない。クオリティは、芳醇で確固たる製
品として生み出されるように、能力のある人々によって生産工程を含めて
設計段階で作り込まれなくてはならない。検査は単純に、製品とサービスが要求事項に適
合している度合いを見るだけである。
(つづく)
人々、プロセス、資源の効果的運用によるクオ
リティの達成
人々
組織の成果や業績は、人々がどのような文書作るかやこれをやれと言うのではなく
、人々がいかなる振る舞いをするかによって現れるものである。すなわち、彼らの
業務に影響を与える決定に彼らがどの程度関与しているかの度合いによって
左右される。すべての人々はそれぞれ異なっている。それぞれの人の成果や
できばえは彼らが仕事をしているシステムによって大きく左右されよくもなり悪く
もなる。権限委譲を進めることによって人々が動機付けされる状況を作り出す。
なぜならば、厳格な監督を行うことなく高い成果やできばえを得る方法を自ら作り
出すからである。
組織が複雑になればなるほど相互関係の数は多くなる。組織が活発であれば
あるほど個々人の成果やできばえはばらつくようになる。このような組織では、
一般的に個人が仕事に失敗すれば、その穴埋めをしようとする他の人たちが
現れるだろう。とはいえ、持続的な成功を確保するには、仲の良い関係が育っている
ことが条件である。これは良きリーダーシップが長く続けられていることによる。
(つづく)
人々、プロセス、資源の効果的運用によるクオ
リティの達成
持続的な成功には、組織がどのように操業されているかを人々が認識することが
重要であり、特に以下を知ることは大切である。
・システムシンキングの正しい理解:システムの性質や特性と分担した仕事
の相互作用によって組織のアウトプットが産出されるのであって個人の分担
だけではないことを理解すること。
・バラツキや変動の知識:クオリティの範囲とバラツキ、および計測のために
の統計的サンプル採取法。
・知識理論:知識を説明するコンセプト、および知ることができる限界。
・心理学の知識:人間の性格に関するコンセプト。
(つづく)
理想ではあるが一般的ではない
人々、プロセス、資源の効果的運用によるクオ
リティの達成
プロセス
すべての業務はプロセスを経て完成される。インプット、活動、資源、影響力及び
管理方法の変動要因を変えることによって、要求された特性、ないしは
性質を持ったアウトプットが生産されるようにプロセスは設計されている。
したがって、効果的にプロセスを設計し管理することにより、要求されたクオリティを持つアウト
プットを一貫して連続的に生産するようにできる。
目標はプロセスを通じて達成される。組織全体をビジョンとミッションに向かって
行動する戦略的目標が設けられる。また、特定の結果を達成するために組織の一部向けて戦
術上の目標も設定される。
組織内の複数の職務や部門にまたがるプロセスのネットワークを通じて戦略的目標は一般的
に達成される。これらのマクロプロセスは以下の三つのクラスに分類できる:
a)顧客の要望を創造し満たすプロセス、たとえば、マーケティング、製品開発、製造、 サービ
ス提供、販売およびアフターサービス。
b)事業を運営・管理するプロセス、たとえば、戦略策定、組織開発、マネジメント
システム設計、業績評価と向上。
c)資源とともにすべてのプロセスを供給するプロセス、たとえば、人的資源、資材、
施設管理、IT、財務、維持管理。
(つづく)
人々、プロセス、資源の効果的運用によるクオ
リティの達成
戦術上の目標は、戦略的目標に由来して作成され、少しだが他の部門の助けを
受けながら単一の部門による一義的に実行されるプロセスによって達成される。
これらのミクロプロセスは、単一の仕事、ないしは少ないステップに
限定された狭い分野にしばしば適用される。たとえば、計画の作成、仕事の
手配、部品の製作、適合性の検査、エラーの修正、報告書の作成である。
しかし、他のミクロプロセスと連携してプロセスのネットワークを生成して
特定の戦略的目標に寄与するマクロプロセスを構成している。
特定の戦略的目標を達成するために設計された効果的に運用されたプロセスは、
図1に示されているように、継続的にモニタリングされ、目標と一貫しているか
どうかレビューされ、改善している。これらは、マクロとミクロのプロセスに
適用される。
(つづく)
人々、プロセス、資源の効果的運用によるクオ
リティの達成
図1 管理されたプロセス(いかにして安定した結果を得るか)
人々、プロセス、資源の効果的運用によるクオ
リティの達成
プロセスの目標は、アウトプットに関連する製品の目標とは違う。プロセスは
“生み出す”目的で設計されている。たとえば、組織が要求を充たすことができる
指示をすること、顧客のニーズを反映した設計を行うこと、仕様・製品規格
に適合した製品を作ること、あるいは、顧客の期待を凌ぐ製品やサービスを
提供すること。
プロセスの測定尺度は、プロセスの目標が達成されている度合いを判断できる
特性である。たとえば、オンタイム納品、収率、有害ガス排気量、停止時間で
ある。これらの測定値は、プロセスの動向、できばえ、効率を決めるための
プロセスのモニタリングに利用される。
プロセス・レビューは、プロセスを調節するべきかどうかを決めるために
モニタリングするプロセスの結果を評価することである。プロセスを調節する
目的は、よりよいコントロールによってできばえを向上させ、プロセスの目標を
組織の利害関係者のニーズと期待と合わせてよりよく連携させながら
効果をさらに向上させることである。
プロセスの維持管理は、よりよいコントロールを行うために既成のプロセス
に変更を加え実施することである。
(つづく)
人々、プロセス、資源の効果的運用によるクオ
リティの達成
求められているクオリティのアウトプットを産出するために管理しなければならない
重要なエレメントの関係を示したのが、図2である。
図2 業務運用プロセス(仕事はいかに行われるか)
次のページで説明する
人々、プロセス、資源の効果的運用によるクオ
リティの達成
図1で示したようにインプットをアウトプットに変換するのがプロセスだとするのが
慣習であったが、すべてのインプットがプロセスによって変換されるのではない。
前の図でのエレメントの事例は以下である。
トリガー(何が原因で行動に移るのか)ーたとえば、イベント、考え方、日常的な出来事
指示、要望。
影響(行おうと試みることに影響を及ぼす要因)内部的ーたとえば、方針、価値、
企業風土、成果の尺度、仮定条件、個人的な日程、プロセスの目標、
企業内目標、手順、資材の入手可能性 外部的ーたとえば、規制、規格、
顧客の要求事項、利害関係者の期待、リスク、重大な成功要因
資源(行うことができるようにするために必要なもの)ーたとえば、人々、情報、機器
エネルギー、土地建物を含む施設、空間、資材、知識、技能、業務能力
アウトプット(産出したもの)ーたとえば、製品、サービス
結果・成り行き(産出したもの、あるいはいかに産出したかによるインパクト)ー正、
たとえば、満足した顧客、高くなった評判、増えた知識 負ー環境破壊
幻滅したスタッフ、学習しない。
(つづく)
人々、プロセス、資源の効果的運用によるクオ
リティの達成
組織の有効性と能力は、(i)過去の活動結果を評価することと、将来の成果を予測
するのに役立つ指標を分析することによって明確にされることがもっとも
好ましい。これは組織内でのリスクについても同じである。
持続する成功は、適合性とバラツキと変動を低くすることのバランスを適切に
保つことによってなされる一方で、変革、即応性と改善に強く依存している。
資源
プロセスが望ましいアウトプットを産出するためには、資源が投入されねば
ならない。また、これらの資源に対する要求内容はプロセスの設計に組み込まれ
なければならない。プロセスの進行に引き金が引かれたならば、プロセスがその
能力を維持するために必要とされる資源が投入されねばならない。したがって、
必要な質と量の資源を計画し、取得し、展開し、維持することはプロセスが
その能力を維持するのに不可欠で重要である。また、すべての利害関係者
の期待を満たす方法で老朽化しムダな資源と不満足な質の資源を除去する
ことも重要である。
規格の役割
ISO9000:2005にはISO9000シリーズの各
規格の目的についての記述がある。
ISO9000は規格の基本である
べきであり、付属規格の
文言との統一を取る役割を果たす
べき。
品質、コスト、納品に関する要求に供給者が応じてくれることと、信頼できるか
どうかの情報入手の手段についての選択肢があることを顧客は求めている。
すなわち、顧客は以下の手段で供給者を選択できること。
a)純粋に過去の成績、評判、もしくは推薦に基づく、
b)供給者が作成した能力についての自己評価の発表を信じる、
c)潜在的な供給者の能力を自ら評価することによって、
d)第三者によって実施された能力評価に基づく。
規格の役割
国家及び国際規格は、顧客のニーズを一般的な製品に転換し、品質の要求事項
に翻訳できることを支援するために開発されてきた。品質の要求事項を定めることに
よって、製品とサービスの設計、生産、納品に利用する許容水準が一定にすることが
確実になる。これらの規格は、顧客自身の技術的
要求事項、国家および国際的法的規制の要求事項を補足することにも利用され
ることもあり得る。
ISO 9001は、前述したモード(b),(c)よよび(d)を評価する際のベースとして利用される
ことによって、顧客が求めている信頼性(すなわち、品質保証である)の水準がどの程
度なのかを顧客が理解できるようにするために今日まで開発されてきた。ISO 9001
は品質マネジメントシステムの要求事項を規定しているのであって、製品やサービス
の要求事項を規定するものではない。ISO 19011は、潜在的な供給者の能力を評価
する上で顧客を助けるために開発され、また同時に、供給者のマネジメントシステム
の能力を自ら評価することで取引先を援助するために開発されてきた。
(つ
づく)
ISO19011の習得・活用が内部監査や
第二者監査に有効。
規格の役割
何事も複雑であり、要求も厳しくなり、絶え間なく変化を続ける環境の
中で、組織は、持続的な成功を達成する必要がある。これを成し遂げるには、
以下のことができる能力がなければならない。すなわち、
a)顧客をはじめとする利害関係者のニーズおよび期待を明確にできる。
b)顧客のニーズと期待を顧客を満足させられる製品やサービスに変換できる。
c)顧客を組織に引き付けることができる。
d)顧客の要求事項を満たす製品を供給し、顧客が期待している何か役立つものを
を提供することができる。
e)他の利害関係者のニーズを満たすように事業を運営できる。
ISO 9000とISO 9004は、組織が、すべての利害関係者の期待を充たす方法で、
適合した製品とサービスを提供するための効果的なマネジメントシステムを
開発し、運用し、そして維持することを支援するために開発されてきた。
時代の変化に比べて規格は遅れているので、
必ずしも効果が生まれるとは限らない。
品質マネジメントの原則
品質マネジメント原則の適用
目標達成のための戦略
策定に役立てるとよい。
組織の目標を達成するための品質マネジメント原則の適用
顧客志向
組織は顧客に依存せざるを得ない。だから、現在ならびに将来の顧客のニーズと
期待を理解する必要がある。さらに、顧客のニーズと期待を満たすために
懸命に努力しなければならない。
顧客志向の原則を適用している企業での人々の行動は、次のようである。
a)顧客の声に耳を傾け、顧客のニーズと期待を理解し、顧客と一緒に仕事を
することを選び、顧客の好みに敏感になっている。
b)すべて利害関係者のニーズと期待に応える形で顧客の要求を満たしている。
c)組織全体に亘って顧客のニーズと期待を通知・伝達している。
d)組織の顧客を満足させるために必要な知識、スキル、資源を獲得している。
e)顧客満足度を測定し、結果に基づいて行動を起こしている。
f)顧客との関係を理解することに努める、特に、顧客の期待が満たされて
いない場合が生じたときには積極的に顧客との関係をマネージしている。
g)自分たちの行動、アクションと目標を顧客のニーズと期待に
直接結びつけている。
h)顧客満足度測定の結果に基づいて行動し、そのパフォーマンス(成果)
を向上させている。
品質第一(新規)
西側諸国の市場で競争力を勝ち取った日本が発祥となる
品質を最優先とする思想は、優勢を極め、支配的と
なった。石川氏は「日本企業は品質第一という原則
に基づいて事業を運営し全社的品質管理を実践して
いる」とし、「短期的な利益を求める米国のマネジャー
とは異なる。利益第一の原則にしがみつき日本との
競争で敗北した」とも述べている。
顧客第一と品質第一
とは同じではない。
生産性、安全性、効率性と実効性を確保するには、仕事の質はあらゆる階層での
最優先事項でなければならない。
品質第一の原則を適用している組織では、人々は次のような行動をとる。
(つづく)
品質第一
a) 彼らがやると言うときには、彼らが言っていることは
本気だいうことを意味し、それを本当にやり遂げる。
b)彼らは、求められた品質のアウトプットを決められた時間内に
提供できると信頼されている。
c)彼らは、要求を満たす最高の価値を持つ解決策を見つけ出す。
d)管理限界を超えているプロセスを止める権限が与えられている。
e)短期的な利益と引き換えに、作業の質に妥協しない。
f)彼らは、信頼を築くためになすべきことを倫理的かつ透明性を保って
行動する。
g)プロセスの目的を達成するために同僚を助ける。
h)彼らは、他の人や社会に何をすべきかを認識し、アウトカム(産出物)
が与える危険なリスクが現実になる前に予知し、うまく処置している。
サプライチェーンが複雑になり
現実には困難になっている。
リーダーシップ
リーダーシップはISO9000:2000でも
採用されているが、”should”
(するとよい)と表現されている。
リーダーシップの原則は
真実であり”recommendation”
(推奨)するという表現は
当たらない。
リーダーは、組織の目的と方向との統一化を行う。リーダーは、人々が組織の
目標を達成するために専任できる内部環境を創り、維持する。
リーダーシップの原則を適用する組織では、リーダーが以下のような行動を行う。
a)組織の将来について一貫した明確なビジョンを創造しそれをくまなく伝える。
b)組織のあらゆるレベルで共有できる価値観と倫理的な社会的な役割を果たす
モデルを確立する。
c)組織の価値観や行動様式に合う人を雇い入れる。
(つづく)
リーダーシップ
d)積極的に行動し、組織の使命、ビジョンと価値観に合致した方法で模範を
示しながら主導する。
e)人の言うことに耳を傾け、チームのニーズを理解し、それらを満たすために
手助けする。
f)外部環境の変化を理解し、変化に対し効果的に対応する。
g)不連続な変化を進んで選びとり、進化と画期的な変化を支援する。
h)リーダーたちの中で高いレベルのパフォーマンス(成果)を見出すだけでなく
、共に働く人たちからも同じように高いレベルの成果は何かを選び出す。
i)すべての利害関係者のニーズを検討する。
j)信頼関係を構築し、脅威を排除し、倫理的に行動する。
k)必要な資源を人々に提供し、責任と説明責任を持って行動する自由を与える。
l)オープンで正直なコミュニケーションを促進する。
m)人々を教育し、訓練し、コーチする。
n)組織の使命とビジョンに沿った施策や目標を含め、挑戦的な厳しい目標を
設定する。(この文言では、目標は達成すべき成果であり、
施策はパフォーマンスが判定される特性である。また、目標は達成されるべき
パフォーマンスのレベルである)
o)これらの目標を達成するための戦略を伝達し、実施する。
p) これらの目標と一致した行動を助長するパフォーマンス指標を使用する。
人々の参画
組織にとってあらゆるレベルの人々は必要不可欠であり、組織のベネフィット
になるように人々の能力が生かされるには彼らの全面的な参画がどうしても
必要となる。
日本企業で
失われつつある
人々の参画の原則を適用する組織では、人々は次のような行動をとるようになる。
a)問題を解決するためにオーナーとして振る舞い、責任を担うことをよしとする。
b)改善を行うための機会を積極的に追求する。
c)自らの能力、知識と経験を強化する機会を積極的に求める。
d)チームやグループと知識と経験を自由に共有する。
e)顧客にとっての価値を創造することに焦点を当てて集中する。
f)リーダーが組織のために欲しているものに耳を傾けるとともに、
組織の目標の達成を促進する上で革新的であり創造的である。
g)顧客、地域のコミュニティーや時には社会に対峙して組織の代表として
積極的に振る舞う。
h)自分の仕事から満足感を覚える。
I)組織の一部であることを誇りとし熱狂的でさえある。
j)キャリア開発と個人的な問題解決の面で組織から支援や恩恵を受けている。
プロセスによるマネジメント
ISO9000:2000には”プロセスアプローチ”の
原則が導入された。これを”プロセスによるマ
ネジメント”に変更し、その記述も以下のよう
にすべきである。
ISO9001とは違った定義が
ISO9000でされている。
いかにして問題に取り組む
かをのアプローチに
なっていて原則ではない。
しかも、システムとプロセス
の違いが不明確である。
どのレベルであっても目標が効果的かつ効率的に達成することができるのは、業
務の実行に関わる人々の機能またはレベルに関係なく、目標を達成するための
業務が組織全体で横断的に管理されている場合である。
プロセスアプローチの原則を適用する組織では、人々は次のようになる。
a)組織のアウトプットを産出するプロセスのチェーンをよく認識し、
自分の業務プロセスとその業務がアウトプットの品質にどのように
影響するのかをよく認識している。
プロセスによるマネジメント
b)目標を達成することができるようにためのプロセスと達成
しなけ ればならない目標を認識している。
c)目標が達成されたかどうかを示す何らかの尺度や対策を
認知している。
日本企業の
d)目標を達成するための明確な責任、権限と説明責任を
最大弱点
持っている。
e)目的を達成するために必要な活動のみを行う。
f)成功へのリスクを評価し、リスクを排除し、削減し、
制御する対応策を準備している。
g)目的を達成するために必要な資源、行動、情報と能力は何かを
知っている。
h)予定されたようにプロセスがその目的を達成しているかどうかを
知っている。
I)プロセスの目標を達成するためとプロセスの効率を改善する
より良い手段を探求する。
j)手段と目標を含むプロセスの目標が組織のニーズに沿っていること
を定期的に確認している。
プロセスモデルに関して
現在のISO9000シリーズで採用されている
プロセスモデルは削除されるべきである
CQIは以下の理由で
現行のモデルを
否定している
+組織はあまりも複雑であり、それがモデル化されていない。
+単純に要求事項の章の名前を楕円の中に並べただけであり、
しかも、除外項目を7章に限るために「製品の実現」に本来あるべき要求事項
(製品の測定と不適合の管理)を8章に入れている。
+経営者の責任は、プロセスではない。社会的な義務である。
+測定、分析、改善を切り離したことによって起きている矛盾がある。すなわち、
製品の測定に関する要求事項が8章にあり7章にないので、
製品の実現からのアウトプットが測定されないことになる。
+継続的改善が楕円の外にあることは、システムの外にあるという意味になる。
+アウトプットをもたらす供給者、従業員および投資家たちがモデル図に
示されていない。
+0.1項にあるビジネス環境の影響について言及していない。
+「情報の流れ」や「付加価値創造の活動」については極めて少ない。
ISO9004プロセスモデル
体系的な展望
システムアプローチのマネジメントという
タイトルを「体系的展望」に変えること。およ
び、原則も修正されるべき。
この原則には少なくとも四つの
ラベルを付けられる、システム
アプローチ、システム志向、
システムシンキング、体系的な
展望だ。問題と取り組む手法で
ある。ところが、現行ではシステム
とプロセスの違いが不明瞭で矛盾
している
ある一つのシステムを構成する要素は、単独ではなく、それぞれがお互いに
関係し合い、さらには他のシステムともつながっていると人々に理解されている。
人々が体系的な展望を持っている組織では、人々は次のように行動する。
a)全体像を理解しようとする。
b)パターンや傾向を生成して、システム内の要素が時間の経過と共にどのように
変化するかを観察する。
c)原因と結果の複雑な因果関係の循環的な性質を明確にする。
d)前提条件を作り上げた上でテストを行う。
e)観念的なモデルが現在の現実と将来にどのように影響するかを検討する。
f)意図しない結果が現れる場合や場所を見つける。
体系的な展望
g)「てこの作用」を起こす可能性のある行動やアクションを明確にする
システム構造を理解することを利用している。
h) 原因と結果の関係を探求するときには、時間遅れが生じる影響を認める。
i) システムの構造体が、その動作を生成することを認める。
j) 理解を深めるためにものの見方を変更する。
k) 隅々まで完全に問題を検討し、早々と結論を出す衝動には抵抗を示す。
l) 短期的および長期的な行動の双方を考慮する。
m) 結果をチェックし、必要に応じて対応策を変更する。
改善
改善の原則は修正されべき。
現行の原則は継続的改善に限定され、
持続的な成功のために一般的に行われている
タイプの改善活動ではない。
組織が戦略として改善を掲げることは不可欠であり、よいパーフォーマンスを長期にわた
って維持し、変化を与えるために必要である。
改善プロセスは、次のように普遍的な一連のステップで構成されている。
a)改善の必要性を明らかにし、立証するためにパフォーマンスを厳密に調べる。
b)改善の目標を決める。
c)行き渡っている一般的な経済情勢の制約内で改善が実現可能であることを
立証するための予備調査を行う。
d) 目標が達成される手段を明確にする。
e) 改善計画を実施するための資源を編成する。
一般的な改善活動
改善
f) 解決策と信頼できる選択肢を造るために調査、分析や設計を行う。
g) 最適な解決策のひな形を開発し、それが改善の目標を満たすことを
確認する。
h)変更に対して引き起こす抵抗を明らかにし、克服する。
I) 適用可能なすべての領域にこの変更を実施する。
j) 新しい水準のパフォーマンスを保持するようにコントロールを行う。
この一連のステップは、目標が掲げられているならば、任意のレベルの部門
に適用することができる。また、新しい製品やプロセスの開発や、
製品の機能特性そのものとともに、その製品の機能特性を創造するための
プロセスの改善にも適用することができる。
改善の原則を適用する組織では、人々が次のような行動をとるようになる。
a) 恐れることなく現状を打破しようとする。
b) 組織の利害関係者の利益のために、製品、サービス、プロセス、システムの
品質を改善することができる方法を継続的に探し求める。
改善
c) 増殖させること、画期的であること、または変質させることで実現する
基礎的な改善の概念を必要に応じて適用する。
d) 潜在的な改善領域を特定する目的で卓越性に関する確立された基準に
照らして定期的な評価を利用する。
e)関連する問題解決法と改善の技術を使用してプロセスの効率と効果を
向上させる。
f)人びとは改善の手法とツールの使い方について教育と訓練を受けている。
g)同じことを行うことではなく違ったことをすることから改善は生まれると
理解している。
g) 同じ方法で行うだけでなく、異なった手段で実行することから改善が
行われることを理解している。
h)正しいことを行う時だけでなく、正しいことに向かって努力を傾けること
から望ましい結果が生じることを理解している。
i)個別に分離された部分を改善していたのでは、システム全体の
パフォーマンスが向上しないことを理解している。
イノベーション
事実に基づくマネジメント
Factual approachをmanagement by
factに変更すべき。適用のための基準を
文言に加える。
問題解決に取り組む手法で
あり、原則だとは言えない。
タイトルを変えるのが妥当。
効果的な意思決定は、データと情報の分析に基づいている。
事実に基づくマネジメントの原則を適用する組織では、人々が次のような
行動をとるようになる。
a) 測定されなければならない製品、もしくはプロセスに必要な品質特性に
関連する性能の尺度は明瞭にされている。
b) 測定を行い、製品またはプロセスの目標に関連するデータや情報を収集する。
c) データと情報が十分に正確で信頼性が高くいつでもアクセスできることが
確実になっている。
事実に基づくマネジメント
d) 有効な手法を利用してデータや情報を分析する。
e) 適切な統計的技術手法の価値を理解している。
f) 過去の成果は、将来の成果を必ずしも示唆するものでは
ないことを承知している。
g) 結果から生じている経済的な重大さを意思決定者に通知するために
品質データのコストを利用している。
h) 経験と直感との両者をバランスをとりながら論理的分析を行った
結果に基づいて意思決定を行い、行動を起こしている。
相互互恵関係
この原則の内容を修正すべき。
現行の原則では、供給者のみに限定
されている。組織の目標を達成するには
その他の利害関係者に大きく依存して
いる。
あらゆる組織は、戦略上の目標を達成するためには出資者たち、顧客、従業員、
取引先、地域社会の助けを得ると共に、自ら担うリスクと引き換えに、
相互互恵関係を育てる必要がある。
相互互恵関係の原則を適用する組織では、人々が次のような行動をとる。
a) 組織を支えるという役割に関係なく、他の組織のニーズに対して相互的に
尊重している。
b) 品質に関して妥協をすることなく、供給者の要求を満たす能力に基づいて
主要な取引先を明確にし、選択している。
相互互恵関係
c) 健康、安全および自然環境を損なうことなく、品質要求を達成している。
d) 組織や社会のための長期的な配慮を行うことと短期的な利得とを
バランスさせる外部との関係を確立する。
e) 透明性が高く開放的な内部ならびに外部とのコミュニケーションを創造
している。
f) 製品、サービスとプロセスの開発と改良作業を共同で行うことを始めて
いる。
g) 利害関係者のニーズの明確に理解することを共同で行っている。
h) 今後の計画と情報を共有している。
I) 供給者の改善活動や業績の内容を認知している。
j) システムの成果を評価するときには、必要に応じて利害関係者の
それぞれと一緒に行っている。
保証(新規)
1987年のISO9001には導入されていたが、品
質保証の原則は、ISO9000:2005
には含まれていない。
顧客や購買者には品質が保証
されることが必要である。品質
監査の要求事項はISO9001にも
あり、第三者監査も行われている。
製品とサービスを生成し供給するためになされている提供面の誠実さに関する
信頼性の必要度は、組織とその製品やサービスの複雑さに比例して高くなる。
保証プロセスは、次のように普遍的な一連のステップで構成されている。
a)目標がいかにして引き出されたか、その達成度がいかにして
計画されたかを決定する。
b) もし分かるならば、計画が利害関係者の満足につながっていることを
確認するための計画を見直す。
c)計画に基づいて実行され目的が充たされていることを検証するために
監査を計画し実施する。
保証
保証の原則を適用する組織では、マネジャーは次のような行動を起こす。
a) 組織が充たすべき義務を負っていることの要求を理解している。
b) これらの要求を満たすための計画は複雑になることを理解し、
もしこの計画にしたがって実行すれば要求を満たすアウトプットを
提供できることに確信を持っている。
c) 計画を実施する際に遭遇するリスクに基づいて必要となる保証レベルを
決定する。
d) 計画が守られているという客観的な証拠を集める。
e) 要求が満たされているという客観的な証拠を集める。
コントロール(新規)
品質のコントロールという概念は
品質マネジメントシステムに採用され
ISO9001の基本的要求事項でもある。
コントロールの原則に起源する
要求事項はISO9001に多くある
にもかかわらず、「原則」として
取り扱っていない。
パーフォマンスの基準を充たしそれを維持するためには、業務作業がコントロール下
に置かれている必要がある。この状況がそのまま維持されるには、業務に責任を
有する者が基準を明確に意識できているとともに、組織の成果にばらつきを生む原因と
なっている変動要因をコントロールすることができる場合にのみである。
コントロールのプロセスは、次のように単純化できる一連のステップから
成りなっている。
a) 尺度と目標値の単位の角度から制御されなければならない特性のための
品質目標を決定する。
一般的な品質管理の原点
コントロール
b) 測定単位に換算された特性を測定する感知装置を設置する。
c) 測定を実施し、目標と実際の性能を比較する。
d) (目標との)違いに基づいて行動する。
この一連のステップは、目標が設定されたどのようなレベルでも適用することが
できる。
コントロールの原則を適用する組織では、人々は次のように行動する。
a) 制御できない状態で生じた結果には責任はない。
b) 利害関係者のニーズを満たすために、組織にとって
何が重要なのかに基づいて(目標を)制御しなければならないものは
何かを決める。
c) 制御されねばならないパラメータに関して適切な測定単位を作り上げるかを
選択する。
d) 組織の目標と整合性があるパフォーマンスあるいは目標値の水準レベル
を設定するか選択して、その上で、作業が始まる前に、関係者に
その水準を伝達する。
コントロール
e) 重要性に応じて特性が決められる以前の、あるいはその間に、または
その後に、特性を測定することができる感知装置を作り上げるか選択する。
f) 必要な測定を行うために必要な資源を活用する。
g) 計画的な測定を実施し、検出された潜在的または実際の性能をある段階で
比較する。その段階は、潜在的に、もしくは検出された実際のバラツキの
修正が経済的であるプロセスである。
h)測定の結果が、必要なアクションをとるための緊急に決定する
できるように適切な形で組織の適切なレベルに確実に伝達されること。
I) 報告された結果の妥当性を検証し、さらに経済的、統計的有意性を評価し、
アクションが実行される前に水準からの変動の事実上の原因を見つけ出す。
I) アクションの代替案を評価し、決定が、制御下にある特定のプロセスの
結果に対して責任を持っている人々が適時に行われるように
(業務プロセスを)確定する。
k) 水準に沿った性能をもたらすために合意された行動を適切なタイミング
で起こすように動機づけられている。
l) 実行した操作によって望ましい結果を生み、性能が正常に戻ったことを
確認するように動機づけられている。
おわりに
いろいろな概念とかマネジメント原則は、品質マネジメント
システムに言及するISO9000とISO9004には頻繁に
記述されている。
にもかかわらず、企業がISO9001を活用する場合には、これらを
品質マネジメントシステムの効果を評価する基準として活用されていな
いだけでなく、時には無視しているのが現実である。
一貫した組織にとって利用価値のある国際規格を策定すること
が強く望まれる。そこで提案されたのは、以下の文言を5.1項に
加えることである。
「ISO9000において定義されている基本的概念および原則と一貫性を有する
方針、品質目標および品質マネジメントシステムを確立し、ISO9000
を評価基準の一部とする」
品質