密度流拡散装置(五ヶ所湾)

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3.ヴァリアブルバージョンの応用例
3.1 五ヶ所湾の海域浄化装置の効果に関する
数値シミュレーション
東京大学
殿城賢三
佐藤 徹
密度流拡散装置(資料提供マリノフォーラム21)
海中設備
海上設備
吐出流量;12万トン/day
マリノフォーラム21パンフレットより
密度拡散装置の位置
本研究の目的
MECモデルの検証
 拡散装置による五ヶ所湾に対する効果を数
値シミュレーションにより解析する
- 温度・塩分分布の変化
- 低層水の移動

計算条件(1)

密度流拡散装置のシミュレーションを行うに当たっ
て計算時間中,成層を保つ必要がある
さまざまな試行錯誤の結果
得た条件は次の通り
-
全天日射量
雲量
降水量
風速
気温
240.5[W/m2]
6.63(in tenth)
2.743 [mm/h]
2.12[m/sec]
26.2[℃]
計算条件(2)




計算格子数;45*35*10(=15750;静水圧モデル)
35*35*21(=25725;Full-3Dモデル)
dt ; 0.4(sec.) ・・・ (2つのモデルで同じdtを用いた)
開境界; 流速:等値外挿 温度・塩分:観測値
潮位; 1998年7月31日からの潮位を与えた
密度拡散装置
吸込み口;深度1.2m(1)
及び11.4m(2)に設置
吹出し口;深度2.7m(3)に設置
流量;(1)-0.2778(m3/s)
(2) -1.111 (m3/s)
(3) 0.3472 (m3/s)*4(面)
計算格子(海面における格子配置図)
検証法- 装置による影響についての検証
1,時間変化を見る
5時間後の値
と
稼動直前の値
の差をとる
2,実測値と計算値における気象条件の違いによる
温度・塩分の違いは見たくない
5m地点の値 と
100m地点の値 との差をとる
装置から
実測値および計算値のそれぞれにおいて
時間的差分(1)および空間的差分(2)を行った
結果の比較により検証を行う
検証

装置稼動後5時間後
計算結果
-0.4 -0.2
DDT(℃)
0
0.2
0.4
観測値
0
-0.4
0
2
2
4
4
6
8
10
Water Depth(m)
Water Depth (m)
-温度
6
8
10
12
12
14
14
DDT(℃)
-0.2
0
0.2
0.4
検証
装置稼動後5時間後

計算結果
0
2
2
4
4
8
10
0
0.25
Water Depth (m)
6
-0.25
DDS(‰)
観測値
DDS(‰)
-0.5
0
-0.5
Water Depth (m)
-塩分
6
8
10
12
12
14
14
-0.25
0
0.25
検証

-0.20
-流速
装置から湾奥方向への流れ成分(湾奥方向へ
Velocity (m/s)
5m)
-0.15
-0.10
-0.05
0.00
0
0.05
0.10
2
Water Depth (m)
4
6
8
計算値
観測値
10
12
流速計測方向
計算結果(Full-3D温度分布)
拡散装置付近の
鉛直断面図
装置稼動後約2日
(93600秒後)
装置稼動による温度変化
(装置稼動-装置非稼動)
計算結果(Full-3D塩分分布)
拡散装置付近の
鉛直断面図
装置稼動後93600秒後
装置稼動による温度変化
(装置稼動-装置非稼動)
計算結果(温度分布)
装置稼動後93600sec後
拡散装置のないときの
温度分布
深度2.7mにおける水平断面図
拡散装置があるときの
温度分布
計算結果(塩分分布)
装置稼動後93600sec後
拡散装置のないときの
塩分分布
深度2.7mにおける水平断面図
拡散装置があるときの
塩分分布
計算結果(トレーサー分布-Full3D)
濃度が高くなっている
装置稼動後2日18時間
(118800秒後)
装置稼動後およそ4日半
(198000秒後)
濃度がやや
低くなっている
装置が低層水を水平方向に運搬する能力があることがわかる
計算結果(トレーサー分布)
装置稼動後118800秒後
(2日18時間)
装置稼動後198000秒後
(およそ4日半)
装置により表層へ運ばれた低層水が湾に広がっている
特に湾奥へと広がる傾向がある
実験との比較
2日後のトレーサー実験
コンター図(江原らによる)
2日後のトレーサーコンター図
(計算結果,深度)
2日後にトレーサーが広がる範囲はほぼ同じ
計算結果(圧力差)
dP=P稼動-P非稼動
装置稼動後
118800sec後
(満潮)
装置稼動後
25200sec後
(満潮)
装置稼動後
93600sec後
(干潮)
装置が稼動していないときと比べて圧力差が生じている
密度流が生じていることを示唆
結論


観測値との検証を行いMECモデルの検証
を行った。
低層に存在する有機物は、密度流拡散装
置により中層で吐出されると,密度流によ
りその深さを保ったまま、主に潮汐により4
日ほどで湾奥まで運搬される。
今後の展望
海水流動
Logical Gap
赤潮の減少
高精度化
問題点(FULL-3D領域の大きさと減衰領域)
渦の反射による
圧力計算の発散
減衰領域
15m
40m
減衰領域
水平渦動粘性係数
KH ; リチャードソンの4/3乗則
K x  K x 0 L4 / 3
L  dx  X
計算領域の境界よりの7セルを使って指数関数的に増加
Nestingと減衰領域
小領域内で発生した
渦を解像し、それが
外部領域へ出て行く
ときは減衰させる
複数FULL-3D領域化=Nesting
渦の反射による
圧力計算の発散
減衰領域の設置
Full-3Dモデル周辺の計算格子
五ヶ所湾の場合、
人工物スケール(50m)と
海洋スケール(数100m)とが近い
静水圧領域の格子が粗め
Nestingヴァージョン
海洋の渦(乱流)と格子解像度
解像できる渦
解像できない渦:渦
動粘性係数
Nesting格子
基礎方程式(Full-3D)
ナビエ・ストークス方程式
  0
u
P
2
 ((u  w mv )u)  ( )  (   t ) u 
g
t
0
0
( wmv ; 格子移動速度 )
熱物質輸送方程式
t 2

 ((u  w mv ) )  (a 
) 
t
Sct
( a ;拡散係数 , Sct;乱流シュミット数(=1.0) )
プラントル数
Z
Y
X
座標系
数値計算法






変数配置 ; スタッガード配置
格子
;鉛直方向はバリアブル格子
水平方向は直交格子
アルゴリズム;MAC法
時間差分 ;陽解法
空間差分 ;3次上流(移流項)、
2次中心差分(拡散項)
圧力解法
;ポアソン方程式をSORにより解く
渦動粘性係数


水平方向;max( KH,(SGS))
鉛直方向;max( KV, ( SGS))
KH ; リチャードソンの4/3乗則
K x  K x0 dx
4/3
, K y  K y 0 dy
KV ; 成層化関数
K z  K z 0 1  Ri  , Ri  
g

SGS ; SGS (SubgridScale)モデル
4/3


z
 
U 2
0 z
移動格子

Full-3Dモデルでは潮位を,格子幅を計算中に変更すること
ができる「移動格子」を用いて表現している
z
DZ
DZ
格子移動
速度
Full-3D
計算領域
z
dz
静水圧モデル Full-3D
計算領域
計算領域
基準水面
静水圧モデル
計算領域
水位
境界条件
水平面内
流速:接合プログラム
温度・塩分:接合プログラムと等値外挿の選択
圧力:等値外挿
 鉛直面内
流速:風応力摩擦応力を考慮した流速を外挿
温度・塩分:気象条件(海面),等値外挿(海底)
圧力:等値外挿

MECモデルについて-時間的接合
N+1(step)
N(step)
静水圧
モデル
①
①‘
時間
Full-3D
モデル
②
②
④
時間
③-1
流速,温度,塩分,潮位
の時間的受け渡し図
③-・・・
③-n
MECモデルについて-空間的接合
Full-3D
計算領域
uh3 , ul3
uh4 , ul4
uh2 , uh3
uh1 , uh4
uh2 , ul2
uh1 , ul1
ul1 , ul4
ul2 , ul3
a) 水平面
b) 鉛直面
U;静水圧モデルX方向流速
2-3,境界条件1(海面,海底)
x
u

z  0 z
海面
海底
風応力
u  xB

z  0 z
x
unk 1  unk  dz *
0 z
 xB
u0  u1  dz *
 0 z
摩擦応力
 x  Cd  a u w u w 2  vw 2
 xb   0u B u B 2  vB 2
Cd ; 抵抗係数 a ; 大気密度
uw ; 大気速度
 ; 海底摩擦係数
uB ; 最下層の流速
2-3,境界条件 2
温度・塩分
水平面のダミーグリッドには「接合プログラム」および
「Full-3Dモデル」により求められた値のうちで上流側
の値を選択
海面条件(短波放射,長波放射, 温度
潜熱輸送,顕熱輸送,
蒸発,降水)
塩分
拡散フラックスとして与えた.
計算格子(Full-3Dモデル周辺)
検証法
温度,塩分
拡散装置より5mはなれた点
(装置による影響)
時間
拡散装置より100m
離れた点
装置稼動直前
稼動後1,3,5時間後
時間
検証法
拡散装置より5mはなれた点
(装置による影響)
温度,塩分
時間
装置のみによる
影響
拡散装置より100m
離れた点(基準)
装置稼動直前
検証法
温度,塩分
時間
装置のみによる
影響(観測結果)
装置のみによる
影響(計算結果)
比較による
検証を行う
検証
塩分濃度・・・装置稼動後5時間後の検証

塩分躍層
計算結果
Salinity (‰)
0
2
2
4
4
-0.1
0
0.1
0.2
6
8
0.3
31.50
32.00
32.50
33.00
33.50
観測値
6
観測値
-0.6
10
12
12
14
14
塩分躍層(観測値)
DDS(‰)
8
10
計算結果
31.00
Water Depth (m)
-0.2
Water Depth (m)
Water Depth (m)
-0.3
30.50
0
-0.4
-0.2
Salinity(‰)
0
0.2
0.4
0
29.0
0
2
2
4
4
6
8
Water Depth
DDS(‰)
6
8
10
10
12
12
14
14
30.0
31.0
32.0
33.0
34.0
検証
温度・・・装置稼動後5時間後の検証

5時間後の温度躍層
計算結果
Temperature (℃)
0
21.00
0
2
2
4
4
0
0.1
0.2
6
8
0.3
23.00
24.00
25.00
26.00
観測値
6
12
12
14
14
Temperature (℃)
DDT(℃)
-0.4
10
5時間後の温度躍層(観測値)
観測値
8
10
計算結果
22.00
Water Depth
-0.1
Water Depth (m)
Water Depth (m)
-0.2
-0.2
0
0.2
24
0.4
0
0
2
2
4
4
6
8
Water Depth (m)
DDT(℃)
-0.3
6
8
10
10
12
12
14
14
25
26
27
28
29
初期条件の生成
気象条件に尾鷲の値を用いた結果(塩分)
31.00
0
31.50
Salinity(‰)
32.00
32.50
2
Water Depth (m)

4
6
8
10
12
14
initial
after 216000(sec.)
33.00
33.50
初期条件の生成
気象条件に尾鷲の値を用いた結果(温度)
21.00
0
22.00
Temperature(℃)
23.00
24.00
25.00
26.00
2
Water Depth (m)

4
6
8
10
12
14
Inital
after 216000(sec)
after 432000(sec)
27.00
検証法 -塩分濃度変化
装置による塩分分布の変化のDDSを用いた概念図
Salinity (‰)
30
30.5
31
31.5
0
2
Water Depth (m)

4
6
8
10
12
14
塩分分布
塩分分布+DDS
32
32.5
33
33.5
MECモデルについて-空間的接合
j
Full-3D
モデル側
i
静水圧モデル側
uの受け取り値
vの受け取り値
境界
静水圧モデルの値を元に
「接合プログラム」により生成された
Full-3Dモデルの境界値
検証

装置からの流れ(湾口方向へ5m)
-0.05
0.00
0
0.05
Velocity(m/s)
0.10
0.15
0.20
Water Depth (m)
2
4
6
8
10
12
計算値
観測値
0.25
0.30